2024.10.10
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西村真里子氏(以下、西村):ではここから本編といたしまして、第11回目となるsight update sessionの「漫画×テクノロジー」を始めさせていただきたいと思います。
今までだいたいオフラインでやっていたイベントも、こういうかたちでデジタルになってきていて、本当にデジタルがどんどん進行しています。
そのような時代に、デジタルの機能面だけでなくて、漫画などのコンテンツ、もしくはクリエイティブみたいなところがやはり必要になってくるというところをテーマにTECH PLAYさんと考えさせていただき、非常に豪華なゲストの2人をお招きしたいと思っております。では最初に、ITエンジニア兼漫画家の千代田まどかさん、ちょまどさんお願いします!
千代田まどか氏(以下、ちょまど):はい、こんにちは! よろしくお願いします。
西村:ちょまどさん! その後ろの背景はもしかして。
ちょまど:Windows XPですかね。私はVistaからなので実は使ったことがないんですけど、すごく有名なやつで、Teams のバーチャル背景機能がリリースされた時に本社の人たちが一時期みんなこれにしていたから私もこれにしました(笑)。
西村:(笑)。ないんですね。私なんかはバリバリ使っていたので「あー、懐かしい」と思った。
ちょまど:ありがとうございます。
西村:今日はよろしくお願いいたします。
ちょまど:よろしくお願いします。
西村:よろしくお願いします。はい、今日のもう1名のゲストですけどiU学長、私も非常にお世話になっております。中村伊知哉さんです。よろしくお願いします。
中村伊知哉氏(以下、中村):よろしくどうぞ! こんばんは。
西村:というか伊知哉先生、名前がなんで「なんでやねん」なんですか?
中村:自分の名前出すの恥ずかしいから。
西村:(笑)。
中村:今日は「なんでやねん」でいきます。
西村:ちょまどさん! たまに恐れ多いかもしれないんですけど、伊知哉先生が何か言ったときには「なんでやねん!」とつっこむということでいきましょうか。
ちょまど:恐れ多い(笑)。
(一同笑)
中村:西村さん、僕新しい大学を始めたんですけど。
西村:iUですね。
中村:そこは「先生」を禁止にしたんですよ。
西村:え!?
中村:「先生」と呼んだら1回500円。
西村:え!? 500円!?
ちょまど:そうなんですか?
中村:というルールにして。
西村:まじですか。
中村:今日も「先生」と呼んじゃだめなんです。
西村:うわやばい! 気を付けよう。なら、どちらかというと「なんでやねん!」という感じのノリでいきますので、よろしくお願いします。
中村:お願いします。
西村:それではこのお二方に「漫画×テクノロジー」でお話を伺っていきたいと思います。まずは自己紹介をお願いしたいと思います。最初にちょまどさん、お願いできますか?
ちょまど:はい。スライドを作ってきました。
西村:モリモリな感じで! お願いします。
ちょまど:はい、ありがとうございます。今日は多くの方が初めましてだと思うので、改めて名乗りますと、千代田まどかです。千代田まどかで、よく「ちょまど」とニックネームで呼ばれています。私はゲーム廃人でして、休日は9時間から14時間ゲームをしています。
西村:まじか。
ちょまど:これはゴールデンウィークの5月3日、5月2日は14時間とか10時間で、これは3月かな?
西村:すごいねー。
ちょまど:9時間とか11時間とかやっていて、あとは『あつまれ どうぶつの森』のためだけに南半球用に新しくSwitchを2台目買った、みたいなことを最近はしています。
西村:すごいなぁ。
ちょまど:女子高に入学したら周りが腐女子だらけで目覚めたオタクです。腐女子です。2014年に新卒で入社したSIerは3ヶ月で退職しました。すぐに転職し、2社目はスタートアップ企業で、スマホアプリを開発するプログラマでした。この1社目はなんで辞めたかと言うと、環境も人もとても良い職場だったのですが、プログラミングが業務じゃなかったから、業務内容が私に合わないということで、辞めました。仕事でプログラミングをしたかったので……。
で、2016年に今の会社に転職しました。外資系 IT 企業。ああ、そう、大事なことなのですが、ここで私の発言は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありませんということを最初に言っておかねばなりませんね。今日はいっぱいオタク発言しますし(笑)。個人の発言です!
