2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
Keynote: Rishi Bhalerao PatientsLikeMe(全1記事)
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リシ・バレラオ氏:ご紹介ありがとうございます。皆さん、こんにちは。今日はここに来れましたことを光栄に思います。皆さんの前に立って、いくつか私とチームがやっていること。「Patients Like Me」での成果をご説明させていただきます。
ヘルスイノベーション、それから患者中心のヘルスケアを私どもは主にやっております。おそらく皆さんの多くは、このディスカッションもお聞きになったと思います。非常にインスパイアリングなことをお聞きなったと思います。
こちらのプレゼンテーションは、皆さんに対する招待状ということで、患者中心のヘルスケアのきっかけになればと思っております。それでは前置きはこのぐらいにして本題に入りましょう。
まず最初に私のお話です。このプレゼンテーションで最初に申し上げたいことは、私の頭の中から、ここ数週間離れないことです。これは私のおじです。インドに住んでいます。そしてこちらの写真ですけれども、だいたい2年半くらい前に撮影されました。健康で幸せで笑うのが大好きなおじさんでした。
先月10月21日、私のおじはステージ4の大腸がんの診断を受けました。残念ながら、この月曜日ですが、診断から1ヶ月未満で彼は亡くなりました。ここで彼の話をするのは、彼に限ったことではないと思うからです。
皆さんの多くは、皆さんのおじやおば、あるいは両親、あるいは兄弟子ども友人で同じような経験をお持ちでしょう。つまり、自分自身の健康危機で辛い思いをした方のお話をしています。
私のおじのヘルスケアの世界というのは家庭医との関係でした。小さなインドの町に住んでいました。ですから、ほとんどヘルスケアというのは家庭医と話すということでしたが、家庭医は彼のことをヘルスケアのエキスパートとして扱ってくれませんでした。つまり、私のおじをヘルスケアイノベーターとは誰も見てくれなかったんです。
テクノロジーのことを考えてみますと、この部屋の中にも多くのブレインパワーがあります。テクノロジーの、私たちの人生に対する影響考えますと、おそらく皆さんこうに言うでしょう。
「これらは、私たちは人生のいろんな側面でベネフィットがあったにもかかわらず、ヘルスケアへの応用ということを考えると、テクノロジーはまだまだ何もやってくれていない」と。
ですから、私は今日ここでまったく違った将来の画を描きたいと思っています。新しいモデルです。このモデルにおきましては患者は患者ではない。イノベーターであるということなんです。
そして彼はイノベーター。単なるイノベーターではない。イノベーターでも、自分自身の健康におけるイノベーターであるということなんです。
ではその前に、いくつかの質問に対して答えてみましょう。なぜ患者がイノベーターであるべきなのか。どのようにしてイノベーションがヘルスケアで起きるのか。そして私たちは患者から何が学べるのかということです。そしてこれらのヘルスケアでイノベーション推進のため、患者をどのように使えるのかということです。
イノベーションというのは3つのステップから起きます。まず最初ですけれども、ここでは試行錯誤のプロセスを踏襲するということになります。解決を見つけるためにはうまくいくこと、いかないことがあります。
そして問題を測定するということです。測定できるとパターンがわかります。パターンを見て、こちらの薬剤はあなたに奏功する、あるいは他の人に奏功するとわかるわけです。このようなプロセスを経て、初めて私たちが真に問題を理解できるということなんです。
つまりルールベースのシステムが確立されるということで、それで初めてソリューション、解決が見出せるということなんです。このようなイノベーションのパスというのがありますが、多くの疾患でもこの経路をとっております。
TB、結核というのは1つの大きな例でしょう。過去におきまして、患者には希望がなかったんです。外からの空気を吸う、それからよい食事をする、そして休息をとるということぐらいしか治療がなかったわけです。
こちらが結核なんですけれども、19世紀です。結核病棟で太陽の光を取り入れているんですが、うまくいきませんでした。このようにして、どのようにTB、結核を測定するのかということを学びました。
聴診器ですとか、あるいはイクセルのような技術で測定が可能になりました。そうしますと、パターンが見つかり、私たちは先に進むことができました。テクノロジーを通じて、私たちは結核というのは気管支炎ではなくて、がんではなくて、これらの疾患のサブタイプではなくて、独立した感染症だとわかったんです。
