2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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古川健介氏(以下、古川):皆さん、こんにちは。IVS特別番組です。今回は「プラットフォームの今後はどうなるのか?」というのをお話ししたいと思います。私、nanapiの古川と申します。本日のゲストはLINEの舛田さんです。よろしくお願いします。
舛田淳氏(以下、舛田):LINEの舛田です。よろしくお願いします。緊張してますか?
古川:ちょっと噛みましたね。
舛田:だいぶ噛んでましたね(笑)。
古川:はい(笑)。今回は「プラットフォームの今後はどうなるのか?」というお題になります。「そもそもプラットフォームとは何か?」というところからお話ししたいと思います。舛田さんの考えるプラットフォームとは、どんなのですか?
舛田:まぁLINEもプラットフォームってよく言ってますし、「LIFEプラットフォームになるんだ」「エンタメプラットフォームになるんだ」ってよく言ってるんですけど。
プラットフォームとして定義しているのは、当然そのプラットフォームの上に人がいて、その人たちが連結するその他のサービスやコンテンツとかに流れて、そしてそこでビジネスが個別に走っていけるようなものですね。
古川:なるほど。
舛田:それがサービスでもアプリケーションでも何でもいいんですけど、それが一応教科書的なプラットフォーム。
いいプラットフォームって呼ばれるものになると、例えばユーザーの規模が大きくて、そのユーザーが他の連なってるサービスとかコンテンツやアプリケーションに流れていって、当然そこでビジネスとして売上、レベニューが発生してきて、それがまたプラットフォーム全体に返ってくるっていうのがいいプラットフォームって言えるものかもしれない。
古川:なるほど。では、LINEもプラットフォームであり、「LINE マンガ」とかもプラットフォームっていうようなイメージなんですかね?
舛田:そうですね。ちょっと概念的な話でいくと、LINEが目指すところは、OSとかは我々は作れないので、iOSとかAndroid、デバイスだとiPhoneとかGALAXYでもいいんですけど、で、キャリアさんがいて、それぞれがプラットフォームと呼ばれるものだと思うんですね。
で、この上にLINEが横断的にあって、プラットフォーム・オン・プラットフォームで、また「LINE マンガ」であるとか、ちょうど今日出しましたけど「LINE MUSIC」とか、そういったものがカテゴリープラットフォームとして存在をしている。
その上にまたコンテンツとかサービスが紐付いていくのが、我々が考えているプラットフォーム・オン・プラットフォーム・オン・プラットフォームみたいなものですね。
古川:なるほど。「OSレイヤー」とか「アプリケーションレイヤー」とか、いろいろあると思いますが、時代によって重要なプラットフォームのレイヤーって変わっていっているものなんですか?
舛田:これも、ビジネスとして国境が明確にあるとか、キャリアごとに独立しているとか、OSも横断できませんってなると、昔はたぶんそうだったと思うんですよね。だからキャリアさんがプラットフォーマーとして君臨をしてきて、ブラウザの世界だとGoogleがプラットフォーマーとして君臨できた。
そこは国境も何もない状態なので、スマートフォンになって、ようやくブラウザでやってるのと同じように、国も言語もキャリアもOSも関係ない大きいプラットフォームが横断的にできるようになったので、先ほど私が言ったような、LINEのプラットフォーム構想・戦略っていうものの実現性が出てきた。
古川:LINEと同じようにプラットフォームをやっている「アプリケーションレイヤー」では、 FacebookなどのSNSから、LINEと同じ、WeChatやWhatsAppなどのメッセンジャーアプリなどいろいろあると思うんですが、それらでは全く違う戦略をとっているように見えます。そのあたり、意識されていることはありますか?
舛田:Facebookは今やっぱりメッセンジャーに力を入れていて「メッセンジャーをプラットフォーム化させる」って言ってしまったので、この方向はまさにLINEとイコールですよね。
古川:なるほど、なるほど。
舛田:メッセンジャーで1 to 1のコミュニケーションがかなり頻繁に発生している。で、このユーザーの流れっていうのをムダにするべきではなくて、コミュニケーションが今度はサービスとかコンテンツにデリバリーする役割を担っていて。
ということにFacebookも気がついて。おそらくですが。アジアで繰り広げられるメッセンジャー大戦争の中で気がつかれて、それで今やってるんだと思うんですね。
だからFacebookのプラットフォーマーとしてのすごさは、FacebookというSNSも持っていて、メッセンジャーもプラットフォームとしてやろうとしていて、で、別ブランドでWhatsAppもあって。
その中で全てに対して高いクオリティを持つっていうのが、もう一時期のGoogleより恐ろしいですよね。その学習意欲と、学習によって生み出されるサービスのクオリティっていうのは。無邪気なようでいて、すごく大人な会社に見えますね。
だからインターネットの中でNo.1プラットフォーマーはどこですかと言えば、OSを持ってるAppleやGoogleはいるんですが、影響力とか今後の可能性で言うとFacebookのプラットフォームっていうのが楽しみですし、脅威だとも思いますよね。
古川:一番の脅威はやっぱりFacebookになりますか?
舛田:LINEが、ではなくインターネット事業をやっている全員がおそらくそう思うんじゃないですかね?
古川:逆にベンチャーとかが「僕らもプラットフォームやりたいです」っていう場合って、すごい敷居が高いように思えるんですけど、今からベンチャーがプラットフォームをつくろうと目指した場合、成功する可能性はあると思いますか?
舛田:もともとLINEを立ち上げる時に、まずメッセンジャーだったんですね、ただのメッセンジャー。これを作った時には、LINEの社内でも数人だけしか「これはプラットフォームを目指すための最初の入口としてのメッセンジャーだ」ということを知らなかったんですね。
古川:リリースの時に、もう知っている人もいたんですか?