私はITエンジニア兼漫画家ということで、ふだんどういうことをやっているかというと、国内外でプログラミング関係の講演をしています。
西村:かっこいいよね。国内外なんだもんね。
ちょまど:そうですね。アメリカで何回かとシドニーと、台湾と、あとどこだろう。いろいろなところで英語や日本語で、こんな感じでライブプログラミングをしながらやっています。
西村:素晴らしい。
ちょまど:こんな絵を書いてます。
ユニティちゃんとか、あとは例えばAzure FunctionsというMicrosoftが出しているサーバーレスのクラウドサービスを説明する漫画を描いたやつがこれです。
漫画でわかりやすく描くのが好きで、あとはプログラミング言語を擬人化してJavaScriptちゃんがNode学園からコード学園に転校してきた話とか来ていました。Node 学園っていうのは、Node.jsというJavaScriptのとても有名なフレームワークがあるんですけど、それをもじってます。
西村:いいね。モード学園じゃなくてNode学園(笑)。
ちょまど:そうなんです。あとはいろいろな似顔絵を書いたりしています。
西村:すごい。
ちょまど:これはHoloLensを作ったAlex Kipmanを描いたりとか、似顔絵とかを描いてます。
ちょまど:今回はエンジニア兼マンガ家なので、なぜプログラミングに目覚めたかというと、大学に入学したときに「入学祝いにパソコンを買ってあげたわ。ペンタブも一緒に買ってあげたわ」と、お母さんが言ったんですね。
念願のMyパソコンを手に入れて私はこうなったんですけど。
文系の大学だったんですけど、「私の時代キターー!」と自分のサイトを作って。私は昔から絵を描くのが好きだったので、自分の絵を描いた絵を世界に発信したいと思ってサイトを作り始めて、そのためにプログラミングに触れました。
作るためにHTML、CSSをやって、この先からプログラミングかな? サイトをいろいろ動かしたくてJavaScriptを……まだ当時はJavaScriptがクライアントでしか動かない時代だったんですけど、JavaScriptをやり始めて、その後サーバ構築を学び始めました。
先に言うと、web サーバ自前運用は挫折しました。広告のないサイトを作りたくて、当時、CentOSのVMを立てて、そこにApacheを入れてWebサーバを立てるところまではいったんですけど、そこから運用保守やセキュリティの担保が大変だったので、結局、static なwebサイトをホストしてくれるだけの安価で便利なレンタルサーバーを利用することにしました。
西村:でもすごいやってる。
ちょまど:はい、サーバ構築の勉強しました。大学の専門はシェイクスピアとかを読んだりする英文学だったんですけど、PHPやPerlで掲示板の実装をして、そんな感じでずっとプログラミングをやっていました(笑)。
西村:素晴らしい! 幅広すぎる。すごい。
ちょまど:完全に煩悩のためだけにプログラミングを学びました(笑)。Twitterをやっていて、フォロワーさんがついに7万4千人を超えたので、ぜひ最近の公式アカウントもそうだし私のもぜひ見てねということで、私の自己紹介は終わりです。ありがとうございます。
西村:ありがとうございます。コメントが出てきて「絵がきれい」ってあって、もちろん絵もきれいなんだけど何で描いてる? 今もペンタブとかで描いてる? どういう環境で描いているかもちょっと教えてもらってもいいですか?
ちょまど:本当ですか? じゃあちょっとまたスクリーンをシェアしていいですか?
西村:もちろん。
ちょまど:これです。CLIP STUDIO PAINTでSurface ペンで使っています。今やっているのがSurface Laptopで描いています。ふだんはSurface Studioで描いてます。
西村:あのかっこいいやつですね。
ちょまど:そうそうデスクトップの。そんな環境で、ソフトはCLIP STUDIO PAINTというので描いてます。
西村:了解! さっきの自己紹介の1ページ目のやつで「あれMacや!」って(コメントを)書いている人がいて、「おや?」と思ったんだけども。
ちょまど:そうですね。あの写真を撮ったときはちょうどモバイルアプリ開発コンテストの審査員をやっている時で。iOSアプリを作るとき、アプリをパッケージングするときにXcodeが必要で、で、そのXcodeがMacでしか動かない仕様で。結果 iOS アプリ開発時は Mac でやります。もともとMacが大好きだったからたまにMacを使って、ふだんはWindowsで、いろいろ使っています。
西村:すべて個人の見解だもんね!
ちょまど:(笑)。実際Macも超いいですよ(笑)。はい、ありがとうございます。
西村:ありがとうございます。では次に、なんでやねんの伊知哉さん、自己紹介よろしくお願いします。
中村:ちょまどさん、かっこいいですね。
西村:かっこいいですよ。軽やかに素晴らしい!
