
2025.02.06
ポンコツ期、孤独期、成果独り占め期を経て… サイボウズのプロマネが振り返る、マネージャーの成長の「4フェーズ」
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安藤健氏(以下、安藤):みなさん、こんにちは。パナソニックの安藤と申します。今日はお昼のお忙しい中参加いただきまして、ありがとうございます。今速報レビューで数百名の方々にも参加いただいているという状況でして、大変感謝しております。
2週間ほど前に第1回のAug Labセミナーをさせていただいて、前回はWell-beingと社会と技術という少し抽象度が高い議論が多かったんですけれども。今回からもう少し具体的なトピックスを設定して、各領域での有識者の方々とざっくばらんに意見交換する場を設けさせていただきたいと思っております。
後半は、ご覧いただいている方からのQ&Aのセッションも用意しておりますので、Q&Aのところに書き込んでいただきましたら、のちほどピックアップしていくつか登壇者の方に質問できたらなと思っております。
最初に、簡単に「Aug Labとは何なのか」をご紹介させていただきたいと思っております。Aug Labは約1年前にパナソニックの中で、ロボットを研究開発している部隊が中心となって作ったラボラトリーです。
これまでのロボットは、どちらかと言うと自動化することによっていかに物事を効率的に進めるのか、人手不足をどう解消していくのかに焦点を当てていたんですけれども。ロボットができることはそれだけではないよねということで、とくに人の気持ちや感情、Well-beingという言葉を使っていますけれども、ロボットとかテクノロジーが効率化だけではなく、より人の幸せに貢献することはできないのかというところで始めたプロジェクトになっています。
安藤:そもそもWell-beingというのは、WHOなどでも定義されているんですけれども、「身体的、精神的、社会的によい状態にあること」となっています。
Aug Labではとくに人間が精神的、社会的によい状態であることを目指した取り組みを、エンジニアだけではなくて、今回集まっていただいているようないわゆるクリエイターの方、アーティストの方、建築家の方々とコラボレーションしながら進めています。
具体的にはワークショップを積極的に行いながら、「自分自身がどういう状態であれば幸せになるのか」「ワクワクするのか」というところをしっかり把握しながらアイデアを出したり、プロトタイピングをしたりしながら、約1年間を過ごしてきました。昨年度は大きく3つくらいのプロトタイプを作らせていただきました。
今日はその中で1つ、ゆらぎかべ「TOU」というものを、のちほど共同パートナーのKonelの出村さんよりご紹介いただきます。これは、思考というものをいかに拡張して、創造性豊かに生きていけるようにするのか。ボーッとできるようにするのかというところを、今まさに深掘っている最中のプロトタイプです。最終的には、単純なモノだけではなく、創造性を豊かにすることができる空間づくり、まちづくりというところまでいけたらいいなと考えております。
今日は、どういうかたちでWell-beingを実現するための空間を作るのか、建築を作るのかというところに関して、いろいろとディスカッションができればなと思っております。みなさん、どうぞよろしくお願いいたします。
それではさっそく、パネラーのみなさんをご紹介をさせていただきたいと思います。まず最初は冒頭で申し上げたように、今一緒にプロジェクトを進めさせていただいています、出村光世さんより、ゆらぎかべ「TOU」についてご紹介をお願いしたいと思っております。
出村さんは最近いろいろなメディアに出ておられるので、ご存知の方もたくさんいらっしゃるかと思いますけれども。東京、金沢、ベトナムを拠点として本当にさまざまなプロジェクトを推進するクリエイティブ集団Konelの代表をされておりまして、30を超えるクリエイターの方と一緒に精力的に活動を行っておられます。
とくに企業とのコラボレーションが多いかなという印象を持っておりまして、未来の体験をしっかり物として提示するプロトタイピングをされている方です。それでは出村さん、よろしくお願いいたします。
出村光世氏(以下、出村):ご紹介ありがとうございます。改めまして、出村です。よろしくお願いいたします。簡単にKonelというチームの紹介と、今回のゆらぎかべのご紹介をさせていただきます。
Konelには今クリエイターが30数名集まっておりまして、みんなテクノロジーがすごく好きだったりするんですけれども。だいたい未来のプロダクトであるとか、そういった体験を試作するためのプロトタイプを作ることが多いチームになっています。
例えばのご紹介なんですけれども、気象データから和菓子を3Dプリントしていくようなプロジェクトに参加していたりですとか。音声から人の感情を読み取って、盛り上がると1つだけ飴が出てくるガチャのようなもので会議の働き方改革にトライしてみたり。
あとは、会話の内容に合わせていろいろな画像データを提示してくれる、お話を発散させてくれるような未来の会議テーブル。そういったものをいろいろなパートナーと作っております。
社内のクリエイターだけで完結することなく、さまざまな専門領域のパートナーと組みながら進めさせていただくことが、自分たちに非常に合っている作り方だなということで進めさせていただいております。昨年Aug Labが立ち上がったところで情報を見まして、我々も参加させていただく流れになりました。
