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通信不確実性への向き合い方とヒント(全2記事)

コミュニケーションのイライラ・モヤモヤは軽減できる 「通信不確実性」をカバーする3つのヒント

不確実性に立ち向かう各社のアジャイル開発のリアルについて話す「『不確実性』にどう立ち向かう?アジャイル開発現場のリアル【BASE・DMM】」。ここで合同会社DMM.comの梅林氏が登壇。ここからは、通信不確実性の対処法について話します。前回はこちらから。

対処法「できる限り議事録やメモを残す」

梅林良太氏(以下、梅林):(スライドを示して)ではここから、それらがあることはわかったので、なんとか軽減、マシにするにはどうしたらいいのかのヒントを、少ないですがいくつか書かせていただきます。

先ほどの事例分析と1対1で対応するわけではないですが、これらをふだんやっておく、意識しておくことで、ある程度の広い範囲でカバーできるんじゃないかと私自身が考えていることです。

(スライドを示して)まず1点目が、できる限り議事録やメモを残す、です。言った/言わないが往々にして起こったり、何か書き残していないと、当然同じ知識を共有できているわけではないので、忘れてしまうからです。

エンジニアのみなさんは、日常的にログを頼って何かを解析したりすると思うので、それと同じようにいろいろな物事、会議や何か少し短く話したものをメモをしていくことを習慣化するのは、すごくいいことですね。

それを残す際の重要なポイントがいくつかあります。1つが事実と解釈/意見/想像を明確に分けることです。これが混ざってしまうと、信頼性がすごく失われてしまいます。さらには、なぜそうしたのかの経緯・理由を添えることが、非常に重要になってきます。

よく何か決まったことを、「AかBか悩んでいます。(最終的には)Bにしました」という記録があって、(記録に)Bに決まったのは書かれているけれども、なぜBに決まったかを書いてないがゆえに、「なんでBになったんだっけ?」という話が起こりがちかなと思っています。

あとは適度に要約することです。これもすごく重要で、特にslackなどのチャットツールにおいて、スレッドがどんどん伸びていってしまうこともあると思います。

それを第三者に共有する時に、すべてのやり取りを最初から最後まで読んでくださいというのはなかなか非効率的なのと、それを読む間にもまた誤解釈を起こしてしまうことがあるので、適度な要約はすごく重要になってきます。

対処法「受け取れるボールを投げる」

(スライドを示して)2点目に、受け取れるボールを投げることです。ボールはメッセージなどを指していますが、人間はシングルタスクなので、1度に2個同時にボールを投げられても、片方の1個だけしか受け取れません。

複数人から同時にメッセージが送られている時はなかなかコントロールしようがないのですが、少なくとも自分が発信者の時に投げるボールに対しては、いっぺんに送っても、当然同時には返せないことを意識することです。

あとはタイミングです。豪速球を投げられてもそれは返せないこともあります。もちろん「どこまで配慮しなきゃいけないの?」というのはそれぞれの状況だと思いますが、少なくとも手一杯で受け取れない状態がわかっているのに「ちょっと緊急なのでこれお願いします」と投げると、まぁ受け取れない・返せないということが発生してきます。

本当に緊急だったらもちろんそれは必要なことですが、重要度・緊急度を考えつつがいいかなと思います。

あとは重すぎる球ですね。重い球を投げられても、返せる人と返せない人がいます。「どういうコミュニケーションをすればその人が受け取れるんだろう」ということを考えることが、すごく重要かなと思っています。

対処法「余裕を持つ」

(スライドを示して)ヒントの最後で、余裕を持つことです。みなさん常に何かしらの見積もりやスケジュールで、バッファは意識しているんじゃないかなと思います。ここでは、心だったりタスクがいっぱい詰まりすぎていない余裕のことを指しています。

特に心に余裕が無い状態は、パフォーマンスを低下させてミスを生んでしまうことが、みなさんも経験上すごく多いんじゃないかなと思います。

自分自身だったり、はたから見た時に、「そういったことになっているなぁ」という体感や、コミュニケーション上で誤字・誤認・手戻りが多い場合には、余裕が無い状態になっているのではないかということを気にしてもらうのがいいかなと思っています。

通信不確実性はお互いの配慮で軽減できる

最後にまとめです。通信不確実性を完全に無くすことはできませんが、関わる人たち、自分が発信側になる時やメッセージを受け取る時は、お互いに少しずつ配慮することで、この不確実性を軽減できることがあります。

コミュニケーションが苦手だと考えている人は、イライラやモヤモヤの感情が起こるまでの兆候は何かしらあるので、何が原因でそうなっているかを分析して、今回話したヒントを元に、仕組み化で対処してみてはいかがでしょうか。

では、最後に少しだけ宣伝をさせてください。私が所属している二次元コンテンツ事業(同人サービス)では、絶賛新しい仲間を募集しています。よろしくお願いします。

発表は以上です。ご清聴ありがとうございます。

質疑応答「重量級の豪速球を投げてしまいがちな人に向けた取り組み」

司会者:梅林さん、登壇どうもありがとうございました。みなさん、よろしければ拍手パチパチいただけたらうれしいです。ありがとうございます。

ではさっそくですが、会場から頂いている質問を取り上げます。1つ目です。「重量級の豪速球を投げてしまいがちな人は、本人・メンバー含め、どういった取り組みが効果的でしょうか」という質問をいただいています。

