2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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Ritesh Agarwal氏:ありがとうございます、孫さん。ここに来られて本当に光栄でございます。私にとってすばらしい機会です。SoftBank Worldはもう、世界でも最先端の会議で、まさに水晶の玉を眺めているようです。こんな機会はなかなかありません。
私個人としても、今、この会場で歴史がつくられていると感じています。そして今、世界中で起こっている革命のど真ん中にいることをうれしく思っています。
私が会社を創設をしたのは5〜6年前です。そのとき、ある目的を持っていました。孫さんが以前プレゼンしていましたが、馬車をより良いものに改良するだけではなくて、基本的な変革をする。つまり、自動車を作るという発想の展開です。
そのような発想の転換・変革を、32億人を超える人々に提供し、美しくすばらしい居住空間を提供できないか。つまり、銀座やニューヨークのアッパーイーストサイドだけに住む人たちが、なぜ良い暮らしをしなければいけないのか。20億人以上の中間層の人も良い暮らしをしてもいいじゃないか。そういったことから我々は、このような豊かな暮らしを32億人に提供しようと思ったわけです。
一方、東京の浅草にいようと西日暮里にいようと、ベイズウォーターとかパディントンにいようと、世界の97パーセント以上は小さい建物です。150室未満のホテルです。
そして、こういったホテルを買うホテルはいません。ホテルチェーンは150室以上の物件しか買わないんです。ということは、つまり市場の97パーセントを誰も使おうとしない。これもアンフェアです。
近くのホテル、小さなホテルが大手と競合できないというわけではないということで、一般の方々に美しい居住空間を提供すると同時に、空室となっている建物の競争力を高め、そして大手のホテルチェーンと肩を並べるぐらいにしたい。これが我々の旅路です。
これによって、私どもは110万室以上を、OYOのホテルルームとして提供しています。そして、85万以上のホテルと民泊の施設を80ヶ国で提供しています。ヨーロッパ、北米、東南アジア、アジア。当然中国、インドにもあります。実は中国でもトップ2のホテル会社になりました。
そこで大きな疑問があります。我々のような6年前にまだ存在していなかった会社があって、一方ほかのホテルチェーンは30〜100年以上の歴史があります。創設してからたった5〜6年で、どうしてOYOはこれだけ大きな変革を遂げられたのか? それが私が今日話したい変革の秘訣です。
多くの方はたぶん、OYOという名前を聞いたことがあると思います。例えば、コンシューマプロダクトとか、資産とオーナーとの関係がすばらしいなどの話がされていますが、まずは変革の秘訣を聞いてください。
AmazonはよくDay1と言われます。私は「OYOはDay0」と言っています。アジリティが必要です。基本的にビジネスの考え方を発想を転換して、世界に大きな違いを生むためです。
ということで、OYOが特別になった変革の秘訣、これを5年間一生懸命育ててきたことについてご紹介していきたいと思います。
まず第一に、私どものほうが、ほかのどの既存のホテルブランドよりも速いです。何が速いか? それは、潜在的な稼働率、そして潜在的なIRR(内部収益率)、ROCE(使用資本利用率)などを決定するペースが早いです。
だいたいホテルチェーンというのは、1つの資産のこういったメトリックを決めるために6〜12ヶ月かけます。そのためにコンサルタントを採用します。コンサルタントがそれだけ知識が高ければ、彼ら自身がホテルを運営すればいいわけで、そうはしていない。
OYOはそうではなくて、数億というデータポイントを使って、このデータをリアルタイムで予測し、そして5日間以内で契約を行使することができます。これはほかのどのホテルチェーンよりも36倍早いです。
私どもは9万以上の客室を30日ごとにオープンできています。毎晩寝るとき、3,000の新しい部屋が、OYOのホテルチェーンに生まれているということです。データポイント、OYOのAtlas、それから近隣データ、そして多くの私どもが作ってきたオンラインのデータのネットです。
どのホテルでも270〜300ぐらいの追加の宿泊数が稼げます。これを2万のホテルで毎晩やったらどうなりますか? それだけ36倍の効率アップにつながっているわけです。このようなテクノロジーが提供できます。
