2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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Developer Experienceとデジタルトランスフォーメーションの2つのDX。「この一体となった文化資本を、効率良く企業が取り込むにはどうしたらいいんだろう」という問いが生まれるわけです。
その中で、僕が1つのかたちとして提示したいのがCTO協会で発表している“DX Criteria”です。もともとは私のレクター社のコンサルティング商品としてのDX組織診断、さらに古くは自分たちが組織改革をする際にチェックリストとして作り始めたものですが、一部をCTO協会に寄贈してリバイズしています。
さらに今回は5つのテーマと高速仮説検証ループにフォーカスを当てて、バージョンアップをしています。素早く仮説を検証して、やっていくことを変えられる能力を持っているか。そういったメタ戦略の部分を計測して、習慣として可視化できているかをチェックする。
それがシステムの話だけでもチームの話だけでもなく、コーポレート、データー駆動、デザイン思考のすべてが一体となった仮説検証のループで表現できないか、というところで用意したものです。5テーマ、8カテゴリ、8項目と、実にたくさんの観点からチェックリストが用意されています。
全部が全部をやらなければいけないわけではありませんが、CTOや経営が開発するチーム、ソフトウェアを提供するチーム、そしてプロダクトを提供するチームにこれから必要な要素が何かが汲み取れるかたちになっています。
DX Criteriaの構造としては、5つのテーマ、8つのカテゴリ、そして8つのチェックリストの合計320個の観点から、企業のDXの進捗度を自己診断しています。強みと弱みを分析し、次の一手に使えるところを目指しています。
この320個に渡るリストには、かなり実際的な、現場的なことが書いてあります。何でこんなことをしたかったかというと、当たり前の言語化で、説明責任の向きを変えたいなと考えていました。DX Criteriaが間違いなく正しいと言いたいわけではなく、「なぜ変える必要があるのか」という問いから「なぜ変えていかないのか」という問いに変わることで、「これを選ばない理由があるんだったら何なの?」という話ができれば、それでも十分な価値があると思っています。
今までの常識から、新しい当たり前を取り入れていくためのチェックリスト。そしてその基準を通じて、説明責任の向きを反転させていきたいな、という試みです。
これは2019年の12月に発表しました。GitHubにて公開しました。メディア発表などもしました。その後、各社が自己診断の結果を報告したり、診断するような事業が生まれたり。経産省、IPAをはじめ、さまざまな公共団体へ「こういったものがありますよ」と情報提供しました。
また、さまざまな方々からたくさんの声をもらいました。ここに紹介しきれないものも多々ありますが、マネジメントの会話のきっかけや、改善のものさしとして使ってもらっているようで、本当に何よりです。また「DX動向調査レポート 2021年度版」で、法人会員向けのレポートとして、アセスメントツールとして発表しまさした。
今回DX Criteria 2021年の4月バージョンとして、12名のワーキンググループで一部アップデートしたものを公開しています。どんなアップデートのポイントがあったかというと、リモートワーク時代に合わせて物理オフィス前提の表現を削除したり、320項目すべてにFAQや用語解説を追加しました。新任エンジニアリングマネージャー、プロダクトマネージャー、DX担当者、新規事業担当者、経営者向けのスタートガイドと、簡易10項目を作成したり、文章構成や軽微な修正によってわかりやすくなりました。
アセスメントシートもわかりやすく更新して、偏差値やレーティングが表示されるようになりました。リモートワークのソフト面についての8つのリストも追加しました。協力していただいたDX Criteriaワーキンググループは、こちらの面々です。本当に毎週大変な作業で、320項目というのは本当に途方もない数で、協力していただいたことを大変ありがたく思っています。
そのアセスメントがどうできるかを、デモ動画でちょっと見せられたらと思っています。
(動画再生開始)
リンクも見ながらやってもらえればと思います。スプレッドシートが用意されていて、このスプレッドシートを自分用のドライブにコピーします。
ドライブにコピーしたら、アセスメントのシートを見ながら、チェックリストのチェックボックスを押していきます。満たされているなと思ったら「yes」、そうじゃないと思ったら「no」。「no」だけどちょっと言っておきたいところがあるとか、考えるところがあると思うところは「no」と「but」の項目にをつけてもらえればと。このようにリンクから情報を得られます。
まだまだ充実させていきたいところは多々ありますが、こういったかたちですべての記入が入った状態になると、可視化の評価のシートがこのように表示されて得点、偏差値、レーティングも表示されるように変わりました。
アセスメントを答えてもらうと、自分の「ちょっと弱いんだな」「強いんだな」、あるいは「ここを戦略的に強化していこう」みたいなことが見つかります。もしよかったらぜひ使ってみてください。
(動画再生終わり)
最後に利用上の注意で、「理解をせずに導入する/導入しない」ことは止めたほうがいいと思っています。DX Criteriaの目的は、こういった不確実な時代に必要な、事業活動の競争力を得ることです。
一つひとつ実践をしながら、体感的な理解を積み重ねていくことが重要です。その上で、自社にあった適切なかたちを模索していくためのきっかけとしてご利用ください。
もう1つ。過度に数字を気にし過ぎないでください。DX Criteriaでは適切なメトリクスを測ることによって議論が明確化して、活発な改善と対話を促進していきたいと考えています。しかし、これを経営が使いましょうと言ったときに、一方的な数値目標にしてしまったり、対話を抜いて目標にしてしまうと、本来の価値が喪失してしまいます。お互いに対話のきっかけとして、理解しながら方法を改善する・しないところにフォーカスを当てられればと思っています。
また同じところで、内容より結果に注目することもあまりよくないと思っています。DX Criteriaは、高速な仮説検証をする組織がもつ習慣や、文化・ケイパビリティに注目するものです。そのためすべてを満たしたからといって事業がすごくうまくいくわけではありません。内容の部分が重要で、自社の事業速度において、どこがボトルネックになっているかを判断した上で使ってください。
最後に、誰かを攻撃するのに使う。これが一番避けてもらいたいことです。DX Criteriaは、基準を満たさない誰かを攻撃するために作られたものではありません。これらの基準を通じてソフトウェア開発の見えない性質に対する理解が促進されて、より発展した議論に導くためのものです。
そういった中で、私たちは協力者を求めています。DX Criteriaは超実践的なアセスメントを実現するためのものです。時代ごとに、緩やかにアップデートしていく必要があると思っています。あまり急速にアップデートしてしまうと過去のものとの連続性がなくなってしまうので、少しずつ緩やかに「これは当たり前だよね」「こういう習慣を取り入れていったらいいよね」というものが変化できていくといいなと。
また、DX Criteriaは単なる採点のためのツールではなく、対話と改善をするためのツールにしていきたいと思っています。そのため、そういった活用事例のようなことも、もし使っている方がいたらブログなどで書いてもらえるとうれしいなと思っています。また自社・自チームでのアセスメント結果を、CTO協会に寄贈してもらえるとうれしいです。会社名を伏せてもかまいません。統計情報としてしか使いません。
この中で、当たり前の水準がどこにあるかを伝えていければいいなと思っています。
最後になりましたが、DX Criteriaの2021年4月バージョンをCTOの日(4月10日)に発表したので、おもしろそうだなと思ったらリンクなどをシェアしてもらえるとありがたいです。それではご清聴ありがとうございました。
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