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今後のメディアビジネスはどうなっていくのか?(全5記事)

メディア界の「次期王者」は誰の手に? ヤフー・NewsPicks・スマニュー…それぞれのビジネス戦略

PCからスマホへの転換期を迎え、大手ニュースメディアがとる戦略とは? ヤフーニュース・片岡裕氏、講談社・瀬尾傑氏、スマニュー・松浦茂樹氏、NewsPicks・佐々木紀彦氏と4名のキーマンがIVSに登壇し、各社が現在進めるビジネス戦略についてそれぞれ語りました。(IVS2014 Fallより)

3年で日本の地盤を固め、世界へ打って出る--NewsPicksの野望

藤代裕之氏(以下、藤代):今後のメディアビジネスはどうなっていくのかというセッションを早速、始めさせてもらいたいと思います。去年、ちょうど佐々木さんとかと一緒に、メディア系のセッションをここでやらせてもらったんですけれども、その時に比べると若干少ないような(笑)。

裏番組がファイナンスということで、なかなか厳しかったかもしれませんけれども、ここに来ていただいた皆さんに満足していただけるように頑張っていきたいと思います。では自己紹介を兼ねて、自社のサービスの説明とご自身の自己紹介をしていただきたいと思いますので、順番によろしくお願いいたします。

佐々木紀彦氏(以下、佐々木):本日はよろしくお願いします。ユーザベースでNewsPicksの編集長をしております、佐々木と申します。簡単にサービスの今の概要を説明した後に、今どういうことを目指しているのかということを簡潔にお話させていただきたいというふうに思います。

今のNewsPicksということですけれど、通知面でいうと、今、リリースからちょうど1年が経ったところでして、累計のダウンロード数は30万ということで、今日来ていただいた皆さんとは、ちょっと全然桁が違うレベルというのが正直なところです。

ただ、我々のユーザーには、いろいろ特徴がありまして、ビジネスメディアということで、年齢が若い人が多いんですけれども、意思決定に関係するような、インフルエンサーと呼ばれる人が多いというところが一つの特徴です。

そして、他では滞在時間が長いと。

我々のメディアはソーシャルメディアとしての機能を持っていますので、コメントしたいとか、そういった長く使う人が多いというところがまた2つ目の特徴です。

そして我々、NewsPicksはいわばニュースのツイッター、ソーシャルメディアみたいなものだというふうによく説明するんですけれども、すべてのニュースが我々のサイト内で読まれなくてもいいとは思っていまして、我々を起点に、影響力のあるニュースが出ていけばいいなと思っています。

ピックボタンというのがあるんですが、これを押すと平均で大体500人ぐらいの人に、そのニュースが伝わっていって、フェイスブック、ツイッターなんかを連動させると合計で3000人以上に伝わっていくということで、我々のサイトを起点にニュースがよく読まれていくというような、ハブになれればいいかなと思っています。

それで今日はテーマがビジネスですので、ビジネスモデルというとこでも、我々はちょっと異端かなと思っているんですが、今、例えばIBMさんとかと一緒に、スポンサーシップのプログラムみたいなものはもう始めているんですけれども、当面はこういったスポンサーシップとかブランド広告が主になります。

ただやっぱり中長期的には、我々は有料課金というものを中心にやりたいと思っていまして、月1,500円。この有料課金モデルを一番ビジネスモデルのコアにしたいというふうに思っています。ただコンテンツだけを有料課金の武器にするのは厳しいですので、例えば検索機能を入れるとか、イベントを入れるとか、いろんな試みをこれからやっていきたいと思います。

丁度、明日刷り上がるんですけれども、NewsPicksペーパーということで、これは試験的な試みなんですけれども、NewsPicksとして新聞を作りました。これは16ページぐらいの新聞で、朝日新聞に折り込んだりとか、クーリエジャポンに折り込んだりとか、あと私も出ていって丸の内駅で配ったりするんですけれど。

こういうふうにネットメディアも紙に出ていったり、イベントをしていったり、マルチメディアでやっていくことでマネタイズのチャンスが生まれてくるんじゃないかなと考えてまいす。

そして我々のこれからの中期目標としては、3年で日本を代表する経済メディアになって、3年でチーム100名体制にということで、来年中にも50名にしたいと思います。特に、編集のところと、テクノロジーのところを大強化しておりまして、皆さん興味ある方いらっしゃいましたら、どんどん応募していただければと思います。

