2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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琴坂将広氏(以下、琴坂):こんにちは。IVS特別番組「シェアリングエコノミーの今」というタイトルでお送りさせていただきます。立命館大学の琴坂です。ボーングローバル企業、創業期から国際化を目指す企業を専門としております。今日は非常にすばらしいゲストのみなさまをお迎えしております。まずは、スペースマーケットの重松さん。
重松大輔氏(以下、重松):はい、重松です。よろしくお願いします。
琴坂:akippaの金谷さん。
金谷元気氏(以下、金谷):金谷です。よろしくお願いします。
琴坂:それからDeNAの原田さんにお越しいただいております。
原田明典氏(以下、原田):原田です。よろしくお願いします。
琴坂:今日はシェアリングエコノミー、非常にコアなところに突っ込んでいければなと思っていますが、まずは「なぜこれがおもしろいのか?」というのをぜひDeNAの原田さんからお話しいただければと思いますが、いかがでしょうか?
原田:この動画を見ている方はすでにおわかりということもあるかもしれませんが、まずシェアリングエコノミーにはいろいろな定義がありまして、今一度私なりの定義というのをお話しさせていただきます。
社会の中にある遊休資産、遊んでいると言うと言葉は良くないかもしれませんけども、使われていない資産、リソース、これを有効活用することで新しい価値を生むものをシェアリングエコノミーと言えるかなと思っています。この遊休資産というのは、専有資産と呼び替えることもできるかもしれない。
それは効率化ではなくて、例えば共有化ということによってやはり新しい価値を生むというようなことで、それが一応私の中でのシェアリングエコノミーの定義ということですね。
琴坂:金谷さん、重松さんはどうですか? そういった定義はお持ちですか?
重松:シェアリングは「助け合い」かなと。助け合いというか互助の精神というか、昔の日本でもお醤油を貸し借りするとか、「ちょっとうちの子どもを預かってよ」とか、そういうのはいっぱいあったと思うんですけど、それが現代に蘇ってきたものなのかなと。
「共有経済」や「シェアリングエコノミー」って新しい言葉のように聞こえますけど、昔から結構やっていることなんじゃないかなとは思っています。
琴坂:なるほど。原田さん、なぜ昔からのものがまた現代に蘇ってきたのでしょうか?
原田:先ほどの定義の話には実は続きがあるんです。ネットとかITセクター・IT産業で見たときに、これが今短期的なトレンドとして起きているのかというと、その側面もありつつ、一方でインターネット産業が勃興してからずっとシェアリングエコノミー的なものの概念っていうのは中長期のトレンドとしてあると思うんですよね。
例えばソフトウェアからアプリケーションへ、アプリケーションからWebへとか、テキストから画像へ、画像から動画へという流れ、コンピュータは大型からPCへ、PCからモバイルへとか、こういう長期的なトレンドがITセクターを取り巻くところにはあると思うんですけど。
この(シェアリングエコノミーの本質とも言うべき)「専有から共有へ」とか「所有から利用へ」みたいな流れを、私はメガトレンドとして捉えているんですね。
琴坂:なるほど。メガトレンドですね。
原田:その中で、ここ5年ぐらいで特にもう1回「シェアリングエコノミー」というワーディングでもってその部分がもてはやされ、注目されている所以は、やはりスマートフォンとタブレットの普及だと思うんですね。
これはエンドユーザー側というよりは、サプライ側にそういうデバイスが入ったことによって、従来であれば専用機だとか専用コンピュータだとか、特別なシステムで管理されていたようなものが、かなりハードルが下がって管理されるようになったということ。
例えば、駐車場であれば駐車場専用のマシンが必要だったものが、それがいらなくなってきたりだとか、レストランの予約にしても、昔であれば台帳でやっていて、USだとオープンテーブルというのがあって、専用システムを入れて予約システムをやってますと。
飛行機会社なんかはいまだに専用システムがありますけども。そういうものがもうちょっとスモールなもので成り立つようになって、そうするとサプライ側の管理みたいな特別なシステムがいらなくなって、より共有化とか、それからシェアリングっていう進んだジャンルが出てきていると。
なので、それをもう1回新しいワードとしてシェアリングエコノミーと今呼んでいる、ということが起きていると思いますね。
琴坂:金谷さん、このビジネスチャンスみたいなものはいつ頃発見されたんでしょうか?
金谷:最初にやったのはちょうど1年半前の2014年なんですけれども、そのときはシェアリングエコノミーっていうワードは全く意識せずに始めたんです。徐々にやっていくうちにシェアリングエコノミーっていうバズワードが出てきたので、ちょっとそれに乗っかったというところです(笑)。
琴坂:シェアリングエコノミーという言葉の前には、どういったところで「ここだ」と思われたんでしょうか?
