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パネルディスカッション(全4記事)

うちの社長、エンジニアのことわかってる? ITベンチャー4社が語る、開発チームのリアルな裏側 Part1

2019年7月3日、Qiitaが主催するイベント「開発チームのリアルな裏側、全部話しちゃいます!」が開催されました。「自分に最適のチームで、最高の仕事をしよう」というコンセプトを掲げ、エンジニアとチームをつなぐ転職サービスを提供する「Qiita Jobs」。Qiita Jobsを実際に導入する株式会社オープンロジ・株式会社プレイド・マイケル株式会社・freee株式会社の4社が集い、モデレーターに株式会社レクターの広木大地氏を迎え、開発チームの知られざる裏側を赤裸々に語ります。

開発チームの知られざる舞台裏

広木大地氏(以下、広木):それでははじめにパネラーのみなさんの自己紹介からしていただければと思います。よろしくお願いします。

五十嵐正人氏(以下、五十嵐):オープンロジのCTOをしております、五十嵐と申します。よろしくお願いします。

僕は今までいくつかベンチャーや新規事業などのゼロイチを中心にやってきていて、前職もスタートアップのCTOをやってたりしてました。

いろいろな規模の組織を見てきた中でいろいろな失敗もしてきましたが、その中では今のところ一番うまくいっている企業になります(笑)。

2014年のオープンロジの創業時からジョインして、そのときに代表の伊藤と2人で始めました。今では組織的には80名くらい、エンジニアが20数名くらいの規模でやっております。

基本的にRubyが好きです。プロダクトのコードを直接書くことは減ってきましたが、業務改善系のスクリプトなどはけっこう書いてます。よろしくお願いします。

(会場拍手)

原田邦彦氏(以下、原田):オープンロジの開発部マネージャーの原田と申します。よろしくお願いします。

書いてあるとおりなんですけども、もともと僕は、大手のERPパッケージベンダーに在籍し、基幹システムを作っていました。

ずっと業務システムの開発を続けてきて、そろそろ業務システムじゃなくてtoCとか、もうちょっと明るい世界の開発をしたいなと思っていろいろ転職先を探してたんですけど。

横路隆氏(以下、横路):うちは明るいです!

(会場笑)

原田:ということで見つけたのがオープンロジでした。今やってるのは倉庫側の管理システムや荷主側のシステムで、結局は業務システムを作っています。僕は業務システムが一番難しいし、楽しいところだと思っているので、今も引き続き「業務システム楽しいな」と思いながら開発しております。ということで、よろしくお願いします。

(会場拍手)

池上純平氏(以下、池上):株式会社プレイドの池上と申します。Datahubというチームに入っています。

略歴をいろいろ書いていますが、富士通という会社でSEをしたあと、1年半くらいで辞めました。富士通は16万人社員がいるらしいのですが、35人くらいのプレイドに入ったという。けっこうスタートアップの時期にバーンと入った感じのキャリアです。

開発もしていますが、エンジニアの採用やテクニカルサポート、セールスエンジニアなどいろんなエンジニアの働き方についての話をよくしています。

あと『しがないラジオ』というポッドキャストをやっています。勝手に広木さんをポッドキャスト仲間だと思って、非常に親近感が……。

広木:出たい。

池上:お、ぜひ(笑)。……そんな感じですね。あとはDatahubチームの中でも開発をメインでやっているというより、どちらかと言うとDatahubというのがビジネス向けに、お客さんが企業なので、企業に対して企業の中のエンジニアにどう使ってもらうのか、みたいなところをメインでやっています。今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

徳永貴大氏(以下、徳永):こんにちは。プレイドのSREをやっている徳永と申します。まず楽天に新卒入社しました。最初は「開発環境をめっちゃ良くする」みたいなミッションのチームで働いていました。

そのあと、KVSやファイルシステムを社内で作っていたので、そこにエンジニアとして入ったり。そのあともう少しtoCをやりたいなと思って、新規事業を2つくらい立ち上げたりしました。

そういうことをやって、だいたい上から下までやったなと思い、プレイドに2018年の2月に転職しました。プレイドではインフラ寄りのSREチームに入って、1年くらいですかね。ずっとSREをやっています。

楽天も大企業なので、1万人を超える企業から比較的小さいベンチャーに転職したことや、上から下まで全部経験している話もできればなと思います。今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

