2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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伊藤明子氏(以下、伊藤):ご紹介にあずかりました、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の伊藤でございます。今日は遊休不動産活用の分科会にお越しいただき、大変ありがとうございます。
空き家がいろいろなところで非常に話題になっておりますので、このメンバーで、どのようにその仕組みができるかという話をしていきたいと思います。
では、まず私から(こちらのスライドにある)空き家問題の状況についてざっとお話しした後に、勝さん・森さん・渡辺さんに、自己紹介がてら今の取り組み内容について、それぞれお話しいただきます。そのあと仕組み化について、具体的にどのようなことが課題で、どのようなことをやっていけばいいかを議論していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、私の自己紹介をします。今、まち・ひと・しごと創生本部事務局で4年目で、ちょうど創生期のとき、2年間おりました。それから、私はもともと国土交通省(旧建設省)に入っておりまして、そちらに戻って住宅局の審議官をやったあと、住宅局長をしました。
そして、また2018年7月末に、まち・ひと・しごとのほうに戻ってきて、地元創生の話をしています。そういう意味では遊休不動産活用、いわゆる空き家問題については、むしろ前職の時には制度のほうからやっていました。まず一番初めのところで、簡単に空き家の概観についてお話しします。
今、人口は当然減っています。今日、片山さつき大臣がお話ししたとおり、人口が集中するところがあれば、もちろん人口が少なくなるところもあります。そうすると、ストックで減っていくところがあれば、余ってくるところも出てくるということが1つあります。
空き家については、使えるものと使えないものに関わらず、だいたい820万戸の空き家があります。それから、空き家と言っても、公共施設も含めて高度経済成長期の人口が多いときに、みんなが合わせて作っていて、これがだんだん老朽化している状態でどうしていくかという話にもなっています。
伊藤:そして、空き家には「空き家法」(注:空き家の放置によって発生するさまざまなトラブルを解消し、空き家の活用や処分を後押しするための法律)というものがあります。
「空き家」と書いてあるのですが、「家」とは別に住宅のみではなく、建築物も含めて空き家対策の対象になります。これについては、どちらかというと活用というよりは、むしろ地域にとって困ったことがあるので、壊していくのがメインということで物事ができています。
こういったものにしては珍しく、公共団体が計画を作らないといけないです。市町村で1,700くらい公共団体がありまして、通常この手の計画は、よっぽどお金をもらわないと作らないんですけれど、たぶん今は1,000近くの公共団体が計画を作っていると思います。
空き家問題が、それぞれの公共団体でそれくらい大きな課題になっているということです。そんな中で例えば、所有者不明のような話が出てきます。
本来ですと、空き家問題は除却の話がメインになります。ただ、今日はどうやって活用していけばいいのかを議論したいと思います。そのときに、どうやって空き家の情報を把握するか。今回は住宅と書いてありますが、住宅以外の建築物もそうです。
それをもともとの用途でどうやって使うか。要するに、売る場合もあれば、貸す場合もあります。それから、その用途も空いてしまえば単なる箱ですから、違うものに使う。例えば、福祉施設や宿泊施設に使うものもあります。
今は空き家単体をどうしていくかという話をしていますが、その集合体の街づくりとしては、どうやってそれを活かしていくかが今度の課題だと思っています。では、それぞれのお立場から、遊休不動産対策についてどうやって取り組まれているか、ご説明をいただきたいと思います。では、勝さんからお願いします。
勝眞一郎氏(以下、勝):最初に自己紹介ということで、私の今日の会議の立場でいうと、奄美市の産業創出プロデューサーです。奄美市から受託した産業や観光・IT・移住促進などをプロデュースしています。ソフトバンクが10年前に作った、サイバー大学という大学の教諭もやっています。
あとは、『離島経済新聞』という全離島をカバーしている経済新聞の理事と、奄美イノベーション株式会社という伝統的な「伝泊」というブランドをやっています。これは、泊まることで伝統的あるいは伝説的な建物を残していこうというプロジェクトで、そこの執行役員をやっています。
みなさまのところにもあると思いますが、空き家になった状態で朽ちていく伝統的な建物を借りて、宿泊施設としてお貸しする仕組みについて、お話ができればなと思います。以上です。
伊藤:ありがとうございます。それでは森さん、お願いします。
森弘行氏(以下、森):山梨県の小菅村というところから来ました、森と申します。小菅村をご存知の方は、手を挙げていただいてもいいですか?
