2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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櫛井優介氏(以下、櫛井):よろしくお願いします。みなさん、そろそろいい加減に疲れ果ててビールが飲みたいだろうと思いますけど、大丈夫です。私も一緒です。このあと一緒に飲みましょう。
さっき私の同僚が筋トレの話をして、「上腕二頭筋をどう鍛えたら効果的か」みたいな話をしていて、体育の時間をやっていたんですけど、私のパートは道徳の時間みたいな感じかなと思っています。今回は学校みたいなテーマだし。
どういった方がここにいらっしゃっているのかな、というのをちょっと聞きたいと思います。「エンジニアだ」っていう方はどれぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
ほぼ(エンジニアの方)。ほかの方もいらっしゃるのかなと思ってたんですけど、PR・人事・マーケティングの方はどれぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
あ、1人……2人、3人。ありがとうございます。今日はすべての方になにかしら伝わるといいかなと思って、お話ししたいと思います。
櫛井といいます。数字で「941」と書いてTwitterやインターネット活動をしております。
Twitterが始まったばかりの頃にすっとIDが取れたので、なかなかレアなIDじゃないかなと思っています。
IDが数字なので、InstagramとかTwitterとかで数字の941のことを書きたいときによくハッシュタグをつけられて、すげえ誤爆が来る。あとは週に5回ぐらいパスワードリセットされそうになるという、そういうやつです。
(会場笑)
プライベートでは4歳と1歳の子どもがいて、「コピペかな?」みたいな感じですごくそっくりな子どもがいます。
LINEでは、Culture Evangelistというのをやっています。実は3月の中旬からつけた肩書きでして、まだ1週間ぐらいですね。LINE社内では私だけそういうタイトルでやらせていただいていて、LINEのエンジニアの文化や取り組みをより多くのみなさんに知っていただくという活動をしています。
社歴でいうと、2004年にライブドアに入社しました。いわゆるライブドア事件の前ですね。事件当時、六本木ヒルズで検察がバーっと来てたのを見ていたんですけど、そういうのがあり、気づけば社長が変わったり、会社の名前が変わったり、私自身は転職してないんですけど、気づいたら大きいくくりだと3社目になって、社歴でいうと今14年です。なので、気がついたらかなりベテランの域にいる、みたいな感じです。
「Developer Relationsチーム」というのが12月にできまして、これはエンジニアのブログで紹介した、私が書いた記事です。
すごい派手な写真なんですけど、これがうちのチームというわけではなくてですね、実際はこれです。
今、日本だと東京と福岡と京都に散らばっていますが、兼務の人たちも含めると16人ぐらいのチームです。CTO直下の部隊で、この「いいね!」とやっている女性がうちのCTO。彼女のもとでいろいろやっています。日本でいうとエバンジェリストとかアドボケイトとか、あとは技術広報とかがいるチームになっています。
対象範囲はグローバルなので、「ベトナムのオフィスで今度イベントがあるよ」みたいなところのサポートを我々がしたり、「タイでイベントやります」みたいなときに、日本がヘッドクオーターなので、コンサル的にいろいろ教えるじゃないですけど、サポートしたり、そういったことをやっています。
今、各拠点と連携して、広報活動やLINEという会社をテクニカルの側面でブランディング活動をしていくということをやっているチームですね。
これにいろいろ書いてありますが、社外に向けては、LINEの技術に興味を持っていただいたり、もっと詳しく知っていただいたり、あとはAPIとかSDKとかを公開していますので、それらを使っていただいてLINEのことをもっとよく知っていただく。すごくいいなと思っていただいたら、そのまま「じゃあうちで働きませんか?」みたいなことをやっています。
社内でもいろいろやっていますが、社内イベントをやったり、サポート制度を作ったり、環境をよくしていったり、魅力的な文化を作ったり、そういうことをやっています。
今日はブログということで、私自身がやっているブログを紹介させていただきます。
「941::blog」というのをやっていまして、2004年から始めました。これは、当時のライブドアが、簡単にブログを始められるサービスをユーザー向けに提供し始めた頃で、私がちょうど「入社しようかな」というタイミングで始まったので、それから続けているという感じです。