ちょまど:いえいえ……(照)
中村:ちょまどさんみたいな人を育てたくて新しい大学を作ったので。
西村:「ここにいた!」みたいな。
中村:そうそう。だからぜひちょまどさんには、うちの客員教授をやってもらいたいなと思っています。
西村:まさかの公開で! すごいですね。
ちょまど:光栄すぎるんですけど。
中村:西村真里子さんには超客員教授をやってもらっているので。
西村:「超」が付いているので、ちょまどさんもぜひ。
ちょまど:ぜひ、ありがとうございます。
西村:コメントで「スカウト来たーー!」って書いてありますよ。
中村:僕は別に自己紹介をするほど中身ないんですけど、簡単に。
Popカルチャーとテクノロジー、PopとTechを融合した新しいジャンルを作るというのが自分のミッションでして、Popは音楽・漫画・アニメ・ゲーム・オタクみたいな領域の産学連携をする。それからTechはIT・メディア・AIみたいなデジタル系のプロジェクトを作る。
そうすることで、PopなPOWERを発揮しましょうと。日本の力を世界とシェアするという活動をしてきました。
最近は、そんなものを融合したPop&Techの特区というかまちづくりとか、クリエイティブとITを融合したちょまどさんみたいな人を育てる大学作りというのをやっています。町は東京都港区竹芝というところにPopTech特区のCipというのを作っていて、そこは漫画、ゲーム、ロボット、AIが集まるような、9月にそこは街開きします。
それから、クリエイティブとITの掛け合わせで、しかも学生全員がビジネスを起こす。全員が起業する大学「iU」をこの4月に作って、学校に就きました。
その中で、僕と漫画の関わりでいうと、漫画とテクノロジーはデジタルのかけ算が多いんですね。
例えば「デジタルマンガ キャンパス・マッチ」という、漫画家の卵を発掘してプロにするという人材育成プロジェクトです。国内海外のマンガの学校が138校、それから作品でいうと年に1,200ぐらい集まるんです。それで講談社、集英社、小学館などの漫画雑誌の50の編集部が参加をして、作家の里中満智子さんとかちばてつやさんが進めてきたというのがあります。
海外とやりましょうということで「海外マンガフェスタ」というんですけど、フランスやカナダなどの漫画の関係者の人たちと「漫画はどうやってデジタル技術を使っていったらいいですかね?」なんてことを進めてきて、そこには大友克洋さんとか浦沢直樹さん、松本大洋さんなどが参加をしていました。
本当タブレットが出た頃に「絵本もデジタルだよね」ということで、新しい表現を生みましょうということで「デジタルえほん」という分野を作ろうということで進めてきて、「デジタルえほんアワード」というのを7年ぐらいやっているんですけど、この間の3月に開いたときには34ヶ国から273の作品が集まりました。これはもう世界最大のデジタルえほんイベントに育ってきました。
これも漫画の影響だと思っているんですね。漫画は日本が本場で世界に広がりました。日本の漫画、アニメ、ゲームというのを愛する人たちを「オタク」と呼ぶとすると、世界各地でオタクイベントが開かれていて、9月にはパリのJapan Expoで20万人集まる。ロサンゼルスのAnime Expoは35万人集まる。それらを全部足すと世界の日本好きオタクイベントに集まる人は年に2,000万人いるというんですね。
その世界中のイベントの主催者はけっこう有名な大学の研究者がやっていて、MITとかスタンフォードとか北京大学とかオックスフォードとか。
西村:すごいですね。
中村:そんな連中をつないでネットワーク化して、総本山を東京に作りましょうということで、「世界オタク研究所」というのを作りました。
竹芝のCipに本部を置くということをして、そんなことばかりやっていますということで、そんなことを綴った本『超ヒマ社会をつくる』というのを出したので、最後は宣伝でおしまい!
西村:ありがとうございます!
すごいなと思うのは、1つのプロジェクトの規模がまちづくりとか大学とか、あとは国をまたいでみたいな、ものすごい経験値を持っている伊知哉さんと、ちょまどさんは自分のものづくりというところで、実際にプログラミングをして漫画も描いて、ちょまどさんはちょまどさんでグローバルに活躍している。
このような2人に、今日参加している人だったら全員漫画が好きというのを、誇るべき漫画を持ちながらちょっとうまく生かしてないんじゃないかなとか、漫画×テクノロジーを掘り下げていくとすごくいい強みが出てくるんじゃないかなというところで、今日はこのテーマにさせていただいております。
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