2024.10.10
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田中耕太郎氏(以下、田中):それではパネルトークの第一部として、自己紹介とチーム紹介から始めさせていただきます。よろしくお願いします。
(会場拍手)
はい、それではパネルトークの第一部をスタートします。まずはAbemaTVの阿部さんからよろしくお願いします。
阿部昌利氏(以下、阿部):「AbemaTVデータテクノロジーズ」の阿部です。社会人9年目の32歳です。
実は私は文系出身で、大学院では心理統計学を学んでいました。その後いくつかの会社を経て2018年にサイバーエージェントに入社し、AbemaTVの広告部門のデータサイエンティトを経て、今に至ります。
事前の質問で「分析チームはどうやって起ち上げればいいのか」という質問を頂いているのですが、これに関しては別に記事があるのでそちらをご覧ください。他には「分析チームのプレゼンスを上げるためにはどうしたらいいですか」という質問も多く頂いたのですが、私の策は2つあります。
1つ目は業務に役立ちそうな分析結果をトリビアとしてみんなの前で発表すること。みんなの前で発表するとなると、わかりやすくて、意味のある結果をアウトプットすることを自然と目指すので、プレゼンスも高めやすいかなと。
もう1つは、これまで私は広告部門にいたので、なるべく営業メンバーとの交流を積極的に持ち、分析チームのメンバーとの潤滑油になることを意識しています。気軽な相談が増えると、課題発見しやすくなりますし、何ができるかも伝えやすいので、できるだけ声をかけやすいチームであることを心掛けています。
田中:はい。チーム体制など、ほかにもありますか?
阿部:チーム体制ですが、先にこれまでの話をします。AbemaTVにはいくつか部門があって、その中の広告部門にシステム開発をするチームがあり、その中にデータサイエンスグループがあります。
私ともう1人の2人体制で1年半程やっていたのですが、この春に新卒2人が加わりました。そしてちょうど来月6月から、「AbemaTV データテクノロジーズ」という新しい組織が発足します。
「AbemaTV」は今年の4月に3周年を迎え、4000万DLを突破しました。スマートテレビの普及率も上昇し、この先より多くの世代の人が見てくれるサービスにしていくために、この3年間で蓄積したログをより活用すべく設立した組織です。
実現したいことは大きく2つ。1つは「データ活用による意思決定への貢献」、もう1つは「統計的なモデルによるプロダクト改善」です。前者はテレビ編成や番組調達の在り方をデータで導く事で、よりユーザーが集まるようにサービス運営したいと考えています。後者は、レコメンド精度の向上を初めとしたユーザ導線の最適化など、データを活用してビジネスインパクトを生めるテーマがたくさん存在します。
弊社には、社長に直接やりたいことを提案する「あした会議」という場所があるのですが、そこで「やらせてください」と提案したところ、やれることになりました。
ですから、これまでは2人から4人の規模でしたが、6月からは10人の組織へと拡大します。内訳としては分析のディレクションをするアナリティクスディレクターが3人いて、アナリスト寄りのサイエンティストが3人、MLエンジニア寄りのサイエンティストが4人です。
取り組むのはAbemaTV において横断的に解決すべきお題です。例えば広告売上アップなどの、経営陣が課題と認識しているお題がいくつかあって、それに関して取り組んでいくというようなスタイルです。チームとしては、毎日ミーティングをしながらも、それぞれを各お題に取組むようなイメージです。
田中:ありがとうございます。
(会場拍手)
田中:では次、freeeの鎌田さんお願いします。
鎌田真太郎氏(以下、鎌田):はい、よろしくお願いします。freeeでAnalytics Groupという分析チームのマネージャーをしている鎌田といいます。
僕は今の会社が3社目でして、僕も最初は分析ベンダーにおりまして、次の事業会社で分析をやっており、今の会社に来たのは2年前くらいです。
一貫して分析のキャリアを歩んでいるという感じです。僕も文系出身であり、もともと商学部で金融などをやっていました。データマイニングと当時は呼ばれていましたが、そうした学問に出会って、これを仕事にできればおもしろいと思っていたところ、たまたまご縁があって、この業界に入れてもらったという感じですね。
もともとはずっとプレイヤーでやってきて、いろんなデータを分析してきたのですが、今の会社に来てからは分析部門が独立していなかったので、そこの立ち上げからやらせてもらっています。最初は3人のチームからスタートして、今はインターンを含めて8人くらいです。
