2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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kyon_mm氏:そういったことをやってきて、10年ジェネラリストとしてやってきたところでいうと、参考書籍のツリーをひたすら読むことは、ずっと継続しています。あと、身近なコミュニティをつくるようになったのはすごく大きいですね。
今までは、いろいろなコミュニティに参加したり、いろいろなコミュニティをつくってみたりしていたのですが、自分にとっておもしろくても距離感が遠いコミュニティは継続しないなと思っています。
継続しないと何が困るかというと、ジェネラリストは新しい分野をどんどん開拓していくことが重要で、そういったことを一緒に発見できる人たちとか、なんなら一緒にやっちゃう人たちが重要なので、そこの距離が遠いと、うまくいかないというか、そこが保てません。身近なコミュニティをつくろうと思ったのは、こういう欲求が自分の中にあったからなんだなとよくわかりました。
あと、プレゼンする時は基本的に自信たっぷりにします。スクラムのプレゼンとかを見てもらえばわかると思いますが、自分が当然受け入れられているかのように、みなさんがメチャクチャおもしろいと思うに違いないと思ってしゃべります。
特に象徴的だったのは、2018年の「CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)」というカンファレンスです。「アジャイルの話をします」と言って、アジャイルの話をしていたのに、中盤でいきなり「みなさんシロアリご存じですか?」と、「アリの話」をし始めました。永遠とアリの巣の構造の話をして、論文を引き出して、人間の認知の問題を話して、おもしろいでしょという感じのこともやっていました。
それを続けていく中で、10年間一緒に仕事をするチームもできたし、チームで移籍をしたり、アジャイルコーチという仕事もできてきて、いろいろな人たちをつなげて、1つのかたまりとして保っていくことができてきました。
スペシャリストからジェネラリストに転向する時に、この人たちはこうしてつなげればいいんじゃないかと思っていたことが実際できたし、その人たちで移籍することもできたし、アジャイルコーチというある種学際的な仕事もできるようになってきました。アジャイルコーチはやはり学際的な仕事なので、いろいろな分野をもっと勉強することでできるようになってきたと思っています。
(スライドを示して)そこから考えて、なんとなく入門できている分野と言うと、先ほどお話ししたコンピューター科学、プログラミング、ソフトウェアテストのほかに、アジャイル開発、UXデザイン、経営戦略、哲学、言語学、教育心理学、発達理論、教育科学、メディアミックス、人事、建築、アリと。だいたいこのへんはなんとなく入門できているかなと思います。
ジェネラリストというレベルまで到達しているかは置いておきます。ここにあるのは、まだ60点や50点のものばかりだと思いますが、そこまでできるようになってきたなと思っています。
アジャイル開発は80点取れているかな。ソフトウェアテストも今はちょっとあれですが、昔は80点ぐらいは取れていた気がします。プログラミングは70点ぐらいかな……80点と言っていい分野はあるかもしれないですね。私の場合、Javaはそうですね。あとは、建築の中だとアレグザンダーが若干そうかな。
先ほど「どこまでの広さ、深さ」みたいなものがあったと思います。100点が、みなさんにとって何か? というのが重要なんですよ。まず100点を決めて、その人の80点を目指すということです。
なんでもいいのですが、例えば今のジェフ・サザーランドでもいいし、10年前のジェフ・サザーランドでもいいです。例えば、ジェフ・サザーランドを100点とみなすとします。彼は30年ぐらいスクラムをやっていて、あそこの領域まで達したわけですよね。とすると、その1/5と考えたら、6年ぐらいでジェフ・サザーランドの80点ぐらいまで行けそうということです。
ジェフ・サザーランドを目指すかどうかは置いておいて、みなさんの職場の中に、この人はこの分野でメチャクチャすごいという人がいるとします。この人は、この分野に何年間かでざっくり2,000時間ぐらい費やしているとして、その人の20%ぐらいの時間を費やすと、80点ぐらい取れるのかな? みたいな目安ですよ、まずね。
でも、本当にそうかどうかはわかりません。書籍を読むと、そこがもっと短くなるかもしれないし、実際の時間がもっと短くなるかもしれないので、そこを目指していく感じです。
