2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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高橋俊也氏:我々が持っているビッグデータの種類は、大きく3つに分類できるかなと思います。
それを1つずつ見ていきます。1つ目は、ユーザーですね。あと、店舗。次は、営業。この3つから我々は日々外食で行われているデータというのを蓄積していっております。
1個ずつ見ていってもらいましょう。まずはユーザーです。先ほども申し上げた通り、ぐるなびは月間で約5,700万人の方が訪れておりますので、この方の閲覧履歴とか検索履歴、Web予約などが今、伸びています。Web予約の履歴を蓄積しているんです。
ちょっと検索履歴とか検索読数とか、そういうところを見ていきたいと思います。以下、2つのメニューをご紹介したいと思います。
まず、「ローストビーフ」。こういうかたちでフリーワードを検索して、「ローストビーフ」を検索して、どういうふうに推移しているかということを、2014年から見てみました。
(スライドを指して)そうすると、こういう折れ線グラフになります。2015年の7月とちょうど1年前、2014年の10月というところに、ローストビーフの検索数のピークが来ています。
じゃあこれはなんだろうというふうに調べてみたら、あのローストビーフ丼で有名になった店舗さんが進出してきた時です。実は、2014年の10月というのが、高田馬場。2015年7月というのが、原宿に2号店ができた。
その時メディアを調べてみると、やっぱりテレビにちゃんと取り上げられているんですね。なので、お客さんはメディアに触れた情報を必ずぐるなびに当てて、お店を探す。検索をするということで、如実にこういうデータに表れます。
続いて、今流行っている2つ目なんですが。「パクチー」。パクチーについても同じように調べてみました。
(スライドを指して)こういうかたちで、もともとパクチーって2014年の後半くらいからブーム来るというふうに専門店で出ていたんですが、検索のピークを迎えたのは、2016年の1月ですね。
こちらも調べたら、やはりパクチー専門店等はテレビにしっかり取り上げられておりました。
こういったかたちで、我々はユーザーの検索推移というのを定量的に捉えていくことができます。
続きまして、今度はユーザーが今どんな業態を見ているか、ということですが。
このように今、業態というのはいろいろ増えてきています。私も20年前はぐるなびにいなかったんですが。
きっと、ぐるなびが立ち上がった時も、和・洋・中・その他、くらいしかジャンルがなかったと思うんですが、現状ぐるなびがどのくらいの業態を持っているか、というところを見てみました。
こういうかたちです。商業態まで入れると、約230の業態がありました。つまり、なにが言えるかと言うと、業態はどんどん増えていっているということなんですね。
例えば、パンケーキはだいぶ流行ってきていましたから、当時はメニューのトレンドとして流行っていたものが、今やパンケーキそのものが業態になっています。さらに、ワインも業態に数えられています。
なので、よく食品メーカーさんと話しているのをまとめると、現状ユーザーの趣味趣向が多様化、あと複雑化してきている。
昔は業態だけを見ていればよかったんです。「中華業態にどんな提案すればいい」というかたちで。しかし、そういったところがなかなか難しくなってきていて、業態だけ見ているんではなくて、もう少し「個」に当てたマーケティングというか。同じ中華でも赤坂の中華の店と青森県にある中華のお店、同じ5,000円の客単価でもぜんぜん違いますよね。
そういったところに提案するものってぜんぜん違うんだというところで、我々のデータをうまく使えないかという話をよくさせていただいております。
一方で、業態別のPV数を見てとることもできます。いくつかご紹介をしていきます。
鍋業態を見てみます。鍋業態って非常にわかりやすいんで、みなさんも感覚的にはこういうふうに忘新で1回ピークが来るというのを理解されると思うのですが。
