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新しい技術をアジャイルなマインドで進めていく(全3記事)

新しいことは“小さく”繰り返す ニューノーマル時代にこそ必要なアジャイルなマインド

Agile Tech EXPO は、アジャイル開発を実践している方々、アジャイルに興味がある方々に向け、マインドやフレームワークに加えて、技術の最新動向をお届けするカンファレンスです。株式会社ホロラボ Co-founder/CEOの中村氏が、設立から現在に至るまで自社の開発スタイルにおいて変わったこと、変わらないこと。そこにどのようなアジャイルの精神を取り入れたのかをお話しします。第3回はコロナとリモートワークについて。前回はこちらから。

開発で使う社内ツール

中村薫氏(以下、中村):今は話が未来とか大きなところに行ったんですけれども、ちょっとここから、小さいところ、うちの会社の中の話をしていこうかなと思います。最初にも言ったとおり、ホロラボという会社というか、僕自体の背景が、かなりマイクロソフト技術にベッタリ依存しています。

わりと会社的にはカオスになっています。Outlookって、マイクロソフトのメールでExchangeとかあるじゃないですか。あれが僕はどうも馴染めなくて、わりとそこはグーグルが好きなので、会社のメールとかカレンダーとかっていうのは今G Suiteでやっています。コミュニケーションはSlackでやっています。

その一方で、Office365というのが入ってくるので、そこにTeamsだったりSharePointが入っていたりしています。最近わりとTeams対Slackみたいな話があると思うんですけれども、うちの中では両方使ってます。

Teamsってどうなのかな? これは僕の偏見なんですけれども、オープン系やっている方ってMS系の技術に対してけっこうネガティブな印象を持っているので、Teamsに対してもネガティブな印象を持っている方も多いかと思うんですけれども。使ってみるとすごくよくできているので、好き嫌いせずにぜひつまみ食いしてみてもらいたいなと思っています。

ただ1点、Teamsのチャットがものすごく個人的には微妙なので(笑)。そこだけはSlackからは移動できないというのがあったりはします。あとは先ほども少し話題に出ていたんですけれども、電子黒板というところでmiroを使っていたりします。

それからどうしてもSlackはフロー情報になって、どうしても流れちゃうので、それをストックするためにどうしたらいいかというところでesaっていうのを使っていたり。あとはタスク管理でTrelloを使っていたりとか。

けっこう社内のツールがカオスになっていって、とりあえず新しいツールが出てくると試してみて、良さそうだったら使ってみるみたいな感じです。今まで使っていたツールをやめるという取り決めを今のところあまりしてないので、そろそろ整理しないといかんなみたいな話はしてたりします。技術者なのであまり技術に好き嫌いせず、とりあえず触ってみるみたいなところは必要なのかなと思ったりします。

コロナとリモートワーク

今こういう環境で仕事をしています。あと今まで、これは2020年の1月にRSGT2020で話していたときのスライドですが、当時は1月なので、コロナウイルスの影響とかっていうのは海の外の話で、こんな世界になるとは思わなかったっていうのが正直なところです。

当時も、もともと基本はリモートでやっていて、コミュニケーションがSlack中心で円滑にいかないっていうのがあって。30人直前で、2020年30人を超えて、よくいわゆる組織的に30人の壁っていうのがあると思うんですけれども、あれに当たる直前です。組織とかチームのコーチをしている川口さんに来てもらっていろいろと悩み相談をしてもらったりしていました。

基本リモートなんですけれども、月曜日を出社日として決めていて、全体の共有会みたいなのをやっていたというのが2020年の1月です。

これが今どうなったかと言うと、チーム分割したというのが1つ。それから今は完全リモートにしていて、先ほど言った月曜日の出社日自体もなくしていて、基本的には全部リモートにしています。先ほど言った全体会、AllHandsという言い方をしているんですけれども、これをオンラインにしました。

これに変えてどうなったかと言うと、まず地域差というのがなくなりました。今社内には金沢、石川県ですとか、愛知県に在住している方も何人かいます。会社に来てやっていたときは、全体の大半が事務所にいて、一部の人がリモートにいるっていう状態でした。

やはり現地に集まっている人たちとリモートの人との温度差みたいなのがあったというところはそれぞれの人からも相談としてありました。それが完全リモートになったので、みんな同じ条件になったのでこのあたりがなくなったというのは1つあります。

倉貫さんの『リモートチームでうまくいく』という本だと思うんですけれども、やっぱりリモートでやるんだったら全員リモートにしたほうがいいみたいなところを体感したところです。

それに伴って物理的に人と会わなくなったので、もともと採用では、東京の会社に来れることを条件に入れていたんですけれども、最近の採用告知ではこれをなくしてしまって、どこにいてもいいとしました。正直この半年くらいずっとフルリモートでやっていて、どこに住んでいるかというところが重要度として下がってきたというのがあります。

チームの分割と編成

それからチーム構造についてです。もともと5人で始めて、年間にだいたい10人前後くらい増えてくるっていう中で30人になってきました。やっぱり10人20人くらいまでだとある程度まとまれるんですけれども、そこを超えてくるとどうしてもまとまり切れない。

じゃあ大きくなったものはバラせばいいよねというソフトウェア的な発想で、今全部バラしていて、チーム編成にしています。今は4チームくらいあって、チーム内では当然フラットにしています。チーム同士もフラットで、特に肩書きというのはそれぞれ付けていなくて、チームの中で活動してねというようなかたちにしています。

