2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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南場智子氏(以下、南場):椅子の扱いが違う(笑)。MCとかファシリテーター無しみたいですね。
私たちで楽しくやらせてもらいます。どうぞよろしくお願いします。去年から引き続きでここに来させてもらえて、本当に光栄です。
今日は、瀬戸際からのカムバックというか、瀬戸際からの……なんだっけ? 挽回! ほとんど挽回していない2人だということがわかったんですね(笑)。
私たち1分前に出会いまして、いろいろ根掘り葉掘り聞いていると、1人は全く自分は失敗していないと認識してるんだけど、どう聞いても失敗している(笑)。
もう1人は、自分の失敗の認識もあるということなんですけれども、基本的にはあんまり挽回はしてないのかな、なんていうところがあるんですが。
今日この2人をステージに引きずり出してきたのは、私は失敗をすることこそがジャンプ台だと思っているし、トライをしない人と比べると、比べ物にならないくらい尊いことだと思っているので、今日はこの2人から徹底的に学んでいこうと思っています。
細谷さんと堀江くん。とりあえずみんなが何者かとわかるような自己紹介をしてください。
ちょっと簡単な失敗例をお話しすると、僕は日本の理工学部の大学院を出てからシンクタンクで6年半働いていて、いわゆる公共事業みたいなのをやりました。最近いろいろ話題になってますけど。
そのあとに、海外でMBAを取るチャンスをいただいて、結局自費で行ったんですけど、UCLAというところでビジネスを学んでいました。
その在学中にひょんなことから起業することになりまして、アメリカの起業家さんから出資をいただいて、順風満帆なスタートを切ったと思ったんですけど、なかなかそれもうまくいかなくて、結局卒業と同時に会社を閉めてしまったと。
お金もいっぱい使っちゃってどうしようかなみたいなとこだったんですけど、もう一度チャレンジしようということで、今日本に帰ってきて、先ほど言ったボーダーという会社を運営しています。
昨年設立して今1年目で、まだまだ生き残れるかどうかという状況ではあるんですけど。
南場:何やってる会社で、君の失敗の話……あとにしようか?
細谷:はい、あとにします。
南場:わかりました。じゃあ堀江さん、お願いします。
堀江裕介氏(以下、堀江):dely株式会社の代表をやっております。堀江と言います。今23なんですけど、元々コーチユナイテッドという会社でちょっと働いたあとすぐ独立しまして、それが去年の4月くらいに独立しました。
海外でいうとInstacartみたいなビジネスモデルにしたくて、それを渋谷から始めて6月くらいにローンチしたんですけども。
半年くらい経った頃に見切りをつけて、今年の2月くらいにまた新規事業を立ち上げて、社員と働いている人全員含めて17人くらいになってきていて、どんどん拡大するために採用を頑張っているという状況です。
南場:ごめんなさい。オフィスどこだっけ?
堀江:渋谷です。
南場:渋谷ね。ありがとうございます。失敗からの挽回というテーマだから、2人に失敗の話をしてもらいたいなぁ。ドラマチックだよね、2人とも。
細谷さん、事業内容とどういう失敗があったのかというのを。
細谷:失敗したのはひとつ前のビジネスで……今はちょっと良くなってきているので、前の話なんですけど。
アメリカでやっていたのは、トラベルプランニングツールみたいなのをつくって、ローカルの人から情報をもらったらそれを記事にして、人がストックしていって、溜まるとサジェストして「旅行のプランを一緒につくりましょう」みたいな形でマネタイズするビジネスで。
アイデア自体はおもしろいということで、投資家さんからもウケは良くて。
南場:ごめんなさい。旅行の計画じゃなくて、旅行記みたいなのをアップするということ?
