2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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原隆氏(以下、原):今おっしゃった中で、「働き方革命」っていう言葉があったと思うんですけど、今、日本の政府が何を進めているかというと、どちらかというと、正社員化というか。
派遣法改正で、正社員化を進めましょうって動きがある中で、逆にクラウドワークスが描こうとしてる世界というのは、一人ひとりが働き方を自由に選べるという世界で、ちょっと政府が向いている方向とクラウドワークスが向いてる方向とズレがあるのかなって気がするんですが、その辺はどうですか?
吉田浩一郎氏(以下、吉田):そうですね。政府の施策については、いろんな見方があると思っています。おっしゃるように、2018年まで派遣の契約のままであれば、原則正社員にしてくださいっていう動きで。去年スターバックスとかユニクロさんが、地域限定正社員っていうのを前倒しで採用されてますね。
そういう、地域限定正社員という意味でいうと、正社員って名前はついていますけど、その拠点がなくなるっていう意味においては有期なんですよね。無期ではなくて有期雇用なんですよ。
実は政府の話って両面があって、正社員化を推し進める一方で、正社員と非正社員のギャップをなだらかにするような施策をいくつか打っている。その1つの現れが、安倍首相の提言してるテレワークですね。もちろんテレワークは日本全国で始まっています。
我々も横須賀市と一緒にやらせていただくことが決まりました。そういった意味では、厚生労働省の在宅就業者支援事業。あるいは経済産業省の、クラウドソーシングに関する助成金っていうのを見てもですね。実はそっち側にもはってはいる。
原:正社員になりたい人には、ちゃんとなれる制度を。自分で働き方を選びたい人は、受け皿としてクラウドワークスみたいなクラウドソーシングのサービスを利用する。二極化ではないですけど、選択肢が増えるということ?
吉田:働き方の面でいけば、今の話の通りだと思うんですけど、労働に関しては、ロボットとAIの部分を加味しないとこれからはやっていけないと。ソフトバンクのPepperがショップの店員をやるときに、何が一番いいかというと、教育コストがかからないということ。
人間に比べて、コンピューターのほうが記憶力があるわけじゃないですか。人間は記憶力ではコンピューターに勝てませんと。「人間が人間として働く意味はなんですか」というのを問われる時代になってきてる。
じゃあこれは、過去に無かったのかというと、製造業にそれが起きてる。前は家内制手工業だったものがオートメーション化されて、さらに外部化が進みましたね。
それでシャープにとっての鴻海(ホンハイ)みたいな形で、工場が外部化して、それが独自に肥大化していった。今、それのホワイトカラー版が起きていると。だから、ホワイトカラー版の鴻海(ホンハイ)を我々は目指していると言ってるんですけど。
いろんな企業にとっての中間のところを、我々がやることによって、企業さんは、もっとアイディアとかデザインとか、何をすべきかと。人間が人間らしい仕事に集中できるような環境を整えるみたいなイメージなんですけどね。
原:今クラウドワークスの仕事の中身で、一番発注が多いのはどういったものですか。
吉田:今はやっぱり、Web周りのコンテンツ作成とかデザインですとか、比較的簡単な開発。単体のアプリケーションやアイフォンアプリの開発ですとか、Web周りの開発。
逆に高度なシステムエンジニア、いわゆるSIの世界のようなところの外部化っていうのは、まだそこまで進んでないと。それは海外のクラウドソーシングとの大きな違いだなと思います。
原:海外だと例えば1千億とか。その前にクラウドワークスが目指してるのが100億で。その差分っていうのは、それだけなんですか。
吉田:そうですね。それは1つ大きな要因としてあるかなと思います。アメリカのUpworkっていうoDeskとElanceっていう大手が合併したところですね。
あるいは最近、Gigsterっていうサービスが出てきましたけども、これは基本的にはSIの中長期開発をオンラインで行うっていう。インターネットの向こう側に、プロマネがクラウドワーカーとして存在してやっていくみたいな。これも1つ大きな市場になるかなと思っています。
原:どうやったらそういう仕事まで受けられるようになるんですか?
吉田:日本でも、もう正社員をすべて内部に抱えるほど市場が右肩上がりではないということは、既存の大手のSIさんも認識していますと。やっぱり大手の3強、4強さんに呼ばれて勉強会をさせていただきますけど、危機意識はあるんですよね。
ただ正社員を抱えちゃってるんで、そこから変革するっていうのは……私は新卒でパイオニアに入っています。パイオニアやシャープ、パナソニックとかが経験したようなことが、これからSIに5年10年かけてやっぱり起きるのかなと。
その後に我々っていうのは、本当の意味で伸びてくる。やっぱり、ある意味外圧がないと変わっていけないっていうのは製造業で証明されているので。
原:逆に、クラウドワークスで海外に打って出るみたいなことは頭の中にあるんですか?
