2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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水野剛志氏(以下、水野):(飲食店の)社長さんが言っていたのは、(クラウド会計ソフト導入などの)仕組みを作ることで、そうした変な疑い(スタッフの現金の盗難など)がなくなったと。そうやって疑おうとすると、お店の雰囲気が悪くなるのですよね。ですから、そうしたことができないような環境を作っていったことが非常によかったと言っていましたね。
辻庸介氏(以下、辻):僕はいち経営者の端くれとして、仕組みというのはすごく大事だなと思っています。僕らは週に1回、朝会を全社で必ずして、今の課題や、こうした現状だということや、よかったことなど、コミュニケーションを取っています。そうすることで、みんなの共通理解が進んで、コミュニケーションがよくなると思います。
メンバーとランチにも行きますし、「CEOランチセッション」と言って、メンバーがランチを食べながら僕になんでも聞いてもらうセッションを月1回やったり、そうした仕組みにしていくと、かなり解決するということを感じていて。
なんか、基本的にはみんな、がんばってるじゃないですか。がんばっても解決しないことは、仕組みをしっかり入れてやっていかなければいけないと思います。
そのあたりは、テクノロジーを活用していきたいですね。さっき我々の商品サービスを使っていただいているところをご紹介いただきましたが、他にもいろんないいサービスが出ていますよね。水野さんのお客様で、このように仕組み化して、今までの課題が解決したといった事例があれば、みなさんにご紹介していただけますか?
水野:このスライドが飲食店業界のバックオフィス業務の流れなんですが、集客、予約受付、配席、レジ、決済、顧客管理など。それぞれいろいろあると思うのですが、今ここは、ほとんどクラウドを使ったサービスが出てきています。
例えば、会計であれば「MFクラウド会計」さんですし、レジであれば「ユビレジ」さん、「スマレジ」さん、「POS+(ポスタス)」さん。仕入れ業者であれば「インフォマート」さん。シフト管理・勤怠管理というところだと「ジョブカン」さんなど、いろいろと出ていますよ。
水野:これらが飲食店さんの経営と非常に相性がいいと思っています。レジなどはいろいろあると思うのですが、前提として、クラウドががいいと思っています。
どうしてかというと、飲食店さんのビジネスは、店舗ビジネスなんですね。店舗が増えれば増えるほど、見えなくなるんですよ。場所が離れているので、経営が見えなくなっていく。
辻:そうですね。見きれないですよね、そこまで。
水野:3店舗以上出していく場合は、オーナーさんがやっぱり経営が見えなくなっていきます。3店舗も回って行けるわけがないので。5店舗、6店舗もやっていると。では別のかたちでお店を見ていかなければいけなくなる。そういったときに、使えるのがやっぱりIT。テクノロジーで、とくにクラウドは非常に相性がいいです。
例えばレジの話だと、ちょうど今、軽減税率対策補助金などで、けっこう盛り上がっているのですよ。レジ業者さんが飲食店さんにどんどん営業をかけていて、飲食店さんから「レジを変えたいのだけど、どんなのがいいの?」みたいな話を受けるのですね。
その中で、レジだと、今クラウドPOSレジでは、例えばユビレジさん、スマレジさんでは、お店に出なくても、スマホから、もうお店の注文内容まで、この卓のこの人がどのような注文をしているかまで、全部スマホからわかるのですね。
お店を見ていく上では、スマホから見ていけるというのは非常にやっぱりいいですね。最近弊社のお客さんで、軽井沢でやっているお客さん、軽井沢と川崎で店舗を出していらっしゃるお客さんがいるのですが、場所の乖離がすごいじゃないですか。
辻:はい(笑)。
水野:でも、その社長が言っていたのは、そこではスマレジを使っているのですが、スマホ画面で見ていけるので、ぜんぜん問題ないと。これがなかったら無理だったけど、スマレジを使ってそうやって見ていくので、ぜんぜん問題なくやれていると言っていましたね。
辻:でも、昔を思ったらいい時代になりましたよね。レジってなんか、イニシャルで数十万円も払って、すごいハードを買って。でも、今はスマホやiPadがあったら、レジはそれだけでできるじゃないですか。しかも、どこでも見ることができるし。
あと、売上の分析や、利益率が高いものの分析も大切ですよね。みんな、イメージがあるじゃないですか。例えば、僕の友達でも、売れている順番というイメージがあって。からあげがすごく売れているというイメージがあるのですが、実際には枝豆が一番売れていたり。
それは何かというと、からあげの存在感がすごくあるから、すごくからあげを出している気になっていたのですが、実は枝豆が一番売れていた。だから数字と感覚はけっこう違っていて、それを見比べることによって、売上や利益をどうやって掴んでいくかというようなことがあると思いますが。そのあたりについてはなにか工夫されていることはありますか?
