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ゲームクリエイターを目指す人へ~木村唯人×高木謙一郎×やしろあずき 生対談~学校では教えてもらえない、今ゲームクリエイターに必要なこと(全6記事)

『FF11』『ケルナグール』『スーパーマリオ』『ゼビウス』…… 僕たちをゲーム業界にいざなった夢のゲームたち

Cygames Tech Conferenceは、「最高のコンテンツ」を目指してきたCygamesの技術カンファレンスです。実際にゲーム開発を通して様々な視点で経験を積んできた木村唯人氏、高木謙一郎氏、やしろあずき氏の3名が、ゲームクリエイターという仕事の楽しさや、必要とされる能力について緩やかに議論を交わしました。全6回。6回目は、質疑応答とゲームクリエイターを目指す方へのメッセージ。

司会者:リアルタイムでの質問が来ているので、次はそちらを紹介します。

「ゲーム業界の職種は未経験可のところがメチャメチャ少ないように感じます。実際のところはいかがでしょうか?」

木村唯人氏(以下、木村):少ないと思いますよ。未経験可はけっこう少ないけど、たまにあるかなとは思います。さっき質問にあった未経験でも大丈夫ですかというのは、たぶん中途の話だと思いますが、大丈夫だし、探せばいい、探せば。調査力がそこで問われる。

やしろあずき(以下、やしろ):僕は、本当にバイトでもいいから、ちょっとでもデバッグやっておけば、経験者と言えるので、それでもいいと思いますよ。

木村:そうですね。未経験可は少ないけど、1回入れば経験者なので。

やしろ:あとは、段ボール1箱分の企画書を書いて……。

木村:段ボール1箱分の企画書を書いたら入れる。マジでどこでも入れる。

(一同笑)

やしろ:いくら未経験でも……。

木村:それぐらいやったら絶対入れるんですよ。

やしろ:そう、絶対入れると思いますよ。「とんでもねぇやつが来た」みたいになる。

木村:ちゃんと作ればね。やっつけ仕事じゃなくて、きちんと作って段ボール1箱送ったら絶対入れる。

やしろ:未経験不可でも会うところまでは絶対行けます。わりとそういうパワープレーが利く業界だと思うんですよ。未経験不可って書いてあっても、飛び込んだらわりと会ってくれる感じがある業界だと思います。

木村:その行動力が大事ですね。というか、今は人材派遣登録したら普通に入れるんだよね。人材派遣の宣伝じゃないけれど、そういうのをやってみたらけっこう来ると思いますけどね。

高木謙一郎(以下、高木):そうですね。たぶん仕事は多いと思います。

木村:就職活動も昔よりは楽ですから。

Cygamesがプランナーに求める能力

司会者:ありがとうございます。それでは次のリアルタイムでの質問を紹介します。

「学生でゲームプランナーを志望しています。Cygamesがプランナーに求める能力や条件というところがあれば教えてください」。

やしろ:これは僕は1ミリも語れないので、お願いします。

木村:コミュニケーション能力とか、論理立てて物を考える力とか、学生時代にきちんと勉強しているか。そこでしかあまり測れないので、きちんと勉強するという努力ができるかとか、そういうところをCygamesでは見ていますね。

すごい特技があればそれはプラスですが、あまり新卒には求めていないです。突飛なことができる人は稀ですよね。

やしろ:俺は入れます?

木村:うーん、微妙だな。

やしろ:微妙なラインらしいです。

高木:微妙なんですか?

木村:すぐ辞めそうだから。

(一同笑)

木村:それを知っちゃっているから、どうせ辞めるだろうと思って。

やしろ:セガはけっこう長かったですからね。漫画が描けなくなったらお世話になるかもしれないです。

木村:でもたぶん才能はありますね。だってディレクターもやっていたんでしょう。プランナーの業界でもディレクターまでやる人はあまりいませんからね。

司会者:目指す人が、明日から始められることはなにかありますか?