(会場挙手)
ありがとうございます(笑)。やはり、すごく認知度が低い村でして、実は東京都の奥多摩町の真横にあります。山梨県の一番東端で、多摩川の源流にあります。
人口は730人ほどの本当に小さい村です。「森林率」という、どのくらい森があるかで言うと、森林率95パーセントです。Googleマップで小菅村を検索していただいて、航空図で見ると本当に森ばかりで、よくこんなところに人が住んでいるなというところです。とはいえ、東京から2時間以内で着くので、すごく利便性がいい場所ではあります。
私は地域おこし協力隊という国の制度で、2014年にそこに移住しました。今回の登壇者の中でも、地域おこし協力隊は僕だけだと思います。そこで3年間いろいろな事業をやりました。
メインはITで仕事を支援・創出するというテーマで、仕事づくりをしていました。もともと日本総研という会社のシステムエンジニアで、ITのスキルがあったので、それでみなさんの地域の中小企業や観光、個人の仕事づくりをしていました。
その中で、今回の主催者の1つのランサーズさんと村の提携をして、クラウドソーシングで地域の移住者の奥さん向けに仕事づくりをしたり。あとは、レンタルキャンピングカーの会社と村を提携させて、うちの村にキャンピングカーで来る場合に、レンタル代を割引する仕組みを作ったりと、活用させていただいております。
森:あとは、地域の中小企業の経営課題を解決しています。今回の空き家に関して言うと、2015年に協力隊の時に村に提案しました。意外と田舎って、空き家の実態を把握してるんです。みんながなんとなく「ここは空いてるよ」と言ってくれるんですけど、ちゃんとしたデータにはなっていないんですね。
ですので、私のほうで村に提案をして、「これは移住者の区域として必要とされているから、ちゃんと一覧化しよう」ということで、空き家実態調査をやらせてもらって、111軒を調査しました。ちなみに111軒を調査したところ、貸してくれて、かつすぐにでも使える家は10軒くらいしかないんです。
ほとんどの家は物置になっていたり、家に仏壇があったり、山梨県は東京から近いので地価が高いとか。あとは知らない人に貸したくないとか、そういう4つくらいの理由で、貸したくないという人が多いんです。そういった空き家調査をしていました。
あとは空き家の利用で言えば、「小菅の湯」という日帰り温泉があります。そこに併設されている宿泊施設を企業に貸すサテライト事業とか、私のいるNPO法人多摩源流こすげの拠点が、小学校の廃校でして。そこで地域のお母さんを集めて、クラウドソーシング勉強会をやったり、地域の伝統的な文化を伝えるためのコミュニティ活動をやっております。
それと民間の空き家活用というところ。昔、地域に工場などがあって、それが決壊してすごく大きな空き家ができてしまうんです。それが2016年くらいにFar Yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)という、クラフトビールの会社が買い取って、ビール工場を作ったんです。
おかげさまで、1月末にあった「JAPAN BREWERS CUP」というところで、日本のクラフトビールの中で1位をとりまして、うまく空き家を使ってくれたなと思います。
まず空き家の活用としては、そのような感じです。私は空き家をいかにして活用していくかについては、コミュニティ・人をどうやってつなげていくか、ということをテーマに活用していくのがいいかなと思っています。今日はよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
伊藤:ありがとうございます。それでは空き家バンクなどもやっている渡辺さん、お願いします。
渡辺昌宏氏(以下、渡辺):株式会社LIFULLの渡辺と申します。みなさん、ホームズはご存知いただいているかと思います。スタートして約20年経っていますが、1つの思いとしては、すべての物件情報が公開される仕組みを作りたいということで、住まいや暮らしに対する多様なニーズを持っている人たちに、その方法をつなげることで貢献したくて、約20年やってきました。
その中で空き家が出てきまして、今800万軒が空き家になっています。野村総研の話ですと、今後2,000万軒が空き家になっていくと言われている中で、まずは空き家を公開される仕組みを作ろうと。
まずデータベース化することで、いろいろな人たちの多様なニーズに応えていくことを目指しています。そして、まさしく約1年半前から国交省のモデル事業として、全国版の空き家バンクをスタートさせていただきました。
このあとは、1年半やってきた取り組みで見えてきたことなども踏まえて、我々が考えた仕組み化に触れさせていただければと思います。みなさん、よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
伊藤:ありがとうございます。まずは空き家と言っても、住宅・建築物・学校・工場というケースがあります。勝さんのところでは、スーパーなどもやられているみたいですね。そういう空き建築物や空き家に対して、どうやってそれを活用していくかということになると、渡辺さんの話にあったような、空き家の情報をいかに早く提供していくかが一番初めにあるんだと思います。
地方の田舎では、空きはあるけど空き家はない。物理的にあるはずなのに、出てくるものがない状況があると思います。LIFULLで全国の空き家バンクのネットワークをお作りただいておりますが、それについてのポイントも併せて教えていただければと思います。まずは渡辺さん、お願いします。
渡辺:ありがとうございます。それでは1年半取り組んできたことについて、みなさんに共有させてください。今は800万軒の空き家があります。(スライドを指して)青い460万軒は、マーケットに出ているけど、今たまたま借り手がない空き家です。赤い318万軒は、マーケットに出ていない空き家で、僕たちはここをターゲットにしています。
その中で2017年9月から、国交省のモデル事業で全国版空き家バンクがスタートしました。運用主体としては、我々と自治体さんが連携して運用させていただいておりまして、今、参加自治体数は530自治体さんまできております。
そして、国交省のアンケート調査によると、1年間の中で成約した物件は約1,400弱まできています。1年を通して、順調に見られているんだなという僕らの感想です。その中で空き家バンクだけではなくて、より踏みこんだかたちで、自治体さんと連携協定を結んでいます。
福井県鯖江市では活用の段階で、例えば民泊化してみようとか、サテライトオフィス化してみようとか。空き家って、1回空き家になると物置になってしまうのですが、それを片付けることで収益化させようとかですね。
鯖江市さんとは、活用可能な空き家を見える化しようという調査をしたり、総社市さんとはなぜ空き家が市場に出ないのかということを研究したり。こういうことに、1年間取り組んできました。
1年間取り組んできてわかったことは、ポイントとしては、まずは使える空き家を掘り起こすのが最も重要だということです。みなさんがご存知かどうかわからないのですが、空き家は1回空き家になると、そのまま空き家として継続し続けて、あっという間に10年経つんです。
10年経つと、使うときに修繕費が莫大になってきます。ですので、なるべく新鮮なタイミングでつなげてあげることが重要だと思います。
その中で、僕たちがターゲットにする318万軒を分類すると、318万軒のうち耐震性がある空き家って184万軒あるんです。復旧破損がない空き家は100万軒あって、駅から1キロメートル以内の空き家って50万軒あるんです。これをきちんと掘り起こして、使える人たちに使ってもらえることが、まずはステップ1だと思います。
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