水野:そうですね、クラウドPOSレジなので、POSの機能が使えたり、売上のABC分析もできますし、原価率が低くて利益が取れる商品のABC分析もできるんです。それをクロスで合わせてやっていくと……。
売上も取れていて利益が取れる商品、これが一番いいわけですよ。売上はまだ取れてないけど利益が取れる、原価率が低くて儲けが多い、そういうものが今後伸ばしていかなければならない商品なので、POPを作ったり、あとはメニューブックの頭のほうに持ってきたりという、商品の戦略のところが立てやすくなります。
辻:そこまでお手伝いをされるのですか?
水野:そうですね、たまに。やっぱり僕らが付き合っている飲食店の方はITに弱い方が多いので、「そこの分析のところ、やってよ」というようなことをたまに言われることがあるので、そこはやっていますね。
辻:へぇ~。おもしろいですね。
辻:あと、先日「アルバイトさんをどうするか」といったテーマについてご質問させていただきましたが、そこはいかがですか?
水野:飲食店さんの店舗の壁であり、ビジネスに必要なのは、“人”です。その、人の大部分がアルバイトで構成されるというところが特徴的です。ですから、ここについてもやっぱり、ミスをいかになくしていけるか。そこでも僕は、クラウドやテクノロジーでかなり大きな効果が出てくるのではないかと思っています。
具体的には、何度も言っていますが、全部クラウドでやっていたとすると、クラウド上にデータがあるので、これらのデータが同じクラウド上、インターネット上にあるわけですよ。そうすると、データ連携がそれぞれできるようになるのですね。
例えばレジとクレジットカード決済。ユビレジさんと楽天Payさんの決済ができたり、あとはトレタさんとユビレジさんでデータ連携したり、あとはインフォマートさんとマネーフォワードさんの連携をしていったり。いろんなところでデータ連携ができていくという。
このデータ連携ができると、非常にいいんです。二重入力がなくなるのですよね。そこが飲食店さんには一番いいところです。今までだと、クレジットカードと売上は、レジで決済して、クレジットカードの決済端末でも同じ金額を入力するわけなんですね。そこがちゃんと合っていればいいのですが、合わなかったときに、やばいんですよ。それで大事故になるのですよね。
水野:実際、弊社のお客さんにあった話ですが、レジを選ぶときに、それこそ六本木の某有名ホテルのバーテンダーをやってらっしゃった方が、一ケタ間違えたらしいのですね。10万円だったところを1ケタ間違えて、100万円で実際に請求しちゃった。締め作業でそれに気づいて。
辻:サインのときは、要はあんまり見てないから、ピッてやっちゃったのですね。
水野:そうです、そうです。
辻:怒られますね(笑)。
水野:「やばい!」とすぐ気づいて、すぐに連絡して。ところがそこは六本木の某有名店だから、「一番高いお酒入れとけ」と……。
辻:お金を返さなくていいということですか?(笑)。 間違えてよかったという(笑)。
水野:「間違えてやばい」と思っていたのが、すごく助かったと言っていて。そんな失敗談から、絶対にレジとクレジットカードのデータ連携が第一なのだなと。ですから、その方は楽天Payをカードのほうで決めていらっしゃったので、ユビレジさん、POS+(ポスタス)さん、スマレジさんなど、データ連携しているクラウドPOSレジさんを選んでやっていましたね。
辻:僕らもクラウドのサービスをやっているうえですごく大事にしていることは、データ連携のところです。昔は、かなりクローズドにして「自分たちだけでデータ持つぞ」というようなところがありましたよね。でも、オープンにしたほうがユーザーさんにはすごく便利なので、いかにオープンでつなげるかを今では大事にしています。
あとはユーザーさんの選択で、いいものをうまく組み合わせて使ってくださればいいと思います。
水野:データ連携は、効率性が求められますよね。二重入力がなくなるので、効率化になるんですよね。今まではそれぞれで打っていた時間が何時間減りました、というようなところもあるのですが、僕らは会計人なので、会計人はやっぱり数字を間違えられないんですよ。データ連携をしていると、二度打ちがなくなるので、間違いがなくなります。