木村:もう勉強でしょ。

(一同笑)

やしろ:勉強しろ(笑)。勉強しろなんだ。

木村:ゲームも明日からできるし、ほかは何でしょうね。

高木:筋トレですかね。

木村:筋トレ(笑)。

やしろ:筋トレいいですね。

木村:すぐそういう体力勝負だな。

やしろ:でもけっこう体にもくる仕事だし、筋肉は自分の心も守ってくれるからね。

影響を受けたゲームたち

司会者:リアルタイムでの質問が今来ていますね。

「今まで遊んできたゲームの中で、これは特にゲーム制作において、自分に影響を与えたなと思うゲームがあれば教えてください」。

木村:僕は『FF11』ですね。これがなければゲーム業界に入っていないですね。これをずっとやっていました。本当にずっと。あと、『EVE burst error』というゲームがすごい。アドベンチャーゲームってこんなにおもしろいんだと思ったのは、2つありますね。

やしろ:俺、初代『ファンタシースターオンライン』やった時に……。

木村:オンライン? メガドライブじゃなくて?

やしろ:メガドライブじゃないです。

(一同笑)

やしろ:メチャメチャ感動して。一番好きなゲームは『FF9』とか『FF6』なんですが、あれをやった時に「ゲームってここまで来ているんだ」というのと、「こういう世界を作れる人間になったらけっこうおもしろいな」と思ったことがありました。

木村:当時、夢のゲームでしたよね。当時一番早かったもんね。

やしろ:そう、一番早かった。セガはなんでも早いというのが、良いところでもあり、悪いところでもあるんですが(笑)。でもやはりそこで、僕はすごく可能性を感じたし、こういうものを作れる世界に入れたらメッチャ楽しいんじゃないかなと思ったのは、その後セガに行った理由の1つでもあるかなと思います。

高木:何だろうな。いっぱいあり過ぎて。

やしろ:ムズいっすよね、これ。

高木:難しいですね。

木村:僕は、面接で「好きなゲームはなんですか?」と聞かれて、『ケルナグール』って答えたら。

高木:ケルナグール、いいですね。

木村:「何それ?」みたいな感じで。

(一同笑)

木村:「なんでそれが出てくるの?」みたいな感じでした。

やしろ:俺は『スーパーマリオRPG』って答えています。

高木:俺も『スーパーマリオ』かな。

やしろ:初代の?

高木:初代の。

やしろ:ファミリーコンピューターの。

高木:そうですね。

木村:あれも当時は衝撃的なゲームでしたね。

高木:当時はファミコンを買ってもらえなかったので、とりあえず、スーマリ(スーパーマリオブラザーズ​)を持っている家を転々としながら、毎日いかにプレーするかというのをやっていましたね。

木村:僕が最初にやったファミコンは『六三四の剣』でした。

やしろ:俺は『ゼビウス』だった。

木村:マリオに似てるけど、ハチャメチャにムズいんですよ。

高木:難しかったですよね。何が出るんでしたっけ、叩いたらなんか出ますよね?

