CLOSE

基調講演(全1記事)

「失敗したら嫌だな…」が最大のハードル--Google、Twitterを経て起業したエンジニアのチャレンジ

ジーニーの技術顧問を務める上田学氏はGoogle Map日本版の開発者であり、Twitterでもプロダクト開発を経験した人物です。現在は米国でMODE, inc.というスタートアップを立ち上げ、IoTプラットフォームの開発に取り組んでいます。「ジーニーTECHセミナー2015」ではチャレンジをテーマに、起業した当時のことを振り返りました。

Google、Twitterでプロダクト開発を経験

上田学氏:(以下、上田氏)今から、チャレンジというテーマでお話をしたいと思っているんですけど、スライドを用意したので、それを流しながらお話したいと思います。それでは、よろしくお願いします。画面の方は出てますでしょうか?

今日のテーマは「チャレンジ」ということで、お話させていただきたいと思います。まず簡単に自己紹介させていただきます。名前は、上田学といいます。株式会社ジーニーさんで、技術アドバイスなんかをさせていただいております。

今までは、先ほども紹介いただいたんですけれども、いろんなところはしょってますが、主なものとして、Yahoo! Groupsというメーリングリストのサービスの開発を最初にやっていました。それから2003年にGoogleに入って、2005年くらいからGoogleマップの開発チームに入って、6年間くらいGoogleマップの開発をやっていました。そのあと、2011年から2013年までは、Twitterで引き続き、いろんなエンジニアリングプロジェクトのリードをやっておりました。ということで、いろいろしていました。

Googleマップを作っていたときは、チームのゴールとして、「Googleマップを日本でNO.1の地図サービスにしよう」と、ずっと頑張っておりました。今、博多の駅の地図が出ていますが、たぶんそのまま日本に持ってくると、たいへんなことになってしまうんです。たとえば、交差点の信号の名前が出てるのって日本くらいなんですね。あとは、駅がすごく大事だったりとか。

この地図でもそうなんですけど、私が最初に適当に……適当にってわけでもないんですけど(笑)自分で設定したのが、この新幹線の線の色で、新幹線は白黒じゃなくて、色が付いているんですけど、もともとGoogleマップでは新幹線や国鉄という概念がなかったので、新幹線はこういう色にしようとか、新幹線はスピードが早いので線路の長さを長くしようとか、今でもたぶん残っているんじゃないかという感じです。

あとは地下鉄の種類だったり。他にはなんだろう。あ、アイコンが出ているのも、たしか日本だけです。セブンイレブンやファミリーマートなどの目印になるようなものが、日本の地図にはよくあるんですけど、もともとのGoogleマップにはなかったものです。日本のチームを作って、そのチームのエンジニアのみなさんに頑張ってもらって、いろいろ作ったという感じです。

まぁ、簡単に言うとこうならないようにしようということで(笑)ちゃんとやらないとこんなふうになるので(Appleの地図を映し出す)。

(会場 笑)

Twitterではアラート機能や認証アカウントを手がける

その後、Twitter社では、東北の地震の経験や教訓をもとに、Twitterを災害のときに活用してもらおうということで、これも私のチームでやったんですけど、「Twitterアラート」という機能を出しました。

Twitterって通常はフォローしている人のメッセージを見にいくと、見えるんですが、このTwitterアラートの機能では、政府や災害対策の機関のアカウントをフォローすると、そのアカウントからのメッセージがpush notificationなどで届くというような感じになっています。

これも、もともとなかったんですけど、実際にこういう機能があった方がいいんじゃないかということで、我々日本のチーム発のアイデアということでやってみました。

そのほか、やったこととしては、Twitterでは、有名な人、芸能人とか政治家とかそういった人たちのアカウントが本物であるという認証マークみたいなのがあるんですけど、この機能の開発をずっとやっていました。

