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ユースケース発表(全2記事)

収益率はYouTubeの3倍? メルカリCPOが注目する、世界のブロックチェーンサービスたち

2018年4月9日、株式会社メルカリが運営するメディア『メルミライ』が主催するイベント「ブロックチェーンによる分散化を考えナイト by メルミライ」が開催されました。メルミライ初のイベントである今回のテーマは「ブロックチェーン/Decentralization(分散化)」。あらゆるものが中央集権型から分散型に移り変わることで社会はどう変わるのか? 分散型アプリ(DApps)の事例を中心に、ブロックチェーンの仕組みと来るべき未来について語ります。

分散型アプリ「DApps」とは

原田和英氏(以下、原田):ここからは第2部ブロックチェーン事例で、ちょっと玄人向けの話になります。

濱田優貴氏(以下、濱田):本当に玄人向けですか?(笑)。

原田:それをお二人にお願いしたいと思っています。

第2部は、実際に15個か20個ほどブロックチェーンとDAppsの事例を紹介した上で、課題や可能性をお話しできればと思っております。

濱田:DAppsを知っている人って、どれぐらいいますか?

(会場挙手)

原田:ほぼ。

濱田:ほぼいますね。

原田:じゃあ、Filecoinもおそらくご存じですね。

濱田:Filecoinを知ってる人?

(会場挙手)

原田:3割くらいの方は知っていると。

Filecoinはいわゆる分散型のデータを預かる場所で、DropboxのDApps版。DApps(Decentralized Apps)は分散型アプリのことです。どういうことかというと、Dropboxは当然Dropboxのサーバにデータがあるんですけれども、このFilecoinというのはPeer to Peerでユーザーのパソコンにデータが入っている。アイデアだけ言うと「ふーん」って感じなんですけど、アルゴリズムがけっこう変わっています。興味ある方はアルゴリズムとかもぜひ。

濱田:昔、Winnyというのがありましたけど、発想はそれと似ています。歴史は繰り返すじゃないですけど、ちょっとかっこよくなっているだけで、結局Peer to Peerでファイル交換ができるみたいなこと。それにトークンというのが乗ってきて、エコシステムがちゃんとして。今まではWinnyってインセンティブがなかったんですけど。

高橋三徳氏(以下、高橋):一応あったんですけどね。

濱田:なんですか?

高橋:キャッシュすることによってファイルがもらえるってインセンティブ。

濱田:ああ、なるほど。

高橋:それがちゃんとトークンになって価値が表現されていると。ただこれって、ホワイトペーパーを読んでいると、まだちゃんと実現していないんですよ。あとブロックチェーンの特性上、大きなファイルのデータって載せられないので、まだまだそういう課題がたくさんあります。

原田:そうなんです。今回いくつか事例を紹介するんですけど、まだ実用化までは課題もある現状なので、そういうところも踏まえてご紹介できればと思います。

スマートメーターで家の電気を管理

原田:みなさん、Long genesisってご存じですか? みなさんの脈のデータや血のデータなどの医療データを売る試みをしているところです。

マイニングの大手のBitfuryと提携して、そういった試みをしています。さっきのデータのオープン化の文脈に非常に近い試みですね。

もう1つは電気。

これは確かニューヨークの隣の州でやられていたと思います。家にある電気にスマートメーターをつけて、その家が太陽光で電気を稼ぐ、使う、売るというのをちゃんと管理する。そして隣の家から電気を買ったりできるプロジェクトで、もう実際に検討を進めていたはずです。

濱田:これはシンガポールの会社で、もうすでに1つ出てますよね。こういうプロジェクトってすごく多くて、エネルギーの分散売買とか、調べたら10個くらいあるんじゃないですか。

原田:けっこうあります。

濱田:ありますよね。

高橋:エネルギー系は相性がいいんですよね。受電と送電で違ったりするのをコントラクトでうまく実装するといいかなと。

濱田:スマートメーターがすごく重要になってるんですよね。ちゃんと自分が電気を作ったか、もしくは使ったかみたいなところで。そのスマートメーターで嘘をつけると不正利用されちゃう問題はあるんですけど。今はそこのIoTデバイスがいいものができ始めていると聞きました。

原田:では「Decentraland」を知ってる人?

(会場挙手)

ああ、知ってた。これいいですよね。

濱田:これすごくいいですよね。けっこう好きなプロジェクトです。僕も土地を買おうとしたんですけど、今すごく上がってるんですよね。ジェネシスパークの周りの一等地が1,000万円ぐらいするんじゃないですかね。

原田:そんなに? これ説明すると、VR上にバーチャルな世界があって、そこの土地などをブロックチェーンで管理しているので、デジタルな土地なのに実際に管理されるというもので。

高橋:セカンドライフのブロックチェーン版みたいな感じですね。

原田:そうです。今は亡き。たぶんここにいらっしゃるみなさんには懐かしい。

濱田:これはまだプロダクト自体はリリースされていないです。この世界はまだ早いですよね。ただ、まず土地のマーケットプレースができて、みんな売り買いをしています。

原田:土地だけ売れるんですよね。

濱田:これをどう見るかですよね。これで本当にすごいものが実現されるんだったら、おもしろいなと思いますけど。これで土地を買った人いますか? さすがにいないですよね。

原田:さすがに。

濱田:これ土地ってリアル世界でいくらになるって言いましたっけ? 土地の時価総額って。

原田:1,000京かな? 忘れたけど、よくわからない単位(笑)。

濱田:1,000京で。金は700兆とかですよね。ビットコインが今10兆ないぐらいだっけ? もっとあるかな。そう考えると、土地っておもしろいかなと思って。

ただ、月の土地は安くて地球は高い、木星はたぶん価値つかないという話になると思います。これが地球になるのか木星なのか見ものです。これはおもしろいと思いますよ。僕は大好きです。

分散型YouTubeで儲けが3倍に?

