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グローバルで活躍するプロフェッショナルの条件(全3記事)

グリー・青柳氏、たった数人での海外進出から黒字化までの4年間を振り返る

グリー・青柳直樹氏、Indeed・出木場久征氏、PARTY・川村真司氏と、活躍の場を海外に広げるメンバーが「グローバルで活躍するプロフェッショナルの条件」について意見を交わしたセッション。本パートでは、自己紹介を兼ねて、それぞれが取り組むグローバルな事業について語りました。(IVS 2014 Fall より)

責任ある立場の参加者が増えた

小林雅氏(以下、小林):皆さん こんにちは! ようこそお越しいただきました、京都までありがとうございます。今年はIVS10周年記念ということで、力を入れたプログラムになっております。

皆さんこの会場に「これから上場しますよ」とか「上場しましたよ」という方の数が、ここ1、2年で非常に増えたなと思っておりますし、さらに社会的な責任を負う立場になっていろんなことを考えなきゃいけない役割になってきたんじゃないかと思っています。

そういったことも考えまして「経営者としてどう考えるべきか」みたいなセッションをふんだんに用意しておりまして、できればこの機会を通じて経営者としてもう1段、2段成長していただきたいなと思います。

そしてまた来年もこの調子でよりよい年にしていけたらと思っておりますので、2日間という短い期間ではありますけども、よろしくお願い致します。さっそくセッション1に移りたいと思います。

モデレーターは私が担当します。今から、はるばるアメリカから何人かいらっしゃってるので、ぜひ拍手でお迎えいただければと思います。では登壇者の方にご登壇いただければと思います。3人ともぜひよろしくお願いします。拍手でお願いします。

最初にグリーの青柳さん。ありがとうございます。テキサスからお越しいただきました、indeedの出木場さんです。よろしくお願いします。そしてニューヨークから来ました、PARTY川村さんです。よろしくお願い致します。

好調なグリーの海外展開、3年目で日本人スタッフは1ケタ台に

小林:ということでオープニングセッション、青柳さんから行きましょうかね。さっそくご存知の方も多いと思うので各自自己紹介を、この人はそもそも何やってる人なの? っていうのを簡単にやりたいと思います。では青柳さんからお願いします。

青柳直樹氏(以下、青柳):グリーの青柳です。どうぞよろしくお願いします。私はグリーに入社してそろそろ9年が経ちます。グリーは今週末で10周年を迎えますが、IVSとともに育ってきた会社だなと思います。ありがとうございます。

小林:ちなみにグリーの創業者の田中良和さんは、第1回目のNILSには、まだ楽天に在籍していたっていう。そのあとに辞めるんだよっていうことで参加した。歴史を感じますね。ありがとうございます。

青柳:私は最初CFOというかたちで入社したのですが、ここ4年くらいはずっと、国際事業を担当していました。この9月から日本に戻ってきて事業部門の責任者をやらしていただいてます。どうぞよろしくお願いします。

グリーの10年という話ですが、グローバル展開というのは4年前に始めました。4年前にたった数人でアメリカに行って、そもそも会社として海外展開が初めてだったので、ビザを取るところから、会社を知ってもらうところ、初めて現地採用するみたいな、会社を立ち上げる基本的なことをやってきたのが1年目です。

この右上の写真ですが、競合のZyngaさんのオフィスがありまして、目の前に1年間の広告枠を買いました。サウスベイからサンフランシスコに車で通勤してくる人は必ずこの広告を見るので、シリコンバレーの中で「ああ、グリーって会社が来たんだな」というのを知ってもらうのが1年目。大体社員100人くらいまで1年でしました。

でもやっぱりなかなか簡単には日本でやったように大きくならないし立ち上がらないなということで、我々の会社は大きい買収を2つ、2011年と2012年にしています。それで社員300人強くらいまで、2012年から2013年の間に拡大することができました。