常にチャレンジするためにスタートアップを立ち上げた

というような感じなんですけど、常にチャレンジをしようということで、2年くらい前から今、スタートアップの会社を作って、やっています。MODEという名前の会社で、ドメインはtinkermode.comというところなんですけれども。

やってることは何かと言いますと、Internet of Tingsといって、スマート家電みたいなものの、クラウドプラットッフォームを作って、提供をしています。開発を自分たちが思い通りにやりたいということで、5言語で開発をしています。

なんでやっているかと言いますと、やってみたかったからというのが理由なんですけど。実際にやってみると、いろんなことをやらないといけなくてですね。まずは、実際に製品になるアイデアを作ったら、それを持ってベンチャーキャピタルを回って、そこから投資を集める。もちろん今までそんなことやったことなかったんですけど、まぁなんとかベンチャーキャピタルから投資をいただきました。

そのあと、製品を作って、今度はみんなに知ってもらわないといけないということで、アメリカではすごく人気が出てきているメーカーフェアっていうムーブメントの元になっている、自分たちで何かを作って、見せようという展示会みたいのがあるんですけど、そこに出展者として参加したりしました。

自転車と同じでやってみるのが大事

とにかく、いろんな新しい経験ができる。その中でも、たとえば、最初のプロダクトは、低価格でできて、アンドロイドの電話機と安い中国製のIPカメラを使ったセキュリティシステムを作るんで、お金出してください、みたいな。こんな、実際これで使ったスライドなんですけど。これでお金を集めにいって、なかなかうまくいかなくてですね。

最終的には、先ほど申し上げた通り、クラウドプラットッフォームを提供すると。「我々は大きいサービス何回も作ってきたので、うちに任せれば良いのできますよ」と、そういうアイデアに結局落ち着いて、一年以上たった今も、無事やっているという感じです。

基本的には、「やりながら考えろ」と。これは、すごく大事だと思っていて、自転車の絵を後ろに出しているんですけど、自転車に乗らないで、乗る方法を学んで理解してから、やろうとするとすごく難しいですよね。

自転車の乗り方の本ってたぶん無くて、あったとしてもすごく難しくなっちゃう。でも実際やってみれば、誰でも一日か二日で乗れるようになるんで、それはたぶん、ほかのことに関しても通用するんじゃないかな。

たとえば、ベンチャーキャピタルに行ってお金を集める方法がわかってから、スタートアップを始めようと思うと、すごく難しいと思うんですよ。実際やってみると、先ほどスライド出しましたが、けっこうひどいものからスタートしてるんです。でも、バージョン20くらいになると、話も慣れてきますし、最初のミーティングでだめだったところを直していくことによって、最後の方はだいぶ慣れてきて、今やればまたすぐできるような感じになりました。

ということで、自転車と同じでやってみるのが大事なんじゃないかな、ということがまずひとつ、学んだことです。

「失敗したら嫌だなと思うこと」が最大のハードル

逆に言うと、できない理由ってあるのかなと。たとえば、スタートアップやったことないとか、こういう会社をやったことないからできないとか。会社を運営するスキルがないからできないとか。アメリカにいるんだけど、私は日本人だからできないんじゃないかとか。あとは、家族の生活がかかってるからやりたいんだけどできないというような。まぁ理由はたぶんいろいろあると思うんですけど。

たぶんですね、よくよく考えてみると失敗したら嫌だなと思っているのが、一番の原因なんじゃないかと思います。蓋を開けてみると、誰もやっちゃいけないとは言ってないんですよね。

ちょっと戻ってみると、たとえば「君はそういう経験がないからやっちゃダメだよ」とか「日本人だからスタートアップをアメリカでやっちゃダメだよ」とか「家族の生活がかかってるからやっちゃダメだよ」という人は、たぶんいなくて、自分が失敗したら嫌だなと思っているから、やらない理由として思いついてしまってるんじゃないかなと思います。

