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プレゼン「ブロックチェーンとは?」(全1記事)

結局、ブロックチェーンって何がすごいの? その仕組みと社会に与えるインパクトを解説

2018年4月9日、株式会社メルカリが運営するメディア『メルミライ』が主催するイベント「ブロックチェーンによる分散化を考えナイト by メルミライ」が開催されました。メルミライ初のイベントである今回のテーマは「ブロックチェーン/Decentralization(分散化)」。あらゆるものが中央集権型から分散型に移り変わることで社会はどう変わるのか? ブロックチェーンの仕組みと来るべき未来について語ります。

ブロックチェーンの役割について考える

原田和英氏(以下、原田):お詳しくない方もいらっしゃると思うので、第一部「ブロックチェーンとは」というお話させていただければと思います。

まずは、今回集まってくださった方が、どれくらいブロックチェーンにお詳しいかというのをおうかがいしたくて、3つの質問をさせてください。よろしいですか?

「ビットコインを買ったことがある」という方、手を挙げていただいてよろしいですか? 

(会場挙手)

原田:けっこうですね、8〜9割。

高橋三徳氏(以下、高橋):ビットコイン以外の仮想通貨も。

原田:ビットコイン以外も、だいたいみなさん(買ったことがある)。2つ目、「PoWとかPoSの意味を理解してるよ」という方。

(会場挙手)

みなさん、けっこうご理解してらっしゃるんですね。最後に「Solidityで書いたことあるよ」という方。

(会場挙手)

20人くらいですかね。ちなみにMt.Goxでゴックスした方って、いらっしゃいますか? いらっしゃらないですか?

僕だけですね、僕はゴックスしました。あれはお金が戻ってきたっていわれてるんですけど、ちゃんと「僕はお金をなくしましたよ」って申請しないと返ってこないんですよ。当時は返ってくると思ってないんで、申請してなかった。なので、なにも返ってこないっていう。

濱田優貴氏(以下、濱田):ちなみに何ビットくらいあったんですか?

原田:2〜3ビットコインあったと思います。

濱田:もうちょっと期待しました(笑)。

原田:(笑)。というところで、わかりました。第一部、やわらかい内容にしてますが、けっこうみなさんお詳しいというのがわかったので、ささっといきます。

第一部は詳しくない方向けに、概要を理解していただくというパートになります。ですから概要だけつかんでいただければと思います。

第一部はおもに私がしゃべらせていただいて、必要に応じて濱田、高橋がツッコミを入れるんですけど、第二部は、2人がおもに喋るという構成になっています。

ブロックチェーンというものが誕生すると、世の中では5つのことが促進されるのではないかと考えておりまして、今回その5つの観点で、ブロックチェーンの概要をお伝えできればと思っております。

ブロックチェーンで仲介人が不要に

1つ目は今回のテーマですね。ブロックチェーンによって、非中央集権型のサービスがどんどんできてきます。これが実はアルファでありオメガなんですけれども、まずこちらのご説明をさせてください。

今まで何かをするときに、間に誰かがいました。例えばモノを買うとか、お金を借りるときは、事業者がいたり、あるいは国がいたり銀行がいたり。

でも、このブロックチェーンが誕生すると、(スライドの)右側になる。間に誰もいなくてもやり取りができる。いわゆる非中央集権、あるいは分散型とも言われますが、こういうふうになります。

なぜブロックチェーンができると非中央集権になるかというと、こうです。ブロックチェーンによって初めて「そのデータが正しい、間違ってない」ということが言えて、非中央集権ができた。これだけ見るとピンとこないと思うので具体例でいいます。街中でロレックスを売ってる人がいます。「あなたは買いますか」というと、やっぱり買いませんよね。

そのものが信用できないとか、あるいは偽物かもしれないとかの懸念があるからです。世の中では、ロレックスを売ってるお店があって、「これは保証できますよ、正しいですよ」というから、みなさんは買える。

これが今までの、中央集権が間に必要だったサービスです。でもそのロレックスが「100パーセント正しいです」、しかも「ちょっと安いです」と。そこまでいわれたら買うかもしれない。というところで、(スライドの)右側の世界。

そのものが正しい、あるいはデータが正しい、言ってることが正しいということを信用できるならば、間に入って担保する人や仲介する人がいらないという世界観になります。

高橋:「TrustからTrustlessへ」っていう話ですよね。

原田:おっしゃるとおりです。いわゆる信用ある人がいなくても、やり取りができる世界ですね。

世界人口の10パーセントがマイニングに携わっている?