吉田:そうですね。今、いろんな話をさせていただいてます。インターネット上に人のスキルが上がるっていうのは、さっきのFacebookとかAmazonとかと同様で、別に国は関係ないというわけですよね。だから当然、グローバルもクラウドソーシングのプレイヤー。
オーストラリアでFreelancerが上場して、今、時価総額700〜800億くらいあるんですけど。そういった方々と話をしていって、当然「世界をとるために、協力しようよ。1つになっていこうよ」という可能性はあると思っています。
原:あの……ランサーズとは仲がいいんですか?
吉田:(笑)。
原:前に取材させていただいた最後がランサーズの社長との対談だったと思うんですけど。
吉田:さすが原さん、ぶっこみますね。一応解説までになんですけど、業界ではランサーズっていう競合がいて。この2社のオフィシャルな対談を設定したのが原さんでして……あれは2年くらい前でしたっけ?
原:炎上したときですね(笑)。最近もまた炎上したみたいですが……。
吉田:いやいやいや(笑)。そうですね、クラウドソーシング協会というところでコミュニケーションしたりとか、三木谷(浩史)さんがつくってらっしゃる新経済連盟の幹事でもご一緒させていただいてますので。良きライバルという感じです。
原:つくった協会というのは具体的にどういった活動をされてらっしゃるんですか?
吉田:協会の意義って攻めと守りの2つあって。攻めのところは、事例の共有で市場を拡大するために啓蒙を世の中に図っていきましょうと。
防御はどうかというと、違反がないとか、不正がないとかっていうガイドラインを1社でやってもあれなんで、足並みを揃えていきましょうと。
今は前者のところの市場拡大ってところに注力していて、経済産業省の中小企業のクラウドソーシングに関する助成金も1社で受注っていうのは公平性の面からできないですから、クラウドソーシング協会をメインにさせていただいて。
全国で今年ですね……800社。経済産業省の後押しで800社の企業が、クラウドソーシングの発注体験をするんですね。これは去年100社だったので、そういう意味では確実に増えていますね。
原:発注の内容を見てると、前だと「問題があるんじゃないかな?」みたいなものが結構あったんですけど、今は無くなってるんですか? 例えば口コミをつくるとか。ああいうのはもう今は一掃されてるんですか?
吉田:そうですね。1つ事実として、久しぶりなのでアップデートさせていただくと、上場から今まで、契約者同士が法的なトラブルに発展したっていうのは一件もないんですよね。
そういった意味では、そこのガイドラインっていうのは、他の業界に比べると安定的に運用されているのかなと。
やっぱり、我々もフィルタリングのスキルっていうのはデータとしてどんどん溜まっていきますので、過去の不正の可能性をどうやって排除するかっていうのは、やればやるほど蓄積されますので。
原:仕事を発注する側、受注する側。これは1つのマーケットプレイスみたいなイメージだと思うんですけども。クラウドワークスとして、もっともっと拡充して、増やしたいとすると、これは(発注する側と受注する側の)どっちになるんですか?
吉田:全然まだまだ仕事ですよね。
原:発注する側が少ない?
吉田:全然少ないと思います。受ける側は、日本の仕事においては大丈夫ですね。全然いい人を探せる状態。最近でいうと、基盤の設計とか建築の看板パースとか、展示会のブースのパースとか。
そういったWebじゃないお仕事増えてきて、メーカーズワークスっていうのを立ち上げてるんですけど、この分野は人が足りないですね。存在を知られてないのか、まだまだお願いしたい人はたくさんいるんですけど。
あとは3Dプリンタとかの勃興によって、もっとカジュアルに頼みたいっていうのは増えてきてるんですけど、受け手側がちょっとやっぱり足りてないっていう感覚はありますね。
原:今の話でいくと、メーカーズのところは受け手側がいない。発注企業も受け手がいないっていうところはどうしていけばいいんですか。
吉田:そういった意味では、派遣の業界も30年前に立ち上がって、派遣がどういうふうに浸透してきたかっていう研究はしてるんですけど、1つブレイクスルーになったのは、派遣で年収2000万の人が誕生したのがターニングポイントになっていますと。
それによって、継続的にお仕事が発注されているっていうのが、世の中に認知され始めた。要は単発の仕事なら2000万いかないわけですよね。しっかりと経営の中で必要なパーツとして認知されている。
これがうちも必要だと思っていて、第3クォーターの決算発表で説明させていただいたんですけど、去年までは最高年収1000万円越えだったんですけど、今季初めて年収2000万円の方が誕生したんですね。クラウドワークスだけで、年収2000万円を達成してる人が誕生しますと。
この仕事が結構意外で、今の話と全く真逆なんですけど、翻訳なんですよね。今日、このグローバルカンファレンスさんでホットな話題なんですけど。システム開発の人が一番年収高いかなと思ったら、翻訳の人で年収2000万円越えたんですよね。
翻訳っていうものが、専門の業者に集中してたんですけど、そこがもう少し開かれていくのかなっていう印象は持っていますね。
原:専門性をもったいわゆる士業っていわれる……税理士さんだとか。そういう分野での拡張もあるとは思うんですけど、一方でそっちは単独のサービスとしてやられてる事業者さんってあるとは思いますよね。そういうのとクラウドワークスとはバッティングしていかないんですか。
吉田:資本関係がない内は、お互いの仕事紹介みたいな形は十分考えられるのかなと。例えば、我々の会員に対してマネーフォワードとかfreeeみたいなサービスを提供するっていうのは十分ありえますね。
中長期でいくと、個人の働き方のインフラになっていくっていうのが、我々の目標ですから。ある程度取り込んでいくというか、連携をしていく。資本関係を含めてより密に連携をしていくっていうのが、我々の趣旨ですね。
原:そういったところにM&Aをどんどん仕掛けていくっていうのは、ありえる?