やるかやらないかは自分で決められるので、やらないというのも自分で決めている。失敗したら嫌だからやらない、というふうにしてるんじゃないかなと思います。

「やらないリスク」はけっこう大きい

ただ、いろいろ心配はあると思います。日本人だからできないんじゃないか、うまくいかないんじゃないか、とか考えれば考えるほどいくらでもあるんですけど。実際に失敗したときのリスクっていうのはどんなものかなと考えてみると、最悪のシナリオは、製品作ってみたけど全然売れません。投資を集めて会社をやってますけど、資金が尽きて会社が潰れちゃう。会社が潰れちゃったら、仕事をまた探さないといけない。というのが、たぶん最悪のパターンなんじゃないかなと思うんですけど、でも、その場合でも、経験は残る。

たとえば、ベンチャーキャピタルからお金集めてくるとか、展示会ではこうやってやるとウケるとか、やってみるといろんな経験は得られるわけですね。最悪の場合でも、「会社がうまくいかなくても、経験は得られる」というのが、最悪のパターンじゃないかなと思います。つまり、最悪のケースっていうのは思ってるほど、悪くない。会社が潰れて路頭に迷うってことは、まぁないんじゃないかな。実際に考えてみると、そんなに悪い感じではありません。

逆にやらないリスクというのがあって、これは、やるかやらないかを考えないとたぶんわからないと思うんですけど。やらないリスクというのは、けっこう大きいです。

まず、「記憶に残らない一年間」になってしまう。たとえば、前の会社に残ってさらに一年働きます。たぶん同じ会社で数年働いていたときに、去年一年間何やったっけと思い出してみると、去年も一昨年も、何年かいたけど何かやったかな、何も覚えてないっていうことがけっこうあるんじゃないかと思います。

これってけっこうリスクで、人生そんなに長いわけではないので、自分の人生を売っていると考えると、一年間を売った結果、何も覚えてないというのは、すごく嫌じゃないかなと思います。

自分の一年間をいくらで売るのか、それでいいのか

実際に考え方として、いま僕は42歳なんですけど、自分の一生のうちの、42歳の一年間をいくらで売るか。一年分の給料で売って、同じことをやるか、それとも、新しくおもしろいことをやるか、というふうな考え方をよくしています。

やらないリスクその2としては、「過去の栄光」というのがあって。たとえば、甲子園で優勝しましたというのは、けっこうすごいことだと思うんですよね。ただ、そのときはすごいんですけど、おじさんになって、「私は高校のときに甲子園で優勝したんですよ」って言うのは、それはそれですごいんですけど、でも「20年前のことじゃん。」みたいになっちゃうと思うんですよ。

私の場合も、たとえば、GoogleでGoogleマップ作りましたっていうのを、この先ずっとそれを手柄として言っていくのは、あまりかっこいいもんじゃないなと思っていて。チャレンジしないっていうのは、昔はすごくて、がんばっていても、それにしがみついてると、だんだんその良さがなくなってくるんじゃないかなと思っています。

やって失敗するリスクと、やらないリスクというのがあると、さっきやったときのリスクとしては、「最悪仕事探しをしないといけないけど、その代わりいろんな経験は得られている」というのと、やらずに「同じことやって自分の一生のうちの一年を献上する」と考えると、明らかに自分の一生のうちの一年の方が大事じゃないかと思います。

ならば、やっぱりチャレンジした方がいいんじゃないかな、と思います。極端な言い方をすると、お金を払ってでも、常に思い出に残ることをやっていたい。転職したり、会社を起こしたりして、たぶん収入は減っちゃったりすると思うんですけど、一年間振り返ったときに思い出に残る。なんかいろいろやったなぁとか、新しい経験したな、ということをどんどんやっていくということを判断基準に次は何しようかなといつも考えています。