原田:詳しい方がいらっしゃるんで、ちょっと端折りますが、概略だけ説明すると、例えば今までのビットコインのやりとりは、「AさんがBさんにお金を送りました、いくらです、いつ送りました」というデータがあって、お金のやり取りがされてます。

ブロックチェーンではそのやり取りというのが、オープンな1つだけの世界で、1個だけの台帳にブロック単位で格納されてます。

先ほど申しましたように、これだけだったら今までは正しいということが言えなかった。悪いやつがいたら、Bさんに送ったというデータを、Cさんに送ったと書き換えてしまう。こうなってると正しいと言えませんよね。

ブロックチェーンは、これを「ナンス値」と呼ばれる、マジックナンバーと理解していただければいいんですけれども、マジックナンバーを1つ見つけないと、最後のブロックをくっつけられないようにしました。

ナンス値を見つけるには、「ものすごい賢いパソコンでも10分くらいかかる」というような数字を見つけないといけない。ここのナンス値という、あるマジックナンバーを見つけると、報酬がもらえるんです。

なので、世界中でたくさんのマイナーと呼ばれる人たちが、そのナンスを見つけようとする。一説には数百万人、世界にいると言われてます。数百万人以上ですね。

ご存じの方もいるかもしれませんが、ブラウザであるサイトを見ているだけで、みなさまのPCもマイニングに参加してるときもあるので、その数を入れると、もはや5億人、世界の人口の10パーセントくらいは、マイニングになにかしら携わったことがあると言われております。

数百万人がマイニング、採掘するってどれくらいすごいのかと考えたところ、ピラミッド200個分でございます。ピラミッド1個で5,000人くらいかかるんですね。それが200個分くらいの労働力が、ビットコインのマイニングには参加してるという世界観です。

ブロックチェーンで可能になるピュアなCtoC

原田:流れをいうと、「AさんがBさんにお金を送ったよ」という取引データを送ると、そのデータをくっつけるために誰かがマジックナンバーを見つける。マジックナンバーを見つけた1番の人が報酬をゲットします。その数字が本当に正しいかというのを、世界中の他の人たちでチェックします。正しかったら台帳に書き込む。これが大きな流れです。

これの何がすごいかというと、先ほどあった取引履歴は、書き換えようと思っても、世界中の何百万人のデータを書き換えないと、書き換えられない。

そういうことなので、ビットコインないしブロックチェーンは、データが正しいと、おおよそ言えるであろうと。

濱田:このへんは、みなさんどうなんですかね。「もう知ってるよ」っていう方、いますかね?

(会場挙手)

濱田:けっこういる、この調子で大丈夫ですかね。あと5分くらい。

原田:あと5分でとばしますね。じゃあ、これでどういう世界ができるのかというと、一例でいうとカーシェア。今あるカーシェアで、タイムズさんとか、DeNAのAnycaさんとかいらっしゃいますけども、タイムズさんでも車の所有っていうのはタイムズさんの車ですし、Anycaさんは車の所有者は個人なんですけど、やっぱりAnycaさんで車の管理をされている。

本当にピュアなCtoCのカーシェアって今ないんですよ。でもブロックチェーンがあれば、やりやすくなります。例えば、近所の人たちで「車を2台買おう」というのを、なにかしらのチェーンに書き込んで、そのご近所さんコミュニティで車をふわっと買って、その買ったお金の対象でトークンをもらって、その車を使う。

そういうのが、ブロックチェーンでできる世界の1つです。これが1個目です。

簡単に価値が送れる世界になった

原田:ブロックチェーンでできること。これは先ほど申しましたものが、すべてです。非中央集権のサービスができる。とはいえ、これを要素分解すると4つくらいの特徴があります。

1つが、価値を送れる、ないし保存できる。ビットコインの場合は、発行量が決まってます。2,100万枚までしか作れません。このブロックチェーンの、さっき言った「正しい」というデータと、「2,100万枚しか出せない」という希少性を組み合わせると、価値の代わりができます。

昔だったら貝殻、あるいは金(きん)、あるいは最近ネット上で話題になってるバーキンのカバンとかも、価値の代替です。売ってみると、7掛けくらいで売れちゃう。要は、「モノが価値の代替をしてる」ということができるようになりました。