吉田:はい。やっぱり個人っていうのは仕事だけじゃなくて、先ほどの金融の話でもありましたけど、やっぱり教育と社会保障を整備していく。
私は神戸のニュータウンに生まれて、何にもない山を切り崩して家ができて。街をゼロからつくるっていうのを見てきてるわけですけど、その家の次にできたのが公庫なんですよね。
公庫っていうのは共同購入っていう意味合いだけじゃなくて、互助っていって、お互いに同じ知識を教え合ったりとか、積み立てて共済をやると。我々は70万人いますんで、1人1万円積み立てていただければ、70億の基金になるわけですね。
70億の基金があれば、これを運用して新しいコミュニティをつくれる可能性があると思っていて。多摩ニュータウンっていうものが20世紀の後半にできていますけれども、ああいったものをインターネット上に新しくつくると。
インターネット上の新しいニュータウンですね。我々はそういったものをイメージしていますね。株主のあり方とかでも、この前すごいびっくりしたんですが……マクドナルドが、このチャイナショックの中、ビフォーで株価が100だとしたらアフターでも100なんですよ。
これ、すごいなと思って。マクドナルドって業績が悪いイメージがあるじゃないですか。でも株主は単元株に近い形で、いわゆる年間何回かの株主優待を子供たちに配るみたいな。そういったファンの人たちに支えられてるんですよね。
カゴメさんとかでも90とか、100いかないくらいを保っていて。やっぱり我々のイメージする世界って、それに近いですよね。クラウドワークスで働く世界の一員になってくださいと。
われわれの単元株って、幸い10万円弱で買えてしまうわけなんで、70万人の人たちに支えていただいて、新しい世界を一緒につくっていきましょうみたいな。そういったものを今後考えていますね。
原:最後「今後、クラウドワークスが日本をどう変えていくか」っていうテーマで今日はお話いただいたので、今後の展望というか、クラウドワークスがどうやって日本を変えていくのかっていうところに関して、何かあれば。
吉田:働き方革命っていうものをお話させていただいています。この働き方革命っていうものは個人の履歴書を変えるものだと私は思っていて。「履歴書って何でいまだに自称なんですか?」と。企業っていうのは売り上げがいくらだとか、資本金がいくらだとか、それを客観的に信用として与信する。
働いた信用をつくる機関があるんですね。東京証券取引所があると。企業なら認められたら公に株を公募できると。
2002年にダニエル・ピンクさんが、『フリーエージェント社会の到来』で書いてるんですけど、個人版の株式市場ができる。IPOができる未来。
なぜかというと、個人の履歴書がそういった与信データに転換していく。要は自称じゃなくて、免許証とか社会保険証のようにやられていく。これが実現すればクラウドファンディングといったものが、誰にでももっと身近になってくる。
20世紀は国と企業を中心に再構築されてきましたけど、21世紀の最後っていうのは、個人の考えとか共感とか、そういうデータが全部集まって、世界中の人たちがシームレスに企業とか国とか関係なく、個と個として繋がりあっていくような世の中をイメージしています。
我々はそこに向けて全力で総契約額を拡大して、個人の信用を増やすと。極端な話、コーヒーショップとかのアルバイトの支払いも我々が代行して、その代わりに評価をつけてください。
そうすると、今までのアルバイトのデータっていうのが、客観的に変わってくるんで、すぐに働き口見つかりますよと。そういう流れにしていきたい。
直近では給与の支払い、報酬の支払いっていうのをどんどん代行していくような、そんなイメージを持っています。
原:ありがとうございました。
(会場拍手)
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