金谷:まず社員が車で外出したときに、常に駐車場に困るということを聞いていまして。それに対して月極駐車場のオーナーさんとか家の駐車場を持ってる人は結構余ってるというのを知っていたので、「そこ、貸してください」という形で始めました。
まさしく先ほど重松さんが言っていた、ご近所さんに「空いてるなら貸してください」って言っているようなもので、それをスマートフォンでつなげられるようになったということですね。
琴坂:トレンドから入ったというよりも、ニーズを発見されてそこにビジネスがあったという感じですね。スペースマーケットさんはいかがですか?
重松:スペースマーケットのビジネスモデルを考えたのはちょうど2年ぐらい前です。その頃、私は起業のネタをすごく探していまして、USで伸びているビジネスはないかといろいろ見たときに、AirbnbやUberがどうやらすごいらしいという記事を見て、これが世の中を変えるような気がしたんですよね。
でもAirbnbは、日本では旅館業法など法的なハードルがどうしてもあるというのを見て、家の個人の宿泊は難しいかもしれないけれど、イベントスペースや法人の持っているスペースを貸し借りするのであればいけるのではないかと。
会議室ビジネスは当時からTKPさんがすごく伸びていたっていうのを知っていましたので、法人の持っている物件を法人に貸す、AirbnbのBtoB版だったらこれはありだなと思ったんですね。
それでUSのマーケットを調べたら、会議室をブッキングして決済できるという会議室版のUberみたいなプレーヤーがいたり、イベントスペースに特化したプレーヤーがいたりして、「あっ、これをトレースして日本に持ってくればいけるんじゃないか」と思っていろいろ事業を研究しました。
あと、私は前職のフォトクリエイトという会社で、結婚式の写真をネットで販売するという新規事業を立ち上げまして、今は結構大きく伸びてるサービスなんですけども、結婚式場に平日に営業に行っていたんですね。
結婚式場って土日祝日はフル稼働してるじゃないですか。でも平日は本当にガラガラなんですよ。支配人と大聖堂みたいなところで2人っきりでポツーンと打ち合わせしていたんです。「もったいないので法人とかに貸さないんですか? パーティーとか」と言うと、みんな「貸したい」と言っていて、平日利用のための法人営業部を作る会社もあったんですよ。
一方で、前職のフォトクリエイトという会社は、当時ベンチャー企業で急成長していたので、オフィスを大きめに借りていたんですね。半年後にはここが埋まる予定だけど、半年間は空いているスペースがあって、それを何とか活用できないかなと思っていました。セミナールームのような部屋もあったんですが、そこも土日空いていて、ここをマネタイズできたらおもしろいなと思って。
それらのいろんな積み重ねと、シェアリングエコノミーというバズワードがリンクして「これはいけるな」ということでこのビジネスをスタートしました。
琴坂:すでに先進的な事例があるところを参考にしながら「それができるか」っていうアプローチと、あとは普通に単純に「おかしいんじゃないか」っていうところからっていう感じですかね?
重松:絶対にこれは何かあるはずだと思って。
琴坂:これはどこまで広がるのでしょうか? 比較的「シェアリング」がしやすいところから入ってきたんだろうというイメージはありますが、どこまで行くのか。原田さん、どうですか? ご意見をお持ちですか?
原田:先ほどのここ数年でのテクノロジーの変化ということで言いますと、スマートフォンとかタブレットという端末の価格が下がって高機能になった。それによって従来はシェアリングが難しかったところ、もしくは高コストだったところが低コストでできるようになったっていうところがポイントになってくると思うんですね。
なので、先ほど申し上げたようなレストランの予約ですとか、それから今で言うとアクティビティの予約ですとか、そういうところは今後(広がる可能性が)あると思います。
例えば、ホテルとか航空機の値段にはすでにシェアリングエコノミーの概念、「ダイナミックプライシング」という言葉があります。シェアリングエコノミーという概念の中のパートとしてまた1つバズワードが出てきているんですけれども、取るタイミングによって値段が変わりますよね?