これは定量的に見ていくことによって、やはり7月くらいからどのくらい伸びているんだとか。今度、鍋業態をさらにブレイクダウンすると、しゃぶしゃぶ業態を我々見ていくことになります。
しゃぶしゃぶ業態がおもしろいのは、ちょっと私も見てみたんですが、1月のピークが終わった後、なぜだか3月にもう1回ピークがくるんです。理由は私もわかりませんが、そういったこともわかる。なぜか3月にしゃぶしゃぶのピーク。
ただ、それは肉のしゃぶしゃぶです。海鮮しゃぶしゃぶは伸びないというようなところがあります。いろいろそういうことで見ていくので、理由はわからないんですけど、もしかしたらなにか理由があるのかもしれないなと思います。
さらに、次、業態の伸びということで、こういうシーズナリーなものじゃなくて、じわじわきているものですね。
某ステーキ店とかが流行っていますけども、こういうふうな動きです。
熟成肉のブーム、肉ブームというのもあるんですけど、ステーキ業態がどんどん定着していって、ピーク数もじわじわ伸びているというのが、このグラフでわかるかと、おわかりになるかと思います。
続きまして、今度はぐるなびのユーザーが今どのお店を見ているかという、PV数が伸びている店というかたちでいくつかご紹介したいと思います。2店舗をピックアップしてみました。
1つは、東新宿にあるお店です。こちら日本で初めてらしいんですけど、全国47都道府県のおつまみが楽しめるお店ということで、食事好きのユーザーがこの店を検索しているみたいです。
さらに、魚卵専門店。ウニ、イクラ、トビコということで、魚卵にこだわったお店が非常にPVが伸びているということで非常に注目されております。
こういったかたちで、異常値と言いますか。だいたい我々もいろんな方とお話して、「業界のだいたいのトレンドは掴んでいるんだけど、ほしいのは異常値なんだよね」と。
時々、例えば神田で焼きそば居酒屋が流行っているとか、そういう異常値を検知したいというお話をいただけて、例えばこういうデータなんかもうまく使えるようになることがあるのかなと思っています。
さらに、ぐるなびはユーザーの検索履歴とか閲覧履歴だけではなくて、例えば、我々も最近、キュレーションメディア、食通の方にいろいろ記事を書いてもらって、どんどん発信していっています。
ぐるなびユーザーがどのお店を閲覧しているかというような履歴を持っていますし、ぐるなび会員になっていただいた方は、自分の好きなお店をお気に入り登録ということで、ブックマークすることができるんです。そういった、どのユーザーがどのお店をブックマークをしているかというようなことを分析することもできます。
我々もリニューアルしまして、Web予約。これが非常に今賑わっています。例えば、私が新宿の店を来週の金曜日に予約していると。どういうユーザーがどういうお店をいつ予約したかというような履歴も我々は蓄積していっています。
つまり、なにがこれで言えるかと言いますと、我々はぐるなびのユーザーが今どのお店に、今どういうメニューに注目をしているかというのがわかります。
そして、実際に食べに行こうと言った時に、どのエリア、そしてどのお店を検索しているか。そして、どのお店を予約したか、ということで、一連の行動データを我々は日々蓄積しているということになります。
ここまでが我々が3つ持っているデータのユーザーの部分です。
続きまして、店舗。店舗につきましては、我々は、約15万7,000店舗が自ら日々発信する正確なメニュー情報を保持しております。
(スライドに)「(=一次情報)」と書いておりますが、よく言われるのは、「ぐるなびの店舗ページというのは、ぐるなびの営業マンが取材してきて、それを入力してきているんじゃないか」と思っていらっしゃる方が多いかと思うんです。
実は、ぐるなび加盟店になっていただくと、IDとパスワードが付与されまして、ぐるなびPROという飲食店さんのサイトから日々飲食店さんがメニューやウリ、こだわり、コースメニューを更新できるんです。リアルタイムで更新できます。
例えば、秋が近づいてきて、「おいしいさんまが入ったよ」ということを管理画面から入れると。リアルタイムにお客様にその情報を届けることができます。