オフィスも最初は貸しオフィスでクールじゃない感じ、だけど「ド」ベンチャーな感じでやっていたところから、よりシリコンバレーっぽいオフィスにしたり。

ちょうど地域的にも、アメリカの中でSoma(South of Market)と言われるような、サンフランシスコの中のクリエイティブな人が集まるような地域に移転して、よりローカルっぽくなってきて。社員もサンフランシスコのオフィスには、ほとんど日本人はいませんね。300人くらいいて、今もう1ケタしか日本人はいない状態に3年くらいで変えてきました。

去年くらいからようやくちゃんと収益化をしてきて、黒字になりまして。私も4年目でひとつかたちを作ったということで、ローカルのマネジメントを採用して、今は完全に任せて私は日本に戻ってきました。

サンフランシスコのマネジメントは本当にローカルの人がシリコンバレーでやるというかたちで、最終的には渡してきたというのがこの4年間の振り返りになります。

小林:ありがとうございます。ちなみにこの隣にいる方の髪型って天然なんですか?

青柳:そうですね、相当天然なんですけれども、創業者の田中になんとなく背格好とか似てるんじゃないかと思います。

小林:なるほど、似てるような人を採用したわけですね。

青柳:ちなみに彼は日本で生まれていて日本人の血も入っているんですが、日本語は全くわからないです。

小林:ありがとうございます。ということで、根掘り葉掘り聞きたいと思います。

月間1億5千万UU! Indeedのグローバルな求人サービス

小林:ではIndeed出木場さんに、お願いします。

出木場久征氏(以下、出木場):IndeedのCEOをやっています、出木場と申します。リクルートの執行役員もやってまして。Indeedは2年半から3年くらい前に買収した会社なんですけど、会社のご紹介だけさせていただければと思います。

「あらゆる仕事まとめて検索」って書いてありますけども、Indeedっていうサイトは多分皆さんご存知ないと思うんですが、簡単にいうと求人情報に特化した検索サイトなんですね。

何が違うのかっていうと、通常の求人サイトっていうのは広告でお金を払った会社の求人情報が出てますということなんですが、たとえば100人募集したい、100個オープンなポジションがあるっていう会社があったとして、「この3つはどうしてもお金払ってでも採用したい」っていう優先順位があって、その場合は3つしか求人サイトには掲載しないわけですね。

残りの97個は、企業の採用サイト、企業のホームページには大体リクルートって書いてあったりしますが、そこに「これだけ募集してますよ」って出ていたりします。加えて、人材紹介会社とか派遣企業さんっていうのは、これはこれでまたオープンな情報をいっぱい持ってます。それらの情報をクローリングしてきて、全部まとめて検索できるのがIndeedです。

つまり、地球上にある求人情報っていうのを可能な限り検索できるようにしている。作りは非常にシンプルで、行っていただくと箱が2つしかなくてボタンが1個しかないという、そういうサイトになってます。

2012年に買収したんですが、ちょうど先月、月のユニークユーザーが1億5千万人にいきまして。これは僕も日本でじゃらんnetとかホットペッパーとかもやってたんですけど、UU数を増やすのに5年とか10年とかかけて一生懸命やってたんですが、やっぱりグローバルでやると規模が違う。買収の検討をしたときは、ちょうど2012年の頭くらいなんで6,000万人とかだったと思うんですけど、もうあっという間に1億5千万人になった。

ということで、今も伸び率としては伸び続けてるっていう感じになっています。

アメリカだけではなくて、イギリス、オランダ、カナダ、フランス……と55ヶ国以上で展開していて、今何ヶ国で1位なのかわからないですけど、非常に多くの国で今も1位になっているというようなサイトです。

Webだけではなくてモバイルアプリもやっていて、3,800万アプリがダウンロードされています。これも日本だととんでもない数字なんですけど、世界でやってるとどんどんダウンロードされるのでこんな数になってます。ビジネスカテゴリーではいろんな国で1位になってまして、約20何ヶ国で1位になってるという状況です。

皆さんに「テキサスにいます」っていうとなんでテキサスなんですか? っていうことなんですが、オースティンていうSouth by Southwestっていうイベントをやってることで有名な街なんですけど、もともとファウンダーがここの出身でここに会社を作ったということなんですけども。