出村:今回のパナソニックさんとのプロジェクトは、Augmentation、つまり拡張ということが1つテーマになっているんですけれども。何から始めようかというときに、「テクノロジーってそもそもこれからどういう方向に向かうんだろうね」という議論からスタートしています。
例えば、これはある画像を持ってきているだけではあるんですけれども、「喉が乾いたなぁ」と思うと、ちょうどいいタイミングでロボットが届けてくれたり。もはやスマートフォンやテレビなどのデバイスを通さなくても、XRの技術やARの技術が進んでいけば常に情報に接していられるような空間ができたり。
これは僕が大好きな『ブラックミラー』というコンテンツ(NetflixのSFミステリー)の一説なんですけれども、部屋全体がインフォメーションを提示してくれるようなインターフェースになって、常にやるべきことが部屋から提示される。そんな生活も、もう現実に近いところまで来ているのかなと思います。
今ご覧いただいたようなものは、最適化された情報がどんどん流れてくると。あらゆることが超効率化されていくということなんですが。すべての行動が最短距離でゴールに向かい続ける。これは非常に便利だなと思うんですけれども、果たしてそこに「人らしさ」とか「いきいき」といったフレーズがあるのかということにやや疑問がありました。
例えば不便さがなくなると、人間は工夫をする必要がなくなったり。不条理なことがなくなると、疑問を持たなくなったり。不意を突かれなくなると、びっくりしなくなったり。そんなことがあるかなと思いまして。
出村:そんな形で人らしくいきいき生きるための、そしてWell-beingなキーワードを並べていったんですけれども。何から始めようかといったときに、我々はボーッとすることに着目しました。なぜかと言うと、ボーッとというのは、別の言い方をすれば脳にブランク状態を生んでいくようなことだと思いますが。
ボーッとしてると突然思いついたり、なにか工夫が閃いたりだとか、思い出し笑いをしたりとか、怒ってたことが怒りが和らいだできたりとか。いろいろなことがあると思います。
ボーッとするというのは、一見不採算で不活性な時間と思われるかもしれませんが、逆にロボットやAIにはなかなか真似しづらい人間らしい行動だなと思っておりまして、着目いたしました。ボーッとすることで思考を拡張させようということです。
「ボーッとすることを助けてくれるアイテムを生活空間にどう持ち込むか」という発想なんですが、例えば、現代人の中でもいまだに焚き火が廃れずに流行っていたりします。これを家の中に持ち込もうとすると、VR焚き火みたいなことになっていったり。
例えば新築の家でも、今でも暖炉に火を付ける方がいらっしゃると思うんですが、なかなかすべての家庭でできないねということで、暖炉風映像みたいなものが出てきたりします。
良し悪しということではないんですが、両者を比較してみると、前者は体験の質は非常に高いものになるんですが。日常で手に入りにくいものになると。逆に機械的な不規則というのは手に入りやすいんですが、やはり体験の質に限界があるよねということで。
この両者を両立させたかたちで何か新しい実験がしたい、ということからスタートしたのが、このゆらぎかべのプロジェクトになります。できたものが、外の風に反応してゆらぐ壁です。映像をご覧ください。
これは実物を撮影したデモ映像になっておりまして。風に反応してゆらぐ壁を映しております。実際に今は我々の拠点のオフィスで使っているんですけれども、風がたなびくような音が出て、外にいるような雰囲気が出たりですね。1人でずっと作業をしていても地球と接しているような感覚と言いますか。ただただ静かな空間とはやはり別の状態になったな、ということが検証できてきています。
出村:よくご質問をいただく構造の部分を少しおさらいしておきます。壁一面に約800個の電磁石が等間隔に配置されていて、表面が特殊な金属を含む素材で作っています。磁石のオン、オフによって揺らぎを発生させるという構造になっております。
今は壁全体がプロダクトになっているんですが、1パネルあたり約80センチ角に分割することができますので、例えば柱や窓にも応用ができる仕様になっております。
このようなモノがどこで使えるというと、これからデジタル空間、デジタルが充満していくような空間が非常に増えていくと思いますので、例えばずっと籠りっぱなしのリモート部屋であるとか、高層マンションの最上階で窓が開けられないとか、地下空間とか、窓のない病室であったり、極地という意味では風すら存在しない宇宙の空間。そういったところでテクノロジーができることがあるんじゃないか。そういうことを実験していくフェーズに移れればという状態でございます。
先ほど申し上げましたが、今弊社の日本橋地下実験場というところにて展示をしておりますので。もし観覧ご希望の方がいらっしゃいましたら個別にご連絡をいただければ、感染症の対策をしたうえでご案内できればと思います。ちょっと長くなりましたが、以上です。ありがとうございました。
安藤:ありがとうございました。決して「不」というものが人にとっては悪くないものである、というところからご紹介いただきました。またのちほどこのゆらぎかべに関しては、少しネタ的に扱わせていただいて、ディスカッションができればなと思います。
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