上田哲広氏(以下、上田):マイケル株式会社CTOの上田と申します。

私はエンジニア歴17年くらいになりますが、最初は組み込み系でフィーチャーフォンの開発をやっていました。そのあとWeb系をやるようになり、前職では弊社CEOの福山と一緒にMixChannelというティーン向けの動画アプリを作りました。現職で再び福山と一緒にCARTUNEというアプリを作りました。

アプリ側もサーバー側も両方やっていまして、機械学習以外のCARTUNEの開発全般を担当しています。バックエンドのサーバー側やアプリ開発に関して、なにか話を聞いてみたいという方はのちほどお話を聞きに来てくださればと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

横路:freeeの共同創業者でCTOの横路です。

freeeは7年目で最古参です。学生時代はP2Pの研究をしていて、新卒ではソニーで組み込みでカメラを作っていました。ARMのバグを引いて死んでいました。

どうしてこのビジネスをやっているかと言うと、実家がお菓子屋さんだったので、本当にスモールビジネスをやってる人が困っているのを見ていましたし、P2Pの思想ですよね。

大企業にスモールビジネスが負けるのって、やっぱりつまらないじゃないですか。スモールビジネスはかっこいいと。そういう社会を作りたいなと思ってfreeeをはじめて、今に至ります。

最近ではエンジニアも100人以上いるので、僕はどこか好きなところへ飛んで行ってなんとかしたり、「ここへ向かうぞ!」というビジョンを示したり、そういう仕事が多いです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

広木:どうも、広木です。よろしくお願いします。

もともとミクシィという会社にいました。今はレクターという会社で技術組織を良くしていくぞ、みたいなことをやっています。『エンジニアリング組織論への招待』という本を書いたんですけど。読まれた方っていらっしゃいますか?

エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

(会場挙手)

ありがとうございます。(会場のGINZASIXの)6階に……TSUTAYAがあるので。

(会場笑)

もし読まれてない方がいらっしゃいましたら(笑)。今日はモデレーターということで、みなさんけっこう転職先を探していこうぜ、みたいな雰囲気が出てます? 

今日はせっかくこういう会なので、裏話もいろいろしていきたいと思います。途中で質問も受け付けるので、僕も攻めてみますが、会場の人たちのほうが攻めれるんじゃないかと思うので、質問をお待ちしています。

社長はエンジニアのことをわかってる?

広木:では、最初のテーマに行きます。「ウチの社長、エンジニアのことわかってるな or わかってないな」という話を聞きたいと思います。

「あ、わかってます」って言っちゃったら、まあつまらないですよね。

(会場笑)

わかってないなっていうエピソードの中で「こう乗り越えてきましたよ」くらいの話は聞きたいところですよね。そこで衝突する部分もあったりするかと思うので、ここを乗り越えてきたよという裏側も含めて、いろいろ聞けたらなと思います

横路:うちは社長と2人で創業したんですが、プロダクトがないとそもそもビジネスが始まらないので、社長も一緒にコード書いてたんですね。そういう意味では、コードがわかる社長でした。

ですが、逆に良いコードがわかりません。まだ昔のコードが残っていたりして、GitHubで社長のコミットログを見つけて退治するのがみんなの快感になっています。

(会場笑)

あとは、もともとGoogle出身なので、エンジニアがちゃんとモノを作って、それで世の中を変えるというビジョンがあります。エンジニアリングを尊重してくれるので、すごくわかってるなと思います。

逆にわかっていないところで言うと、今はあんまりありませんが、昔はチャットでやりとりしてて。やっぱり絵文字の使い方がエンジニアと違います。「そこでその絵文字使うか。渋いな」みたいなやつとか。

広木:それはもう実家のお母さんへの指摘ですね(笑)。

横路:そうですね(笑)。あとは、エンジニアリングってROIがすごく測りにくいんですが、厳しく見ていくことが経営としてすごく重要ですがそこがわからないので、僕たちエンジニアリングチームがしっかりインプットしていかなければ、逆にエンジニアに甘々な会社になってしまいます。そこはしっかり僕らが手綱を握っていかないといけないな、というポイントです。ちょっとキレイ過ぎますか?(笑)。

広木:いや、大丈夫です。ありがとうございます。

わからないからこそ、全部任せてくれる

五十嵐:僕も横路さんと同じく創業からいたんですが、まったく逆ですね。社長はコードは書いていないので、エンジニアのことがわかってるかと言うと、これを言ってしまうと会社のイメージが悪くなってしまうかもしれませんが、まったくわかっていません(笑)。

