2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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酒井潤氏(以下、酒井):どうもみなさん、こんにちは。シリコンバレーの潤です。
ということで、今日はSmuleという会社で働かれている曽根原さんにインタビューをしようと思います。
曽根原春樹氏(以下、曽根原):よろしくお願いします。
酒井:あらためて自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
曽根原:みなさん、はじめまして、曽根原です。サンフランシスコにある「Smule」というBtoCの音楽アプリのスタートアップで今、プロダクトマネージャーをやっています。
特に、レコメンデーション周りですね。マシンラーニングチームと一緒に動きながらプロダクトを作っています。そこのリードPM(PdM)、ヘッドPM(PdM)をやっています。
もともと僕がシリコンバレーに来たのは、日本で働いていた外資のトランスファーがきっかけだったんですが、そこから気がつけばかれこれ13年ぐらいですかね。そんなに経ってしまったという感じですね。
酒井:長いですね。
曽根原:そうですね。最初はプロダクトマネージャーではなくて、カスタマーサポートエンジニアで入ってきたんですよね。まったく違う仕事で入ってきました。
シリコンバレーに行きたいと言っていたのも、プロダクトマネージャーの仕事をやりたくて目指していたからなんですよね。ただ、いきなりプロダクトマネージャーになるのは非常にハードルが高くて大変だったんです。
酒井:そうでしょうね。
曽根原:なので、とりあえずポジション関係なく、行くチャンスをつかもうと、カスタマーサポートエンジニアにまず移って、そこからいろいろ模索しながらPMにたどり着いた感じです。
酒井:そうなんですね。日本にいる方で、シリコンバレーで働きたい人はたぶんいろいろリサーチされていると思います。エンジニアの方がけっこう多いと思うんですが、プロダクトマネージャーとしてシリコンバレーで働くのは、かなり難しそうなイメージがあるんですよね。
曽根原:そうですね。これは、別に日本人だからとかは関係なく、どんな人種でもシリコンバレーで働いている人に共通に言えることで、プロダクトマネージャーになる一歩目はすごくハードルが高いんですよ。どの人種だろうと、どんなバックグラウンドだろうとぜんぜん関係ないです。
一度なって、きちんと経験が積めれば……そこから後はそこまで大変じゃないんですけど、その一歩目のハードルがやはりすごく高い。
なんでかというと、プロダクトマネージャーに要求される仕事は、技術だけがわかっていればいいわけではないからです。きちんとビジネスもわかっていないといけないし、特にBtoCの世界だと、ある程度ユーザーエクスペリエンスやデザインもわかっていなければいけないし、この3つがバランスよくできないと会話が成立しないんですよね。
僕は日本ではエンジニアで、こっちではカスタマーサポートエンジニアで、わりとエンジニア系のバックグラウンドだったので、ビジネスのことがあまりわかっていなかったし、デザインなんてずっと遠い世界のことだったので、そういう理由もあってなかなかPMにたどり着けなかったというのはありました。
酒井:エンジニアをやっていて、そこからプロダクトマネージャーに行こうと思ったきっかけは?
