2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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バートランド・シュミット氏(以下、バートランド):ここまでのおさらいです。ダウンロードの観点から見ると、ソーシャルネットワークの勢いはすごいですが、日本は中でもマネタイズを上手くやっています。
常に上位をキープするのがゲームです。写真カテゴリーはGoogle Playにおいて人気があります。次にデバイスについてです。
アメリカがiPadからのダウンロード、レベニュー(収益)についてはナンバーワンです。日本はiPadの利用率がとても低いですね。
田中章雄氏(以下、田中):何が起きているんでしょうね? ちなみにiPad使っている人はこの中にどのくらいいますか? もっと多くの人が日常的にiPadを使っていると思っていました。
バートランド:iPadが出た段階で日本人が興味を持つアプリが少なかったということが言えるかもしれません。しかしこの状況は変化してきています。
更に、日本では多くのゲームがフィーチャーフォンから誕生していますので、それをiPad対応にするのも難しい。新たな形でアプリを開発する必要があった。そして日本人は電車で移動中など、常に携帯電話を操作しています。
田中:舛田さん、LINEはiPad版のコミュニケーションツール、メッセージアプリを出したと思いますが、それ以外はほとんどスマホ対応で、タブレットは現時点ではあまり意識していないんですか?
舛田淳氏(以下、舛田):そうですね。いくつかはありますが、ほとんどはスマホ対応。いろいろな方からタブレット対応しろしろと言われていますが、全てに対応するリソースがないので。
田中:少なくとも日本見ている限りでは必要ないですよね(笑)。
舛田: 基本はiOSとアンドロイドのスマートフォンベースでやらせていただいて、つい先日LINE本体のiPad版をようやく出しました。
田中:それほどニーズはないのでしょうか、現時点では? 日本のスマホユーザーの現状を見ると。
舛田:なぜここまでスマートフォンが普及したかと考えると、「フォン」だからなんです。サイズの問題だと思うんです。日本でタブレットを広げられる場所はそこまで多くないし、元々スモールウィンドウに慣れていたということもあり。
携帯、フィーチャーフォンの延長線上にスマートフォンがあります。タブレットは便利ですが、まだ普及するにはハードルがあるかな。
田中:海外のTech系のオーディエンスだとiPadを使っている人がマジョリティだと思うのですが、今回このオーディエンスでも比較的少なかったので、これは先ほども言った日本の特殊な事情があるのでしょうか?
バートランド:この会場内にiPadユーザーよりもApp Annieユーザーのほうが多くいらっしゃるみたいですね(笑)。
田中:そうですね(笑)。
バートランド:コミュニケーションアプリの変化がおもしろいですね。例えばLINEを考えた時。FacebookはiPad版のメッセンジャーやアプリを出しています。iPadでもゲーム系は強いです。そしてもうひとつおもしろいのは、iPhone6は大きなスクリーンであることでまた変化が起きるだろうということです。
田中:では次にiOSデバイスのレベニューを見ていきましょう。
バートランド:おもしろいことに日本はレベニューではiPadでも上手くやっています。
田中:アメリカのiPadレベニューはすごいですね。
バートランド:アメリカは行き過ぎですね(笑)。しかし、アメリカが独自のiPad市場を持っていることがわかると思います。
バートランド:では世界でトップのゲームを見ていきます。
田中:左がダウンロードで、右がレベニューですね。
バートランド:そうです。iOSとGoogle Play、合わせた結果です。
田中:トップ10は主に日本とフィンランドなのですね。LINEも出てきているのでここで舛田さん一言。「LINE:ディズニー ツムツム」もいいところまで来ていますね。
舛田:「LINE:ディズニー ツムツム」は日本だけでやっていたので、まだ多くは日本です。
田中:これは10月のデータですが、ほとんど日本……。
舛田:ほとんど日本のデータですね。言語対応以外にもここから、アメリカや韓国、他のエリアでもいろいろプロモーションの準備をし、対応していきますので、是非次の機会にはこの一番上とかに行きたいなと思いますが。
田中:逆にこれだけ見ていると日本でトップにくれば、グローバルでもトップ10に入れちゃうということですよね。
舛田:レベニューだと間違いないですね。トップ3、トップ5になれば世界でも上位になるというのはしばらくは変わらないと思います。
田中:ありがとうございます。
バートランド:トップ企業を見てみましょう。
ゲームトップ10に多くの日本企業がランクしていることがわかります。
田中:なぜアメリカがトップに出てこないのでしょうか?
