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ゲームクリエイターを目指す人へ~木村唯人×高木謙一郎×やしろあずき 生対談~学校では教えてもらえない、今ゲームクリエイターに必要なこと(全6記事)

厨二病エッセイも、生物の勉強も、企画の糧になる ゲームの仕事をする中で役立った意外な経験

Cygames Tech Conferenceは、「最高のコンテンツ」を目指してきたCygamesの技術カンファレンスです。実際にゲーム開発を通して様々な視点で経験を積んできた木村唯人氏、高木謙一郎氏、やしろあずき氏の3名が、ゲームクリエイターという仕事の楽しさや、必要とされる能力について緩やかに議論を交わしました。全6回。5回目は、ゲームプロデューサーやディレクターになるためのキャリアパスについて。前回はこちら。

仕事に対する家族・周囲の反応はどうか

司会者:お仕事をする中で、けっこう家族の理解も大事になってくるかなと思っているのですが、ゲーム業界で仕事をしている際に、家族だったり、周囲の反応だったりはなにかありましたか?

やしろあずき(以下、やしろ):僕のことを知ってくれている人はわかると思うんですが、親がアレなので(笑)、1ミリもなかったですね。逆に、「あんた、仕事に就けてよかったね」みたいなことを言われました。

僕が就活をやめた時点で「もうこいつは終わったな」と思われていたので。毎日毎日、スタバで抹茶フラペチーノを飲んでぶくぶく太っていくだけの人間だったので「あ、こいつは働けたんだ」みたいに思われていました。

でも、最初の会社に入った時に、「1年はもたないと思うよ」って言われました。そこは半年で辞めました。

(一同笑)

木村唯人氏(以下、木村):わかられてるじゃん。

やしろ:マジで、親ってすげぇなって俺は思いました。だけど、すごく寛容に見てくれて、僕はなにも揉めなかったのでよかったです。親には感謝しています。

高木謙一郎(以下、高木):うちはけっこう応援してくれていたので、一時期ちょっとエッチな作品も多くて、最初お母さんに言うのがちょっと恥ずかしいなという部分は正直なくはなかったです。

(一同笑)

高木:でも、わりと普通に喜んでくれて、ありがたいなと思っています。

僕が高校生の時の20年、30年ぐらい前は「えっ、ゲームの仕事なんだ、子どものおもちゃなの?」みたいな感じで言われたりはしましたね。

木村:でも今は、子どものなりたい職業のランキング上位ですからね。

やしろ:ゲームクリエイター、入っていますね。

木村:僕は、親に「会社を辞めてゲームをやろうと思うんだけど」と言ったら、「好きにしたら?」と言われて、後押しがありました。

あと、学生の時にずっとゲームをしていたら、「そんなにゲームばっかりやっていないで、ゲームでお金を稼ぎなさいよ」とけっこう言われていたんですよ。「そんなんできるわけないよ」といつも返していたんですが、実際、ゲームでお金を稼ぐようになりましたね。

やしろ:成功しましたね(笑)。

ゲーム業界のあるある

木村:そういう感じですね。あとは、昔のゲームプランナーは生活がハチャメチャだったから、基本的には彼女と別れますね。よっぽど理解がないと難しい。昔はぜんぜん帰らなかったりもしたし。なんでこんなに働いているのかわからんみたいな感じになりがち。

やしろ:いわゆる理解者じゃないときついですよね。

木村:理解者もやはりあまりいないんですよね。女の人でゲーム作りを理解してくれる人は、言うほどいないですよね。

やしろ:僕は同じチームの中で、つき合って別れるのだけはやめてほしいです。

(一同笑)

やしろ:メチャクチャ制作に支障が出るんですよ。「頼むから、せめて別チ(別チーム)でつき合ってくれ」って思っていました。「なんで別れたの。うわっ、やりづらっ!」みたいな感じで、けっこうゲーム制作にそういうのが関係するんですね。