そこでホテルだけに特化した「Hotel Tonight」っていうものが出てきたりとか、あとはフラッシュセールがあったり。グルーポンや、もしくはGILTとかですよね。あれなんかは在庫の状態を容易に管理することができるようになってきたので価格が変動してきているというのがあるんですけども。
その延長上で、具体例というかまだ成功してるわけじゃないんですが、例えばシンガポールの「eatigo」とかああいうところで言いますと、レストランにダイナミックプライシングの概念を持ち込んでいるんですね。
ミシュランの三つ星レストランが今日の5時からすぐ行けば60%オフとか50%オフで食べられるということになります。そうすると、奥さんとかに「今日ちょっと時間ある? あの有名なレストランが今日だったらこの値段だよ」とかいうことになるんですね。
従来のクーポンばらまき型のマーケットだと、だいたいみなさんピークタイムにそのお店に使いに来るらしいんですね。そうするとリピートもしないし、混んでるところに人が来るということになるんですけれども。そういうところに時間のシェアリングの考え方を入れることによって、すごく効率的に一流レストランの空いてるテーブルが埋まっていく。
こういう考え方に基づいていくと、いろいろな分野でまだまだあるぞというふうには思いますね。
琴坂:時間の切り売りというところに、さらに需給のバランスを価格で調整するようなメカニズムができてくるというご指摘かと思うんですが。
原田:まさにUberが。
琴坂:Uberの概念ですね。金谷さん、こうしたことはすでに検討されていたりしますか?
金谷:実際akippaでは、ドームで三代目J Soul Brothersとかサザンオールスターズがライブに来るとなれば、そのときの駐車場代金は上がったりということはすでにしています。
琴坂:需給のバランスですね。そうしたバランス調整ですが、どのくらい自動化というか、ダイナミックに調整できるようになってくるんでしょうか?
金谷:まだ自動化はできてはいないんですけど、いろいろ今調査している中で、やっぱり平日の5倍や6倍でも、10日前の予約から全て完売するという状況が起きているので、イベントがある場合の自動的な価格設定というのは近いうちにはできてくるかなと思います。
琴坂:なるほど、では「価格」以外に調整できるレバーは何があるのでしょうか?
金谷:akippaの場合は、シェアリングエコノミーの中でも、借りる側と貸す側でユーザーが結構均等化されているんです。駐車場を「貸す」ということと「借りる」ということしかないんですね。
クラウドソーシングとかだと、「こういったものを作りたい」と言って、受け手側が「わかりました」というときに、お互いに考えていることがちょっと違うということがあると思うんですけど、駐車場は貸すと借りるしかないので、その辺がないんですよ。
琴坂:それはスペースマーケットも同じですか?
重松:スペースマーケットは、まず価格の上下に関しては、もちろん繁忙期があったり、休日は埋まっていてなかなか借りれないけど、平日は逆に空いてるというスペースがあったりします。
あとは、明治座さんとか歌舞伎座の食堂とかも入ってるんですけど、例えば歌舞伎座さんは基本的には歌舞伎をやっているわけですよ。とは言え、やっぱり月に何日かはガラッと空いてる日があって、それは彼らの営業ではどうやっても埋めようがないので、そこに関しては意外と同じような規模の会場より安く借りられたりとか。
あとはイベントの繁華に応じて価格を上下したり、テストマーケティング的にやりたいときは値段をガッと下げて、キャンペーン価格的で稼働させてみたりとか。
琴坂:私は結構大企業のマーケティングとかを見てたんですけども、例えばakippaさんでしたら、高級ブティック店舗の前の駐車場とかで、高級車で利用するなら割引とかあるんですかね?
金谷:今はまだやってはいないですね。
琴坂:セレブリティだったらスペース安くしてくれるとか?
重松:それはもちろんできますね。akippaさんは非常にシンプルですけれども、スペースマーケットは逆に多少コミュニケーションが発生するところがあるので、オーナーが貸したいと思わないと貸せないわけですよ。
「こいつら学生で大暴れしそうだな」って思えばもう貸しませんし、逆に「この会社ちょっと騒ぎそうだけど、お金は払ってくれそうだから良いかな」と思ったらちょっと高めに設定して貸し出しするとか。
あとはセレブとか「これは来ていただいたら我々のプロモーションにもなるな」と思ったら価格を安く設定したり。撮影とかもそうですよね、「これはうちのスペースの宣伝になるな」と思ったらそこは一般的な価格より安くするとか、そういう場合もありますよね。
琴坂:そうすると、価格とか、どこを借りるとか、誰が借りるとか、いろんなレバーがあるかと思うんですけど、シェアリングエコノミーのビジネスモデルはどこまでどういうふうに進化していくものなのでしょうか? 何かイメージありますか?
