2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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池澤あやか氏(以下、池澤):本日のゲストは世界最高齢のiPhoneアプリ開発者、若宮正子さんです。どうぞよろしくお願いします。
菅澤英司氏(以下、菅澤):よろしくお願いします。
若宮正子氏(以下、若宮):よろしくお願いします。
菅澤:(プログラミングは)やはりけっこう挫折しちゃう人が多いですが、若宮さんは根性があるのか、根気が続くのか。どういうところでそれを培ってきたのかなと思って。
若宮:実は私、まだインターネットがない頃にパソコンを買って。当時は「パソコン通信」という電話回線を使ったものがありました。当時はプロバイダがソフトウェアをしていましたが、その頃から高齢者のための相談があり、そこに“エフメロウ”という老人会があったわけです。
そこに入り、パソコン通信ではなくインターネットになった時に、自分たちで“メロウ倶楽部“という名前のインターネット上の老人クラブを作ったんです。ちゃんと会費を集めて、21年続いています。
菅澤:すごいですね(笑)。
若宮:今でもそうですが特に当時、年寄りというのは、だいたい近場の人と付き合うのか、町の老人クラブの人と一緒に遊ぶのが当たり前で。インターネットで日本中の人や世界中の人と話し合うなんて人は、ちょっとおかしい人たち、変な老人の集まりではあって。若い人たちに言わせると、かわいくない老人で。
菅澤:かわいくない老人たち(笑)。
若宮:そこでは今もそうですが、プログラミングの部屋もあったりして。もう亡くなられた90歳の大阪の方が、亡くなる前に、簡単なものですがScratchでゲームを作って、それを自分たちでメロウ倶楽部の部屋にアップして、「今度は少し難しくしたぞ!」「みんな、やってみて!」とか言って。周りにそういう人たちがたくさんいたので、あまりITアレルギーみたいなものはありません。
菅澤:30年前にそういう人たちが集まるところに行ったのは、やはり素養があったというか。そういうのが好きだったんですか?
若宮:いや、物好き。なんでもおもしろいものがあったらやってみたい人ですから。海外旅行でも人が行かないようなところに行ってみたいとか。
菅澤:プログラミング以外、パソコン以外にも、けっこういろいろなことをされてきたんですね。
若宮:そうです。
池澤:老人会はどうやってコミュニケーションを取っているんですか? Slackとか?
若宮:前は自分たちで構築していましたが、今はFacebookの中にある、会社などのためのサービスのWorkplaceをうまく使って、俳句の会なども全部そこでやっています。
菅澤:30年前ぐらいからそのコミュニティに入っていて。その頃お仕事はしていましたか?
若宮:はい。高校卒業してから銀行に勤めていました。
菅澤:ずっと銀行だったんですね。もし今わかったら、プログラマーをやっていたんじゃないですか?
若宮:私たちが銀行にいる頃は、まだみんながパソコンをもったりする時代じゃなくて。“コンピューターさま”はすごく偉いんです。
菅澤:さま(笑)。
若宮:重役室の冷房が入らない時に、コンピューターさまの部屋だけは冷房があったりして。「あれは重役よりも偉いんだな」と思って。
菅澤:(その時も)やはり興味はありましたか。「コンピューターってどうなっているんだろう?」みたいな。
若宮:おもしろそうだなと思って。「どうせ退職金をもらうんだから、お金のかかるおもちゃくらい買ってもいいだろう」と思って、58歳くらいの時に。
菅澤:買ったんですか。コンピューターさまを(笑)。
若宮:衝動買いです。でもそのたった1つの衝動買いが、自分の人生をこんなに変えちゃったんだから、わからないものですよ。
池澤:はじめて購入したPCはどんなPCでしたかか?
若宮:長方形の、タワー型というか。中に引き出しみたいなものがあって、開けるとハードディスクとかが入っていて。
池澤:けっこう大きい?
若宮:大きいです。お尻の大きなモニターがついていて。
池澤:すごい! ノートPCとかではなく、いきなりいかついのを買われたんですね。
若宮:まだノートPCがそんなに普及していなかった。
池澤:まだ電話回線の頃ですか。
菅澤:まだインターネットがありません。
若宮:電話回線の時だし、テキストしか使えなくて。インターネットができてきて、今度は写真が送れるようになったので、みんな興奮していました。
菅澤:でもテキストしか使えないのに、何を思って買ったんですか?
若宮:雑誌かなにかで、そういうのを使って仲間と交流している人がいる話を聞いて。物好きだから「すぐにやってみたい!」と。それだけでPCを買いました。
菅澤:年を重ねていくと、「新しいものがもうわかんないわ」って言いますが。
若宮:その頃はまだ60になったかならないかぐらいの頃でしたが、いくつになっても好奇心だけは減らないみたい。
菅澤:銀行員の時は、どんな銀行員でしたか?