木村:ちっちゃい竹刀が出るの。ちっちゃい竹刀を集めるんですよ。

やしろ:ペンギンで南極一周するやつをやっていましたよ、憶えていないですか? ファミリーコンピューターの、ペンギンで南極を一周するゲーム。

高木:『けっきょく南極(けっきょく南極大冒険)』。

やしろ:それそれ。最初にあれをやっていた。

木村:いいですね。

近くにゲーム会社があるのはけっこう有利

司会者:もう1問、大丈夫ですかね。

「学生バイトの話がありましたが、家から通える範囲にゲーム会社がありません。地方在住でもリモートでなんとかなったりするのでしょうか?」

木村:これは、たぶんならないですね。今後はあるかもしれませんが、今はまだあまりリモートでのバイトはないですね。

やしろ:上京してください。

木村:近くにゲーム会社があるのはけっこう有利です。高木さんも、広島からね。

高木:そうですね。出なきゃダメかなと思って、とりあえず出ようみたいな。

やしろ:ここにいい例がいます。

木村:そういうのは大事ですね。意外と場所は大事です。

やしろ:未来は変わってくるかもしれませんが、今の時点ではリモートでバイトはまだムズいですよね。

高木:絵描きとかならまだしも、プランナーやバイトはちょっと無理がありますね。

やしろ:プログラムや絵描きだったら、ぜんぜんあると思うんですけどね。プランナーはやはり、ちょっと難しいですよね。

司会者:それは、一歩踏み出して上京するということですね。

木村:入ったら拠点を移るわけでしょう。遅かれ早かれだから。

ゲームクリエイターを目指す方々へのメッセージ

司会者:ありがとうございます。まだまだ質問をしたいところですが、そろそろ終了のお時間が近づいてまいりました。

それでは最後にみなさんから、ゲームクリエイターを目指す方々へ向けたメッセージを一言ずついただきます。まず、やしろさんお願いします。

やしろ:僕は辞めたんですけど。

(一同笑)

やしろ:でもやはり、すごく楽しい職業だし、僕はゲームクリエイターになったことに1ミリも後悔していないんですよね。今の漫画家という職業をやるにあたって、社会性も身につきました。

僕は、社会人を経験したので、一応敬語が使えるし、人の目を見て話せるし、メールをきちんと打てるというスキルを身につけています。社会人経験していない漫画家には、それができない人もいるので、メチャメチャ役に立っています。

本当にコミュニケーションも含めて、ゲームを作るにあたってのいろいろなところからインプットしてくる経験も、本当に漫画に活かせていると思います。

あと、実際にゲーム業界は本当に楽しいところです。激務の時もあるんですが、周りの人がみんなゲームが好きなので、ある種大学のサークルのノリみたいな感じで仕事もできます。もちろん厳しい部分もいっぱいあるけれど、みんなが思い描いているとおりの楽しい世界がそこにもあると思います。

話にも出たけれど、デザイナーやプログラマーと違って、プランナーは特に裸で飛び込んでもなんとかなる世界だと思うので、そこはハードルをあまり自分の中で上げ過ぎずに、臆せずに飛び込んでもらえたらなと思います。ぜひとも楽しんでください。

司会者:ありがとうございます。続きまして高木さん、よろしくお願いします。

高木:そうですね。今回のタイトルにもある、ゲームクリエイターになるにはみたいなところですが、僕は、ゲームクリエイターは目指してなるものでもなくて、「いろいろなものを作ったり発信しているうちに、結果的になっちゃっていた」であるべきかなと思っている部分があります。

ぜひ、みなさん、こういうものをかたちにしたいという想いをどんどん外に出して、いろいろ作ってみて、ゲーム業界を目指してもらえるとうれしいなと思います。

僕は20数年やっていますが、未だに楽しいですし、自分のタイトルが出ればうれしいですし、ゲームショップに並んでいればやはりドキドキしちゃいますし、勝手に平積みにしちゃったりとか未だにします。

(一同笑)

子どもの頃からのうれしい、楽しい気持ちを忘れずにやれるというのは、非常にいい職業だと思います。

さらに、自分が昔すごく楽しんだゲームを作った人と一緒に遊べたり、飯を食ったり、もう表に絶対出ないような裏話を聞けたりというのは、ゲームファンとしては最大級だなと思います。今日見てくれた人の中で、1人でも2人でも、仕事を一緒にできたらいいなと思うので、がんばってください。

司会者:ありがとうございます。最後に、木村さん、よろしくお願いします。

木村:そうですね。ゲームプランナーの仕事、クリエイターの仕事はすごく楽しいので、あまり自分の中でハードルを上げずに、ぜひ裸で飛び込んできてもらえればなと思います。

若い人がいっぱい入ってきてくれないと、やはりゲーム業界は衰退していってしまうし、今、若い人の力をすごく必要としている業界で、子どものなりたい職業ランキングでもけっこう順位は高いじゃないですか。でもなっている人はけっこう少ないんですよね。

本当に楽しい仕事だし、業界的にも人が足りていないと思うので、ゲームに興味ある方はプランナーや、クリエイターをぜひ目指してもらえればと思います。今日はありがとうございました。

司会者:みなさんありがとうございました。これにて本セッションは、終了します。それではみなさま、ご視聴ありがとうございました。

木村:高評価ボタンをお願いします。

高木:ありがとうございます。

やしろ:グッバーイ。

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