金谷:まずakippaで言うと、あまりシェアリングエコノミーの事業として伸ばすというイメージではないんです。ユーザーさんはただ単に、今まで機械式だったのを、スマートフォンで予約できるようになって便利だから使っているのであって。シェアリングが広まらなくても今のコインパーキングで普通に精算機を使って高いお金払ってるのを変え続けていくことはできると思いますし。
シェア関係なしで言うと、これから自動運転カーが増えてくるときに、例えば車に乗ってデパートに行くとき、デパートの前で人はもう降りちゃうんで、駐車場に行くときは車だけなんですよね。そのときに駐車場を指定しておかないといけないので……。
琴坂:akippaプラスなんていうのは特にそこなのでしょうか?
金谷:akippaプラスはそれの機械のところを人力でやっているというところなんですけど。ちょっとその辺りは原田さんとも話してたんですが、今までakippa自体は安いっていうところも少し入ってたんですけど、akippaプラスはちょっと高級なので、違うブランドでいったほうがいいんじゃないかっていう話も、今しています。
琴坂:なるほど。産業が進化していくと単純なモデルにだんだん付加サービスというのが足されていくと思うんですけど、どういった付加サービスを足していくことができるのかなと思いまして。スペースマーケットさんでしたら、そこにイベントとかを含めていくようなことでしょうか?
重松:そうですね。実際に今イベントコーディネート的なところは考えています。今まで借りようとも思わなかったような、お寺とか、銭湯とか、そういったところをラインナップに加えていまして、じゃあお寺にイベントの運営ノウハウがあるのかというと、ないんですね。ユーザーも、それこそIVSの小林(雅)さんみたいなスーパーイベントに詳しいお方って世の中にはほとんどいらっしゃらないので……。
言葉は悪いかもしれないんですが、ある意味「素人対素人」みたいな感じなので、我々がその間をきちんとコーディネートして、場合によってはプロのディレクターを入れる必要があります。ちゃんとお寺サイドにもメリットがあって、ユーザーさんにとってもちゃんとメリットがあるように、双方調整してプロデュースするのは非常にニーズがあるのを感じています。
琴坂:そうすると、システムというよりもかなり人が入っていっているイメージですか?
重松:まあ案件によりけりなんですけども。弊社はBtoBと、BtoCというかスモールBtoCというような案件で大きく2つあります。
件数的にはやっぱりスモールBtoCが圧倒的に多いんですけど、一方で「社員総会を700名でドカンとやりたい」とか「海外からお客さんを呼んでカンファレンスをやりたい」とか、あとは「セールスプロモーションを同時に100拠点でやりたい」とか、そういう話はいわゆるBtoBでネットを介さずにやっていますね。
そこは分けてやっています。CtoCは Web上のやりとりで完結し、我々はほとんどすることはなく、自動的に回っていくっていう感じですね。
琴坂:akippaさんはどうですか? かなりシステム化していくという方向性なのか、それとも人がやはり丁寧に見ていくという感じですか?
金谷:まずひとつ、今やっていることにプラス付加価値としてあるのは、人の労働を生み出せるということになります。例えば今、大手さんから東京ドーム周辺に7施設で150台の駐車場を提供していただいたんですけど、ただその7施設全てが鍵付きの駐車場なんですね。
そうすると、7施設にそれぞれ1人ずつ、車を預かって駐車場に入れる人が必要なんですけど、それを東京ドームの近くで需要のあるときだけ実施するので、他社さんでそういった空き時間を活用されてるシェアリングエコノミーの企業さんがありますので、そういったところに発注して7名確保していただいて。
琴坂:なるほど、シェアリングエコノミーの会社がシェアリングエコノミーの会社に発注するということですね。
金谷:あとは、例えばスペースマーケットさんが東京ドームの空きをもっと活用していただくと、その日には弊社としても駐車場が埋まるので……。
重松:イベントに駐車場はつきものですから。
琴坂:確かに。ではそういう協業はどのぐらい進んでいるのでしょうか?
重松:まぁまぁ、これからです。みんな新しい会社なので(笑)。
金谷:私たちの敵は同じシェアリングエコノミーの会社じゃなくて駐車場業界なので。それぞれ敵ではなく……。
琴坂:味方ですか?
金谷:味方と言いますか……ね、そんな感じです。前も言ったんですけど、重松さんはラグビーをされていましたけど、私は重松さんのライバル校のラグビー部じゃないんですよね。重松さんがラグビー部なら、僕は同じ学校のサッカー部なんですよ。そういうイメージです。
重松:シェアリングエコノミーが紹介されるときに、だいたい一緒に紹介されるんですよね。
金谷:やっぱり1社だとテレビでも取り上げられないんですけど。
重松:パスし合って。
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