バートランド:良い質問です。ゲームではアジア圏とヨーロッパ圏の会社のほうがアメリカよりも上手くマネタイズ出来ています。しかしアメリカにはFacebookがあるし、アメリカとアジア、ヨーロッパは違った種類のビジネスを得意とするのだと思います。
田中:ゲーム以外のデータを見てみましょう。
バートランド:トップダウンロードにはたくさんのアメリカの企業がランクインしています。中国の会社も入っています。カスタマーコミュニケーションアプリも入っています。ダウンロードトップはほとんどがコミュニケーションアプリにも関わらず、レベニューのランキングにはコミュニケーションアプリの数が減ります。
田中:レベニューのほうを見てもいいですか? レベニューでは第1位がLINEです。Skypeも入っていますね。音楽アプリのパンドラも。ゲイコミュニティーの為の出会い系アプリ、グラインダーも入っていますね。
通常のLINEに加え、ゲーム、漫画、トップ10のうち3つ入っていますが、舛田さん、これは先ほどの国別売り上げもあると思いますが、どういう形でこのように売り上げトップに出てきていると思いますか?
舛田:ゲーム以外で課金するのは非常に難しいのです。最近、他のカテゴリーも上がってきているとはいえ、課金の中心はゲームです。LINEとしてはバランス良く、を心がけています。LINEというとスタンプや壁紙、こういったものが売り上げとして上がっていて、あとはファミリーアプリがこのようにランクインしています。今後、新しい流れとして、ゲーム以外の課金も伸びていくかなと。
田中:マンガもすごいですね。グローバルでトップ7。
舛田:そうですね。これも、マンガはまだ日本だけしかやっていないです。LINE PLAYは複数の国でやっています。マンガもこれからグローバルに出していきます。
田中:コミュニケーション系でいうと、FacebookのメッセンジャーがあってWhatsappがあって、Facebook、Skype、御社のLINEとSnapchat、それからViberも入ってましたね。トップ10のうち半分がメッセージ系で、マネタイズに成功しているのはLINEとSkypeのみ。マネタイズの中身は全然違うと思いますが。
舛田:そうですね。LINEはちょっと特殊なんです。アプリとアプリでプラットフォーム化しているので。その他のところは例えばブラウザベースでやっていたりとか。そもそも課金モデルを入れていないとか。ちょっとタイプが違いますよね。
田中:ナンバーワンになっているLINEに含まれるこの課金、御社のビジネスのどの部分がここに現れているのですか?
舛田:LINE上で行われているコミュニケーションアイテムの販売です。スタンプ、着せ替え、LINE電話(有料)などですね。
田中:スタンプ系の売り上げだけでグローバルナンバーワンになれちゃうんですね。すごいですね。ありがとうございます。
バートランド:LINEはここしばらくずっとナンバーワンです。
田中:Skypeのレベニューは?
バートランド:Skypeはコミュニケーションをする為に課金されます。Skypeクレジットです。
田中:また違った形のレベニューですよね。
バートランド:そうですね。Facebookはマネタイズに成功していますが、課金によってではなく、広告を通じてマネタイズしています。特にアメリカやヨーロッパ圏では課金することではなく、とにかくアプリを広めることを目的としているものが多いようです。
舛田:ここにいらっしゃる方、皆思っているかもしれません。ゲームサイズのレベニューを出すと、Apple、Googleの30%もまぁなんとかなるかなと思うのですが、それ以外で稼げるレベニューの桁はそれほど大きくないです。普通に考えると、最初の設計の段階で30%取られるのは厳しいと思います。
そして、もともと課金の仕組みを入れない、という選択をされている方も多いと思います。また、ブラウザ側で課金をさせるとか、Facebookのように広告でマネタイズするんだというように考えるところもありますよね。
いろいろありますが、In-Appのほうが課金をしやすいので、迷っているならやってしまったほうがいいです。30%引かれたとしても。In-Appでやったほうが、グローバルで展開しやすいというのもあります。
別にGoogleさんやAppleさんに言われて喋っているわけではないですが(笑)。In-Appを使うという選択肢は、いろんな意味でマーケティングコストを下げるという意味もあると思います。唯一の選択肢ではないですが。
田中:課金のコストだけとして考えるのではなく、マーケティングコストとして考えればリーズナブルな部分もあるんじゃないかという話ですよね。
舛田:そうですね。私もいつもGoogleさんやAppleさんに高い高いと言っているんですが、他の国のモバイルオペレーターのビリングとかを使うと50%を超えるところとかあるので、それに比較すると安いだろうとよく説明を受けます(笑)。
ただ、日本だとモバイルオペレーターのビリングはもっと安いので、それでいくとこの20%のギャップを皆さん悩まれるのでは、と思います。Googleさん、Appleさん、お願いします(笑)。
バートランド:こちらは世界のゲーム以外のアプリのトップですが、ダウンロード数ランキングには多くのアメリカ企業がランクインしています。そして中国もランクインしています。
そしてレベニューではこちらもLINEがトップです。
田中:ゲーム以外のカテゴリーではアメリカの会社がよりうまくマネタイズしていますよね。トップ10のうち6つがアメリカの会社です。
バートランド:アメリカ企業は広告を通じてマネタイズしているところが多いので、ここにはランクインしていない成功している会社もたくさんあります。次に、日本の国内市場だけのデータです。iOSとGoogle Playで見ていきます。LINEがもちろんトップです。
しかし、とても多様性に溢れていますね。おもしろいのはダウンロード数ランキングにはアメリカ企業が多くランクインしていますが、レベニューをみると全部日本の会社ですね。
田中:(笑)。
バートランド:やはりローカル企業だからこそ、その国の特性を理解して、マネタイズする力があるのでしょうね。
田中:舛田さん、コメント頂けますか? ダウンロードで見ると御社とメルカリ以外、アメリカの会社がトップに来ていますが、マネタイズに成功したのは全部ドメスティックだというデータが出ています。
舛田:基本的に国内向けにやられているサービスですね。
田中:御社を除くとほとんどドメスティックなものばかりですよね。
舛田:そうなんですよ。日本市場に対して課金モデルをぶつけると、やはり当たりやすいです。確率論としてはグローバルでやるより当たりやすい。しかし、ここから上にスケールしようと思うと、やはりグローバルも見なくてはならない。特にアメリカ市場でやらなければいけないな、と結局プレイヤーは思うんです。
田中:なぜAppleのPagesとかがダウンロードトップに来ているんですかね? 日本の人達ってそんなにモバイルで文章書いているんですかね?
