2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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世界的なイノベーション&クリエイティブの祭典として知られる「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。2024年も各界のクリエイターやリーダー、専門家らが多数登壇し、最先端のテクノロジーやプロダクト、トレンドについて講演を行いました。本記事では、ジュエリーブランド「Kendra Scott」の創業者・ケンドラ・スコットの登壇セッションの模様をお届けします。失敗との向き合い方や、取引先やパートナーに求めるものなどを語りました。
ジェニファー・リュー氏(以下、ジェニファー):会場から素晴らしい質問がありました。「あなたの成功のほとんどは、失敗への恐れを克服することから生まれたようです。キャリアの中で、恐怖心を抱かなくなった時期はありましたか? ちなみに、私は今も怖いです」。
ケンドラ・スコット氏(以下、ケンドラ):失敗はいつも怖いですよ。ビジネスだけでなく、私は結婚も何度か失敗しています。人生には時に予期せぬことが起こるものです。離婚をするつもりで結婚式で永遠の愛を誓う人なんていませんよね。
人生で失敗するたびに私は経験から学び、その理由を理解するようになりました。次に進むための橋が必要だったんだと思います。常に計画通りにはいかないけれど、それでも、次は明るい場所に導いてくれるはずです。
失敗した時は泣いたり、床に座って1人でじっとしていてもいいんです。楽観主義者の私だって、時には涙を流すこともあります。でもその後、自分を取り戻して、『ここから学ぼう』と言います。この苦しみや困難が、私に何かを教えてくれるからです。恐れの扉の向こうには素晴らしい何かが待っているからです。
ジェニファー:次の質問。「あなたはジュエリーのエキスパート(専門家)であることを世界に示すために何をしましたか? どのようにしてその評価を得たのですか?」。
ケンドラ:ジュエリーの専門家になろうとしたわけではありません。ただ、美しいジュエリーを作りたかっただけです。人々が喜び、心地よく感じるジュエリーを作りたかった。そして、消費者に焦点を当てた時、他の誰かに勝とうとしなくなりました。「ああ、私はこれをやるんだ」と。
ただ毎日、顧客が何を求めているかに集中し、それを毎日確実に提供するようにしました。私がエキスパートになれたのは、お客さまをとても大切に思っていたからです。最終的には、お客さまが私をジュエリーのエキスパートにしたのです。彼女たちはデザインを、創造性を愛してくれました。私たちがやっていることを愛してくれたのです。
そして、私は彼女たちの声に耳を傾け続け、もっと興奮させたい、もっとワクワクさせたいと思うようになりました。だから毎回のコレクションで、私はただ、彼女たちが顎を落とすようなものを作りたいと考えています。
顧客とのつながりを持ち、彼らが何を求めているのか、何を必要としているのかに耳を傾けることができれば、どんな分野であれ、あなたを専門家にしてくれるでしょう。
ジェニファー: この質問は間違いなく経営者仲間からのものだと思います。「どのようにメーカーを評価していますか? 同じ品質の価値観を持つメーカーを見つける方法は何ですか?」。
ケンドラ:これは本当に重要なことです。一緒に仕事をするパートナーは、あなたの核となる価値観を共有していなければなりません。
履歴書の“金メッキ”を剥がす方法は、メーカーや取引相手にも有効です。だから、彼らと接する人は誰でも、広報担当者でも弁護士でも、あなたのコア・バリューを代表していなければなりません。
もしその価値観にそぐわないのであれば、取り引きすべきではありません。取引先が従業員に対する扱いで私の基準に合わない場合、30日以内に改めないと取り引きを中止すると伝えます。
こういう時、多くが「過去50年間、祖父の代からこのやり方でやってきた」と反発します。でも、それはKendra Scottでは通用しません。それができるようになったら取り引きすると伝えることになります。
そういった古いやり方で人を扱うようなことは、私の組織では絶対に許されません。取引先がそのような扱いをしているということは私も同罪になるということです。