僕ももうここオースティンに2年住んで、かみさんも子どもも一緒にいるという状態です。今世界には14都市にオフィスができていまして、これは買収してから6ヶ国とか7ヶ国と増やしてどんどん今拡大させていってるといった状況です。

「日本で1番エンジニアが働きたいオフィス」づくり

出木場:ちょうど今社員が1,300人くらいでして、1日2人くらい増えているので、来月になるとまた人数が増えているっていう感じが続いています。

そのうち300人くらいがオースティンのこのオフィスにいまして、最近Indeed Tokyoっていう、エンジニアハブとかって言ってますけど、東京にもすごい質の高いエンジニアっていうのは絶対いるはずだっていうことで、東京にもオフィスを作りました。ずっと言ってるのは「日本で1番エンジニアが働きたいオフィスにしろ」これだけです。

東京で今29名いるのですが、国籍が12国籍ということで、いろんな国の人が働いてる。アメリカ企業っていうよりはグローバル企業で世界中に拠点があるっていう状況です。

オフィスの風景なんですが、

これが壁に貼ってあるやつで、

これが壁に描いてあるやつで、

これも壁に描いてあるやつなんですけど、これ土日に社員が勝手に来て描いて行くっていうことをやってまして(笑)。賃貸なんでこれ俺出るときどうしようかなと思ってるんですが、皆喜んで描いて行ってくれる。まぁいいことかなと思ってます。

我々ヘキサゴンって呼んでるんですけどこの6角形のオフィスを使ってます。どうなってるかというと、プロダクトマネージャーとエンジニア5人がチームになってひとつのプロダクトを作るという体制をとっているのですが、そのチームごとに座って仕事できるようになっています。

これが食堂の写真なんですが、もちろんランチとか朝食っていうのは無料で提供してるんですけど、もともと四角とか丸のテーブルをいくつか置いて周りに6個くらいの椅子を置いてたんですが、どうしても食べる人が毎回固まっちゃうことがあったんで。

食堂っていっても長いテーブルと椅子にして、これだったらいろんな奴としゃべるだろうってことで工夫してます。

これ、一応僕の机なんですけど非常にファンシーな段ボールで。

小林:段ボールですよね?

出木場:(笑)。これ理由があって、いまアメリカでスタンドアップデスクって、立ってやるデスクがすごい流行ってるんですね。僕も買いたいなって思ったんですけど、もし1日でこれ無理だと思ったらどうしようと思って、段ボールでやりだしたら段ボールがちょっと良くてそのまま使ってるっていうことなんですけど。

実は、僕が会社の入口に1番近いとこに座ってる社員で、ここを皆がいっぱい通ってくれるんです。僕デコって呼ばれてるんですけど「デコー!」って声かけてくれて、いい英語の勉強にもなるのでここに座ってます。

CEOの仕事を話してくださいということだったんですが、一応これクオータリーのミーティングですね。僕自身どれが1番大事な仕事かなって思っているかというと、今はタイムゾーンもいろんな違いがあるんで、同時期にこういう会議っていうのは出来ないんですけど、いろいろビデオ撮って送るとかして、なるべく一体感を醸成するようにやってます。

こんな感じで、日本語でプレゼンすると楽勝なんですけど、英語でプレゼンは、僕もともと英語全然できなかったんで今でも大変困ってます。頑張ってやってます。

これ、各国のナンバーワンになった営業を集めて、賞賛して写真撮ってご飯食べたみたいな写真です。そんな感じです。

小林:ありがとうございます。なんかすごい楽しそうな写真ですね。

出木場:楽しそうにしてないとね(笑)。

小林:楽しそうにするってことが大切なんですね。わかりました、ありがとうございます。

PARTYを立ち上げたのは、表現の力を信じたプロジェクトに携わり続けたかったから

小林:では最後に川村さんから自己紹介をちょっとお願いします。ちなみに川村さんと青柳さんてSFCの同級生、大学1年のときの友達ですよね?