そして3年で日本で地盤を固めて、その後は英語での海外進出も視野にというか、これはマストな目標だと思っているんですけれど、海外に出ていきたいと、そして世界一の経済メディアを作るというのが最後の目標になります。ということで今日はよろしくお願いします。

スマートニュースのMAUは400万

藤代:はい。佐々木さんありがとうございました。じゃあ次はスマートニュースの松浦さん、よろしくお願いします。

松浦茂樹氏(以下、松浦):私の方は、パワーポイント一枚という形で藤代さんからオーダーがあったとおりなんですが、私、松浦茂樹と申します。よろしくお願いいたします。メディアパートナーとのコミュニケーションを担当しております、ディレクターです。

直近、我々は12月1日にスマートニュースコンパス2014と題しまして、約700名以上、800名近い皆様に、お集まりいただいたイベントを開催いたしました。そこで発表した出来事もたくさんあって、いろんなメディアでお伝えしたところでもあるんですが、改めて説明させて下さい。

現状でいいますと、日米で月間400万以上のアクティブユーザーの皆様にお使いいただいておりまして、また、モバイルニュース広告事業を始めております。

そして、広告ネットワークという形で全国紙の皆様方も含めまして、複数の大手メディアにご参画いただきました。また今、米国版も展開しておりますが、インターナショナル版という開発も含めてやっておりますし、非営利団体の広告枠は無償提供という形で、今もカタリバさんとか、いくつかのNPOの方々への導線部分としてやらせていただいております。

その他、メディアパートナーの新しいチャンネルプラスとかも追加するような形で、直近ですとクリスマスとか入れましたし、あと皆さんにちょっと驚きをもって迎えられましたのは、EXILE TRIBEさんのチャンネルプラスを入れたりと。また、広告ネットワークのところでは、NewsPicksさんにお話いただきましたり。

もうちょっと付け加えると、実はNewsPicksさんのコンテンツも、もうそろそろスマートニュースで読めるような形にちょこちょこなってくると思いますので、そちらもご期待いただければと思います。我々はコンテンツを作っているメディアパートナーの皆様にリスペクトを持って、多くの良質な情報を多くの皆様にお送り届けるような形で展開していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

個人の活動を支援するYahoo! ニュース

藤代:じゃあ、ヤフーの片岡さん、よろしくお願いします。

片岡裕氏(以下、片岡):本日はよろしくお願いいたします。Yahoo! ニュースの片岡と申します。

まずひとつ「Yahoo! コンテンツディスカバリー」という、記事のレコメンドとマネタイズをセットで行うサービスを始めました。このサービスは、ヤフーとパートナー様の新たなエコシステムの構築が目的です。

2007年からヤフーニュースに記事を配信いただいたパートナー様に、記事ページで関連リンクというものをご提供しまして、そのリンクからユーザーに、各パートナー様のサイトに遷移して新たな記事を見ていただき、そのページに私達の広告を入れさせていただく取り組みを行っていますが、これをより強化しようというものになります。

パートナー様の課題として、ユーザーフェイスブックから遷移して記事を見られても、またフェイスブックのタイムラインに戻る、こんな流れが大きくあると思っているんです。フェイスブックからあるパートナーのサイトにいった時にもっと見られるよう、ユーザごとにパーソナライズされた記事を発見できるレコメンドエンジンの仕組みを導入する、これがトラフィック増加につながります。

加えてヤフーに配信いただいてる記事の関連リンクにもこのエンジンを入れることで、もっとパートナー様のサイトへ送客ができる、こんな仕組みです。

また、マネタイズですが、通常レコメンドエンジンは自分のサイトを回遊させるために活用しますが、ここの記事リンクの一部を外部サイトの誘導のために使おうという考え方です。

こうすると、例えばA社のサイトにコンテンツディスカバリーを入れて、そこにB社の記事へのリンクを入れますと、A社にはお金が落ちて、B社はA社からトラフィックを買ってこられると、こんなマーケットの仕組みを始めております。徐々に、パートナー様に参加いただいていまして、新たなパートナー様とのエコシステムとして今取り組んでいるところでございます。