思い出がたくさん残るようなことに挑戦しよう

最後にまとめますと、自分が仕事したり、仕事に限らなくても、将来振り返ったときに、これやったな、「あれやったなという思い出がたくさん残るようなことを常にやっていくといいんじゃないかな。仕事に関しては、時間をたくさん使いますので、おもしろくないことや同じことをずっとやるよりかは、新しいことや、自分が今までできなかったことにチャレンジしていくことを、どんどんやっていくといいのではないかなと思っております。

ということで、最後になりますけども、Q&Aということで、今ざーっとお話ししちゃいましたけど、なにか直接聞いてみたいことがあれば、ぜひ聞いてください。プレゼンテーションは以上でおしまいです。

(会場 拍手)

司会者:ありがとうございました。それではみなさん、なにか質問のある方は挙手していただいてよろしいでしょうか。はい、では、できればこちらのスピーカーの方に向かって声を出していただければと思います。

ゴールを持ち、最短ルートで学ぶこと

質問者:素晴らしいプレゼンありがとうございました。それで、質問なんですけれども。やりながら考える、という話がありましたが、システムを作っていったりとかスタートアップするにあたって、学習スピードってすごく重要だと思うんですね。そうしたときに、いつもどのように学習されてるのかなと思いまして、それは、今私も常に改善しなければいけないことだと考えていて、いろいろな素晴らしい企業で働いていたと思うので、どういうふうに学んでいったのかということを知りたいなと思います。

上田氏:ありがとうございます。常に新しいことを学んでいく上での、学習スピードについて、という質問だと思うんですけど。これは、すごく大事で、いつも意識していることです。

スタートアップやっているんですけれども、たとえば、IOT(Internet of Things)のエリアでは、組み込みのWi-Fiチップの開発手法とかという、今までクラウドばかりだったので、全然やったことなかったんですけど、出さないといけないということで、突貫工事で作るわけですよね。

今はけっこう慣れてきたと思うんですけど、どうやって新しい知識を付けるかというと、ゴールをはっきり持って、それをやるための最短ルートを常に考える。たとえば、すごく具体的なゴールで、テキサスインスツルメントという会社のこのチップをうちのクラウドでつなぐというのがゴールになるんですけど、基礎から勉強しようっていうよりかは、それをやるために必要な問題、具体的にたとえばこれをSSLでつながないといけないとなったときに、やってる人って誰もいなかったんですよ。

でもこれをつながないといけないということで、すごく明確で小さいゴールを立てて、それに対しての答えをとにかく早く見つける。どうやったらできるのかっていう最短ルートをどんどん繋いでいくと、ゴールにけっこう早くつながるんじゃないかなと思います。

勉強しようと思うと、基礎から何かを読んだりしてやる方法もあると思いますが、実際、世の中の流れが早いっていうことと、勉強しなきゃいけないことってすごく多くて、全部時間をかけて基礎からやっていくというのは、社会人になってからはたいへんなんじゃないかなと。

ひとついいお話があって、私がGoogleで採用活動をしていたときに、面接にきた方がいて、その方は、OSの通信ライブラリーを作ったというけっこうすごいエンジニアの方だったんですね。そのときに、面接とはあまり関係なかったんですけど、そういうすごく大きなものを作るときは、どうやって作るんですか?という質問したんですよ。面接官て何聞いてもみんな答えてくれるので(笑)

(会場 笑)

そんな質問をしたときに、まずとにかく1バイトを右から左にというか、このマシンからこのマシンに送るというところからスタートだ、と。全部作ってからというよりは、一個、線をつないだら、それをちょっとずつちょっとずつ、たとえば1バイトしか送れなかったものを、メッセージの長さがちゃんとなるようにして、そのあと、複数に分かれたものが流れるようにして、みたいな感じで作っていくんですよという話を答えとしてもらったときに、「あー、なるほど!」と思ったんですね。

今のってその話につながってると思うんですけど、小さいゴールをどんどん積み重ねていくことによって、大きいゴールを達成するというやり方をすると、うまくいくのではないかなぁと思ってます。

質問者:わかりました。ありがとうございます。

司会者:ほかに何かある方いらっしゃいますか? では、ジーニーの社員の方は、いかがでしょうか?