曽根原:僕は日本ではシスコシステムズの日本法人で、エンジニアをやっていたんですよね。
日本のシスコは外資なんですが、周りで働いている人も日本人だし、お客さんも日本人だし、完全に日本の会社なんですよね。今は変わったかもしれませんが、少なくとも僕の時は日本の会社みたいでした。
エンジニアは何をやっているかというと、結局USから、「これ売れ」「あれ売れ」と来たものを、日本のお客さんに紹介して売っていくんですが、やはりアメリカの製品なのでクオリティが低かったりいろいろバグがあったり、(お客さんに)迷惑をかけるわけですよ。
そのたびに、僕らみたいなフィールドのエンジニアは、怒られ侍をしに、「すみませんでした」って行くんですよね(笑)。
ある日、思ったんですよ。「自分が作った製品でもないのに、なんでこんなに頭を下げなきゃいけないんだろうな」と。
ふと疑問に思って、その考えをたどっていくと、どうやらアメリカにはプロダクトマネージャーという、製品を考える人間がいるんだということに気がついたんですよね。
じゃあ、こいつに今日本がどんだけ苦しんでいるかを訴えようと思って、僕はいろいろなドキュメントを作って送りつけたんですが、彼らは聞いてくれないんですよ。
プロダクトマネージャーにはいろいろ考えや理由があったのかもしれませんが、ただ、「なんでこいつら、ぜんぜん話を聞いてくれないんだろう?」と、僕にはすごく驚きとショックがありました。
こんな感じだったら、むしろ自分が行って作ったほうがいいんじゃないかとふと思ったんですよね。その思いが、プロダクトマネージャーを目指すきっかけでしたね。
酒井:そうなんですね。それでプロダクトマネージャー。
曽根原:そうそう、なろうと決めたわけですね。
酒井:私も今エンジニアをやっていて、英語力が必要は必要なんですが、あまりコミュニケーションを取る機会がないので、それほど心配じゃないのかなとは思っています。
プロダクトマネージャーをやる場合、英語のレベルがかなりハイレベルじゃないとできないんじゃないかなという感じがするんですけれど。
曽根原:ああ、そうですね。まさにそのとおりで、まず、プロダクトマネージャーの大切な仕事の1つに、コミュニケーションがあるんですよ。
というのも、自分が考えたプロダクトのアイデアや施策が、きちんとステークホルダーに理解されないと、そもそもプロジェクトが動かないんですよね。
なんでそのプロジェクトに対して、みんなの時間とコストをかけて手伝ってもらわないといけないのかを、きちんと理解しておかなきゃいけないんですよね。
聞く相手が例えばエンジニアだったら、わりとテクニカルな説明をしなきゃいけないですし、エグゼクティブだったら、長く説明しないで短くポイントをついた説明をしないと話を聞いてくれません。
例えばそれをファイナンスに持っていった時に、なんでこのプロジェクトに価値があるのか、なんでこの機能を作ることが会社にとって意味があるのかを、ファイナンシャルの観点から説明しないと、お金を投資してくれないんですよね。
酒井:なるほど。
曽根原:お金の投資というのは、単なるお金、ファンドというよりも、エンジニアをアサインしてくれるとかしてくれないとか、エンジニアを増やすとか減らすとか、そういう話ですね。そういう意味で、ファンドされなくなっちゃうんですよ。
そういう意味で、聞いてくれる人はどういう立ち位置の人で、その人が理解してくれるコミュニケーションはどんな感じなんだろうと体得するまでがやはり大変でした。
最初僕は、カスタマーサポートエンジニアだったので、そこで開発エンジニアの人とか、あるいはダイレクトにお客さんと話すとかが、鍛えられました。
その後に僕は、テクニカルマーケティングエンジニアという、マーケ寄りのエンジニアに移ったんですね。そこで初めてマーケティングの人間といろいろ話すようになって、「ああ、ぜんぜん違う世界だな」と思ったんですよ。カスタマーサポートの世界とは、使っている言葉や考え方がまったく違うんです。
そこの現場でわりと、マーケティングで活躍するためにはどんな英語を話さなきゃいけないんだろうというのを体験して、だんだん自分の表現や言葉の使い方をブラッシュアップしていって、ようやくプロダクトマネジメントの世界にたどり着けたんですよね。
酒井:すごいですね。
酒井:プロダクトマネージャーをやるとして、日本にいる方は、日本のプロダクトマネージャーとアメリカのプロダクトマネージャーのどのあたりが違うのかが気になると思うんですけど。
曽根原:これは僕が知っている範囲での話になりますが、アメリカの場合は、プロダクトマネージャーという仕事が、もう完全に確立された仕事なんですよ。
例えば自己紹介する時に、どこどこの会社のPMですと言えば、この人がどの会社のどういう立ち位置のPMなのかが、ある程度イメージがつきます。
日本の場合は、まだプロダクトマネージャーという仕事や役職が、まだ出始めなんですよね。なので、わりと責任の取り方や、どこまでをやってどこまでができないという線の割り方がけっこう曖昧です。
けっこう「プロジェクトマネージャー」と勘違いして解釈している人もいます。だから、プロジェクトを回すところを強調しているプロダクトマネージャーの人もいれば、わりとデザインに寄っているプロダクトマネージャーの人もいます。けっこう、そこの線が曖昧なのかなという印象は受けていますね。
酒井:そうなんですね。
(次回へつづく)
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