私のブログでは「行ってきたシリーズ」というのがわりと人気があります。あとは最近だと、趣味と実益を兼ねて、こういう技術イベントのレポート記事を書いています。
「行ってきたシリーズ」というのは(スライドの)こんな感じで、みなさんもご存じだと思われるようないろんな会社へ本当に行っています。シリーズ累計で153記事書いてまして、「引っ越した!」みたいなのも書いてるので、おそらく140社以上は行ってるかな、というところです。
シリーズ単体で840万PVぐらいあって、更新頻度は、仕事が忙しいとやらない、という感じです。例えば今回のスポンサーでいうと、さくらインターネットさん、オルトプラスさん、クックパッドさん、コロプラさん、サイバーエージェントさん、サイボウズさん、Speeeさん、DeNAさん、はてなさん、VOYAGE GROUPさん、リブセンスさん、レバレジーズさんに行きました。
引っ越すとだいたい「また来てください」みたいな連絡をいただくぐらい認知されているんじゃないかな、という感じのものなので、よかったらみなさん見てみてください。
これは2007年から当時のライブドアで始めた、ディレクターがノウハウを共有するというブログです。
当時は「livedoor ディレクターブログ」という名前だったんですけれども、そのあと屋号を変えましたので、最終的には「LINE Corporation ディレクターブログ」という名前になりました。
2013年の12月で更新をやめたんですけれども、しれっとまた更新する可能性もまだあるという感じですね。BuzzFeedの鳴海(淳義)さんという人がいるんですけど、その人いわく、「これは元祖オウンドメディアでしたよね」と言われるようなやつでした。
これもやっていた6年半ぐらい私がメインで担当していたブログで、まぁその間は編集長的に私が担当していまして。当時は今ほどプランナーとかUXデザインだとかそういう分業がされていない時代だったので、Webディレクターみたいな括りの人たちは、かなりの確率で読んでいただいたような記憶があります。
櫛井:ここからが本題ですが、「そもそもなんで人はブログで情報発信するのか?」という話からしたいと思います。先ほど申し上げたんですが、個人的にブログをずっと書いてきているので、体感としてこういうポイントがあるかな、というのをまとめてきました。
知ってもらうためのコスパがいいですよね。これはなにかというと、ブログなのでなんでも書きゃいいんですけど、「あそこうまかったな」「あそこの会社行ったらすげえおもしろかったな」「あそこの場所いいな」みたいなことを書くじゃないですか。
身近な同僚や友人にそれを一番ドヤ顔したいわけなんですけど、それを毎回毎回同じテンションで話せないじゃないですか。1回話したらわりと満足しちゃったりするので、ブログだと1回書いてURLを伝えると同じ熱量で伝わるので、これはけっこう楽だなというのが私としてはあるなと思います。
あと話のネタになるというのは、ブログを書くと、エレベーターとかで同僚と会う時に「あれ読んだよ」って声をかけられるのが本当にすごく多くて。あとは、会議の前のアイスブレイクになったりします。
さらなる繋がりが生まれていきますねと。これはすごい大事だと思っていて、「この間見たあれが好きなんだったら、こういうのも好きだね」っておすすめしてくれたり、「ここ今度一緒に行こうよ」とか、「あそこの会社行ったんだったらこっちの会社も紹介しますよ」とか、そういうのがたくさんある。自分だけだと生まれてこないネットワークができますね、と。これが個人的にはいいかなと思っているポイントです。
じゃあ次に、「企業がブログを使って発信するのってどういう観点がありますか?」ということで、私は今までブログを読んだり書いたり運営したり、いろいろな側面で関わってきたので、こういったポイントで発信する意味を説明できるかな、というのをまとめました。
より深く、より広く知ってもらえる、と。あんまり説明はいらないと思うんですけれども、一次情報として公開範囲を決めたり、「これは言う・これは言わない」みたいなことも当然できます。あとは、本当に伝えたいことをダイレクトに表現できる。あとは、公開のタイミングを自分たちでコントロールできるのがいいポイントですね。
ブログって、業界においてはほぼ100パーセントだと思うんですけど、みなさんも当然見たことがあるじゃないですか。これって完全に浸透しているツールなんですよね。書いたものがどういうかたちで構成されていて、どういうふうに拡散されたりとか評価されたりとか、あるいは批判されたりとかっていうのは、みんなある程度わかるじゃないですか。なので、使い慣れていて、イメージしやすい。これがブログの特徴かな、と思っています。
最後に、これは主観も入ってるんですけど、情報を広く公開してる企業って印象がいいと思うんですよね。その会社のいいところも悪いところも隠さずに表現できていれば、健全さというのが伝わるかなと。