木村:けっこうでかいよね。

やしろ:頼むからつき合うなら添い遂げてくれ。

高木:また別の、同じチーム内でつき合ったりして。

木村:おいおいおいおいってなるんだよね(笑)。

やしろ:マジでそれが、面倒くさいんだよね。けっこうゲーム業界には、そのへんに敏感な男の子も多いから、そういうので拗ねちゃったりもするんですよ。

木村:そういうのもあるあるです。

司会者:どんどん話が戻っていってますね。

(一同笑)

司会者:ゲームクリエイターを目指す人にとって、参考になるお話をたくさん聞くことができたかなと思います。

木村:最後はすごい話になったよ。

(一同笑)

プランナー職はゲーム業界でも敷居は低い 未経験でも飛び込める 

司会者:それではここから、質疑応答に移ります。セッションの中で話題に出た内容や、ゲームクリエイターになるためにはというテーマで質問を募集しています。

事前にいただいている質問から紹介をしていきます。まずは、こちらの質問です。

「ゲーム業界に興味があるのですが、何を勉強したらいいですか? まったくの未経験で飛び込むのはさすがにダメでしょうか?」

こちらは、先ほど勉強という話で出てきたものでもありますが、学生時代にどんなことを勉強、体験しておいてほしいか、今までの勉強がこう活きたみたいなことがあれば、そちらも含めてお話しいただきたいです。

木村:何でも役に立ちますよ。僕は生物を大学の時に勉強していましたが、やはり生物SFゲームが作れますからね。バイオSFみたいなの、けっこうおもしろいじゃないですか。そういうのも作れます。

やしろ:人生を楽しんでください。

木村:いろいろやったらいいですね。それと、まったくの未経験で飛び込むのはダメじゃないというか、全員未経験から始めるので大丈夫だし、そんなに敷居は高くないと思っています。

やしろ:プランナーは、一番敷居が高くないと思います。デザイナーはやはり絵が描けて、プログラマーはやはりある程度を学生時代に学んでいる人というのがあるんですが、プランナーは未経験で飛び込むのが一番……。

木村:そうそう、何にもできなくていいからね。俺は、おもしろいことを考えられるぞというだけでいいので。

やしろ:絵は描けないし、プログラムもできないけど、俺はなんとかなるみたいな人は、実際わりといるから。

木村:ポジティブな気持ちが大事なのかもしれないですね。

やしろ:そこは、一番敷居が低いと思いますよ。

木村:「なんとかなれーッ!」っていうね。

やしろ:「なんとかなれーッ! ワーッ!」

木村:「なんとかなれーッ! ワーッ!」っていう感じですね(笑)。

ゲームの企画に役立った、厨二病エッセイと20代の時に書いたメモ

司会者:ありがとうございます。次にこちらの質問です。

「ゲームクリエイターとして仕事をする中で、思いがけない経験が役立ったことはありますか? また、それは今後ゲームクリエイターを目指す上で、経験しておいたほうがいいですか?」

こちらはどうでしょうか?

やしろ:思いがけない経験。僕は、昔ノートにいっぱい書いていた厨二病エッセイとか、武器の名前とかがメチャメチャ役に立ったかな。

木村:そういうの、役に立つみたいね。俺はそういうのやったことないから。

やしろ:そう、「あっ、これはここで活きてくるんだ」と思って。

木村:ネタ帳みたいなのを持っている人もいるよね。

やしろ:僕は、やはりゲームの企画にはなんでも役に立つんだなって思いました。

高木:僕もそういうのをけっこう残していますね。やはり、20代の時にしか出てこないアイデアもけっこうあると思うんですよね。結婚する前しかできないこととか、子どもが生まれたからこそ出るアイデアとか。

木村:そういうのはありますね。

高木:その瞬間瞬間しかできないものをメモっているので、どこかで、これをうまく使ってやろうと自分は思っています。だから、いろいろなことを残すようにはしていますね。

やしろ:変に経験を積んで固まっちゃうと、自分の中でストップがかかって、逆に出てこなくなる部分もあるので、変に経験する前に、いろいろと思ったことや考えたことを残していたら、そこから枝が分かれてアイデアになるんじゃないかなと思いますね。

デザイナーやエンジニアも企画や立案のチャンスはある

司会者:ありがとうございます。それでは次に、こちらの質問です。「デザイナーやエンジニアとして就職した場合でも、ゲームの企画や立案をするチャンスはあるのでしょうか?」

やしろ:これは、ありますよね?