梅林:ありがとうございます。投げてしまう人への対処ですよね。まず受信する人にとっての重さや速さがあると思います。なので、悪意が無ければ、正直投げるほうが「これはそんなに重くないだろう」とか、「そんなに速くないだろう」と思って投げているはずです。

なので、それが「重かったんだ」「速かったんだ」となるのは、何か問題というか「あれはちょっとないんじゃない?」という他の人からの指摘やフィードバックがあって、「ああ、あれがまずかったのか」と気づくことが往々にしてあると思います。

なので、気づいた時に、「誰々さんからのフィードバックはこう言われたけれど、本当はどうだったんだろう」ということを、まずは受け取った本人から情報を得ることだと思います。それによって「この人に対して速すぎるボールはこうだったんだ」「重すぎるボールはこうだったんだ」というのがわかると思うんです。

それをいったんサンプルの情報として、「他の人はどう思う?」と聞いてみると、「いや、確かにそうだよ」という意見だったり、まれに「いや、あの人はちょっとセンシティブすぎるんじゃないかな」という時もあったりすると思うんです。

だいたいは他の人からの意見を聞くことで、それが重すぎる・速すぎるの基準になり、自分自身の中でアップデートできるんじゃないかなと思います。

司会者:ありがとうございます。「重量級の豪速球を投げてしまいがちな人はどういった取り組みが効果的でしょうか」という質問でした。ご質問いただきどうもありがとうございます。

梅林:ありがとうございます。

質疑応答「梅林氏自身の豪速球の事例」

司会者:はい。その他にも質問ある方がいればお気軽にどうぞ。フジイさまから質問をいただきました。

「あれは豪速球だった、などの振り返りはありますか?」という質問をいただきました。ありがとうございます。“豪速球”って、やはりキーワードとして頭に残りますね。

梅林:あはは。

司会者:僕も明日から使ってしまいそうな感じです。ではコメントお願いします。

梅林:私自身が投げた豪速球ということですか。

司会者:または他者が投げたものに対して、「あれ豪速球だったな」という2パターンがあると思います。

梅林:ああ、なるほど。そうですね。まず、豪速球っていうと、チャット上でメッセージがすぐ返ってくることは、あまり豪速球と言わないと思うんですよね。じゃあ何がその鋭いというか受け取りづらいのかというと、言葉の切れ味とか、そういうことにつながってくるかもしれないです。

切れ味という言葉に言い換えた時に、それはある種危ない。人を傷つけてしまうような表現が含まれていると感じてしまうかもしれないと思えば、そういった豪速球を投げなくなるかなと思います。

その豪速球をなぜ投げてしまったかというと、当然何かが気に入らなかったり、怒ったり、イライラしたりする時に生まれると思うのです。

「ものすごく仲のいい人や、まぁそうじゃないフォーマルな場でも、そういった切れ味のよいコミュニケーションをしますか?」と考えてみると、そういったところではできない言葉を使っていたのだとしたら、それが1つの気づきになるのではないかと思います。

司会者:ありがとうございます。「あれは豪速球だった、などの振り返りはありますか?」という質問でした。どうもありがとうございます。

質疑応答「Slackのスレッドの使い方」

司会者:あ、たくさん(質問が)きましたね。ありがとうございます。タイムスケジュール的には少し押し気味ではありますが、せっかく質問いただいているので、できる限り取り上げられたらと思います。

「『slackのスレッドはやり取りが隠れてしまうのでスレッドをやめよう』という話が出たりするのですが、質問と議論の要約、結論のみがチャンネルに上がってくる状態が理想でしょうか」という質問をいただきました。ありがとうございます。

梅林:そうですね。スレッドは伸ばしていいとは思います。結論が出た段階でそのチャンネルにも投稿するかたちになると、すぐ次のメッセージではなくなってちょっと飛んじゃうかもしれませんが、後から見た時に、結論からさかのぼりたい人はさかのぼれるようにできるんじゃないかなと思います。

さらに言うと、スレッドが伸びてしまうことは、「(そもそも)本当にそのスレッドでやったほうがいいのか」ということも生まれてくるかなと思います。特にリモートワークで働いている中では、「ちょっと話が長くなってきちゃったんで、Zoomで話しませんか?」と提案すればいいと思います。

Zoomで話したら2、3分で終わるような話題なのだけれども、スレッドを伸ばし続けるともう10個も20個もいっちゃう時がけっこうあると思います。時間の節約にもつながるので、短時間のミーティング、Zoomやその他のツールのミーティングをおすすめします。

一方で、当事者が口頭だけで会話した内容は、他の人に伝わらないとまずいと思うので、ヒントの1番目に書いた議事録やメモを残す、そのメモをオープンな場で共有することをすごくおすすめしています。

司会者:ありがとうございます。続々とたくさん質問をいただいていていますね。ありがとうございます。続きはパネルディスカッションで取り上げるので、よろしくお願いします。

梅林:ありがとうございました。

司会者:では、梅林さんの登壇は以上とさせていただければと思います。梅林さん、どうもありがとうございました。みなさん、あらためて拍手をいただけたらうれしいです。パチパチパチ。

梅林:ありがとうございました。

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