チームの役割は、一応お客さんとかやってることに合わせて変わっています。HoloLensだと完全なBtoBの受託開発ですが、TMTというテレコムメディアテクノロジーというのがあって、これはどちらかと言うと、BtoBtoCでコンシューマーに比較的寄っているようなチームになっています。

先ほどのmixpaceという自社製品ですが、これはスタートアップ的なところです。あとはR&Dのチームがいます。それぞれ本当にSI的なところ、ちょっとクリエイティブ的なところ、スタートアップ的なところ、R&Dっていうそれぞれチームの毛色があり、チーム単位で文化が違っていておもしろいです。

この前Twitterかなんかで見ていたんですけれども、環境を変える方法の1つに転職をするというのがあるんですけれども、組織の中で異動するというところ、まあ要は文化を変えるというところで転職に近いような体験を得られるのかなみたいなのがあったりしていて。社内でもこういうのをやってみるとおもしろいのかなっていうところはあったりします。

リモートの弊害

半年やってみて困っていることもそれなりにあります。とにかくオンラインになって移動がなくなったので、ミーティングを詰め込めるのでミーティングがとにかく増えました。これはけっこう良し悪しで、会話する頻度と期間が圧縮されたことによって逆にビジネス速度は上がっている気がしていて。この4月〜6月くらいはお客さん含めて中での速度感というのはだいぶ上がったのかなという気がします。

まあ詰め過ぎた分トイレに行けないとか、休めないというところは弊害というほどではないですけど、出てきたりはしています。このあたりはスケジューリングとか含めてきちんとやる必要があるのかなというところがあります。

これは社内の人と話していて、さきほどの平鍋さんの話の中でもあったんですけれども、目的のない雑談が減ったというのがあります。どうしてもオンラインミーティングで、ミーティングとなると当然目的とゴールがあるので、そこに合わせて頭を使うというのがあるので……。

そうではない会話の時間というのは、やっぱり意識的に作らないといけないよねというので、さっきも話がありました。ちょっとオンラインの事前に入ってみるみたいなところが……わりと僕5分前とかに入るんですけれども誰もいなくて1回出てから戻ったりするので(笑)。打ち合わせのあと意識的に雑談するようにはしていたりします。

Teams上に雑談部屋とかも作っているんですけれども、どの部屋に誰がいるというのがパッとみてわからないので、そこが微妙かなと思っています。Scrum Fest Osakaとか今回もそうなんですけれども、Discordだと、どの部屋に誰がいるかわかりやすいのでいいのかなというのがある反面、さきほども見せたとおり、ツールがいっぱいあるのでこれ以上増やすのも微妙かなみたいな葛藤があったりします。

あとはSlackにネタを仕込んで、雑談のネタっていうのでけっこう意識的に雑談をするっていうようなのは増やすようにしています。こういうチャンネルで意識的に雑談をする機会を増やしてるよみたいなことをしているんですけれどもちょっと時間も迫ってきたのでこのあたりは飛ばしちゃいます。

オンラインで変わったこと

新しい取り組みとして、さきほども言ったとおり全体会をオンラインで完結するようにしています。もともと台風とか大雪でやってはいたんですけれども、もうそれを日常にしています。そうすると場所に依存しないので、どこに住んでいても関係ないという変化が生まれたりとか。

全体会はTeamsでやっているんですけれども、録画ができて録画がきちんと残るようになっているのであとで見直せる。だいたい見直さないんですけれども、いなかった人だったりとか、前回の打ち合わせはどうだったかみたいなかたちで見直すときがあったり。

お客さんもだいぶTeamsが増えてきて同じ環境を持っているので、打ち合わせを録画することができるようになっています。議事録を取ったりしていても、やはり端々抜けることがあるんですけども。打ち合わせ自体を全部録画してしまって、忘れたら見直すということができるようになったのは、すごくよかったのかなと思っています。

それから採用もですね。先ほども言ったとおり地域の項目をなくしたので、全国各地から来てもらってもいいのかなと。採用自体もオンラインのみで完結するようにしています。本当に1度も会っていなくて入社して半月、1ヶ月くらいして初めてリアルに会ったみたいな人が出始めています。

時間もあれなので飛ばしちゃいますけれども、一応ぶっちゃけオンライン面談とかオンライン採用フローってどうだったの? というのを2人入社したので聞いてみたんですけれども、意外とそんなに……まあうちに来る人たちはもともとそういうのに馴染みがあったというところも含めてなんですけれども、ネガティブではなかったのかなっていうようなところがありました。

新しいことは小さく繰り返す

まとめとして、新しいことというのは小さく繰り返す。世界の状況、会社の状況とか自分の周りも常に変化をしていると。

今日なんか特にビッグサイトでMaker Faire Tokyoがある、要はオフラインのイベントがありつつ、こういう最近出てきたオンラインのイベントもありつつが併用し始めて、またちょっとこの3ヶ月、半年とは状況が変わってきたのかなというところを感じていたりします。

特に変化が激しくなったというところで、アジャイルとかの原則で変化を受け入れるというところの気持ちの部分ですね。それがソフトウェア開発だけじゃなくて、ビジネスとか、そもそも国の行く末みたいなところまで含めて重要になっているというのを実感しているというところで話を終わります。ありがとうございました。

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