今後も増やしていこうといったフェーズになっています。チーム作りをしながら、あとはこの間もデータの民主化について違うイベントでお話をさせてもらったり、あとはうちのプロダクトがサブスクなので、サブスクのメトリクスの分析もやっていたりといった感じです。はい。
……こんな固い感じで大丈夫なんですかね。もうちょっとおもしろい感じの方がいいのでは。
田中:はい、おもしろくしていただいた方が(笑)。
鎌田:そうですよね。うちの会社はざっくりと3つの部門にわけられまして、ビジネス系のマーケティングやセールス、カスタマーサクセスなどをやっている部門が1つと、プロダクト開発しているエンジニアの部門とコーポレート系の部門とがあるのですが、うちが所属しているのはその中でも独立性が強いプロダクト戦略部というものが今年になってできました。
そこの中の1グループとしてやっています。メンバーは今、6人。インターンを除いての数字ですね。だいたいざっくりアナリスト系の仕事をしている人が3人くらい、エンジニア、マシンラーニング系の仕事をしている人が1人、基盤系に行っている人が2人くらいといった感じで、かなりバランスよくやっている。
この人がこの仕事という垣根は今、まったく作っておらず、クオーターや半期くらいでプロジェクトの掛け持ちをしてみたり、あるいは新しくチャレンジをしてみたりということもできる環境で仕事をしています。
仕事の進め方としては、プロジェクトごとに各部署の人たちと一緒に共同していくという進め方が多く、例えばユーザー数を増加させたいといったプロジェクトが走った場合は、探索的分析のところだけに深く入り、データを回しまくるというようなお手伝いの仕方もあります。
「来年1年はどのようなKPIを追えばいいと思う?」といったデカい弾が飛んできたときには、分析を回しながら理論も押す、といったところから始まって、最後の可視化やPDCAを回すところまで担当させてもらいます。
あるいは予測モデルを作るとき、問題自体はかなり特定されているので、そこの部分はサイエンスの部分だけガッツリやるといった感じで、プロジェクトごとに入り方の濃淡をわけながら、仕事をしています。
田中:はい、ありがとうございました。
(会場拍手)
田中:では、最後にメルカリの松田さんお願いします。
松田慎太郎氏(以下、松田):松田と申します。よろしくお願いします。
まず私の略歴ですが、新卒でブレインバッドという分析コンサルティングの会社に入社し、アナリストをしていました。
メルカリでの仕事内容としては、初めはメルカリUSの広告やCRMの分析に1年以上携わりました。その後、日本のアプリの分析に移り、そこでカスタマーサクセスやアプリグロースの分析をしつつ、分析チームのマネージャーをやっております。
freeeさんやAbemaTVさんと比較したメルカリの分析チームの特徴として、ビジネス寄りのアナリストが多いという点がありそうです。
そもそもチームとして掲げているテーマが「ファクトを用いて意思決定をスムーズに」というものですし、チームに10名ほど所属しているのですがほとんどビジネス寄りアナリスト + BIエンジニア1名という内訳であり、機械学習エンジニアは別チームになっています。
またチームは組織図上、「プロダクト」というメルカリアプリを作る&改善する大きな組織の中に入っているので、アナリストの大きな意味でのミッションもメルカリアプリを良くすることです。なので、メンバーもメルカリアプリが好きだったり、自分なりの考察を持っている方が多いですね。
実際の仕事内容としては、依頼ベースで動くのではなく、他チームの中に入り込んで目標設定をしたり、戦略を描くことを重視しています。
これはチームミッションが「ファクトを用いて意思決定をスムーズに」にであることに通じています。
田中:以上ですね。ありがとうございました。
(会場拍手)
田中:それでは、自己紹介とチーム紹介が終わったところで本題の方に入りましょう。今日はこの中から、いくつか取り上げたいと思います。
最初にどうしても取り上げたいものがありまして、「どんな候補者を求めているのか」です。各社でスライドを用意しているので、それを元にお話をしていきましょう。
それでは、阿部さん、お話いただけますか。
阿部:そうですね。そもそも、私がこのチームを起ち上げる時にイメージしていたのが「分析戦隊を結成したい」ということで、戦えるメンバーが欲しいという前提がありました。それがあった上で、どういったタイプの人が欲しいのだろうかと要素を考えたときに、対比する形式で表したのがこちらです。
市場的には右側のタイプも多いかなと思いますが、我々としては、左側の人を求めています。
あとはそもそもデータが好きであってほしいと思います。データに感動できて、データで感動させたいという部分で、仕事のモチベーションが持てるタイプを求めています。
田中:データが好き、にもいろいろとあると思いますが、何をもって「好き」と判定してますか?