でも、いきなり「ビットコインが価値を持ってる」って言われても、誰も欲しくないわけですよね。でも、なぜ盛り上がったかというと、こういう動きがありました。今までの法定通貨、円とかドルというのは、国が価値を保証してました。ビットコインというのは、国は関係ありません。誰も保証してない。これに飛びついたのが、おもにリバタリアン。いわゆる大きな政府ではなく小さな政府を求める人たち。

「国っていうのはなにもしなくていい、俺たちは自由にしたいんだ」「国から独立してなにかしたいんだ」っていう人たちにとって「これめっちゃすごいやん」「この通貨があれば、国に関わらずにいろんなことができるね」というところで、注目を集めました。

使う人が増えていくと、プラスの価値が出てくるので、取引コストが少ないとか、海外に送金できるとか、そういうプラスのハッピーなことがあったので、ビットコインとしての価値がどんどん出てきた。というところで、「インターネット1.0」と呼ばれる、情報を送れる社会だったのが、「インターネット2.0」と社内では呼んでますが、価値を送れる世界になったと言われてます。

価値を送れるだけではございません。もう1点あります。「簡単に」価値を送れるというのがけっこう重要な違いです。どういうことかと言うと、今まで価値を送るってけっこう大変でした。海外送金をするのに、例えばどっかの銀行で海外送金の契約をして、海外口座に入金して、高い手数料を取られて、さらに3日かかるみたいな。ものすごい手間がかかる。

投資も同じです。そもそも上場株じゃないと投資できないし、口座開設して、契約して入金してと、けっこう手間がかかる。それをビットコインだったら、最短ワンクリックでできる。だいたい2日が5秒くらいになるので、3万倍の速度になる。

スピードで比較すると、亀から、NASAが今開発してるマッハ10の、X-53っていう飛行機がいるんですけど、これぐらいの差がある。

……ぜんぜん伝わってない気がしますけど(笑)。

高橋:マニアックですね。

原田:これは世界で一番速い飛行機らしいです。要はそれぐらいの、ビットコインと今までの(違い)。簡単に送れるって言っても、亀に乗りたい人はいらっしゃらないように、簡単ってけっこう重要だなと思っております。

この、価値を送れるっていうのが、単なる「お金が作れる」という意味以外の意味も持ってます。ブロックチェーンの世界では、価値を送れるというのが、根源的に重要なポイントです。

ブロックチェーンと仮想通貨の親和性

原田:なぜかというと先ほど申しましたように、トランザクションが正しいかどうか、世界中のマイナーたちが参加してるんですけども、マイナーがなぜ参加してるかというと、儲かるから。報酬をもらえるからなんですね。

お金になるからマイニングしてる。すなわち報酬がないとマイナーも働いてくれないんですよ。ゆえに、マイナーがいないとトランザクションも(起きない)。「このデータが正しいですよ」っていう検証もしてくれない。ゆえに、このブロックチェーンというのは、そもそも仮想通貨と非常に親和性が高い。逆にいうと、報酬体系をちゃんと作れないと、ブロックチェーンとしては回らない。

世の中でよくあるのは、「ブロックチェーンってなんでもできそう」って、いろんなアイディアは出るんですけども、そこのデータって、要はさっき誰か言ったように、データの正しさを検証しないといけないんですよ。その検証をするためには、その人たちにメリットがないといけなくって、その世界観を合わせて「ブロックチェーンの世界」だというのをご理解いただくといいのかなと思っております。

というところで、トークンエコノミーとブロックチェーンは、非常に親和性が高い。つまり価値の保存と根源的に親和性が高いと、ご理解いただければと思います。

世界で1つしかないデジタルコンテンツも作れる

原田:もうちょっとで終わりますよ(笑)。3つ目は、所有権の帰属。データが正しいってなったら、データって別にお金だけじゃなくて、ほかにも世の中で、正しいデータがうれしいものってあります。例えば土地の登記とか、ぜったい間違ったらアカンと。ほかにも、野菜が採れて、どう来て、どう売れたかというのも重要です。

あるいは「あなたが誰か」とか、あとは特許などもブロックチェーンで管理できると言われていて、要は早さがちゃんとブロックチェーンに書き込まれて、間違えようがないデータなので、特許戦争とかにもけっこう重要だと言われています。最後にやっぱりけっこう重要なのが、デジタルコンテンツ。デジタルコンテンツって、今まではコピーできた世界です。