だから、パートナー、取引先にも最高の基準を課し、そのために毎日戦い続けなければならないのです。一朝一夕にそうなるとは限りませんが、私たちのすべてのパートナー、取引先に私が定める基準を上回るよう求めています。
取引先の従業員がどんな経験をし、何を必要としているかを直接聞きたい。私たちは常に彼らが最高の労働環境を得られるような契約交渉を行います。彼らはブランドの完全な一部ではないものの、できるだけブランドに近い存在であるよう努めています。
ジェニファー: 次の質問は、上司や創業者なら誰でも考えることだと思います。「仕事を任せ始めた時、自分ひとりですべてをやるのをやめようと思ったのはいつですか?」。
ケンドラ:これも重要なことですね。お勧めの本があります。マーカス・バッキンガムの『Now, Discover Your Strengths』という本です。私は彼の講演も聞きました。マーカスは、「自分の得意なことを理解すること」、そしてもっと重要なのは「自分の苦手なことを知ること」だと言います。
起業家なら誰でも、少しうぬぼれたところがあると思います。時には自信過剰になったり、傲慢になることもあります。でも、私たちは何でもできるわけではありません。自分の苦手な部分をきちんと認識し、その分野において行動力に優れた人材を雇うことができれば、より早く成功を手にすることができます。
私は地球上で最も才能のあるチームに囲まれています。私は常に自分に欠けた部分を埋めてくれる人材を探しています。10億ドル以上の企業で経験を積んだ人たちをチームに加える必要があります。彼らはその経験を生かして、私たちが未来に向かって進む中で避けるべき落とし穴を教えてくれます。
起業家として、それを認識することは非常に重要です。私の会計チームは今もExcelのシートを私に送る際はロックを解除しません。私がExcelが苦手なことを知っているからです。私はExcelを得意になるつもりはありません。Excelが得意で楽しんでいる人に任せています。
自分と同じ価値観を持つ人たちをチームに迎え入れ、自分の持たない力を持つ人たちを育てる。それが成功の秘訣です。チームのすべての素晴らしい人材が一体となったビジョンを持つ時、あなたは驚くほどの成功を収めるでしょう。すべてを自分でやることが実際には会社に害を及ぼしていると気づいた時に素晴らしい変化が始まります。
ジェニファー: あと60秒です。最後は私の質問で締めくくりたいと思います。これまでたくさんのアドバイスを受けたと思いますが、その中で最も過大評価されているものは何ですか? 逆に、最も過小評価されたアドバイスは何ですか?
ケンドラ: 今までの人生で「こうあるべき」とか、「こうすべき」とか、「普通はこうするものだ」「こういう手順を踏むべきだ」」とか、本当にたくさんのことを言われてきました。でも、ビジネスに普通なんてありません。1つのルールがすべての人に通用するわけではありません。誰かにとってうまくいったことでも、あなたにとってはうまくいかないこともあるでしょう。
覚えておいてください。あなただけの道があります。他の企業を見て学んでください。でも、あなたの道をどう進むべきかを他の人々に指図されないでください。あなた自身のやり方で進んでください。もし他者のアドバイスに従っていたら、今日私はこの場所に立っていなかったでしょう。ジュエリーはマーケットが大きすぎるから、手を出すなと言われました。
多くの場合、人々は「あなた自身が重要だ」と言い、「あなたを取り巻く人々はそれほど重要ではない」と言います。私はこれにまったく同意できません。あなたの周りの人々はあなたの反映です。友人であれ、組織内で雇う人であれ、あなたの周りにいる人は、あなたを映し出すものであり、あなたの一部なのです。
自分1人で世界と戦えるわけではありません。この世界で成功するためには、愛と支援のチームが必要なのです。起業家は世界に立ち向かいますが、世界と対峙するのは本当に本当に困難です。だからこそ、あなたを支えるチームを築き始めることが重要です。あなたを愛し、あなたを信じ、あなたを見ているチームです。
ジェニファー:お時間です。ケンドラさん、本当にありがとうございました。会場のみなさんもありがとうございました。サウス・バイ・サウスウエストをお楽しみください。
ケンドラ:ありがとうございました。
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