阿部:そうですね。まずは学生時代に、かなりデータに触れてきたという人で、かつその上で分析の仕事を選んでいる人というのは、もう好きだろうと思っています。やっぱりそうした研究室に所属していても、実際仕事として選ぶ人は1割から2割くらいだという肌感覚があります。そういう人が「データが好きだ」と言えば、もうほぼ信じていますね。
社会人で初めてこれからなりますというタイプの場合だと難しくて、ただそれでも、仕事の中で自分で勝手に分析している、ついやっちゃう、考えちゃうという人は、データが好きだと判定していますね。
松田:この中で重視すべき項目はありますか?
阿部:この上の表でいくと“分析完了タイミング”は重要視しています。我々にとって分析とは、意思決定を下すためのものであることが多いです。で、分析を終わらせるためには、意思決定者の立場に立ったとき、どういう材料が判断に必要なのかを判断して、ストーリー立てて分析を進めることが必要になります。そうした分析への志向が強い人を求めていますね。
松田:そこが重要な理由は、スピード感を重視しているからでしょうか。
阿部:そうですね。スピーディーにPDCAサイクルを回すためにも、どこかで区切りをつけなければいけない。ではいい区切りの付け方というのは何だろうと考えられることが重要、という背景もあります。むしろその背景は大きいですね。
鎌田:僕からもいいですか。分析習熟方向を広くと書いていらっしゃいますが、広くというのはどんなイメージですか?
阿部:これは、ある程度ビジネスインパクトが大きいテーマを選ぶと、自然と使わなければいけない分析手法はいろいろと幅広くなると思っています。
自分の分析手法ありきで、課題解決するよりも、「答えを出したいものはなんだっけ?」に対して「一番いい方法はこれじゃないかな?」と進めていくと、自然と分析の引き出しも広くなっていくというイメージです。
田中:ありがとうございます。
田中:では、次の方が求める人物像についてお聞きしたいと思います。次はメルカリですね。
松田:メルカリも表を用意してみました。
松田:まず前提として、メルカリでは意思決定したいことがたくさんあります。
アプリを早く改善したいという思いが強い会社で、やりたいことがたくさんあります。ですがリソースの制約があるので、優先順位が必要です。優先順位をどうやって決めるのかというと、メルカリはデータ・ファクトに基づいて決める社風です。
企画を出しても、結局それでどれぐらい、なにが変わるのかを説明することが重要です。なのでアナリストは重要です。
このような背景の中で、アナリストの仕事のフィールドは先ほども申し上げましたが、プロダクト改善の組織です。なので、メルカリというアプリが好きだ、プロダクト改善のPDCAを回したいというような方が向いていると思います。
実際の業務で重視しているのは、ものごとの考え方を提案することです。僕らは分析のフレームと呼んでいます。
例を挙げると、顧客セグメントの作成もフレームの一部です。これが重要な理由は、メルカリの仕事は「初」が多いからです。
基本的に過去の他社事例を探索しても、メルカリにはそのまま当てはまりません。CtoCのアプリの中で、日本で一番ユーザー数が多いというシチュエーションはかなりユニークです。なので、どうすればいいのか誰も正解を知らないので、自分で考える必要があります。
こうしたフレームを考える = 「考え方を考える」ことが好きな方には、メルカリでアナリストとして働くことはとても向いています。あと、Abemaさんと似ていますが、武闘派を求めています。
どういうことかというと、僕らの仕事は意思決定を進めていくことなんですね。意思決定とは、スタンスを取ることです。「AとBの選択肢がある。僕はAだと思う。理由はこういうファクトがあるから」と、どっちつかずでなく自分の意見を表明することが必要です。そしてもちろん、最終的に大切なのは自分の意見を通すことではなく、議論を通じよりよい方向に持っていくことです。
この「スタンス取れる人」という意味で武闘派という言葉を使っています。
田中:なるほど。ありがとうございます。
阿部:いいですか? 話し合いでより良い方向を目指すのが中心であれば、別に戦うとか、武闘派までいかなくてもいいんじゃないかと。その点いかがでしょう?