私が所属している会社は過去にいろいろあったので、いろいろな経験を通して、やっぱり隠さないのが一番楽だと、一番いいことだな、というの感じています。今日ご紹介している「LINE Engineering Blog」でも、全部いいことだけではなくて、「こういうデメリットがあります」というのは隠さず書くようにしています。
ただ、デメリットだけ書くと「じゃああんまり使わないほうがいいのかな」みたいな感じにもなるので、「それに関しては今後改善される予定がある」とか、そういうことを併せて書くようにしています。
これはものすごく大事だと思うんですけど、エンジニアのみなさんは、アウトプットすることに抵抗がなくて、発信したい気持ちというのは心の底から持っていると私は思っています。さっきみなさんは「ブログを書いたことがある」って手を挙げてましたけど、やっぱり一度はみんな自分なりにアウトプットしてみようという気持ちはあると思うんですね。
「これはブログ担当としての願望じゃないの?」みたいな意見もあるかもしれないですけど、実際に私が「書いてください」と依頼しても、最後までこだわるのはやっぱり執筆者本人なので、これは本当に重要なことじゃないかな、と思います。書く機会とタイミングさえ合えば、みなさんすごく良いアウトプットをしてくださるので。
ブログを運営する側のスタンスとしては、彼らのアウトプットの邪魔にならないことが最も大事で、発信する意義そのものなんじゃないかなと思っています。
ここまでお話しした内容で、ブログというツールについてのメリットをまとめておきたいんですけど、まず伝えるという局面においてはコスパがいいですよ、と。次に、ツールとして成熟しているので、どのようなかたちで表現されるのかイメージが湧きやすい。今自分たちが使っているものが何なのか理解できているというのは、実はすごい安心感があるんだろうな思います。
ただ、デメリットもあります。継続するコストがすごく高い。さっきみなさんから「書いたことはあるけど、継続はなかなか難しい」というのを聞いたんですけれども、「難しい」というのは私も書いてる側としてすごくあります。なので今日は、継続するためにやってきたことをまとめて、いろいろお話ししていきたいなと思っています。
「LINEが行ってきた技術アウトプットの経緯」ということで、今ではこんなテーマで「ブログたくさん読まれてます。どや?」みたいな感じで言ってるんですけど、最初からできたわけではもちろんなくてですね。
ちょっとご覧いただきたいんですが、2014年を振り返ると、4〜5年ぐらいかけて下地づくりをしてきています。
長いように見えるんですけれども、ものには順番がいろいろありますので。ある意味では長いんですけれども、これを中心にやってきた私としては、けっこうあっという間だったなと思っています。
2014年を「控えめな時代」としたんですけど、これはユーザーさんがドーンと伸びているタイミングなので、情報をアウトプットして共有していく余裕があまりなかったというのが正直なところです。それをやる暇があったらコード書けやみたいなところが普通にあったんですね。ですので、情報を出すよりもユーザーに早くいろんなものを届けましょうというのでやっていた時代。
ただ、言われていたこととしては、「LINEって中がどうなっているかよくわからないよね」と。アウトプットが少ないとか、「エンジニアがどういうふうに働いているとか、そういう情報をあまり出してくれないよね」というので、採用で地味に困っていた時期でもあります。
そういうのもあって「LINE DEVELOPER DAY」というイベントを開催していました。これはLINEが主催をしていて、LINEの技術の話をいろいろみなさんに聞いていただくという会なんですけれども、これをやったことで「イベントとかけっこう気合入れてやってますよね」という評価に変わっていきました。
ただ、「イベントがんばってますよね」というのは「アウトプットがんばってますよね」とは違うんですよね。やっぱり。当時はみなさんにお使いいただけるようなAPIとかSDKとか公開していませんでしたし、社内も独自のシステムを使っているので、「そんなの俺らに言われても、中を触れないしわからないな」みたいな話に結局はなってしまう。
2016年ぐらいからはブログやSNSを本格化して、「LINEさん、最近こういう領域をがんばってますよね」と、やっと言ってもらえるようになりました。これはアウトプットをどんどんしていこう、と意識的にやっていたという話なんですけれども。
でまぁ、去年、現在の体制を確立できて、最近だと「あの記事伸びましたから一緒になにかしましょうよ」というのをすごく言われるようになりました。例えばうちのエンジニアがなにかについてエントリーを書くと、その専門的なコミュニティの方から連絡をいただいて、「うちのイベントで今度登壇してみませんか?」みたいなことを最近はすごく言われるようになりました。