もう一つは、奇しくもスマートニュースさんのイベントと同じ日の12月1日に発表させていただきましたが、「Yahoo! ニュース 個人」というサービスがございます。専門家やフリーのジャーナリストといった書き手の方に、個人のお名前で、ヤフーニュースに寄稿いただいているサービスになりますが、この書き手が活動するための支援ををより強化していこうというものでございます。

やはり、パートナー様の皆さまあってこそコンテンツがつくられ、それを私たちが届けられると考えていますので、ここが弱まってしまうとユーザーの皆様に、より良い物を届けられないというところが非常に重要だと考えています。そのため、パートナー様からの配信もありますが、個人の書き手をもっと支援していこうということで、取り組みを発表させていただきました。

一つ目は、「もっと見られる」というそもそもの話でして、書いていただいた記事をヤフーの様々な面を使って広げていくだとか、先ほどご紹介したコンテンツディスカバリーのエンジンを入れていくというものです。二つ目は「もっと広がる」ということで、ヤフーニュースにはコメント機能というのがございまして、ユーザーの方に非常に多くのコメントを投稿いただいています。

これは記事とセットで多様な意見を可視化したいという思いから入れているんですが、ここにニュース個人の書き手であるオーサーの皆様にコメントいただけると、こんな仕組みを作りました。こうすることでユーザにより付加価値の高いコンテンツとして届けられると同時に、オーサーの活動が広がる場を作っています。

見られて広がった結果、三つ目に「もっと還元する」ということで、支払い料率のアップだとかインセンティブ制度を導入しています。これらによって、書き手の方が、持続的に活動いただける、生活できるレベルに持っていきたいと、こんな取り組みを先日発表させていただきました。

講談社は既存メディアのデジタル化を推進

藤代:ありがとうございます。では最後に、講談社、瀬尾さんお願いします。

瀬尾傑氏(以下、瀬尾):講談社の瀬尾です。よろしくお願いします。

簡単に自己紹介と、私が今やっている仕事としては、講談社の中で「現代ビジネス」の編集長という肩書きと、もうひとつ「現代2020企画部」部長というのをやっていますので、特にこの「現代2020企画部」というのは、わかりにくいのでその説明を若干させていただきます。

もともと新卒では、日経マグロウヒルという会社に入りまして、今、日経BPと言っている会社ですけれども。ここの経営企画室で新しい雑誌とか新しいビジネスの開発なんかをやりました。その後に、日経ビジネスの編集部で記者をやって、途中講談社に転職をしました。講談社は当時デジタル媒体がなかったので、月刊現代とかフライデーとかで、いわゆる週刊誌の記者をやりました。

この頃、昔でいういわゆるトップ屋というやつなんですけど、スクープを追いかけるのをずっとやっていましたね。昔は、小渕首相の病床写真という、小渕首相が倒れた時、病室の写真をスクープしたりとか、あと京都では、僕はフライデーもやっていたので、中村鴈治郎さんが17歳の舞妓と浮気をしているという、いかにもフライデー的な写真を撮ったりとかですね。

そういうものでいろんな賞をもらったりしました。その後「現代ビジネス」というものを2012年にある種、社内ベンチャー的に立ち上げまして、その後、今年講談社の中に「現代2020企画部」というのができまして、そこの部長もやることになりました。

「現代2020企画部」というのは何をやっているかというと、東京オリンピックが開催される2020年、この近未来に、新しい時代を生きる読者のための新しいメディア、ジャーナリズムを作ろうという意図で作られたのが「現代2020企画部」です。

ビジョンはそうなんですが具体的に何をやっているかというと、まず一つは、今講談社がやっている、週刊現代、フライデー、クーリエ、というすでにある媒体のデジタル化をやっています。

それと同時に、僕が立ち上げた「現代ビジネス」、これが今、2,300万PVぐらいあります。「ゲキサカ」という、サッカーのサイトではNo.1メディアで、月間1億PVぐらいであります。こういうデジタル専用メディアの開発をやっています。

三つ目が、さらに新しい時代のメディアビジネスのビジネスモデルを作ろうということもやっています。これはデジタルメディアの開発だけでなくて、サービスとか、あるいは他社とのアライアンスとかそういうことも含めてやっています。

四つ目、2020年の東京オリンピックでは、いろんな形でメディアが活躍する場所があると思いますが、これも私の方でやっています。こういう4つのミッションを与えられている部署です。

藤代:4人の方に自己紹介と最近のトピックを紹介していただきました。

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