2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
インタビュアー:(ビジネスを)本格的に始めたときに、ご両親はそれについてどう考えていましたか?
マット・マレンウェッグ氏(以下、マレンウェッグ):わかりません。でも両親はいつもサポートしてくれました。私の最初のプランは、ミュージシャンになることでしたが、両親はそれもサポートしてくれました。
私がしていたコンサルティングの仕事で、自分の料金は自分で支払っていたので、両親は喜んでいたと思いますよ。それにヒューストンは安上がりな場所ですしね。
インタビュアー:それは実は大きな論点になっています。たくさんの起業家は、オープンソースのソフトウェア、ハードウェア、計画などに乗り換えてきています。
その中で出てくるひとつの疑問は「どんなビジネスモデルであれば、チームも持続しながら進んでいくことができるだろうか?」というものです。最近のWordPressのビジネスモデルはどんなものですか? どこから収入が入ってくるのですか?
マレンウェッグ:最近は、ビジネスモデルなんてありませんね。Automatticという会社を立ち上げる前は、他の人と同じように私もWordPressのボランティアとして働いてました。実際に今でもボランティアの人がいます。
まず最初に、ユーザーモデルを考えるきっかけになったのがよかったです。多くのサービス業が何百万ドルも稼ぐためのビジネスモデルを作るときにやっていることですね。
Automatticを始めたとき、私は持続可能なビジネスを作りたかったのです。主な理由は、自分自身が長く働ける場所が欲しかったからですが、同時にWordPressに貢献している人たちがそれを続けられるように、そして給料をもらえるようにしたかったからです。それは最高のことだと思ったからです。
私たちは資金を調達しましたが、最初から私はこの会社を利益のあるものにしたかったのです。
ビジネスモデルのアイディアとして、ブログは一生無料だけど、拡張機能は有料だというものです。それはカスタムテーマであったり、世界で自分だけのドメイン名であったり、通常より大きな容量であったり、ビデオ機能であったりということです。
実際に私たちのビジネスは当初のビジネスプランに大変似ています。私たちの収入の70〜80%は、これらの消費者がアップグレードのために1年に50〜100ドル払っている会費からなるものです。
インタビュアー:今のチームは100人くらいですか?
マレンウェッグ:150人です。
インタビュアー:150人、世界中にいるんですよね?
マレンウェッグ:そうですね。約20人がサンフランシスコ周辺にいて、その半分が1週間にに一度、本部へ出勤します。ほかの130人は世界中に広がっています。
インタビュアー:世界中にユーザーがいるプラットフォームを、世界中に散らばった150人が運営しているというのは驚くべきことですよね。それは大変ですか? 世界中にチームメンバーがいることによって生じる問題はありますか?
マレンウェッグ:そうですね、ある意味、その数字はとても大きな数字のように感じます。私たちは長い間、15〜20人のチームだったからです。それに私はわざと会社をその大きさにとどめていたように思います。
私にとって会社が大きくなったときに、それがどのように機能するのかを想像することが難しかったからです。さっき自分が働ける場所が欲しかったと言いましたよね。
私は過去に経験してきた、私が好きではない仕事と、そのビジネスの大きさや人の多さを結びつけていました。
人が多いほど、その仕事は良くなくなると思っていたのです。この質問はされませんでしたが、それが私が初期の頃に犯したミスです。
会社の成長と、会社の成功、効率、創造力とが比例するとは思っていなかったため、人工的にサイズを抑制していたのです。
初期の雇用では、一人の人がビジネスに大きな変化を与えるところを見るのは素晴らしかったですね。特に高いリスクがあるとき、一人が何百万人ものユーザーを担当することになり、一人の人の影響がとても大きなものになります。
それが、組織を大きくするということで私が興奮したことでした。今では会社が何千人規模になり、それと同時に組織の好きなところ、大切にしたいところを維持することも想像できます。
マレンウェッグ:世界中に分散していることで難しいことは、普通のオフィスで難しいことと一緒です。みんなが同じ考えを持っていることは、オフィスにいても難しいことですよね。コミュニケーションも確実に大切なことです。
私は、コミュニケーションは分散している会社にとっての空気だと言っています。これらのことは難しいですが、オフィスにいるより簡単なこともあります。例えば、あまりスタッフ間での駆け引きがありませんし、みんなお互いを好いています。
会社として私たちは、1年に1回全員が集合しますし、個々のチームは5〜10人ですが、年に2、3回集まります。そしてオフィススペースを持たないことで、浮いた経費を旅行代に使うのです。
インタビュアー:いいですね。
マレンウェッグ:だから私たちはチームをどこでも好きなところへ送ることができます。アテネやバルセロナ、ハワイや日本などたいていの場所で集会を行ってきました。
パーティションで仕切られたオフィスで、私とあなたが隣にいたとして、あなたが食べ物を噛むときとてもうるさいとします。
そしてあなたは毎日私を苛立たせるのです。そして私は静かにあなたを嫌うようになりますが、世界中に分散されているときには、そんなことは起こりません。
世界中に散らばっているので、どんな風に食べ物を食べてもいいですし、オフィスも自分の好きなようにすることができます。
みんなが角にあるオフィスを選べるのです。オフィスの場所を奪い合うなんてことや、卓球テーブルの隣のオフィスになることもないのです。それが普通のオフィスの形態を取り除き、私たちは結果に集中することができます。
他の人が何を着ようと、靴を履いていようとなかろうと、どんな人種でも、どんな話し方をしても関係ないのです。大切なことは、書かれたコミュニケーションとやることをやるだけなのです。
インタビュアー:このチームからどんな文化ができて欲しいと期待しますか? みなさんが使っている基本的価値観というものがあるのですか?