そして1940年代になって初めて抗生剤が市場に投入されましたが、それで私たちは本当にこの疾患というのは、細菌が引き起こすメカニズムなんだとわかったんです。初めて私たちは明確なルールが確立され、どのようにして治療を行えばいいのかが理解できるようになったんです。
私の元ボスで、ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン先生という人がいるんですけれども、この人が3つのフェーズというのを作りました。
まず最初が直感、そして蓋然性、そして精度ベースのメディスンということです。つまり別の言い方ですとルールベースのメディスンです。このように疾患、あるいは状態、あるいはヘルスケアの問題というのは、この経路を通るんです。
1つ重要な次元というのが時間です。つまり、このような作業ですとか、時間をかけて1つのフェーズから別のフェーズに移動するということになります。そしてもう1つ非常に重要な次元というのがあります。それはコストです。
私たちが左側の世界、つまり直感の世界から正確な世界に行くためには、ヘルスケアではいろんな興味深いことが起きます。コストが下がっていくんです。私たちは実際、よりよい治療法、よりよい転機を、より少ないお金で得ることができるんです。これが本当に中核です。
なぜヘルスケアのイノベーションが大切なのか、という中核をついていきます。私たちはよりよい転機を、より少ないお金で得られるということで、より正確な予測可能な転機を得られるということなんです。
このようにヘルスケアイノベーションというのは、私たちの社会全体の幸せに必須なものです。それと同時に、このあと患者さんの絵を見せていきますけれども、患者さんがその中心となります。
この経路を進むんですけど、結核の世界というのは少なくともアメリカにおいては激変しました。この疾患のインパクトというのは大きく下がっていたということなんです。1900年、だいたい10万人当たり194.4人の死亡。
しかしこの死亡率はどんどん下がってきてるので、今では非常によくコントロールされた疾患となっております。もちろん世界の別のところでは、結核は依然問題であるんですが、先進国におきましては、非常によくコントロールされた疾患になったということです。
それではここに患者がどのようにかかわってくるんでしょうか。3つのフェーズをお話ししました。
私たちが直感の医療から蓋然性の医療に移動するためには、私たちはまず最初に疾患を測定しなくてはいけないのです。このように疾患を測定して、初めて何が起きてるのかがわかる。そして、それによって効果的な治療が何なのかわかるということなんです。
このように測定結果を使うことによって、私たちは疾患を理解することができるということです。どんなことが原因で、どんなメカニズムで病気なのか。それによって正確な医療が提供できるようになります。
つまり、患者というのは毎日疾患と共に暮らしています。彼らはそういった意味で疾患のエキスパートなんです。だからこそ彼らは測定においても、理解においても手を貸してくれます。
そこで私が先ほど言った中核メッセージです。「ヘルスケアのイノベーションというのは、私共の幸せにとって重要である。そして、患者がヘルスケアイノベーションのまさに不可欠の本質的な部分である」ということなんです。
それではこういったところまで申し上げましたが、Patients Like Meでは具体的に何をやっているんでしょうか。私どもは10年前にWebサイトを始めました。
目標は患者をお助けする。お互いがつながる手助けをする。お互いから学べるようにする。そしてこれらの自分の健康を、時間を通じて追跡できるようにするということです。
このお話の最後のところでデモをさせていただきますから、サイトがどのようなものか、おわかりいただけると思いますけれども、私どもが導入した概念の1つは開放性ということです。
ですから、さまざまなテクノロジーのビジネスがあると思いますけれども、私どもは個人情報保護のポリシーがあります。それと同時に開放ポリシーもありますから、これらのヘルスケアの情報を共有することによって、研究あるいは治療においても、よりよい転機が得られるということなんです。
こちらは患者のプロファイルです。ご覧いただいてますけれども、患者は多くの情報を共有しています。自分の健康についての情報です。これらの情報のほとんどは、時間をかけて捕捉されたものです。そこで、これらの進捗はどうなのか、あるいは介入の効果はどうであったのかということがわかります。
患者は自分たちが受けている治療の情報も共有します。なぜ薬剤を始めたのか、なぜ特定の治療を止めてしまったのかがわかります。そしてどんな薬剤をとっているのか、そしてその容量はどうなのかという情報も載せています。
こちらのデータというのは、もうどんどん膨らませていくことができます。それだけではありません。副作用も報告しております。実際に世界で何が起きているのか、臨床試験の外で、日常診療で何が起きてるのかがわかるんです。
