2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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久保田瞬氏(以下、久保田):「注目プレイヤーについて説明をしてください」と事務局さんからお願いされていますので(笑)、どういうところがあるのかを少しご紹介していきます。
Meta、Microsoftあたりは先ほど説明したとおりで、Metaに至っては本当に全方位でやっていますね。ハードウェア、場合によってはちょっとインフラにも手を出しているんじゃないかと思います。そこからプラットフォームの運営、コンテンツを作るところまで垂直統合でメタバースの構築をやっている。ある意味世界で最もメタバースに投資をしているプレイヤーになります。
Microsoftに関しては、先ほどちょっとずれていると話したとおりで、基本的にはビジネス向けの社内ツールでメタバースを使っていくと話をしています。インフラでAzureというクラウドを持っていますけれども、そこを使いながらビジネス向けにTeamsでアバターが使えるという話ですが、まだあまり実装されていなくて、果たしてどこまで実際に動くんだろう、という疑問はあります。
あとはVRとARもやっている会社なので、デバイスを作っていたり、開発者向けのさまざまな技術提供も行っています。これらが全部組み合わさるともしかしたらすごいことができるかもしれないですが、現時点ではまだ未知数ですね。
あとNVIDIAも同じで、B向けですね。基本的には彼らがメタバースと言っているのはB向けの、しかもデジタルツインを作るツールを指しています。Omniverseというツールなんですけれども「これがメタバース向けの究極のソフトウェアである」という言い方をしています。
では、これで作ったものの中でアバターが動くというプラットフォームなのかというと、実はそうではないんです。実際にはシミュレーションを行うためのデジタルツインなんですよね。なのでこのあたりは、いわゆるメタバースを作るためのツールかというと、基本的にはデジタルツイン制作ツールになります。
あと、よりメタバース的なところでいくと、アメリカのRobloxやEpic Gamesですね。このあたりはすでに非常にユーザー数が多い、ゲーム系のプラットフォームになります。特にRobloxに関してはこれから日本に入ってくると思いますが、ユーザーの67パーセントが16歳未満のZ世代です。また経済圏がすでにあったり、ユーザーのクリエイトの仕組みが非常に整っていることもあって、ゲームメタバースとしては世界のトップランナーだと思います。
Epic GamesはFortniteで有名です。Fortniteそのものがメタバースになっていくかはわからないですが、実験のようなバーチャルライブをいっぱいしています。あれが何度も何度も開かれるというよりは時々開かれるだけになっていますが。別途彼らはUnreal Engine、ゲームエンジンというツールを持っていますので、コンテンツもツールも両方持っている状態なんです。これをどう組み合わせていくのかは、彼らのこれからの動きによるところです。
あと韓国だとZEPETOですね。DAU3億人のアバタープラットフォームで、最近メタバースの仕組みが入ってワールド機能が追加されています。すでにユーザー数が多く、女性の比率が高いです。この3つはすでに動いているメタバースと言っていいと思います。
新興勢では、VRChatはよく聞くプラットフォームかと思います。これもアメリカ中心ですがRec RoomというVRChatよりはRobloxに近い、VRヘッドセットで利用することを前提としたゲーム系のメタバースプラットフォームです。あと日本だとClusterが非常にがんばっているかなということで、こちらで書かせていただいてます。
それからZEPETとも共通点があるんですけれども、REALTYというVTuberの文脈から出てきたグリー傘下のアバターの配信プラットフォームがありまして、最近メタバース化を行っています。
そして真ん中と右の2つ、これはあえてプラットフォームではないところを持ってきたんですが、1つが半導体大手のQualcommですね。こちらはVRとかAR向けのチップセットを作っているのが実際のところなんですけれども、最終的な用途としてメタバースが出てくるということで、彼らもメタバースを支えている会社の1つと言っていいと思います。
それからWolf3D、こちらはアバターのプラットフォームですね。よくメタバースで出てくる議論が、「いろいろなメタバースを行ったり来たりできるのがいいんじゃないか」ということです。このアバターをどこで作るかという時に、Wolf3Dというエストニアの会社が作っているプラットフォーム「Ready Player Me」が名乗りを上げているという状態ですね。
なのでこのプラットフォームでアバターを作ると、VRChatでも使えるし、ほかの会社が運営しているプラットフォームに行っても使えるという、アバターの基盤システムを作っているところです。直近でも大型調達をしまして、メタバースの将来に向けた取り組みの1つかなと思います。