でもブロックチェーン技術を使えば、世界で1つしかないデジコンというのを作れます。具体的に言うとCryptoKitties(クリプトキティズ)という、ブロックチェーン上で猫をかわいがるという、イケてるサービスがあるんですけど、そこで一番高く売れた猫は(スライドを指して)この猫ちゃんで、だいたい1,200万円くらいで(売れた)。

要は「このブロックチェーンはあなたに所属してます、世界で1個しかないですよね」というところで価値があって、これくらいの高い値段で売れました。

濱田:ちなみにこの話知ってるよって人、どのくらいいますか?

(会場挙手)

原田:だいたい知ってるね。じゃあ(スライドを指して)これ知ってますか?

実際の生きている高い猫は数百万円くらいのサバンナキャット。

(会場笑)

原田:知らないでしょう?(笑)。サバンナキャットっていうのは数百万円ですが、それよりも高い。ほかにも、みなさん個人認証がいるっていうと免許証を出しますけど、海外に行ったらパスポートしかない。パスポートを作れない国もありますし、あるいはパスポートで学歴はわかりませんよね。

難民ってその問題を抱えてるんです。国連主導で、「あなたが誰であるか」、あるいは「学歴どうであるか、どういう仕事をしてきたことがあるか」、そういうのをちゃんと書き込んで、世界で使えるようにしたい、というようなプロジェクトは、まだ実装まではいってないんですけども、検討されてます。こういう所有権とか帰属の管理にもブロックチェーンは使えると。

婚活の与信データもブロックチェーンで管理?

(4つ目は)データの増加です。先ほど言ったようにデータというのは、今まで仲介者、いわゆる中央集権が持ってました。でも非中央集権になると、データは個人が持つんです。イコール、データオープンになると。すなわち世の中に、今までにオープンになっていないデータがいっぱい出てきます。

例えばそのデータが、与信に使えます。例えばECの履歴とか、仕事の履歴とか、移動履歴、インターネット閲覧履歴。もちろん今でもデータはあるんですけど、オープンになってないですし、あるいは詐称ができるデータだった。

でもブロックチェーンを使えば、これが詐称できないデータなので、こういうデータで、もしかしたら「あなたはちゃんとした人だ」というような与信にも使われるかもしれません。具体例でいうと、CtoCのメルカリを筆頭とするフリマってレビューがないと怖いですよね。レビューが0の人がバーキン売ってるっていっても、「すげー怪しい」みたいな。

そういうときも、例えばオープンになってるECサイトの利用履歴のデータがあって、「過去にほかのサイトでこの人が買ってる」といったことがわかれば、その人はもしかしたら安心できる、というようになるかもしれません。

あるいは婚活とかも……いま年収は納税データってありますけども、例えば運動神経データとかないんですよ。もしかしたら、将来的に健康データがブロックチェーンに書き込む世の中になるかもしれなくて、そういうデータがもしかすると、婚活の与信データに使えるかもしれません。

あるいは国家のデータとかも、もうちょっとオープンになるんじゃないかというところで、検討はいろいろ進んでるみたいです。教育とか交通とか、環境とか。

こういうデータもオープンになることで、社会検討というのがもっと進んでいくということが言われております。

インターネット登場に匹敵するインパクト

原田:(5つ目は)トラストレスな取引。データが正しい、さらにやり取りも正しいという、スマートコントラクトがあります。「AであればB」っていうのを間違いなく行える仕組みが、スマートコントラクトです。これもけっこう、いろんなところに使えるんじゃないかと。音楽を流したらこれくらい払うと、通して儲かってるお金を払う。

こういうのも全部「今まで契約であったじゃないか」って言われるんですけども、意外と行使ができてなかったり、細かいトランザクションがあるとチェックもできないですよね。

最後です。「結婚したらお金払う」と言ってもお金払わない人、いっぱいいらっしゃいますよね。それをもう銀行口座からお金ぶっこ抜いて払うっていうのが、スマートコントラクトでございまして、「ちゃんとした契約を、ちゃんと実行する」という仕組みがスマートコントラクトです。

以上でございまして、この5つが実現すると、ブロックチェーンというのがインターネットの登場に匹敵するほどのインパクトを秘めているのではないか、というふうに世の中では言われております。

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