原田:YouTubeの分散型は、わかりやすいやつですね。

動画配信ってサーバを食うので、さっきのWinnyと近い感覚で、ユーザーのパソコンを使ってCDNのPeer to Peerでやっちゃうと。

高橋:CDNのPeer to Peerっておもしろいですよね。今ってデータセンターからデータを送ってるんですけれども、もしかしたら隣の家にサーバがあって、そこから配信されているかもしれない。

原田:速い。

高橋:めちゃくちゃ速い。

濱田:それとエッジコンピューティングは違うんですか?

高橋:分野は一緒じゃないですか。管理がブロックチェーンでトークンエコノミーを生むかみたいなことだけだと思います。

原田:サービスの運営者によると、動画提供者は、広告収入がYouTubeの3倍になるとおっしゃっています。中抜きがなくなる分ってことですかね。

今後出てくると思うのは音楽の利権管理で、ミュージシャンがここに音楽をアップロードして、使われた分だけお金をもらうと。どういうふうに使われたかをブロックチェーン上で管理して、トレースもできるし、スマートコントラクトで対価もシンプルにもらえると。ただ、これもまだオープンしていないので、これからではあります。

あと個人的に好きなのはこちら。

ランサーズとかクラウドワークスみたいなクラウドソーシングサイトのDApps版で「Gems」というのがあるのですが、このロジックが独特です。「お仕事しますよ」って言った人は、まずその時点でお金を払います。仕事を依頼した人ではなく、仕事をする人がお金を払うのです。実際によく仕事ができたらプラスで返ってくる仕組みなので、業務レベルが低い人は損するんです。返ってこないから。

でもこのときに仕事の良さをどうチェックするかという問題があります。これは仕事ができる人、要はレビューの高い人と初心者を組ませて、2人に似たような仕事をさせて、うまい人が初心者を評価するというアルゴリズムを検討しているようです。よくできていると思いますが、これはまだ出ていません。

デポジットという考え方

濱田:原田さんって、昔クラウドソーシングのサイト作ってましたよね?

原田:そんな昔の思い出を掘り返さないで(笑)。

濱田:あれってランサーズさんとかよりも早くやってましたよね。

原田:ランサーズさんとおおよそ同時期だったような気がします。

濱田:ほぼ同時に「アポロン」という。

原田:懐かしいですね(笑)。

高橋:早い。これってデポジットという考え方ですか?

原田:デポジットに近いかもしれないね。ただ100パーセント返ってこないかもしれない。だからスパムとかが減る。

高橋:仕事を受ける側もデポジットしておくと逃げられないみたいな。そういうのがブロックチェーン系で多いなって。

濱田:最近多いですよね。その払うという。

高橋:そうなんです。払う側も受ける側もデポジットしてっていう。

原田:それで言うと、近いのはWikipediaのDApps版の「Everipedia」があります。これも一緒で、記事を投稿するときにお金払うんです。お金というかトークンなんですけど、イマイチだったらお金が返ってこない。

要はWikipediaってスパムが大変なんですよね。勝手に荒らす人たち。それがいなくなる。だって荒らすのにお金取られちゃうから。

トークンエコノミーだから一応これが回る仕組みになっていて。もう数百万の記事ができてるって聞きました。こういう試みがおもしろいなと思います。

濱田:ちなみにこれはどういう基準で選ばれたんですか? マイナーどころもある気もするんですけど。

原田:今回どのテーマを紹介しようかと数百見たなかで、おもしろそうだなと思って選びました。

濱田:音楽とかMusicoinとかも、もしよければと。

原田:このへんご存じですか? けっこう有名ですけど、「ABRA」っていう仮想通貨を送る仕組みです。

今は投資機能が強いんですけど、フィリピンではこの送金機能がまだあって。

どういうことかというと、フィリピンで八百屋に行って大根を買いたいと。八百屋が現金しか受け付けていない場合に、僕はこのアプリで近くのお金を持っている人にトークンを送って、その人に代わりに現金をもらう。要は人力ATM。お金をもらい、そこで現金で払うということをフィリピンでは実際にやってるみたいで、これはおもしろいなと。

濱田:これって実際にもう使えるんですか?

原田:使えます。ほかの国でやってきたんですけど、今フィリピンでしかやっていないみたい。フィリピン以外では大変だったようです。ただ実際どこまで使われているのかはわかりませんが。

高橋:でも、たぶんDAppsじゃないですよね?

原田:それはわかりません。

(一同笑)

濱田:でも使ってみたいですね。

高橋:使ってみたいですね。

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