2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田中:今「釣りスタ」っていう釣りゲームの8周年イベントをやっていて……。
小林:8年!? まだやってるの!?
田中:やってるし、相当な規模があるんですよ(笑)。初めの頃は、早くやめようということもない反面、別に5年続くものとも思ってやってないわけですよね。そもそも始めたのが会社が2、3年くらいのときなので。8年くらい続いてるのを見ると「これ、20年も30年も続く可能性があるんだな」と自覚するわけですよね。
ネットサービスも、そういうふうに何十年も続くものもあるんだというのを感じていて、こういうイベントもどれくらい続くものなのかなと思ったんですよね。
小林:控え室でも話したんですけど、何百年の歴史がある祭りがあったり、プロ野球とかも何十年という世界じゃないですか。サッカーもそういう感じだと思いますし。
競技とかルールとかそういうフォーマットが1回決まってファンがつくと、歴史的に変わっていくかもしれないんだけど、ある特定の要件を満たしていくと強くなっていくじゃないですか。そういったものはずっと続くんじゃないかなと思うんですよね。
田中:IVSもここは残しておいて、このブランドを各大学の団体に貸すとか、地方ごとに貸しちゃうとかも考えられるんでしょうかね?
小林:TEDとかまさにそうですよね。TEDxってあるんですけど。
田中:ああ、そうですね。
小林:でもイベントってそもそも、そのブランドをフランチャイズして意味があるのか? と思っています。同じことなんてやろうと思えばできるわけだから。結局アセットって登壇者と時間割、あと参加者くらいしかないじゃないですか。なので、勝手にやったらいいんじゃないのって思いますよね。
逆に言うと、いつも思うんですけども、IVS SEEDSという学生向けのイベントをやってるけども、それを全国の大学でやりたいとは別に思ってなくて。モデルケースとなるものを1、2個作って全部動画とかログミーとかで公開しとけば、それを見て「こんなのいいな」って思う人、大学の先生でも何でもいいですけど、そういう人が勝手にやったらいいんじゃないかなって思うんですよ。
そういうフォーマットを伸ばしていくっていうのが非常に重要で、サッカーもFIFAとかが最近話題になってますけど、ルールは世界共通でワールドカップというものもあって、さらにいろんなところに団体があって「○○リーグ」とか名称も違って。ああいうのが理想的なんじゃないかと思います。そうしないと続かないと思うんですよね。
田中:わかりました。この動画インタビューはどれくらい前からやってるんですか?
小林:動画は2年くらいですかね。経営者の生の声をしっかり残しておくことが重要だと考えました。NHKアーカイブのようなイメージです。例えば「グリーの田中良和ってそもそも誰だ?」みたいになりがちなんですよね。それを映像としてちゃんと記録しておくっていうのが非常に重要かなと思ってやってますね。
先ほど言った「5年後10年後を見据えてやってます」って言葉が、未来から見ると「あのときあんなことを言ってたな」と、そういうのを作っていく。目指せNHKという話ですよ。
田中:(笑)。小林さんはある意味「独立系VC(ベンチャーキャピタル)」の先駆者だと思うんですけど、IVPも10年くらいですか?
小林:7年かな。7、8年です。
田中:じゃあ、あと2、3年で10年ですね。始める頃には「10年後にはこんな感じかな」というイメージがあったんですか?
小林:いや、ないですよ。たぶんグリーも一緒だと思いますけど。まあ、初めのファンドくらいは何十億とか100億くらいいきたいなと思ってましたけど。ベンチャーキャピタルそのものが新しいビジネスかというと、そういうものでもないので。昔からシリコンバレーにいっぱいあるし。
「こういう姿になりたいな」というのはあるんですけど、それくらいですよね。ベンチャーキャピタルというビジネスそのものがイノベーティブかというとそうでもないので、それが日本にあるかないかというだけの話なんですよね。
独立系のベンチャーキャピタルというのが日本に少なかったというのがあって、そういったものにチャレンジしたいなというのがそもそも独立したきっかけなので。
田中:最近ふと思ったんですけど、独立系VCが結構増えたなというフェーズが3年前くらいで、国のお金もいろいろベンチャー業界に流れてきて。
基本いいことだと思って見てるんですけど、そうは言ってもVC業界というかベンチャー投資は、海のものとも山のものともしれない業界だから、それが社会的に認知される業界に変わったなと。それをここ10年くらいで思ったんですよね。
小林:結局、景気が良くなるとファンドが増えてくるんですよね。10年とか5年くらいの大きなサイクルがあって、ライブドアショックで落ちて、みたいなのを繰り返してるので。2000年くらいと比べると、同じような規模感でファンドがボコボコできてた時期があって。
今が同じようなフェーズです。コーポレートベンチャーキャピタルって、必ず10年くらいのサイクルでできてくるっていう感じですよね。