(会場笑)
松田:これは僕の好みが出てますね。
(会場笑)
阿部:松田さんが戦ってこられたという、なにか経験がある感じですかね?
松田:アナリストの組織は、ともすると存在意義がふわっとしがちだと思うんですよね。僕らが存在価値を証明していくんだという意思は必要だと思っていて、しっくりくる言葉を探していたら武闘派になってしまいました(笑)。
(会場笑)
田中:そうですね。メルペイの中では、「配慮はしつつも遠慮はなく」という言葉があります。
鎌田:僕からも質問です。分析のフレームというのは、すごくたくさんメルカリさんのBIチームを作って、あちこちで発表をされたりしていると思いますが、ああいったものはみんなでどんどん作っていくんですか? それとも個人でどんどん作ってアップでやっているのですか?
松田:基本は個人作成ですが、BIチーム内で揉んだりもします。まず、なぜ基本は個人作成かといえば、メルカリBIはそれぞれ別のプロジェクトに従事しているからです。例えば、「僕は『売上を上げるぞプロジェクト』で有効なフレームを作ろう」「私は顧客満足度プロジェクトで有効なフレームを作ろう」という意識が働くわけです。
でも、1人で正解のないことを考えていると迷うシーンってありますよね。その時はみんなでブラッシュアップします。個別での壁打ちもあれば、週一でアナリストみんなが集まる会議があって、そこで当てることもあります。
田中:ありがとうございます。
田中:それでは最後に、freeeさん。こちらになります。
鎌田:ありがとうございます。そうですね、やっぱり難しいことや、新しい挑戦を楽しめる人です。分析の仕事というのは、どんどん技術が変わっていきます。freeeも、有効な手段であったり、組織体制であったり、3ヶ月単位で変わっていくので。次から次へと新しいことがやれるという、そこを楽しめる人じゃないとおそらく辛いと思います。
例えば、かなり満足がいくまで勉強して、資格が取れたと。なにかの結果を残して、いざ一人前だというようなことをやっていると、その頃にはもう下手したら技術が陳腐化しちゃっていたり。そのフレームが通じなくなっていたりすることが多いと思います。
でも、新しいことが好きな人はすごく合っていると思います。分析でサクッと数字を出すだけで答えが出ると言うことはあまりなく、だいたい数字が出たところがむしろスタートラインだと思っています。
数字が出たあとで、ビジネスであればそれでなにをするのか、どうするのかということを決めていったり、解釈の仕方を相談したり。1つとっても簡単なことはなかなかない。次から次へと難しい問題が出てきます。それを楽しく解いていける人が、分析チームには合うのだと考えています。
松田:鎌田さんが実際に、これは難しかった、これは新しかったと言うように思った例は何かありますか?
鎌田:新しいものでいくと、そうですね。僕がこのキャリアに入ったときには、なんかSPSSがすごく流行っていた時期で、でも今SPSSを使っている人はおそらくあまりいない。Rが流行って、次はPythonになってといったように、2.7が3.2へ、最近ではJuliaが出てきてというような技術新興は、やっぱりすごく新しくて楽しい。
それが出た瞬間に、業務によってぶっつけで試せるというのが、この仕事の醍醐味と言うか、新しさですよね。
松田:難しさというのは?
鎌田:難しさで言うと、やっぱり抽象度が高い系のお題はすごく難しいですね。今の会社の場合、「全社のKPIを作るぞ」という感じでがんばりましょうと言ったら、全社KPIを作ること以外はなにも決まっていなかったと言うような。
(会場笑)
そうした、本当に抽象度が高すぎてどうすればいいのかというところから始まることもありますね。まあ、なにか大変大変と言いながら楽しむスタンスでした。
田中:誰もやったことがないタスクが、かなり発生しているという感じですか?
鎌田:そうですね。めっちゃ根っこでいいますと、もともとfreeeは分析チーム自体が独立して存在しておらず、そこに対して分析チームを独立して作った方がいいよねというところから作っていったので、すごく抽象度も高いし、上司を誰にしてどこの所属にするんだと言うようなところからぶつかっていったのが、めちゃめちゃ難しくて。日々そんなものばかりですね。
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