上田氏:もうひとつくらい質問があると嬉しいです。

司会者:奥の方お願いします。スピーカーちょっと遠いんですけど。

いまいる組織をキレイに辞める方法とは?

質問者:素晴らしいお話ありがとうございます。次のところへチャレンジしていくときに、リスクを考えてチャレンジできないという話もあったんですけど、たとえばリスクを考えずに次のところへいくって決めるじゃないですか。いくって決めたときに、でも現状自分がいる場所というのがあって、そこをきれいに卒業する方法って(笑)

上田氏:あー(笑)

(会場 笑)

上田氏:すごい具体的な話ですね(笑) これは、すごく大事でですね。

特にGoogleのときがそうだったんですけど、すごく短く言ってしまうと、悪くなっているときには、あんまり辞めちゃいけないんですよね。次に行くときは、常に上り坂の間に次に行った方がいいんじゃないかと思っています。

マネジメントをやっていて、チームの人が何十人いて、そのチームをマネージャーとしてサポートしていたんですけど、たとえば会社が傾いてきたときに、リーダーが逃げるっていうことは許されないわけですよね。船が沈むときに、船長さんは最後までいないといけない。

なので、何かにチャレンジしているときは、うまくいっていて、上り詰めている間に、このままみんなに任せて自分が抜けても大丈夫だという段階で、自分は次のステップを踏み出すというのがいいじゃないかなと思います。

たぶんGoogleもそうですし、Twitterもそうですけど、今でもGoogleマップはみんなに使ってもらっているいい製品だと思いますし、私が辞めたあともどんどん良くなっていってました。Twitterも、自分が全部やってたわけじゃないんですけど、小さい部分ですけど、このまま自分が抜けても大丈夫だという段階で抜けて、そのあと、IPOをしたりとかっていう感じでした。

遅くなる前に、いいときに、自分はちゃんと何か成し遂げたと思ったところで、早めに次のチャレンジに行くというように、心掛ければあんまり問題にならないんじゃないかなと思います。そんな感じでいかがでしょう。

質問者:ありがとうございます。

司会者:では、時間の関係で最後の質問にさせていただきます。何か質問したいという方、いらっしゃいますでしょうか? 後ろのジーニー社員の方、いかがでしょうか? じゃあ、松井さん!(笑)

松井氏:ジーニーのエンジニアをさせていただいている、松井と申します。よろしくお願いします。

上田氏:よろしくお願いします。

アイデアを評価してくれる人がいたら、一歩を踏み出すとき

松井氏:先ほど、今スタートアップをやっているという話をご紹介いただいたんですけど。世の中には、いろんなウェブサービスがあるかと思いますが、何か新しいことを始めてみようとなったときの、ネタ探しの方法というか、やっぱり実際、流行るものとそうではないものがあると思うんですが、これをやってみようと踏み切れるのかというか……どういうふうにネタを探しているのかなというのに興味があります。

上田氏:はい。まず、踏み切る方法は、人に話をして、誰かがやろうよって言ってくれたかどうか、かなと思います。アイデアはずっとあって、Twitterを辞めたときから、なんかやりたいなと思っていて、いろいろ作ったりしていたんですよ。

もともと、旅行の予約サービスみたいなサービスを作って、ひとり細々と毎日毎日やっていたんですけど、結局家で、自分でひとりで作っているという感じだったんですね。出してみたものの、なかなかユーザーは増えずという感じだったんですが。

今回のアイデアは、実際にラズベリーパイっていう小さい組み込みコンピューターのようなものがあるんですけど、それを買ってきて、スプリンクラーを作ってたんですよ。それを、いろんな人に見せてたら、「これおもしろいじゃん!やろうよ」みたいな話にワーっと盛り上がって、その勢いで会社にしちゃったっていう感じなんですけど。