細谷:そうです。ストックして、同じエリアの記事が溜まってくると、こっちから「このエリアが溜まってきてるから、そろそろ旅行のプランを立ててみませんか?」みたいなサジェスチョンをして、一緒につくりましょうという形でやっていました。
ビジネス自体、アイデアベースだったんですけど、アイデアの段階で出資していただいて。失敗というと、Co-ファウンダーがいたんですね。
ミスったなぁということが大きく2つあって、1つがエクイティのシェアの問題で50:50で持って、責任が不明確だったんです。
南場:どっちが社長だったの?
細谷:Co-CEOで。
南場:あぁ、それで。パターンですね。その前にちょっと一言声をかけてくれれば、それだけはやめろって私は言ったと思うんだけど。そうなんだ、Co-CEOで50:50。
細谷:そうですね(笑)。譲り合えなかったというか、自分も出たがりなところもあって、彼もたぶん出たがりなところがあって。どっちが始めたというより、一緒に始めたというようなところがあったので。
南場:他に社員はいたの?
細谷:最初始めたときは2人だったんですけど、そのあと2人アメリカ人が入ってやっていました。Co-ファウンダーがエンジニアリングのバックグラウンドを持っていて、僕はそれを持っていなかったので、なんとなくエンジニアリングは任せて、それ以外は僕が引きとってみたいな感じで。
南場:彼がつくってたんだ。
細谷:つくっていたというより、ディレクションをしていたという感じですね。いろいろアウトソースしてたんですけど。
「マネジメントのスタイルが違うな」というのを途中から感じ始めていて、彼はどっちかというと「最初に大きく投資して、後でしっかり取り返そうぜ」という。
僕はどっちかというと、「プロダクトがマーケットにちゃんとフィットするまではお金使わないでいこうぜ」みたいなスタンスでやっていたんですけど、そこらへんがどんどんギスギスし始めて。
南場:そうね、どっちが正解というのはないけれども、その考え方は大事なポイントだから一致してたほうがよかったよね。それでどうしたの?
細谷:結局「Webのことは任せるよ。」というふうにしたんですけど。その後、厳しく突っ込みづらくなっちゃって……。
「ちょっと使いすぎじゃないかなー」って思いながらも、なかなかそれが言えない状態が続いて、どんどんギスギスして。でき上がったアウトプットがちょっとイメージと違ったりして。
もちろんおっしゃる通り、どっちが悪いわけじゃないけど、そこから不信感が生まれて、「ずっと一緒にやっていくイメージできないよね」っていうことで、早めに別れたという感じでしたね。
南場:そうなんだ。最初に、アイデアの段階からお金がついたと言ったじゃない? それは、どこから、いくらくらい付いたんですか?
細谷:いわゆるアメリカのエンジェルインベスターから150K(150,000ドル)だから、日本円で1800万くらいアイデアつききました。
南場:自分たちの持ち金はあったんだ?
細谷:ないです。ほぼゼロ円でした。
南場:150Kを何パーセントで渡したんですか?
細谷:インベスターに対してですか? 10パーセントで渡しました。
南場:そうなんだ。君も聞きたいことあったら聞いて欲しいんだけどさ。その仲間というのは、どこで出会ったか。どういうバックグラウンドの、どれくらい親しい人だったの?
細谷:学校で知り合った人ですね。UCLAというところで勉強していたんですけど、そこで知り合った仲間で、いわゆるクラスメイトで、実は日本人です。知り合って起業するまで、4ヵ月……3ヵ月くらいですかね。
南場:盛り上がって?
細谷:はい。アイデアに「いいね、いいね!いこうぜ!」みたいになって。初めは「お前に任せたぜ」みたいな感じだったんですけど、いろいろ進めてみると、経営の考え方にけっこう違いがあるなと、当時は気づかなくて。
南場:今も友達ですか?