やっていてわかったのが、読書だけではなく論文もそうですが、なんらかのインプットをして、シミュレーションしていると、教養がついて会話が楽しくなるんですよ。
楽しい会話をしていると、仕事になるんですよ。それがすごいなと思っています。当時はこんなことをまったく思っていませんでしたが、いろいろな教養が身につくと、会話が楽しくて、楽しい会話をできる人は仕事ができる、仕事が増える、楽しい仕事ができるということに気づきました。
スペシャリストではない人にとって大事なのは、自分が好きで楽しくて、楽しみながらやるというより、手段をメチャクチャ持って、相手が盛り上がる会話のボタンを持っているということだと気づきました。
(書籍を)たくさん読んだり、たくさん実践したりしていると、そこでいろいろな話をつなげやすくなるんですよね。相手が見たいビューに自分が名前を付けることができるかもしれないというのがあったりして、そうするとすごく場が盛り上がって、それでどんどんこうやっていこうみたいになります。
実践経験だけだと、仕事になった時にスケールしないんですよね。人にやり方を伝えられないんですよ。ストーリーでしか言えないし、一緒にやることでしかできないんですが、そこでこういった理論や、モデル化されたものがあると、人に伝えやすいし、その人が1人で学習しやすくなるんですよね。
ある種モデル化されたなにかと経験を積んで、それらをつなげられて、新しい視野を見つけたり、見せられるようになったりするのは、非常に楽しく仕事をするという意味において重要なんだと思います。スペシャリストは自分の特化した、ある種オタク語りで仕事ができるかもしれませんが、私はそうはなれないので、今言ったようなことでできるんだなとわかりました。
私はそういったことがあったのですが、みなさんの10年後や10年間も聞きたいなとずっと思っています。10年後の私がどうなっているのかもすごく楽しみだし、10年後のみなさんのことも見てみたいので、来年のスクフェス仙台や、レッツゴーデベロッパーなどでみなさんと話して、いろいろ笑ったりできればいいなと思っています。
ということで、まとめです。「ジェネラリスト的な振る舞いを10年ほどやってみたら、脱専門家に近くなれた気がする」というのと、「ある分野でトップレベルになれなくても大丈夫」ということと、「アジャイルコーチやエンジニアとして働くのはメチャクチャ楽しい」と思っています。
ということで、私のプレゼンテーションは以上です。ご清聴ありがとうございました。
質問者:点数化をして、自分の中で80点になれば、いったんROI的にはオッケーというのを繰り返していって、ジェネラリストを目指していくというお話だったと思いますが、そもそもなところで、自分自身に点数をうまく付けられない状況が今の私にはあります。
環境としては転職したばかりで、相対評価も絶対評価もできない状況です。そういうまったくニューリーな状態で点数はどうやって付けられるようになるのかなと、今回の話を聞いていてすごく気になりました。どうやれば自分の中で点数のイメージが付けられるようになるのかを、お聞かせいただけないかなと思います。
kyon:ありがとうございます。自分のケースで言うと、ソフトウェアテストをやっていた時と、アジャイルコーチの真似事をやり始めた時が近いなと思います。その時にやったことは、とにかくその分野のトップレベルの人と話すことでした。そうすると、だいたいの人は優しいので、こういったのが入門的にいいかもとか、何々さんはこれが合っているかもと教えてくれます。
ほかにも、自分が読んだ入門書とその人たちが言っている言葉との乖離がメチャクチャでかいことがよくわかるんですよ。どうやってその間を埋めていけばいいのかを、またそのトップレベルの人たちと話すと、道筋みたいなものが見えてきます。そこで、トップレベルの人がどういった生き方をしてきたのかを聞いて、その人たちの成長過程を見ることで、どれぐらいの時間がかかるもんなんだとか、どういったスキルが必要なのかがわかります。
でも、別のトップレベルの人たちの話を聞くと、また違う経路をたどっていたりします。その分野のトップレベルの人たちになるには、こういったものが必要なんだというモデルが自分の中にできてくるので、そこの中で自分は今どの位置にいるんだろうと理解するのは、よくやっていましたね。
質問者:トップレベルの方と話をしていくことで、自分の相対的な位置を見つけていって、それが点数化につながっていくという感じですね。
kyon:そうですね。そんな感じですね。
質問者:わかりました。ありがとうございます。
kyon:ありがとうございます。
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