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IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO 株式会社Solafune(全1記事)

アルゴリズム開発を競技化したら、技術と人が“勝手に集まる” 世界中の社会課題解決に挑むスタートアップの展望

「IVS2024 KYOTO」内にて、次世代の起業家の登竜門とも言われる日本最大級のスタートアップピッチコンテスト「IVS LAUNCHPAD」が開催されました。本記事では株式会社Solafuneの上地練氏による、衛星データ解析プラットフォームについての6分間のプレゼンテーションをお届けします。

衛星データ解析技術で世界の社会課題を解決する

上地練氏:こんにちは。Solafuneの上地です。私たちは、衛星データ解析技術を通して世界の国が抱える課題を解決するスタートアップです。

現在、地球の周りには、このように大量の人工衛星が打ち上げられています。特にここ5年でその数は激増しています。地球観測衛星には大量のセンサーが搭載されており、それぞれがいろんな視点で地球のデータを取得しています。

私たちは解析技術を提供するスタートアップで、お客さまは主に世界の政府機関です。日本はもちろん、アジア、アフリカ、中東、南米など、グローバルサウスと呼ばれる急成長する国からのニーズは著しいものがあります。

一方で、ほとんどの国には宇宙産業がありません。技術がないことはもちろん、産業がないので人がいないですし、とはいえ政府は網羅的にいろんなことをしないといけない。そういった課題を解決するのが、我々Solafuneです。Solafuneは技術・人材が勝手に集まってくる仕組みで、この課題を解決します。

私たちが提供する衛星データ解析プラットフォームSolafuneは現在、世界100ヶ国の技術者に利用されるプラットフォームになっています。仕組みは、アルゴリズム開発をオンライン競技形式で行うというものです。私たちがデータを用意してそれをオープン化し、技術者がそれを使ってソリューションを作って、私たちのプロダクトにアップロードしてくれます。

裏ではアルゴリズムを評価するアルゴリズムが動いており、自動でそのアルゴリズムがどのぐらいよかったのかを評価していき、上位に来たものに賞金を渡すかたちで、我々がライセンスをすべて買い取っていくという仕組みです。

今まで19,000以上のアルゴリズムがプラットフォームを通して開発されました。それが、我々が提供するAIのソフトウェアに組み込まれていくという仕組みです。

衛星から取得できるデータは、ほとんど人の目には見えない

「衛星を活用して世界中の鉱山を見つける」というテーマでは、たった3ヶ月で4,000以上のソリューションが集まりました。すべてランキングで管理されてるだけではなくて、鉱山のどこを見たらよかったのか、アルゴリズムのここを変えたらよかった、このオープンソースのデータを引っ張ってきたら精度が上がった、といった知見も大量に集まるようになっています。

我々が作った技術を搭載したソフトウェアを一部お見せします。「SHIGENAI」というソフトウェアです。政府向けのサービスなので一般公開はしていません。衛星だけじゃなくて、世界銀行から取得した鉱物の採掘データ等も学習しております。機能としては、資源の探査、既存鉱山のモニタリング、埋蔵量の推定などができます。

実際に見てみましょう。ヨーロッパ、アメリカ、日本のさまざまな衛星を選択することができ、場所を決めて見つけたい化合物を選択するだけです。今回はFerric Oxide(酸化第二鉄)というタイプの化合物を選択してみます。2、3秒でどこにどれぐらいあるのかがWeb上にアップロードされまして、赤くなっているところが特にその化合物の反応が強いところです。

衛星というと写真のようなものをイメージする人が多いと思いますが、衛星から取れるデータはほとんど人の目には見えない情報です。特に物体の反射特性を活用したバンド間演算の技術とAIを組み合わせることによって、先ほどのような技術を実現しています。

例えば、先ほどFerric Oxideを見つけたんですが、この「Sentinel-2」というヨーロッパの衛星には12個のバンド帯がありまして、Ferric Oxideを見つけるためにはこういう方程式を探さなければいけないんですね。これは化合物の話なので、例えばそれがクローライトのような鉱物資源になると、より連立方程式が複雑になっていく。

インターネットにないデータを集めてパワフルなAIを作る

実際に使われてる様子です。これはコンゴ民主共和国の鉱山を解析した様子で、コンゴは銅、コバルト、ダイヤモンドなどで非常に有名な国ですが、大規模な違法採掘に困っています。一方で技術がないので、我々のソフトウェアはこういった場面で活用されています。これはアフリカの話だけではなくて、日本の産業にとってもすごく重要なことなのです。

例えばコンゴは、リチウム電池、GPU、半導体、電気自動車に絶対に必要なコバルトという資源の世界シェアの73パーセントを持ってる国なのですね。時代はAI、半導体、電気自動車なので、いろんな国がコンゴに鉱物を取りに行っています。

日本では、経済産業省とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)というところが、その資源調達や安定確保を担ってまして、現地の鉱山省とMOUを結んでいます。

実は私たちが、世界で唯一コンゴ政府に直接衛星データの解析技術を提供している企業なので、世界で1社です。年間数十億のプロジェクトが動いています。

それだけではありません。コンゴの下にあるザンビアという国も非常に重要な国です。日本政府がザンビアでやっている資源探査には、我々の技術が使われています。日本政府も私たちの技術を使っているんです。

それだけではなくて、世界銀行の予算を使ってガーナの国土天然資源省とガーナでの資源探査をやっていたりします。もちろんこれは資源以外にも転用できる技術なので、トーゴ共和国の農業省と農作物のモニタリングをしています。また、森林のモニタリング、バイオマスのモニタリングなどで、日本の経産省からも予算を獲得しています。

このように大規模な国家プロジェクトを主導して、インターネットにはないようなデータをバカバカ集めてくることで、パワフルなAIを作っていく。

昨今のAI産業の発展と衛星技術の発展によって、人類は初めて惑星そのものをエンジニアリングできる時代になったと思っています。私たちは、それを作るのはもちろん、プラットフォームを通して民主化していきたいと思ってます。

私たちのミッションは「Hack The Planet.」です。地球上のあらゆる事象を解析するソフトウェアを通して、まだ人類が解決できていない気候変動や脱炭素の問題などを解決する礎になりたいと思ってます。ありがとうございました。

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