細谷:今も友達です。パーソナリティーとしてはすごく好きなので。
南場:なるほどね。難しいですよね、パートナーね。結局、会社がうまくいくときも、大失敗するときも、ものすごく悩んで時間を浪費してしまうときも、「人」とかのことが一番重いよね。
それがビジネスの本質じゃない気がして、それで悩んだり時間を使ったりするのが、逆に自分に対してもイライラしたりして。
結局それで使った時間は全部でどれくらいだったの? 構想と、始めてから、お別れして、閉じて。
細谷:1年と3ヵ月くらいですね。
南場:その経験から学んだことあったでしょ? あとでゆっくり聞こうかな。
南場:どうですか、堀江くんは?
堀江:僕の場合は、お金の問題とかは、そんなに減らしてたわけではなくて、フードデリバリーなので初期からある程度売り上げが立つモデルだったんですけど。
一番の問題は、トランザクションの伸びがそんなにいいものではなかったので、これを10年とか続けて……。
南場:そんなに伸びてなかったってこと?
堀江:そんなに伸びてなかったんです。
南場:それはフードデリバリーでしょ? 渋谷地区だよね? なんのフードを、どんな人に、どうデリバリーするの?
堀江:一番最初に考えていたのが、もともと競合他社さんがデリバリー機能を持っている店舗さんを集めたポータルサイトっていうのはたくさんあったんですけど。
南場:そうだよね。
堀江:デリバリー機能を持ってないレストランさんの物を運ぶっていうのがなかったので。
南場:それ、ニューヨークにあるアイデアだよね。ニューヨークですごいヒットしてたよね!
堀江:それを1年半か2年くらい前に「これいいな」と思って、大学の友達と始めたというのが一番最初なんですけれども。
僕の問題は「人」よりも「事業」。そもそも日本とアメリカのスタイル、生活様式が違うので。
南場:どこが一番苦労しましたか? いわゆるデリバリーをしないレストランにデリバリーを用につくってもらうところなのか、それともお客さんを集めるところなのか、それともオペレーション・エクセレンスなのか?
堀江:オペレーションの問題はそんなになくて。営業の問題でいうと、もう飛び込み行きまくるみたいな感じだったので、100個行けば絶対取れるみたいな。
南場:100分のいくつ?
堀江:どうでしょうね(笑)。100分の…5とかは取れたと思います。テレアポとかも含めて。そこはあまり問題視してなくて、時間の問題。
南場:お客さんか。
堀江:そうですね。というのも、やっぱり東京だとコンビニでなんでも安く買えてしまうので、そもそもそこに対して需要があったのかどうかという。
始めてみてから「これ本当に需要あるのかな?」っていうのを心の中で思いつつ何ヵ月かやっていたときが一番つらかったです。
南場:あぁ、そうね〜。そのときはどれくらい人がいたんですか? 2人だけ?
堀江:そのときは「一気に行こう」ってなってて、自分が知り得る一番優秀な人たちをガンガン集めて、月400〜500万くらい回してたくらいなので……15〜20人くらい。営業とかバイトとか入れるともうちょっと。
南場:告知はネット?
堀江:アプリです。
南場:アプリか。う〜ん……。
堀江:そこも間違えたなと思っていて、Webでやったらもっと集客手段があったんですけど。SEOとか。
南場:チラシとかはやんなかったの? もっと足で!
堀江:やりました! あと、配達員が足りなくなったときは、自分たちで走って(笑)。そういう意識のところまでは楽しかったですね。
南場:うん、うん。そういうことだね。
堀江:打ち手がなくなったときが一番つらかったです。
南場:すばらしいのがさ、辞めるっていう意思決定をして、会社は潰したの?
堀江:潰してないです。
南場:違う事業に変えたわけね。
堀江:お金をそんなに減らしてたわけではなく、事業の先行きに対して、あまり将来性がないなと思ってしまったので。お金自体はあったので続けようと思ってました。
南場:どういうお金?
堀江:結局冬のほうがオーダー数がガッと増えてきてて、冬になってめちゃめちゃ赤という感じではなくて、そんなにお金が減ってなかったので。
これを使わなきゃいけないなと思いつつ、ここで辞めてもしょうがないと。
南場:なるほどね。えらいでしょ?
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