しかし、それだけでは十分ではない。OYOはさらに先進的なデータサイエンティストを使って、どのようなインテリアデザインが稼働率アップにつながるかいうことを、どの地域でも計算しています。
どの色の塗装、どの色の絵画などが稼働率を上げられるか。例えば、マリリン・モンローの写真をかけることで、12ドルぐらいRev PAR、つまり稼働率が上がるそうです。
これはNetflixと似ていますね。どのような俳優が視聴率を稼げるかということです。同じようにOYOも、どのようなインテリアデザインが稼働率アップにつながるかがよくわかっているんです。これを予測できます。
これがアメリカのダラスにあります、私どもの資産です。左側が以前、右側がOYOホテルになってからです。
アメリカのホテルは照明が暗いんです。あまり清掃をしていないので、暗くしておきたいわけですね。我々は清掃をより良くしました。そして、照明も明るくしました。
そのプロセスの中でホテルの稼働率が18パーセントから90パーセントへと上がりました。そのあとも90パーセントをずっと維持しています。これが我々が世界のほかの地域の100万以上の客室で実現したことです。
オペレーションも改善しました。例えば、もっと仕事をすれば、あるいはよりスマートな仕事をすれば、昇進して時間単位の労賃も上がります。ところが、客室清掃のスタッフは8時間あたりで同じ料金でした。
それを変えようということで、客室清掃員はOYOのホテルでは客室清掃のアプリケーションを導入しました。どの部屋を清掃したらいいのかがわかる。その部屋を清掃したら、2.5倍所得が上がります。このように私どもは価格を1日で5,000万回変えます。
デバイス、それからサーチをしている場所。どの場所や目的地をサーチしているか、そのほかのいろいろなデータの回帰を使って、最善の製品を最低の価格で、どの地域を提供できます。
60秒ごとに価格が4万3,000回変わります。そして、1秒あたりに730回、価格を変えられます。これがデータ回帰の成果です。
私どもはサプライの取得、回収のためにデータサイエンティストを使っています。孫さんがおっしゃったように、インテリアデザイン単位の利回りの予測というのは、以前デザイナーがやっていました。たぶんそのデザイナーはミッドマーケットのホテルに宿泊したことがないのにも関わらず、若い人の好みを予測しなければならない。
ところが私どもは地域単位で若い人の好みを予測できます。どの資産を買うか、それからベストな回収もできるし、オペレーションでもベストである。またそれを埋める稼働率アップのうえでもベストです。これがAIによって実現できた4つの能力であり、結果としてOYOがこれだけ伸びました。それもかなり短期間で。
でも、私どもの望みはこれだけではありません。最終的な望みは、ホテルチェーンとして世界最大のリーダーになることです。
また過去15年間で、人類最速で発展した成長した会社です。でもそれだけでも十分ではありません。一般の方々に対して、世界中どこでもより豊かな生活を提供したい。
私は25歳です。75歳でリタイアしたとき、つまりあと50年間で32億人の方々に、良い居住空間を提供できればと思っています。そのためにも、ここにいらっしゃる友人の方々とみなさまのサポートをぜひよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
(会場拍手)
孫正義氏:考えられますか。あと2〜3ヶ月で世界最大のホテル王になるんです。まだ20……25歳ですか? 26歳ですか? まもなく26歳になる。まだ25歳ですよ。それで世界最大のホテルキング。こんなの人類史上で初めてですね。
大きな財産を親から受け継いだわけでもなんでもなくて、まったくのゼロから始めたわけですね。もちろんソフトバンクが途中でちょっとお金を入れたと(笑)。そういうこともありますが、すごいことです。これから先が大変楽しみであります。
【全文1】孫正義氏 ソフトバンクワールド2019 基調講演 世界の未来を予言する、データという名の水晶玉
【全文2】孫正義氏が未来への大胆提言「AIは予言に使うべき」ーーソフトバンクワールド2019 基調講演
【全文3】孫正義氏も驚いた、あと3ヶ月で世界最大のホテル王になる25歳の青年ーーソフトバンクワールド2019 基調講演
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