水野:トレタさんのイベントなので、トレタさんのことも触れないといけないのですが。
辻:確かに(笑)。
水野:この予約受付のところですね。ここがクラウドになると、予約受付というところでも効果が出てきています。例えば、A店で予約の電話が来ました。今までであれば予約台帳というのは、B店の予約台帳は見ることができないのですよね。
でも、A店で予約が埋まっていても、B店の予約台帳をすぐ見ることができて、そこでB店が空いていれば、B店に誘導するということも当然できますよね。ですから、クラウドは、データが距離の壁を超えられるというところが1つ大きいなと。
あとトレタさんの場合、レジとデータ連携できれば、トレタさんの顧客管理の情報に、レジのお客様の注文や決済の情報が紐付けられるのがとてもいいと思います。お客様がどういった商品を注文したかなども、レジからトレタさんの顧客情報に連携できるので、常連さん向けの接客や集客ができますので。
辻:昔では考えられない進化ですよね。お客さんが誰で、何を食べたかなどが、別に書かずにデータに溜まっていく。昔はその役目は女将さんでしたもんね。おもしろいですね。
辻:時間がどんどんなくなっていくので話題を次に。
多店舗展開するうえで気をつけないといけない点や、うまくやっている方はどうやっているかといったところを教えていただけますか?
水野:他店舗展開でうまくやっている方は、財務をしっかり意識してやっています。「税務」ではありません。「財務」です。お金をしっかり残していって……。
やっぱり飲食店さんで多店舗展開しようとすると、資金調達ということが絶対に出てきます。その資金調達をしていく、資金調達を加速させていくことがやっぱり必要になるのですよ。そのときに財務戦略というものをしっかり作っていかなくてはいけないと思っています。
財務戦略を一言で言うと、時間軸を使ってお金を増やすことなんですよね。実績をうまく見せて、銀行が融資しやすい状態を作ることが非常に大事なんですよ。
あとは、資金調達の方法ですね。ここも意外と知られていないのですが、資金調達の方法は、一般的に一番王道なのは、出店に関する設備資金で、銀行さんから融資を受けること。しかし、これ以外にも資金調達の方法はいろいろあるのです。
例えばリースですよね。リースなども資金調達の方法の1つですし、先ほどおっしゃったように、フランチャイズをしていくことも資金調達の一種のかたちだろうなと思っています。
あと、最近出てきているのが、ちょっとまたMF(マネーフォワード)さんの話ですが、MFのクラウドファイナンスという新しい融資のサービスだったり、クラウドファンディングなども出てきていて、これらとうまく組み合わせてやっていくと、調達はいっぱい伸びていくと思います。
辻:なるほど。さきほど出た「時間軸を身につける」というような話は、1店舗目を出して、銀行の融資で、営業キャッシュを回すと儲かってきて、それでお金を貯めて、それをまた頭金にして、また次に出すときに銀行から借りてなど、そうした感じだと思っていました。それ以外にもあるということですよね?
水野:銀行が見ているポイントは、実は多くないのですよ。融資情報、資金調達をするときに、銀行の人が判断するときに見ているポイントを、ゆっくりその時間を使って良くしていくということです。例えば銀行が一番見ているのは、キャッシュなんです。キャッシュはもう、すごく見ています。
辻:キャッシュフローということですか?
水野:いや、現預金です。
辻:現預金ですか。BS(貸借対照表)にある現金?
水野:現金ではなく預金です。
辻:預金、なるほど。
水野:銀行口座に入っている預金をめちゃくちゃ見ています。ここがしっかりある会社に関していうと、儲かっていなくてもけっこう貸してくれます。逆に、儲かっていても預金やキャッシュがない会社は融資を受けにくいのです。なにかあったときに耐えられないので。
銀行が貸したいのは、儲かって急成長をしている会社じゃなくて、安定して潰れない会社なんです。
辻:ははは(笑)。
水野:段違いですね。
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