舛田:それでいくと8位もそんなにみんな使っているのか? っていうね。
田中:僕もダウンロードしてありますけど、一回も開いたことないです。
バートランド:それは驚くことでもありませんよ。アメリカでは特に全てのアプリをダウンロードするようにプッシュしてきますから。
田中:あとおもしろいのは、アメリカだとFacebookメッセンジャーの下にWhatsappがトップに来ていますが、日本ではWhatsappはほとんどトップ10にも出てこないです。
舛田:そうですね。Whatsappはユーザーがあまり多くない、成長出来ていないというのはLINEがあるから、ということもあると思います。
田中:ありがとうございます。
バートランド:ゲーム系以外の日本でのインデックスはこのようになります。
日本でトップの会社です。ここでもレベニューランキングに入っているのは全て日本の会社です。ダウンロードは日本とアメリカが混ざっていますね。
田中:ダウンロードはYahoo、LINE、リクルートがトップなんですね。メルカリ以外は全て大企業ですね。
バートランド:そうですね。最後に日本でのゲームのトップです。
LINEは継続的に力を上げ、コロプラもいい勢いを保っていますね。
こちらが日本のトップゲーム会社です。ここでも日本の会社がマネタイズに成功しています。
田中:ここでも日本の会社が日本のゲーム市場を独占しているような形ですね。日本の市場に海外からのプレイヤーが参入するのは難しいことなのでしょうか?
バートランド:難しいのは日本は独自のテーマ性があるし、異なった技術があるからです。消費者も複雑なゲーム形態に慣れています。そこで日本のユーザーを満足させることが出来る技術が必要となってきます。日本は北米と違った市場ですから。
あとは広告の問題です。日本はテレビでも広告をやっていますが、とても高いですね。日本の会社ですら、テレビで宣伝をすることを躊躇するくらいです。海外から限られた資金を持って参入しようとする会社にとっては、広告は大きな壁になるでしょう。
田中:舛田さん、一言コメントをいただきたいのですが、もちろん日本のアプリ系の会社が海外に出ても大変だと思うのですが、ゲーム系に限って言うと、日本の国内市場、外国勢には非常にエントリーしにくい、難しいマーケットなのでしょうか?
舛田:そんなこともないと思います。キングさんやスーパーセルさんはナンバーワンになってはいないですが、確実に数字は出されている。
田中:単体で見たら結構いいとこ行っていますよね。
舛田:はい。ただ何社も、何本も、というところにはまだ行かない。日本のゲームは2つに分かれてしまっていて、「クラッシュ・オブ・クラン」や「白猫プロジェクト」、「剣と魔法のログレス」等少しコアなものをやるユーザーと、「LINE:ディズニー ツムツム」とか、「LINE ポコパン」とかカジュアル系をやるユーザーに真っ二つに分かれているので、どちらを狙うか明確でなければ多分テレビCMをやってもダメです。
テレビCMでいうとLINEは先んじてやらさせていただいた会社ですが、ただ単にTVCMを流したらヒットするという時期は終わったと思います。
田中:それは氾濫し過ぎてしまったからですか? そういう広告が。
舛田:そうですね、ユーザーがもう慣れたというのもありますし、いろいろなところとの競争が激しくなっているということもあって。テレビCMをやってもランキングが上がらない、レベニューが上がらないというところがたくさんあるので、そこをウォッチしていくとおもしろいと思います。
田中:ありがとうございます。バートランドさん、ありがとうございました。
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