ということで、我々がこういったなかでいろいろ情報を持っています。一番わかりやすいのが、メニューデータです。当然ながら、アラカルトメニュー、さらに飲み放題付きのプランとか、いわゆる宴会コース。コースプランのデータも持っています。さらに、ワインリストじゃないですけど、ドリンクメニューもあります。
ぐるなびはどのくらいメニューデータを持ってるんだろうと計算してみたところ、実は約900万メニューのデータを持っておりました。
じゃあ、これをどういうふうに分析したら、いろんなことができるんだろうかということを考えてみた時に、まず特定のメニューの取扱店舗数というのが見て取れるんじゃないかということで、昨今流行ってだいぶ定着してきた熟成肉を見てみました。
はい。こういうかたちで2014年から徐々にこう伸びてきている。これは、先ほどは検索数を追いかけてきたんですけど。これは、ぐるなびの加盟店の中で熟成肉を扱っている店舗数が何店舗あるかという店舗が単位になっています。
こういうかたちで取り扱っている店舗が増えてきている。さらに、クラフトビールにいきましょう。
クラフトビールも同じです。熟成肉と同じように、クラフトビールも取り扱っている店舗がどんどん増えてきています。
取扱店舗推移だけではなく、今度は先ほどご紹介した、パクチーのメニューバリエーションも約900万を分析していくことでわかってきます。
単純に食材であるパクチーですが、「パクチーなになに」なのか、「なになにのパクチー漬け」なのか、パクチーの前後にあるワードを分析することで、こういったことがわかります。
同じパクチーでも、例えば、「パクチーモヒート」ということもありますし、よくわからないですけど、「パクチーキムチ」なんかもあります。パクチーのメニューバリエーションというのはこういうかたちで、我々は約900万のなかから分析することができます。
さらに、それを分析することに、地域、エリアの特性を考えると、おもしろいことが見えてきます。
これカツ丼です。カツ丼にも実は地域性というのがあって。調べてみたところ、岡山県だと、「デミカツ丼」。さらに、新潟、長野県だと「洋風カツ丼」というのがあります。名古屋では、さすがですね、「味噌カツ丼」というメニューが提供されています。
ということで、こういうカツ丼でも地域性というのがわかるんですけど、一番わかりやすいのが、焼きそばかなと思っています。B1グランプリとかそういうので焼きそばって多いんですけど、焼きそばのメニューバリエーションをちょっと調べてみました。
はい、もうみなさんご存じのように、「横手焼きそば」、「神戸のぼっかけ焼きそば」というようなものは、こういうふうに分布が見てとれるんですが。2つですね、焼きそばのメニューで、じゃあ47都道府県どこで提供されているんだろうかと、エリアでプロットしてみました。
1つ目は、岡山名物の「ひるぜん焼きそば」。これは鶏肉とジンギスカンのタレを使っている焼きそばなんですが、2011年B1グランプリを取っているんです。ここ岡山で提供されているだけではなく、お隣の兵庫県。あと東京ですね。あとなぜだかわからないですけど、富山県で提供されているということがわかりました。
同じB1グランプリでも、初代、1回目と2回目かな、に入賞した「富士宮焼きそば」というのを調べてみたところ、「富士宮焼きそば」は、こういうかたちで日本全国津々浦々でなんらかのかたちで提供されていることがわかります。
「富士宮焼きそば」が全国区になったということがこういうふうに見てとれるんじゃないかなと思います。
別にこれは良い悪いとかではなくて、こういう分析もできますよということの事例でございます。
さらに、本日、みなさんのお手元に『ぐるなび通信』という冊子をお配りしています。後ほどご覧いただければと思うのですが、我々は『ぐるなび通信』で飲食店向けの冊子を毎月8万部発行しております。
これは業界誌で言うと、最大部数になっております。なので、毎月毎月さまざまな繁盛店の取材に我々の取材陣が訪問して、例えば、定性的なんですけど、ヤードグラスで提供するモヒートとか、おもしろいカクテルメニューを提供しているお店というようなデータベースも取材を通して蓄積しています。
ここまでがメニューデータです。
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