マレンウェッグ:ええ、実は発行もしているんです。私たちには信念があります。どうやって書かれたかは覚えていませんが、たぶんオープンソースを使ってでしょう。
マレンウェッグ:数年前のことです。実際に私たちはそれを人事部に置いています。誰かに採用のオファーを送るとき、法的な項目も合わせて送ります。そしてその一番下に、私たちの信念が書かれてあり、その下にサインするのです。
アイディアとしては、この仕事を受けることでこれらの法的義務だけを負うのではないということです。それに署名することで、一番最初に「常に学び続ける」と約束することになります。それ以外のことはほぼ問題ではありません。
私たちはテクノロジーの会社です。テクノロジーとは、これから5年後に私たちが使っているものであり、今使っているものではありません。
だから5年の経験があろうと、10年の経験があろうと、採用の際には関係ないのです。問題なのは、好奇心を持っているか? 自分の作るものに仕事としてではなく、作品として取り組み、前進していくことができるか?
常に向上しようとしているか? センスがあるか? ということです。センスは教えることができませんからね。それに、高い労働意欲を持っていることです。
インタビュアー:そうですか。今までにしてきた失敗のひとつとして、会社の成長をコントロールして、会社を小さくとどめようとしていたと言っていましたね。
他にはどんな失敗をしてきましたか? 「あれは違う形でやっておくべきだったな」と思うことは何ですか?
マレンウェッグ:多すぎるほどの失敗をしてきました。たいていは、実際の大きな失敗というより、チャンスを逃してしまうという失敗です。早くから採用しなかったというのは、会社の素早い成長というチャンスを逃してしまいました。
もし私が大きな組織を運営すること対し問題なければより早く成長できていました。他の失敗は、馬鹿げたことです。例えば、さっき言ったように、私たちには購買者がいますが、最初は購買者はその契約を更新することができませんでした。
だから毎年全てを買い直さなければいけませんでした。そしてそれは自然にユーザーの高い離脱率につながります。更新というのは世界中の全ての会社がやっているものです。
そして実際に私たちが更新を始めてみると、他の会社がなぜそれをするのかがわかりました。すぐに収入が倍になったのです。私たちが更新機能を使わなかった年月を考えると、馬鹿だったなと感じます。そして私たちは、とても我慢強い投資家がいて幸運だと思いますし、彼らのおかげで、私は自分の失敗をすることができました。
インタビュアー:起業家が会社を立ち上げ、将来有望なアイディアを持っているとき、彼らはラウンドを立ち上げようとしますが、そのプロセスの中での最大の誤解は何ですか?
マレンウェッグ:そうですね。よく見る間違いは、アイディアが最も重要だという考えです。それが最大の間違いです。それ以外では、条件に関する本当に小さなたくさんのことがあります。
でも今は幸運なことに、基本的な書類については、Venture Hacksという素晴らしい情報を持ったWebサイトがありまし、書類もより基本的になってきていて、投資よりも転換社債をする人が増えてきています。Automatticを始めた7、8年前よりも、全てが100倍は簡単でシンプルになりました。
そして資金調達の環境も変わりました。条件は今までよりは良いのですが、投資家はトラクションに対し高い期待を持っています。私たちが最初のラウンドをしたときには、110万ドルを得ましたが、私たちはたくさんのトラクションをすでに得ていました。
WordPressはすでに何十万ものユーザーを獲得していたからです。私は19、20歳くらいでしたが、それらの分野においては自分が仕事ができることをすでに証明していました。だからマーケットや製品リスクが低かったのです。
以前は100万ドルを集めていたシードラウンドを始める前に、今日では5万から10万人のユーザーをすでに得ていることが基本となっています。だからダイナミックスが変わってきていると思います。
それは主にはコストが低くなったことと、ソーシャルネットワークや携帯アプリのおかげで配布がしやすくなったからです。そして素早く、短期間でベンチャーラウンドを始めなくても、クレジットカード上限分だけで成長できるようになったのです。
その他の誤解は、投資家は投資をしたら一生そのプロジェクトに関わるとみんなが思っていることでしょうか。でも投資家もタイムラインがあるのです。実際には多くのベンチャーキャピタルファンドはビンテージを持っています。
それは、例えば2000年にそれが始まったとして、投資家は7年から10年の間に彼らの投資家に資金を返さなければいけないということです。それが3年伸びることもあります。2004年に資金が返せるかもしれません。
でも投資家は2000年のファンドであなたに投資したので、2013年には時間が迫ってきて、資金返済を迫られるのです。よく投資家に投資してもらうことは、結婚することと似ていると言われます。
インタビュアー:でもそうではないですよね。
マレンウェッグ:どちらかというと誰かと子どもを作るようなものですね、正直に言うと。結婚するよりももっと奥深いですね。18年間も一緒にいなければいけなくなりますからね。
一緒にいたくても、いたくなくてもです。離婚したくてもしなくても、常に共有したものがあるのです。会社であれ、子どもであれ、投資を受ければずっとパートナーになるのです。
だから良いときも悪いときも、健やかなるときも病めるときも終わりが来るまでずっと一緒にいたい人とビジネスをするべきですね。
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには