2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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大島周氏(以下、大島):では、宮城さんよろしくお願いします。簡単でかまいませんので、自己紹介をお願いします。
宮城徹氏(以下、宮城):UPSIDERの共同代表の宮城と申します。みなさん、今日はどうぞよろしくお願いします。リブ・コンサルティングのみなさんも、貴重な機会をいただきありがとうございます。
権田和士氏(以下、権田):宮城さんはあまりセミナーとかでお話しされる方ではないので、本当に貴重な機会をありがとうございます。
宮城:ひきこもりタイプでして(笑)。
権田:いやいや、そういうことではなくて(笑)。
宮城:どちらかというと、自分のやってきたことや会社のことをかっこよく話すよりは、「こういう失敗があった」とか、そっち系の話のほうが自分としては好きなタイプです。
だからこそ、あまり外で話すことがないんですけど、今日はどういうしくじりがあったとか、どういう学びがあったかをハイライトしてお話しできればと思っています。
権田:これだけ成長されているUPSIDERさんが「こんなしくじりがあった」という感じだと、他の人たちは成功体験を話しようがない感じになってしまうかもしれないですけど。しくじりの話も後半におうかがいしながら、前半は、これまでどういう軌跡を歩んできたかを存分におうかがいできればと思います。
宮城:はい。よろしくお願いします。
大島:では、UPSIDERさんのことをご存知の方がほとんどかと思いますが、あらためて、会社のご紹介を宮城さんにお願いできればと思います。
宮城:創業が2018年で、これまで約600億円の資金調達をしてきました。事業は大きく2つあって、もしかしたらみなさんがご認識の事業は、(スライド)左側の法人カード「UPSIDER」という事業かもしれません。
もう1つ、請求書をカードで支払えるようにする、SMB向けの「支払い.com」という事業もあって、この2つが今の中核事業として大きく伸びています。
僕たちは「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」をミッションにしています。創業間近だったり赤字だったり、あるいは経営陣がちゃんと揃っていないとか、さまざまな挑戦を強いられる事業者さまの金融面での“壁”をなくしていきたいという思いでやっています。
大きく分けて2つのサービスがあって、(スライドの)左側は業務課題の解決で、経理・財務の方によろこばれているサービスで、右側の「最大10億円の大きな与信枠」は、広告宣伝費が大きな会社などの経営者レイヤーの方々によろこばれています。
スライド左の「決済前」にある「利用先の制限」は弊社しか提供していない機能でして、選ばれる要因の1つになっています。
右側の「決済後」では、例えばみなさんも会食の領収書が手元にあったりすると思いますが、「使った時にスマホでアップロードして経費申請が終わり」といった機能ですとか。あるいは会社のガバナンス体制を整えやすくする機能などを提供しています。
結果的に、35,000社以上の会社さまにご利用いただいており、累計決済額もこのスライドは2,500億円以上となっていますが、今はたぶんこれよりも相当大きくなっているのかなと思います。
2023年からは融資サービスやBPOのサービスも提供して、お金周りのより深い課題の解決を始めています。これまで社内で扱っていた経理前の業務を、AIやBPOで弊社に代替させていただくサービス「UPSIDER Coworker」。カードの与信枠のモデルを用いて、2〜3年のより長い期間の融資をできるようにしたサービス「UPSIDER BLUE DREAM Fund」を、2023年にローンチしました。
僕はコンサルがバックグラウンドで27歳で起業しましたが、共同代表の水野(智規)は創業期のユーザベースに入ってNewsPicksの立ち上げに携わり、エンジニアバックグラウンドでマーケティングをやるなど、互いを補完しあえる関係になっています。どうぞよろしくお願いします。
大島:すごく驚いたのが、まだ創業6年目でお間違いなかったですか?
宮城:はい。
大島:6年目で35,000社に導入されたところは、かなりのスピードだと感じます。どうやってそのスピードで開拓していったのかをぜひうかがいたいです。
権田:最初の2年間ぐらいはいろいろ準備をされていた感じなので、一気にここまできたのって、たぶんこの3〜4年ですよね。
宮城:おっしゃるとおりで2020年9月のリリースなので、3〜4年ですね。
権田:T2D3(サービス開始からの売上額が、前年を基準に毎年3倍、3倍、2倍、2倍、2倍と上昇すること)ではなくて、リソースも限られた中で、もともとの部分の事業は伸ばしながら、超爆速で二の手三の手をやっている。今日はそこらへんが「あっ、なるほどそうやっているんだな」と少しでも理解されると、有意義な時間になるのかなと思っています。
大島:さっそく、パネルディスカッションのパートに移っていきます。大きく前半、後半に分けていまして、前半はGTM(Go To Market)のフェーズ別の戦略についてです。この3〜4年、どういうかたちで成長を遂げてきたのかを一緒に振り返りたいと思います。後半は、先ほどちょっと話に出た、失敗談ではないですが、今だからわかる「あの時こうしたらよかったな」という振り返りをお話しいただきます。
前半の検討ポイントですが、今回定義上、GTMの初期・中期・後期の3つのフェーズに分けてご質問します。プロダクトがマーケットフィットした上で、いわゆるGTMの戦略を作り、初期営業の型化を行いながら、ターゲットを絞って開拓するのが初期のフェーズ。
そこからドメインを広げて、人を採用して拡大していくのが中期のフェーズ。そこからエンタープライズや海外のより大きなマーケットを狙うのを後期と位置づけた上で、それぞれにおいての、UPSIDERさんの成長の軌跡をうかがっていきます。
大島:大きく5つの質問をご用意しました。それぞれをピックしながら柔軟にお話しいただけたらと思います。
事前の打ち合わせの中でも、初期の顧客の絞り込みが1つのキーだったとうかがいました。みなさんにも上場のための法人カードといった認知をされているかと思いますが、その背景や議論のプロセスについてお聞きしたいです。
宮城:ここは弊社が、最初に勢い良く伸び始めた一番の要素かなと思います。当初、初期顧客ターゲットはミドルからレイターステージのスタートアップ、すなわち上場を目指す会社に絞りました。
そこだけにニーズがあったわけではなく、インタビューしたり実際にプロダクトを出す中で、いろんな敷居がありました。例えば大企業は小口現金をなくしたいとか、マスのSMBは支払いを遅らせたいとか。
いろんなニーズが見えた中で、あえてめちゃくちゃ狭く、深く入るという判断をしました。当時のスタートアップのマーケットは今より小さいので、市場として魅力的なサイズかと言うと、そうではないとは思うんですね。でもスタートアップで困っているお客さんは、明らかにペインが深かったので、スタートアップから営業を始めました。
有象無象のセグメント層をターゲットにする時は、アーリーステージとかミドルステージにかかったくらいのところから営業を始めたほうが楽です。でもあえてそこを抑えてミドル、レイターステージからいったのは、そこが使っているというブランディングがないと、上から下に降ろせないからです。
大島:特にどのペインに対して、答えにいかれたのですか?
宮城:与信枠が足りないことと、個人保証です。代表者の個人保証がどうしてもついてしまって、上場プロセスで監査法人からバツを食らうという。共に与信の課題ですよね。ここに着目しました。
最初はプラスチックのカード1枚しか発行できなくて。何枚も発行できますとか、バーチャルカードを組み込めますみたいなのは、だいぶあとです。
権田:本当にミドル、レイターに対して、ダイレクトに与信枠を売っていた感じですね。
宮城:そうです。
権田:それはよろこばれましたね(笑)。
宮城:すごくよろこばれますし、1社で月に数千万円使うようなお客さんがポンポン入ってきたので、顧客単価が非常に大きかったですね。一方でよく言われたのが、「なんで創業期のお前らが、お前らより大きい会社に与信枠を提供できるんだ」という(笑)。
権田:そうですよね(笑)。いや、すごい。
宮城:初期はそういういろんな批判、反論を食らいながらやっていました。
権田:じゃあ(スライドの)2番の『初期のサービスとして「法人カード」として選ばれた理由は何か?』に関しては、ターゲットのペインである与信枠を提供している時点で選ばれる感覚があったということですか?
宮城:はい。
権田:最初はそんな感じからスタートしつつ、ちょっとずつターゲットと提供価値を広げていったんですね。
宮城:おっしゃるとおりです。
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