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今後10 年でやってくるテクノロジーの転換点(全1記事)

落合陽一氏が語る、社会が『ブレードランナー』のようなSF世界にならない7つの理由

2018年7月31日、六本木ニコファーレにて『【落合陽一・小泉進次郎 共同企画】平成最後の夏期講習(社会科編) - 第一回・人生100年時代の社会保障とPoliTech』が開催され、ニコニコ生放送にて収録と同時に放映されました。ディスカッションに先駆けて行われた識者の講義の内、今回はメディアアーティスト・落合陽一氏による「今後10 年でやってくるテクノロジーの転換点」の模様をお送りします。

課題に対して、テクノロジーをどう投入していくか

小泉進次郎氏(以下、小泉):とうとう落合くんが、次の3人目です。

落合陽一氏(以下、落合):たぶん、僕は1分くらいで終わったほうがいいですよ。

小泉:今、大石さんがすでにアクションプランにつながるようなことも含めて投げてくれました。3人目、次はとうとう落合くんの出番です。

落合:現状の課題までパラパラと話が進んでいったので、どのようなテクノロジーを投入していくのがいいのか、というような話をしていくのがいいのかなと思っています。

小泉:それではよろしくお願いします。

今後10年でやってくるテクノロジーの転換点

落合:よろしくお願いします。テーマは「今後10年でやってくるテクノロジーの転換点」です。ガートナーのハイプ・サイクル、と言ったら本当にギャグが出てきそうなのですが(笑)。(これから)いろいろテクノロジーが、世の中に出てくると言われています。いろんなところで、例えば「じゃあ人工知能どうなの?」「自動運転どうなの?」などという話が出てきます。

例えば、ユビキタスコンピューティングということを考えるような研究が始まってから、我々はかれこれ30年くらいやってきて、いろんなことが社会に出て、IoT、インターフェースといった、いろいろなことができるようになってきました。

それでは、今後をちょっと真面目に考えてみましょう。「通信」「無線装置」「母艦」「ユーザーインターフェース」「人工知能」という6つのレイヤーに分けて考えてみると、確かに通信は光になって速くなったし、無線系は5Gになってかなり速くなるでしょう。装置自体は、たぶんスマホからエッジデバイスへ移行して、かなりいろんなところに装置が出てくるようになります。

母艦側もサーバーサイドからクラウドサイドへ移行しています。表層部もアプリからエッジデバイスへ。中の処理も、例えば特徴量選定していたようなものから、ディープラーニングを使った偏微分自動化するようなものに変わってきています。

社会がブレードランナーのようなSF世界にならない理由

だけど今、我々の社会はどうやったら『ブレードランナー』のSF世界のようになるかと言うと……今SFのような理想的なIT世界にならない理由は、だいたいこの7つくらいあるかなと思っています。

1つが、カメラでもなんでもいいのですが、データの取得が圧倒的にできません。センサーとカメラがまず足りません。

そして表現系表示系がない点です。つまりプロジェクター、ディスプレイ、ロボット……あらゆる表現系表示系、情報が出てくるものがありません。

あとは、けっこうポリティックスに関わるんですけれども、個人と紐づいたAIのデータベース管理がされていないので、例えばAppleのデータをそのままGoogleに移行するにはどうしたらいいのか、といったことがなかなか難しいです。

深層学習にしても、どのモデルを選択するかが最適化されていないので、なかなか大変です。だからAIがすべてを解決すると言っても、どのAIを使っていいかはまだ誰も知らない、ということが非常に多いです。

どういうデータの表現系が何と紐づくと学習できるのか、というのが明らかではありません。例えばガンについては、画像で予測するのがいいのか、センサーデータでリアルタイムに予測するのがいいのか、もしくは線虫を使うのがいいのか、どうしてもわかりません。それはやってみないとわからないんですね。

それに、いまだに計算機リソースとネットワークが貧弱なので、データ処理ができません。それから、統計的判断が難しく、症例数が少ないものは、きっといつまで経ってもAIで解決できないのではないかと言われています。

一人ひとりに最適化されたAIをつくらないといけない

このような問題があって、まず「どうやって解決していったらいいの?」ということを考えなければいけませんと。このあたり、いろいろ考えたんですけれども、(スライドを)飛ばしますね。

僕が今1番取り組んでいるのは、日本が抱えている社会問題として、少子高齢社会をどうやって良くしていくかということです。高齢社会でどうやって経済成長するかと言ったら、省人化と自動化を入れていくとスムーズですよね。

今支えないといけない人材を、どうやってテクノロジーを使って支えるかを考えましょう。そして支えたあとは、その人たちも社会参画ができるようにインターフェースを整えて、人によって最適化させていくことが、恐らく大切ですと。

しかし、ここには大きな課題があります。これは恐らく一人ひとりに最適化されたAIを作らないといけないような話になっていく、ということです。もしくは一人ひとりに最適化されたユーザーインターフェース、もしくはサービスを提供しなければいけません。

そこに人間がまた出るようだと、またコストが足りなくなります。テクノロジーを使って解決するところは、とことん限界費用を下げていかなければいけません。

限界費用をどれだけ効率化できるか

僕が今ここにぶつかっているなかで、2つの問題点があります。テックの問題だけではないんですよね。技術面としては「少ないデータセットでどうやっていくのか」「個人に合わせてどうやってチューニングしていくのか」という問題もあります。日本には1億人しかいませんが、ほかの国では人口が伸びています、我々の国は人口減っています。

社会面として、今まで分野融合で評価しなければいけなかったものをどうやって得たらいいんだろう、ということも考えていかなければいけませんね。そして実践コミュニティやディスカッションするコミュニティは今もないので、どうやって作っていかなければいけないのかを考えなければいけません。

そうなってくると、どうやって、どこに自動化テクノロジーを入れていったらいいかと言うと、僕はよく……あそこに財政のテーブルがあるのでヘタなことが言えないんですけれども。とにかく、限界費用のことをまず考えてください、と。

初期投資と、後ろの項ですね。人がこなしているときの時間×労働単価。そういうものがかかってくるところを、どれだけ効率化できるかを、ソフトウェアでなんとかしてください。

当たり前のことが当たり前にできていない現状

これは当たり前のことですが、我々の社会では当たり前のことが当たり前にできていないので、とりあえず自動化できるところは自動化しましょう、コストを削減できるところはとにかくコストを削減しましょう。

YouTubeのアカウントを作るのに住友銀行へ電話しないですよね。銀行口座を作るときに実印を押したりしますが、YouTubeのアカウントを作るときは、メールアドレスしかいらないですよね。でもそれは当たり前のことですよね。

そういう当たり前のことを、当たり前のところに当たり前に入れていくのが、おそらくとても大切で。そうやっていくと、今まで標準化して社会を回してきたものについて、どうやって多様性をもってパラメータ化して回していけるかということを考えていかなければいけなくて……。

今までは人間の教育を揃えてきたけれども、今度はダイバーシティを高めていかなければいけないな、と思っています。そのような点がトピックになるかなと思いました。

(会場拍手)

省人化をテクノロジーで問題解決を

小泉:ありがとうございます。さすが、巻きましたね。

落合:巻きましたね。

小泉:もう、飛ばして。

落合:言いたかったことは、人を省人化して、そこにテクノロジーを入れてなんとか解決していこうね……ということですよね。

小泉:すばらしい。

落合:でもマイナンバーは、よく話に出ますよね。

小泉:そうですよね。これはまさにポリティックスの。

落合:要ですよね。

小泉:基盤ですね。それでは次にいきます。

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