2024.10.10
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春日重俊氏(以下、春日氏):みなさん、こんにちは。Chatworkの今現在CTOをしております春日です。では約40分という時間をもちまして、Chatworkというプロダクトが、10年を迎えるにあたって、どんな歴史を繰り広げたのかについて、簡単ですが、みなさんが追体験できるようなかたちでお話しできたらと思っています。
では本日のアジェンダですが、3つあります。まず、Chatworkのプロダクトの今の現在の状況について紹介します。2つ目が、そのプロダクトの10年という歴史のあるプロダクトのフェーズと、テクノロジー面でどういうふうに流れていったのかについて説明します。
そのフェーズごとで、やはりいろいろな挑戦がありました。今回は一つひとつの壁みたいなかたちのイメージをして、どういうふうに乗り越えていったかを中心にお話しできたらと思っています。
今回のセッションの目的です。この10年というプロダクトを運営してくと、CTOというか、最高技術責任者の目線のところでいうと、乗り越えないといけないハードルがやはりところどころであると思います。
そこの課題です。イシューかなと思いますが。いろいろ客観的に聞いてみて、抽象度を上げてやったときに、何を課題として捉えないといけないのかを、Chatwork社が課題をどう乗り越えたのかを、感じてもらえたらなと思っています。
では1つ目のセッションの紹介です。まず簡単に私の自己紹介させてください。今、Chatworkで執行役員CTO兼プロダクト本部長というかたちでやっています、春日と言います。
Chatworkが今で3社目、Chatworkに着任して6年目です。最近ランニングとかもしてるので、スニーカーなどを集めるのが趣味だったりする人間です。
Chatworkのほうで、今の規模感みたいなところでいうと、導入社数が30万社を超えるようになっていて、利用者数もナンバーワンというようなサービスになっています。
サービスの特性上、デイタイムにおいてビジネスチャットはみなさんすごく利用してもらっています。そのデイタイムのチャットサービスが少しでも止まるとどうなるかというと、本来だったらちょっとなかなかあってはいけませんが、ちょうど2020年の6月に、10分ほどサービスにログインできないことがありました。
そういったことが起きたときに、Yahoo!さんの天気・災害のところ、社会インフラみたいなところになっているようなところに、突然SaaSのサービスである弊社のサービスが「Chatwork障害」と出てくる。要は、それぐらいの世の中、社会の公器になりつつあるサービスになってるかなと自負しています。
現在のChatworkのプロダクトのサービス構成です。2021年に入って、基本的にChatworkのサービスのアプリケーションはコンテナベースのアプリケーションになりました。そこでAmazonの事例をバージョンアップして、少しずつマイクロサービス化してるような、サービス構成になっています。
そんなChatworkのサービスを支える、組織の構成みたいなところです。2021年の1月からプロダクトマネージャー含む、プロダクトマネージャーとデザイナーとエンジニアという、プロダクトを司る3つの職種を司るプロダクト本部を、私が今統括しています。部署もだいたい10個ぐらいになっていて、80名を超えるような、だんだん大所帯な組織になってきています。
では2つ目のセッションです。10年という流れのある老舗のプロダクトなってきたChatworkですが、どういう流れを経てきたのか、これから説明したいと思ってます。
まず、冒頭説明したいと思うのが、Chatworkというプロダクトが対峙しているマーケットです。規模について、簡単に説明したいと思っています。
IRにもありますが、今参加しているみなさんは、ビジネスチャットというと当たり前のように使っているかもしれません。
しかし、実は日常的に使われてるっていうところに関して、弊社独自に3万人程度のランダムにユーザーにアンケートしたところ、まだ12.5パーセント。これからいわゆるキャズムを越えるみたいなところが、Chatworkが対峙しているマーケットになっています。
基本的にチャットは、メールの普及率みたいなかたちで全ビジネスマンが使ってくツールになってくるかなと思うので、国内の労働人口のすべてが対象になってくるかと考えています。非常に大きなマーケットと考えています。
Chatworkの業界におけるポジショニングみたいなところでいうと、ターゲット層が、ITのスキルの高い方、低い方、あとは企業規模の大きい小さいみたいなところで言うと、日本の企業数はだいたい400万社あるといわれていますが、その99.7パーセントが中小企業と言われていますが、そちらをメインにポジショニングを取りながら、サービスを拡大させていっている状況になっています。
実際のChatworkのユーザー数の推移です。けっこう大きな競合もいたり、海外の競合もいたりしますが、競合の影響もなく、二次曲線的にユーザー数が伸びていて、直近でも400万ユーザーを突破するかたちになっています。
こちらが本日のセッションのキースライドです。このプロダクトフェーズごとにどういう壁があったのかについて、説明したいと思います。
まず1つ目がIntroといったところで、導入期です。2つ目がGrowthという成長期のところで、3つ目がMaturityというところで、成熟期。4つ目がDecline、衰退期。いわゆる“プロダクトライフサイクル”の4つのステージがあると思います。
Chatworkが今対峙しているところは、基本的にはIntroやGrowthと言われているようなステージです。さらにMaturityにいくところに関しては、Maturityのところにくるかなと思うので、主にこの10年間で体験したところに関してでいうと、“製品内容による優位性の壁”と、“展開面積の壁”、“コストの壁”、“社会的公器の壁”の4つの壁をどう乗り越えてったのかが、Chatworkの10年の歴史となっています。
5つ目の壁がこれから僕たちが乗り越えようとしている壁と考えてもらえればと思います。
では、じゃあこの10年間で、どうChatworkがいろいろな壁を乗り越えたのかを、より詳細で説明できたらなと考えています。
1つ目の“製品内容による優位性の壁”です。要は新しいサービスって、プロダクトマーケットフィットという、プロダクトのマーケット自体があるかを検証するようなフェーズなので、まずは機能をリリースして、運用面の課題がたぶんいろいろ出てくると思います。それをいかに少ない人数で乗り切って、「マーケットがあるよ」というところでGrowthに展開してくかがすごく重要になってきます。
そんなところをChatworkどう乗り切ったか、当時の体制のところでいうと、CTOがビジネスもテクノロジーも両方見てるような体制でした。
そのため、いわゆる極めて少人数な体制でサービスをどんどん改善していところが、事業としての、ビジネス面としての、やらないといけないところでした。
とはいえサービス自体はリリースされてくので、どういうふうに改善していったかでいうと、当初のシステム構成はやはりリリースしたタイミングなので、すごくシンプルです。いわゆるLAMPと言われるような構成です。
とはいえChatworkという、ビジネスチャットのサービスの特性上何が起こるかというと、弊社の監視ツール、アプリケーションを監視するNew Relicというツールをサービスのリリース当初から使っていますが。数十ミリセックででもレイテンシーが上がってしまうと、エラーレートが跳ね上がってしまう、非常にデリケートなサービス構成になっています。
ではそのデリケートなサービスはどういうふうに性能監視改善していっているかでいうと、やはり性能の監視改善サイクルを作るところが重要かと思います。つまり、プロダクトの性能監視PDCAサイクルを作る必要があります。具体的には、原因を分析して、打ち手を検討して、対策を実施して、検知する。こういったところをサービスの運営していく中で、日常的に組み込むところが重要な観点じゃないかと思っています。
(次回につづく)
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