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ゼロタッチ革命~変わる買い物体験を支える、小売のビジネス変革~(全4記事)

不正や物理攻撃のリスクは? 無人コンビニ「600」のセキュリティ事情

2019年7月2日、株式会社ソラコムが主催する日本最大級のIoTカンファレンス「SORACOM Discovery 2019」が開催されました。2019年は「IoTを超えて」をテーマに、IoTの最新トレンドやビジネス活用事例、IoTプラットフォームSORACOMの最新サービスを紹介しました。今回は、「ゼロタッチ革命~変わる買い物体験を支える、小売のビジネス変革~」と題して、小売のビジネス変革とそれらを支える技術、今後について意見を交わすパネルディスカッションの模様をお届けします。本パートでは、登壇者たちが会場の参加者から寄せられた質問に答えました。

オフィス向け無人コンビニ600のセキュリティ対策とは?

長谷川秀樹氏(以下、長谷川):はい。そろそろ時間も終わりになってきました。いろいろと示唆に富む話も多かったので、会場からも質問があれば、1個か2個、取り上げたいと思います。どなたか、質問がある方いらっしゃいますでしょうか?

「あのへん、どないなってんねん?」とか、どんな感じでもいいんですけれども。お三方のどなたかに質問はありませんか? けっこう質問が出るかと思っていたら、意外と……(少ないですね)。あ! どうぞ。

質問者1:(オフィス向け無人コンビニの)「600」の久保さんに質問ですけれども、セキュリティや盗難などがすごく気になるんです。何かあったら、やっぱりセキュリティとか飛んでくるんですか? それに、コストがどのくらい掛かっているのかをお聞きしたいです。

久保渓氏(以下、久保):はい。セキュリティに関してなんですけれども、弊社の場合、最初にクレジットカードをスワイプしていただき、そこでトークン化した情報、いわば認証を取っているので、それをユニークIDとして、どなたが鍵を開けたかすべてわかるようになっています。

その人がどういう振る舞いをして、どういうものを買ったか。システム的に、どの時間帯で、商品在庫との差分が生まれたかも見ています。そういったデータを突き合わせると、変な動きをしている人がいれば検知できます。

クレジットカード自体も、本当は使えるカードでも、(なにか怪しい動きをするようであれば)カードの認証を落とせば、そのカードでは開かなくなります。

わりと鍵と同じような条件で、決済情報としてもクレジットカードを使っているんですけれども、認証情報としてもクレジットカードを使って、ユニークIDというか、その人が信頼できる人がどうかを担保している仕組みになっています。

無人コンビニの中には現金が入っておらず、転売にも不向き

質問者1:ありがとうございます。ちょっとついでになってしまうんですけど。私が思ったのは、クレジットカードはそこまでの信頼性や安全性を持っています。(紹介していただいた画像は)ビルの中だったんですけれど、だんだんと一般のところに置くようになった場合、暴漢やヤクザが物理的に壊してしまうような、そういうところのセキュリティ対策も必要になってくるんじゃないかと思ったんです。

久保:そうですね。物理的なセキュリティでいうと、自販機が先行していて、すでに歴史がありますね。それ(自販機)に比べると、弊社の「600」の場合には、そこにお金が入っていないんですよ。実際の消費財、例えば100円から260円くらいのポテチとかを売りさばく転売って、かなりコストパフォーマンスが悪いです。

そういった意味で「お腹がすいてしまって万引き」というようなことはあるかもしれませんが、転売目的での業者間での大規模なATMの強奪のようなものに比べると、セキュリティリスクはそんなに高いものではないかなと思っています。

質問者1:ありがとうございます。物自体の単価が安いので、(リスクは高くない)ということですよね?

久保:そうですね。また、経済的にも転売の価値が低いし、屋外も含めて「自販機」という主流のモデルがあるので、そこから学べば(対策に)そんなに突拍子もないようなソリューションが必要だとは思っていないということです。

ソフトウェア会社なのに回路が書ける社員が4人も在籍

長谷川:もう一方だけ、そちらの方が手を挙げられていたかと思うのですが。

質問者2:横田さんにおうかがいしたいんですけれど、(Developers.IO CAFEを立ち上げるうえで)内製をそれだけ速く回せたことは、個人の力がだいぶ大きいのかなと思っています。ソフトウェア屋さんなのに、基板を書ける方がいらっしゃったことが大きいかなと思っています。

1人からそんなに広げられるのって、学習する側の能力も高くないとできないかなと思うんです。結局、どのぐらいの人数がハードウェアを触るようにしていらっしゃるんですか?

横田聡氏(以下、横田):結果論で言うと、回路が書ける人間が4人ぐらいいました。

質問者2:4人もいらっしゃったんですか!?

長谷川:たまたま?

横田:たまたまです。それも最初から募集したんじゃなくて、「この体験を実現させるのに必要そうなテクノロジーを考えて、自分が持っている技術をお披露目してください!」と言ったら、翌日にはあんな感じでできるんですよ。なので、「回路を書ける人はいますか!?」とは聞いていないんです。たぶん、いなかったらいないなりになんとかなっていたと思います。

社員の自発的な協力に感動

質問者2:4人の方以外もやり始めたということはあるんですか?

横田:回路は書けないです(笑)。

質問者2:じゃあ、回路の部分はその4人が受け持っているんですか?

横田:そうですね。ある日突然、手書きの回路図がチャットにアップされて、「なんだこれ?」と思っていたら、(投稿者以外の)他の社員がレスしたんですよ。それに一番驚きました。

質問者2:すごいですね。

横田:今までずっと、クラウドやモバイルのことを書いていたのと同じスレッドに回路図がペッと貼られて、「たぶんこういうことだと思うんですけど……」「いや、そうじゃないんじゃない?」というレスが来ました。感動しましたよ。

質問者2:ありがとうございます。

長谷川:はい。では、時間も3分ぐらい過ぎたところで、今回は終わりにしたいと思います。お三方に拍手をお願いします。

(会場拍手)

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