川村真司氏(以下、川村):古い仲ですね。

小林:直樹と呼んでいたと。

川村:青柳って呼んでいました(笑)。

小林:青柳ですか(笑)。ということで、よろしくお願いします。

川村:多分、この中だと謎の3人目みたいなポジションだなと僕は思っているんですけど(笑)、ちょっと自分の自己紹介も兼ねて会社の話をさせていただきたいなと思ってます。

自分はPARTYっていうクリエイティブスタジオを、僕らはクリエイティブラボって呼んでるんですけど、を4年前に立ち上げまして、昨年ニューヨークオフィスをオープンしてそちらの経営からクリエイティブディレクションから全部任されてやってるという感じです。

経歴としてはもともと広告をずっとバックグラウンドとしてやってまして、実は博報堂にいたりとか、NHKのピタゴラスイッチといった番組を作ったりを昔はしてました。

そのあといろいろ縁があって海外の代理店をいろいろと渡り歩きまして、BBH Londonとか180 AmsterdamとかWieden & Kennedy New Yorkとか、あんまり聞き覚えのない方も多いかと思うんですけど。海外では大手と言われてるクリエイティブエージェンシーでクリエイティブディレクターをやらさせていただいた後、4年前日本に帰ってPARTYという会社を始めました。

始めた理由というのが、かつて勤めた大きな広告代理店・クリエイティブエージェンシーみたいなものが、出来ることと出来ないことの限界が結構見えて来てしまったというのがあります。

僕らはおもしろい表現とか、新しい発想に気付けるような表現の強さを信じていて、そういうもののほうが人に届くし、見た人がそのブランドをより覚えてくれる、愛してくれるんじゃないかっていつも思っています。それだけをもっと作れるような、小さいスペシャルプロジェクトに携われ続けるような会社をやりたいなと思ってます。

なのでお二人とは会社規模的に全く比にならない、会社のディレクターです。作ってるものもちょっとわかりにくいんで、小林さんにもお時間いただいたので映像で少しご覧いただけたらなと。

(映像開始)

(映像終了)

小林:すごいですね。

川村:いろいろてんこ盛りな感じなんですけど、やってることというのは、マーケティングでクライアントさんのためのブランディングキャンペーンみたいなものをオンライン中心にやらせていただいたりしつつ、大手の代理店さんだと出来にくいような、もうちょっと実験的な作品みたいなものとかです。

最近だとミュージアムのインスタレーションとかそういったものをやっていたりもします。あとテレビ番組、NHKさんとよくやらせていただいてるんですけど『TECHNE』っていう番組をもう2年くらい作っていたりとか。

結構ジャンルにこだわらず、デジタルのテクノロジーとストーリーテリングを混ぜ合わせて、体験型のコンテンツみたいなのを作っていくことを幅広くやっています。

東京は30人くらいいて、今ニューヨークのほうはやっとこのくらいの人数になってまして。

小林:川村さんはどれなんですか?

川村:僕は1番左ですね。Noritakeさんていうイラストレーターの友達に描いてもらったんです。隣にいるのが清水幹太っていうCTOです。

あとベルギーから来てる奴とか台湾人の子とか、ポルトガルの奴とか、結構いろんな雑多なメンバーで構成していて、あんまりプランナーとかストラテジストがいない、デザイナーとコーダーだけの集団みたいな感じになってます。

1番右にいるジョン・前田さんがアドバイザーっぽく入っていて、Kleiner Perkins Caufield & Byersとかをつないでいただいて、今広告的な案件だけじゃなくて、もうちょっとマイクロスタートアップ的なベンチャーとかにも乗り出し始めてます。

オフィスはこんな感じで、メインオフィスがDumbo地区(ブルックリン)にもあるんですけど、これはちょうどもう1個シェアしてるNew Incというニューミュージアムの隣にあるスペースになります。先々月からニューミュージアムが主導で、初めて作ったインキュベータースペースです。アートとテクノロジーとビジネスを上手くブリッジして、新しいサステナブルなクリエイティブビジネスのかたちを模索するみたいなことをやってる場所です。

そのへんがニューヨークでやろうとしている僕らのビジョンとすごい近かったので、ここの皆と協力しながら、別のマーケティングとかコミッションワークだけじゃない、クリエイティビティをうまく対価に変えていくようなビジネスモデルってなんだろう、みたいなことを日々模索しているというような感じです。

小林:ありがとうございます。

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