やっぱりその、アイデアを人に見せて話しているときに、一人でも自分のアイデアをおもしろいと思ってくれた人がいれば、それってたぶんやる価値があると思うんですよね。一人でも納得させているというか、一人でも説得できれば、始められるんじゃないかなという感じです。

いいアイデアか悪いアイデアかというのは、なかなか難しくて、だいたいどんなアイデアを考えても、やっている人はいて、実際、スマート家電向けのプラットフォームを作ろうということで、作り始めたときは、なかなか無いなと思っていたんですけど、実際やってみると、やっている会社は10も20もあって、「やばいな。みんなやってるのにどうしよう。」と思う反面、逆に考えると、「いろんな人がやっているから、たぶん需要はあるんだな」とポジティブな考え方をすればいいという感じです。

あとは、自分がやってみたいこととか、チャレンジしようと思うことを常に言葉にしていろんな人に話す。飲みに行ったときに、いろんな人に「こんなことやりたいんだよね」っていう話をすることは、すごくいいことだと思っています。

実際、僕がアメリカに最初に来たのは、2001年くらいなんですけど、来るきっかけになったのは、最初に入った会社で、友だちとかに、アメリカで仕事をしたいとずっと言ってたんですよ。「将来はアメリカで働きたいと思ってます」みたいな話をしてたら、それを覚えてくれていた友人がいて、それでスタートアップに誘ってもらって、そこでアメリカ行ってやってごらん、みたいな話になった感じなので、やっぱり思ってることを口に出すといろんな人が助けてくれるのではないかと思います。

松井氏:ありがとうございました。

司会者:上田さん、もう一問だけよろしいでしょうか?(笑) 手が上がった小泉さん、よろしくお願いします。

給料は半分になったけど、後悔はない

小泉氏:お話ありがとうございました。先ほど、チャレンジすることで、一番の後悔が、やらないことだ、ということだったんですけども。実際にチャレンジしてみて、細々とした後悔といいますか(笑)ちょっとした後悔というのを聞いてみたいなと思います。

上田氏:(笑)

やったことに対しての、いろんな後悔ですよね。実はそんなになくて、たとえば、会社が変わると給料が半分になったりするんですよ、本当に(笑)給料いっぱいもらってたのに半分になって、つらいなーとか。もし会社に残っていたらいくらくらいもらえてたのに、とか考えたりもしたんですけど、まぁ最終的には結果オーライみたいなところがあって。

今回も、給料が半分になって、スタートアップを始めたときは、最初給料ゼロで、ようやく今、まだ赤字ですけど、一応給料をもらえるようになって、半分の半分くらいになったんですけど(笑)それでもあんまり気にならないというか。自分でやったことだし。人を見てうらやましいなとか、あんまり思わなくなるんですよね。

小さい後悔、うーん、あんまりないです。後悔しない理由は、自分がやりたいようになっているからで、よくないなと思ったら、辞めてほかのことすればいいんじゃないかと。たとえば、今やっていることが、なんか違うなと思ったら、違うことをすればいいし。

なんて言うのかな、さっきスライドにも書いてあったんですけど、たぶん誰もダメとは言わないんですよね。自分がやらないだけで、誰もダメって言わないで、自分がやりたいことをやれば、小さい後悔もあんまりないんじゃないかなと、いうふうに思います。

だから、今、思い返してみて、転職したり新しいこと始めて後悔したことっていうのは、ないです。小さいことに関しても、ないです。

小泉氏:ありがとうございました。

司会者:ありがとうございました。それでは、上田さんご降壇いただきます。拍手でお見送りください。

(会場 拍手)

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • なぜ大企業の優秀な人材が新規事業で成功できないのか? 守屋実氏が指摘する、新規事業が頓挫する組織構造

人気の記事

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!