若宮:都市銀行に勤めていました。私って物好きで、いろいろ思いついちゃうタイプじゃないですか。そのせいかわかりませんが、企画開発セクションに抜擢されました。高卒の女の子なんかがなかなか行けないセクションですが、周囲の方もわりと理解があったので、企画開発部門に行って。
当時の女性は、「ちょっとそこの女の子」というように固有名詞なんかない存在でしたが、私の場合はすごく恵まれていて。そういう意味では、かなりいい処遇をしてくれたんだと思って感謝しています。
菅澤:いろいろな企画で新しいことをやらせてもらえる仕事もして、退職する時は、でっかいパソコン、コンピューターを買って。
池澤:最近だとYouTuberとしても活躍していて。
菅澤:ああ、そうなんですか。僕と一緒ですね。
若宮:それも変なものばっかり作って。
菅澤:作るのが好きなんですね。
若宮:コロナの巣ごもりの時に、ライブ配信してたくなって。だけど1人でしょ。アナウンサーから切り替えまで全部やるのは大変だけど、今はスイッチャーという道具があるので、道具を今度は買っちゃって。
菅澤:ああ、買っちゃった(笑)。どんどん買っちゃいますね。好きでやっているとこから常に始まるというのが、すごくいいですよね。
池澤:同じYouTuberとしていかがですか?
菅澤:同じYouTuber(笑)。50年後は、こういう方になっているだろうなと。YouTubeも、自分1人でいつの間にか始めていたことですか?
若宮:そうです。動画の編集は、メロウ倶楽部の人たちが盛んにやっていたので真似した。周りの人がやると、やってみたくなっちゃうほうなので。
菅澤:途中で挫けたりしませんか。
若宮:「80過ぎてからプログラミングやるなんて、よくそんな勇気と決断ができましたね」と。挫けたりするでしょうけど、プログラミングすることには勇気も決断もいらない。だって誰も死なないし。パソコンがない人がプログラミングするのはちょっと大変かもわかりませんが、パソコンがあれば開発ソフトなんかタダでダウンロードできる。
それなりのものをそれなりに作ればいい。飽きたらやめればいいだけで、勇気とか、あんまりそういうのを考えないタチなんです。
菅澤:逆に勇気をもらえたというか。「80を過ぎても新しい言語を覚えて、作れちゃうんだな」と。
若宮:この間も池澤さんに教えてもらいましたが、プログラミングもSwiftがSwiftUIになっているし、NoCodeみたいなのもできてきて。だんだんみんなのものになるんじゃないですか?
菅澤:そうですね。今は「小学校や中学校でも(プログラミングを)教えよう」となってきているので、簡単な英語ならしゃべれるぐらいに、プログラミングもできるようになっていくんだろうなと思います。ただ、現代で80代で「SwiftUIがねぇ」と言っている方は、なかなかいないかなと。
若宮:これはまた教えてくれる方が現れて、聞いて聞いて聞きまくってじゃないですが、手伝ってもらったり。必ず救世主が現れることになると思います。
池澤:確かに。聞く力が、意外と大事なのかもしれません。
菅澤:変にプライドをもたず、「ごめん、ちょっと教えて」みたいな。
池澤:最近は「プログラミングちょっと書けると給料上がりそうだから、プログラミング勉強したい」みたいな方もいますが、基本的には“ものづくり”の道具なので、作りたいものがないと書けるようになるには時間がかかるのかもしれません。
菅澤:TOEICのために英語を勉強するのではなく、旅先でどんどん話しかけちゃう。そっちのほうが楽しく覚えられるような。そういう感覚がプログラミングにはありますね。
「hinadan」ができたところまではもう十分聞けたので、次回はそれがどう広まり、AppleのCEOまで会えたかのお話もちょっと聞きたいと思います。あとは開発時の苦労話もっともっと聞きたいと思うので、いったん今回はこのあたりにしたいなと思います。どうもありがとうございました。
菅澤:ということで、世界最高齢のエンジニアの方のお話を聞きましたが、どうですか?
池澤:やはり、いつまでもなにか作りたいものがあって、それに向かって走り続けられるのは見習いたいものがありますね。
菅澤:僕もよく「遊んでいる」と言われますが、見習うとか、そのためにがんばるよりは、遊んでいるように生きているようで、誰かの役にも立つし、自分の学びにもなるし、毎日が楽しくいられる。そういう生き方をやっていきたいと思っています。
80を過ぎて実践している方のお話を聞けるのは、非常に刺激になった回になりました。ということで、次回はもっと掘り下げていきたいと思います。
(次回につづく)
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