高木:メチャメチャありますよ。

木村:あるある。うちには、インフラエンジニアからプランナーになった人がいました。

やしろ:うちにも、営業からプランナーになった人がいます。

木村:一番なりやすいですからね。エンジニアだったら、プログラムが書けるプランナーになるし、デザイナーだったら、絵が描けるプランナーになるので、もう上位職ですよね。

ドラクエの転職で、魔法が使える戦士みたいな感じになるので、ぜんぜんできます。

やしろ:会社によりけりだと思いますが、企画会議は、いつもプランナーだけでやっているわけではなくて、純粋に思いついたことを言えるところもあったりするから、デバッガーがプランナーになるのもぜんぜんある。メチャメチャある。

木村:うちはそういうの大丈夫です。

やしろ:だいたい、どこもOKですよね。

高木:アイデアはどこからでも。

木村:企画はわりとなりやすいですからね。プランナーからデザイナーやエンジニアにはなかなかなりづらいですけどね。

やしろ:逆はあんまりないですよね。

木村:たまにいますよ。

やしろ:へえ、俺は見たことないですよ。

木村:もともとプログラムが得意だったみたいな。

ディレクターになるためのキャリアパス

司会者:ゲームプロデューサーとかディレクターになるためのキャリアパスについて。みなさん、ゲームプロデューサーやディレクターの経験をされたことがあると思うのですが、こういうのが活きて、キャリアパスが開かれたみたいなものがあれば教えていただけますか?

やしろ:僕は、ディレクター止まりなんですが、僕の場合は社内でPERACONみたいな、企画を公募するみたいなものがあって、それを出したらまたそれでトップが取れて、ディレクターみたいなことをちょっとやったので、普通のなり方は僕もわからないです。何だろう、積み重ねていくとかあるんですか?

高木:あるんですかね。僕が20代で最初にディレクターをやった作品は、上司たちがどんどん倒れていって……。

(一同笑)

高木:順番的に繰り上がって、「明日からお前がディレクターだ」みたいな感じになって。

やしろ:軍隊のあれみたい。どんどん上位職が……。

木村:上からやられていった。

高木:「お前が今日から、軍曹だよ」「おう、やれるぜ」みたいな感じで、そこからずっとですね。

やしろ:メチャメチャ修羅場ってるじゃないですか。

木村:いい話ですね。

やしろ:でもそこを、ADで得た忍耐強さで生き延びたんですよね。

高木:そうですね。「俺はやれる」と思って、グッと、辛抱強くやりました。

木村:プロデューサーはわからないけれど、ディレクターはがんばっていたらなれますよ。一番がんばっていればなれるし、あとは、やはりリーダー経験が大事だと思います。コミュニケーション力と一緒ですが、いろいろな人から人望を集める。「あの人と一緒に仕事したい」と思われるのが僕は大事だと思っています。

「あなたがディレクターです」と言われても、結局1人で作るわけじゃなくて、周りの人が言うことを聞いてくれないことがざらにあります。

高木:確かにそうですね。

木村:あの人にディレクターやってほしいと思われるような人になるのが一番の近道ですね。

やしろ:プランナーからディレクターになると、マジで変わりますよね。自分で仕様作るだけじゃなくなるじゃないですか。俯瞰的に全部を見なきゃいけなくなるから、俺は1回やった時けっこうきつかったですね。

木村:きついよ。ディレクターはきつい。

やしろ:普通にゲーム作るだけじゃなくなっちゃう。

(次回へつづく)

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