アドヒアランスもとても重要な側面です。ライフサイエンスの世界においても同様です。つまり、実際の世界でアドヒアランスがどうなのかを見たいということです。患者が治療を勝手に変えたり、あるいは治療を始めたり止めたりしていないかということです。
この情報というのは非常に重要です。研究にも使えるものです。こういった情報をもとに、よりよい患者の行動に関する洞察が得られるということです。
そしてこういった枠組みがありますので、私たちはいくつかの研究を実際に行いました。今やっと100くらいの研究を走らせています。1つ例を共有してみましょう。数ヶ月前にやったものなんですけれども、バイオジェンとパートナーを組んでやった研究があります。
これは早期の例ということでお見せしてるんですが、私たちはどのようにして患者を使って洞察、測定に使ってるのかということです。まだ早期の結果ですので、手直しが必要なんですけれども、私どものパートナーを使ってこのような研究もしているという一例です。私たちの目標というのはMS、多発性硬化症の患者を実世界で見てみようということなんです。
私たちはこれをやることによって、客観的なデータを集めようとしました。Apple Watchですとか、Fitbitですとか、JAWBONEというものを考えました。実際はFitbit Oneをデバイスとして選びました。患者のトラッキングに使うものです。
なぜなのかということですが、これはなかなか正確なデバイスですし、まだ入手可能性も高いですし、そしてこれらの患者の生活の中にうまく入り込むと考えたからです。これらの健康、トラッキングに関心のある人たちに使ってもらえると考えたからです。
私たちは研究プロトコールを作り、IRBの承認を得て、そして登録を試みました。私どもの目標というのはだいたい100人の患者を4週間ぐらいかけて登録しようということでした。
でも、ここからおもしろくなるんですけれども、研究を立ち上げてみるとびっくりしました。これは私どものターゲットの2.5倍なんですけれども、248人の患者が最初の1日目で集まってしまい、多くの人の登録を断らなくてはいけなかったんです。
ですから、患者によってはとにかくFitbitのデバイスを自分で買って、研究の参加者とともに自分たちで測定したということです。だいたい参加者の80パーセントぐらいがデータをアップロードすることができました。
MS、多発性硬化症の患者を使ったものなんですけれども、彼らに参加してもらうということは本当に大変なことだと思うんですけれども、彼らはこれだけ多くの人が「参加したい」と、「助けたい」と言ってくださったんです。
80パーセントの参加者がデータをアップロードしました。私どもが考えていたよりもずっと高率でした。これらの患者は、疾患の管理の最中にもかかわらず参加してくれて、そのうちの80パーセントの人がデータを共有してもいいと言ってくださったんです。
これらの活動を見ているんですけれども、活動が疾患の進行度の最もいい指標だと思ったからです。でも患者は活動だけではなくて、睡眠も記録していました。また人によっては実際、睡眠のデータを取って自分たちのドクターと共有して、いろんな介入を協議したと言っていました。
またそれだけではなくて、これらの研究プログラム、デバイスがありますので、「こういったことに参加することによって、自分の健康によりよく気をつけるようになった」と言っていました。「実際に健康を保つ努力をした」と言ってくれました。
こちら、ちょっと技術的なスライドに見えるんですけれども、関係を見たものです。私たちのデバイスでステップカウントがありますが、それが本当に正しい数字なのかということで、パリで出されたMSRSRとの関連を見てみました。
このように、どんどん重篤になっていくとステップカウントは減っていくということがわかりました。ということで、私どもはこのデバイスの妥当性が検証されたと考えました。
もちろん、ここでデバイスには誤差があるでしょうけれども、デルタ、つまりこれらの活動の変化を見ることで、疾患の進行度を測定できるということがわかったわけです。これはまだ早期の研究段階ですので、もっといろんなことが必要です。でも私たちは患者を使って健康医療の研究をするという例をお示ししました。可能だということを示したんです。
患者を関与させる、そして患者から学ぶということがこれらのイノベーションの源です。私どもができるだけ早くこれらのフレームワークを確立すればするほど、もっと早い段階で患者に助けの手を入れてもらえるということなんです。
今日はご清聴いただきましてありがとうございました。次のセッションではデモをさせていただきます。ありがとうございました。
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