舛田:私を含めて数人は。それ以外は、社内全体、他の経営陣含めて、ただのメッセンジャーを出すと。メッセンジャーとしてまずはユーザー数を獲得していきましょうよっていう考えだった。
古川:なるほど。
舛田:その中で、おかげさまでユーザー数が増えていった時に、2011年の10月とか11月ぐらいだったと思いますが「これはプラットフォームになるんだ」ということを、突如社内に宣言し出すんです。
古川:最初は社内にもあまり言ってなかったんですか?
舛田:実は当初、LINEというものを出すことに対して否定的な意見もたくさんありましたし。
古川:そうなんですね。たしかに、昔から、メッセンジャーや、メールなどは、ユーザー数は莫大に多くなるけど、それ自体では収益はあがらない、と言われてきたりしていましたし、会社としてやるぞ、というときには当時は理解されなかったのかもしれないですね。
このあたりは、「検索は儲からない」と言われてたときに、Googleがやってきたのと同じ感じがしますね。
舛田:その他にも、これはローンチ後ですが「ユーザーは集まってるけど、何のためにやってんの?」っていう意見も社内でものすごくたくさんあったんです。
ただ、私を含めて思っていたのは、プラットフォームを作るためには、いきなり「私たちプラットフォームです」っていくことで成功することはまずないと思ってたんですね。当時私たちは何も持ってない会社だったので。
なので、まず最初に注力したのは、たくさんの人たちが使う状態のものを、ツールでもいいしメディアでもいいし何でもいいんですが、どうやって作り出すかっていうこと。
今後プラットフォームが生まれてくるんだとすれば、たぶん同じことだと思います。最初から「私たちはプラットフォームを作るためにこのプロジェクトを始めました」っていう顔をしているんだとすると、それはプラットフォームレイヤーに入っていけないと思いますね。
古川:LINEさんは、LINEを出す前には検索を提供したり『NAVERまとめ』などのメディアもやられていて、そちらのユーザーは、当時も大きかったと思うんですが、それらを利用してプラットフォーム化するみたいな方向ではなくて、新しいサービスを作るという方向になったきっかけって何かあるんですか?
舛田:NAVER検索もその界隈では、(古川さんにも)お使いいただいていたと思いますし、決して小さいサービスではなかったと思いますが、ただ私たちが目指す目標からすると小っちゃかったんですよ。
ユーザー数として、日本のマーケットの中で図抜けてNo.1になれるかというと、やっぱりGoogleさんとかYahoo!さんがいる中では全然後塵を拝していましたし『NAVERまとめ』もその時(古川さんと)いろいろやってましたけども……。
古川:そうですね、一緒にやらせていただいていました、はい。
舛田:やっぱり『NAVERまとめ』も今はある種モンスターWebサービスになってますけど、まだプラットフォームとしての規模にはなっていないですし、あれはやっぱりある種のメディアではあるので、そこからどう派生するかなかなか見えづらかったですね。なので、全く切り離してチャレンジをせざるを得なかった。
LINEは元々検索をやっていたチームが考えついたので、逆に外から検索されないようになっていて。もともと我々はオープンWebをやってたわけですよ。それが大好きでしょうがなかったわけです。
まさに「コンシューマーに力を!」ってやってましたし、大好きだったんですけど、オープンWebの世界っていうのは、やっぱり当時は、今もそうですけどGoogleさんがものすごく強くて、我々がそこにチャレンジするのは難しいよねと。なのでオープンWebじゃない世界をどうやったら作れるかねぇ、と。
古川:じゃあ最初からLINE作る時には、プラットフォームになるぐらいの分野を考えて、そこで伸ばしていってNo.1を取ってからプラットフォームにするところまで、計算してやってたんですか?
舛田:当時思っていたのは「3つあるね」と。「ゲーム」と「ビジュアル」画像とか写真ですね、Instagramみたいなものです。あとは「コミュニケーション」。この3つがプラットフォームになれる可能性があるんじゃないかと。これは世界中どこへ行ってもみんな好きなものだと。
スマホになったらもう1回いろんなものがリプレイスされていくんじゃないかというのを考えた時に、まずゲームをやって。我々のプロジェクトじゃないんですけど、ハンゲームのほうでスマホネイティブゲームをやって、あんまりうまくいかなかったんです。
で、これは「画像だ!」って言ってオンラインストレージを出したんですよ「Nドライブ」っていう。あと「pick」っていうTumblrライクなものを出したり……。
古川:確かにやってましたね、結構。
舛田:結構いろんなものを出したんですよ。ただやっぱりこれはポテンヒットぐらいで。「これダメだ」と。最後の最後でプラットフォームとして可能性があったのがコミュニケーションとかコミュニティだったので、いろいろあった中でLINEっていうのが生まれて。
コミュニケーションツールから、それをベースにプラットフォーム化していくっていう構想に、おかげさまでうまく進めたと。
もともと先々にプラットフォームとしていきたいとは考えていたので、例えばゲームであるとか、いろんなコンテンツであるとかっていうのは紐付けようと思っていましたし。
あとはLINE(NHN Japan)自体が、当時は「NAVER」というブランドと「livedoor」というブランドと「ハンゲーム」というブランドがあったんですね。で、それぞれのブランドをある種くっつけていくような存在になれないかなと思っていたんです。
ただ、それをするためには、ハンゲームのIDとかNAVERのIDとかlivedoorのIDに依存しちゃダメだよねと。いったん中立な存在を作って、それぞれよさそうなサービスをくっつけてプラットフォームとして大きくしていきたいっていう構想は、一番最初にはありました。結果それはやらなかったですけど。
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