ということで、いろいろなプラットフォームやプレイヤーを紹介してきましたが、基本的に今は投資フェーズになります。先ほども「技術的に未成熟」という批判がありましたけれども、正直機能1つとっても足りないんですね。グラフィックもまだ追いついてないところがありますし、あとはインフラもこれからメタバースに適したサーバーが出てくると思います。
そしてツールもまだまだこれからなので、多くのツールが無料で出てきてはいるものの、実際に手を動かして作ろうとしたらクリエイターさんが何週間、何ヶ月使っていくようなものになってしまいます。もっとこれを作るコストを下げるには、依然として課題が残ります。
それから現状はメタバースのユーザーが、まだまだ少ないんですね。これが少し紛らわしいんですけれども、例えばゲーム系のRobloxとかFortnite、ZEPETはSNS系ですね。ゲーム系・SNS系のプラットフォームはユーザーがかなり多く、数億人単位でいます。
そこに向けて何かをやっていくのはいいんですが、ほかのプラットフォームのユーザー数は基本的に桁が違うんですね。数百万人とか場合によっては数十万人、数万人、数千人というプラットフォームもあります。なのでメタバースだから人が集まっているかというと、まだまだそうではないということです。
ただユーザーは少ないんですけれども、翻ってみてユーザーサイドに立った時に、個人レベルではメタバースにすでに適応している人たちがいるわけですね。特にVRChatのプレイヤーがよくテレビ等でも報道されていますけれども、彼らの個人的な視点で言うととっくにメタバースは「きている」わけですね。
VRのヘッドセットをかぶって数時間、いろんなワールドを友だちと巡りながらおしゃべりができたり、ゲームで遊べる。そういった世界はすでにやってきていまして、このあたりをマクロに見るのか、個人視点で見るのかによってぜんぜん違います。
そういう意味では価値を理解している、アーリーアダプターと言ってもよいユーザーに対する取り組みは可能になっています。例えばそういう人たちが数百万人いるので、彼らに対するテスト的な動きをしてみることは当然できるわけですね。
あとはフラットスクリーンからのアクセスが非常に多くなっています。なのでメタバースは3次元なんですけれども、基本的には画面を見ているわけですね。スマホを見たりテレビを見ているんですが、実際にその世界に入ることができるVRやARのデバイスは、これから普及していくわけです。現状普及し始めているデバイスはあるんですけれども、これがどれぐらいのペースで広がっていくかというのも1個ポイントかなと思います。
先ほども少し「アバターを使い回せる」という話をしましたけれども、メタバースの中で何でもできるとか経済圏が回っているとか、もしくはデータの共有ができるとか所有権が存在しているといったメタバースの中の理想と考えられるようなものとの、接続の実験も始まったばかりです。
例えば先ほどお伝えしたARは現実と接続して、Web3のように新たな仕組みを中に入れていく、ブロックチェーンを連携させていく、NFTで実際にその場で買ったものが出せるようにする。こういったものもここ最近始まっています。
それからメタバース同士をユーザーが行ったり来たりする世界観も、謳われはするものの、まだぜんぜん実現はできていません。場合によってはニーズすらまだない状態です。例えばRobloxのユーザーがVRChatに行きたくなるかと言ったら、行きたいというニーズがないわけですね。なので今後メタバースが広がってくることによって、このあたりは接続をしていくことになるのかなと考えています。
少し大事だと思うのが、ここ1年でニーズが急増しています。実際に取り組む方々も増えていますので、いち早く手を打ってプラットフォームを運営しているとか、こういったメタバースを作っていくところにベットしている企業は、試行回数が増えているんですね。
トライ&エラーの回数が増えていますので、じゃあプラットフォームをどっちの方向に伸ばしていけばいいか、自分たちのビジネスをどう振っていったらいいか、こういった方向性は定まってきているのではないかなと思います。
まず「今後どうなっていくのか?」という将来予測ですね。現状4つのフェーズがあって、現在は2段階目の「黎明期」かなと思っています。「フェーズ0」があるので、今「フェーズ1」ですね。
まだまだできることが少ない中、たくさんのプレイヤーが登場してきて、さまざまな機能が充実し始めている段階です。また、スライドに「UGC」(ユーザー生成コンテンツ)と書きましたが、現在ユーザーがコンテンツを作りやすい仕組みが出てきていて。このようにフェーズ1は「一般ユーザーがつき始めた段階」で、今まさにそういう状況だと思います。
その後は「普及期」「定着期」があります。例えば、今は「同時に何人接続できるか」などが大きな問題になりがちですが、こういう要素がある程度使いやすくなっていきます。それから、ユーザーがコンテンツをより作りやすくなり、いろんな道具が登場してくる。まさにインターネットの歴史のように、機能分化が進んでいくのが「普及期」です。
最終的には、それがある程度当たり前のように使われていって、「昔はあんなこともできなかったんだよね」と笑われるようになる。陳腐化していく。これがおそらく「定着期」だと思います。確証は持てないのですが、各ターム5年程度のサイクルで進んでいくのではないかと思っています。
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