一番最初に発信する意味というところでお伝えした「さらなる繋がり」というのが、こういうところでできてきているのかなと思っています。
数年かけて下地を作ってきたわけなんですが、今どんな感じになっているかをまとめました。
LINEのデベロッパーのアカウントなんですが、Twitterのフォロワーは技術系のアカウントだとかなり国内トップクラスに多いと思います。今はフォロワーは5,069で、たぶん今日だと5,100ぐらいになっているかもしれないんですけど、まぁ、かなり上位にいます。
始めるときにほかの会社さんがどういう感じのアカウントをやってるのか全部調べたんですけど、だいたい2,000〜3,000フォロワーぐらいなので、頭1つ飛び抜けてたかなとは思っています。
ただ、Twitterさんの「@TwitterDevJP」というアカウントがあるんですけど、それはフォロワー44万人なので、1位とのスコア差がものすごくあるということだけは、一応ここでお知らせしておきます。
次ブログなんですけれども、年間で今25万PVぐらいの規模感になっています。私、ライブドアの時代も「Tech Blog」というのをやっていたのですが、技術系専門のブログとしては、この数字はかなり、すごくいい数字です。
技術系(のブログ)ってぜんぜん数字がいかないんですよ。炎上しそうだなとか、流行りに乗りまくるとそれなりに数字いくんですけど、別にそういうことをしたいわけじゃないので。丁寧に情報をアウトプットしていくしかないので、そういう飛び技はあんまりしないようにしてるんですけど、そんななかで25万PVというのは相当いい数字だと思っています。
これってもともとは、2011年に前身であるネイバージャパンという会社のエンジニアたちが立ち上げた「NAVER Engineers' Blog」が前身になっています。ブログなので実は今も当時のエントリーはすべて読むことができます。これはやっぱりブログが枯れたツールであることと、大事にしていれば過去ログもちゃんと読めるようにしてあります。
(スライドを指して)数字はこんな感じになっていまして、2015年は解析ツールが別だったので数値取れてなくてエントリー数だけ出しています。
2016年から2017年を見ていただくと、エントリー数が飛躍的に増えていて、PVもUUも異常に伸びていますよね。もう「これなにがあったのかな?」という感じなんですけど。
これはブログに設定しているアナリティクスの実際の画面なんですが、2016年度は最後のほうだけポコッといってますよね。こっちは2017年度で、なにが違うかというと、縦軸が2つあって、2017年度は2万なんです。
1日あたりの最大のヒット数だと思うんですけど、2017年度は2万、2016年度は2,000で、縮尺としては10倍ぐらい違います。2017年度はポコポコと、2〜3ヶ月に1回流行った記事があるのがわかります。
2016から2017年の数値を見てみると、エントリー数は2.5倍になりましたねと。これは編集チームのがんばりの結果です。これは純粋にがんばりました。
今回のトークのタイトルにも入れたんですけど、PVは56倍になってるんです。すごいですよ。UUは61倍なんですね。すごすぎるんですね。
ただこれ、ちょっと冷静に考えていただきたいんですけど、明らかに数字がおかしいんです。『世にも奇妙な物語』に出てくるぐらいの、起きたら人生バラ色で今までの苦労が一瞬で報われたぜみたいな感じなんですけど、実際にはそんなことはあんまりなくてですね。
なんかおかしいなと思って、今回トークするために数字を改めて出してみたんですよ。落ち着いて思い出してみたら、ブログを引っ越したことによって、解析ツールも併せて引っ越していたので、数字がちゃんと取れていなかったというだけのオチで。
これは本当にごめんなさい。勢いでトークのタイトルを決めてしまった私のミスなんですけど、先ほどのインフラの先生である田籠(聡)さんという方に、「実は数字が間違ってた。ちょっと盛ってたわ」と話したら、「界王拳はダメですよ。普通にこの事実を公表すべき」と言われまして。本当に申し訳ないです。
なので、「56倍」は消しまして……。
(会場笑)
ごめんなさい(笑)。ここから“けっこう”増やすための方法ということで、気持ちを新たによろしくお願いしたいと思っています。本当にすいませんでした。
ということで、けっこう増やしました。正確な数値は取れてないんですけど、記憶をさかのぼって、調子いいときに1日でこれぐらいいったなというので言うと、10倍ぐらいにはなっています。2016年から2017年に。これツイートしておいてください。56倍じゃなくて10倍ぐらいです。
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