これって必ずある世界なので、変わったかというと……。プレーヤーは変わってるんです。でもやってることは変わらなくて。ゲームもコンソールなのかスマホなのかっていうプラットフォームは変わってるかもしれないけど、ゲームはゲームじゃないですか。
グラフィックスが3Dになるとかはあるかもしれないけど、ゲームはゲーム。ベンチャーキャピタルも「お金を投資するビジネス」なので、あんまり変わらないんですよね。
単純に、景気が良いとお金が集まるこういうのサイクルをずっと繰り返していって、ようやく今に至るので。何か変わったかというと、単にやってる人が変わってるだけです。今はね。だから戦い方は10年前と同じようになるし、バブルになってくるのも同じような感じになるのかなと思いますけどね。
田中:いわゆる本当のVC投資というところの差別化というか、違いというよりは、こういうイベント運営などの付加価値というか差別化というか、違いの付け方というのがおもしろいなと、各VCを見ていて思います。ある意味こういうものは実業に近いというか、イベントというかコミュニティというか。
だからこそ「自分でやったらどうなるかな」とか「規模を拡大させるなら」とかいろいろ考えちゃうんですけど、ここ(IVS)自体を拡大しても収集がつかなくなるというか密度が落ちるだけなんで、そう思うと分科会方式みたいにやったらいいのかなとも思いつつ。
でも、固定費を上げていくビジネスでもないじゃないですか。そう考えると、ボランタリーなものだからブランド貸しとかをするしかないのかなと思ったんですよね。
小林:ご存知のとおり、ベンチャー投資だと特に東京に集中してるところがあるので、地方にフランチャイズする必要はないですよね。基本的に東京の経営者を郊外、オフサイトに連れて行くビジネスなので、経営者向けには年2回と。
あとは規模で、IVSは10年くらいやってるから参加してる人はどんどん歳をとっていくわけですよね。だから若手の部分をどうするかってことで、最近は若手向けの合宿みたいなプログラムを1日でやるっていうのをやりはじめてます。
田中:じゃあ「IVSアンダー40」みたいなのを始めたいんじゃないですか?(笑)
小林:年齢で区切るのはあんまり意味がないんじゃないかなっていう。どちらかというと創業のステージという感じでやってますけどね。だから今やってますよ、IVSスタートアップ・スクールという1日のプログラムをスタートしています。
イメージでいうとLaunch Padに出てるような人とか出そうな人とか、「これからのぼっていきますよ」みたいな人たちを集めるとお互いコミュニティになっていいかなと。
ナナロク世代っていうと、仲間で飲んだりするじゃないですか。ああいうイメージで勉強会をしていくっていうのが非常にいいかなと思ってますね。コミュニティの運営のノウハウ、「こうやればこうなる」っていうのは一定のレベルである。
だからネット業界だけじゃなくて、IVSでやっている方法というのを違う業界でやれば「必ずこうなる」っていうのはあるんですよね。
そういったものをうまく使っていければと思っていて、ネット業界での投資がぜんぜんうまくいかなくなって「違う分野がいいんじゃないか」となったときに、そういうやり方でやっていけば生きていけるんじゃないかなと。
田中:生きていくのはできると思うんですけど(笑)。
小林:あと、ベンチャーキャピタルってビジネスはゲームビジネスと極めて似ていて、当たるときもあれば当たらないときもある。非常にボラティリティが高い。かつ株式市場に大きく影響されるビジネスなので、根気よく続けるというのは非常に重要ですね。
田中:だから、あんまり固定費を上げてはいけないっていうか。
小林:いけないですね。どちらかというと長い時間をかけてやるので、精神的には非常にストレスフルな時間が長期的に続きますね。10年かけてエベレスト登るみたいな感じですよね。
田中:確かにゲームビジネスとVC投資は似てると思います。すごくいいときもあれば悪いときもあるという。ただ普通、実際のベンチャーだと悪いときがあってだんだん良くなっていくか、ずっと良くならないかで、こうなる(乱高下)することは少ないと思うんですけどね。
小林:ベンチャーキャピタルだと本当に消え去っていくからね。ファンドごとなくなるっていうのは多いんですよね。そういう意味では、長く続けてる人って本当に少ないんですよ。僕はグロービス時代から十数年やってるんですけど、日本で十数年やってる人って何人いるんだ、みたいな感じだと思いますけどね。10人いないんじゃないですかね?
田中:重鎮ですね。
小林:重鎮というか飽きずにやってるというのがひとつと、あと大きな失敗をせずにやってるというのが理由のひとつだと思いますけどね。ゲームもそうだと思うんですけど、致命的な失敗をすると終わっちゃうじゃないですか。
田中:ずっとやってきて、たまに何か当たって、当たらなくても続けるというビジネスは、「ずっとやれるようにする」というのがすごく重要なファクターになりますよね。
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