逆にまったくわからないからこそ、全部任せてくれるところがあります。僕が前職を退職して次の会社を決める中でなぜオープンロジに入ろうかなと思ったかと言うと、「システムのことよくわかんないけど、全部任せるよ!」みたいな(笑)。「やってよ! お願い!」という感じだったからです。お声がけ頂いた中で一番アーリーだったということもありました。

そういう「全部任せるよ」っていう感じが、彼の性格やコミュニケーションを重ねていく上で見えたんです。それが逆にやりやすいかもなと思ってジョインしたら、やっぱりやりやすくて。それで、ここまでプロダクトを育てることができました。

いいことばかり言っちゃうとあれなので悪いところも話すと、お互い信頼ベースで任せすぎて、コミュニケーションが少なかったときがありました。そこでだんだんギャップが出てきて、横路さんが言ったようにROI的なところで本当にうまく回ってるのか。それってコストに見合っているのか? みたいなところは問題になりやすいですね。

なので、そこはどうやって説明してるかは、ぜひほかの会社の方の話も聞きたいなと思います。

わからないからこそ任せてくれるというのはすごくあります。逆に半端に技術のことが分かってしまうと、「え、それってそうじゃないの?」と不要に突っ込まれてしまうことがけっこうあると思うんですよね。そういったことがないのはやりやすいかなとは思います。

広木:なるほど。ほかに、これは言っておきたいという方?

エンジニア社長と働く

上田:うちもエンジニア社長で、創業のときは社長が1人で開発して、最初のアプリを作っていたりします。以前働いていたMixChannelでも一緒にアプリを開発していたので、エンジニア出身というか今もエンジニアです。

ただ、僕が最初にジョインしたときにやったことは、社長が作った最初のバージョンのアプリを全部捨てて、Flutterでアプリをリニューアルしました。

(会場笑)

そこはすごく任せてもらえているという感じです。サーバー側も、社長が作ったテーブル設計で気に食わないところがあるけどなかなか直しにくいというか、日々少しずつ負債を返済しているというのが今の所です。

アプリやサーバーサイドは僕のほうが得意なんですが、分析やSQLは社長がたぶん社内で一番書けるので、そこは今もやってもらっている感じです。エンジニア社長とCTOの僕で分担しながらやっているって感じですね。

広木:すばらしい。プレイドさんはなにかありますか?

オフィスデザインにGitHubを活用?

徳永:うちは社長の影響力がエンジニアにあんまり及ばないんですよね。

(会場笑)

二頭体制でやってるんですが、CPOの柴山がだいたいオフィスにいます。柴山はバリバリのエンジニアで、いまだにコードをガリガリ書いているような人なので、あまり社長とは関わらないというのがあります。

社長が、わかっているなって思うのは、めっちゃ合理的なところです。考え方が合理的で、エンジニアだったらこうする、みたいなことはだいたい社長が考えていることが多いですね。

わかってないなって思ったのは、このオフィスを作ったとき、机が特注品なんですよ。うちのデザイナーがデザインしたのを作ってもらってみたいなんですが、微妙にサイズが小さいんですよね。

(会場笑)

エンジニアはディスプレイやキーボードを置いたりすると狭いということが事前にわかっていたのでフィードバックを入れたんですが、「コミュニケーションを密にしたい」みたいな理由でこのままのサイズになってしまって。ちょっとそこはわかってないなと思いました。

(会場笑)

ただ、ちょっと言っておくと、そういう不満や理不尽なことがあると、わりと誰でも社員が変えられます。例えばオフィスでいうと、「オフィスリクエスト」っていうGitHubのリポジトリがあるんですよ。

オフィスを作る会社と定期的な契約をしているので、常にアップデートされるオフィスになっています。不満を自分で解消できる仕組みがあるので、不満に思ったら自分で変えることができます。

横路:オフィスのデザイン会社がGitHub issue見てくれるということですか?

徳永:そうです。

広木:すごいですね、それは。

徳永:最初は自販機がなかったりしたんですが、どんどんみんなのアイデアベースでアップデートされます。そういうことはわりと自分たちで勝手に変えていけます。

広木:なるほど、いいですね。

横路:あんまり詰め込みすぎると大きなモノリスになりそうですね。

徳永:そうですね(笑)。

広木:そこはうまく建築家というかリアルアーキテクトが。それはおもしろいですね。

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