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IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO レコテック株式会社(全1記事)

捨てられてしまう「ごみ」を循環させて「資源」に変える 世界も注目するリサイクル市場に向き合う、スタートアップの挑戦

「IVS2023 KYOTO」内にて、次世代の起業家の登竜門とも言われる日本最大級のスタートアップピッチコンテスト「IVS LAUNCHPAD」が開催されました。本記事ではレコテック株式会社の大村拓輝氏による、サーキュラリティデザインツール「pool」についての6分間のプレゼンテーションをお届けします。

自然の中で気づいた、人間社会の「ごみ」の存在

大村拓輝氏:レコテックの大村です。この写真は、3年前に僕が屋久島に行った時の写真です。自然の中を歩いていく中で、ふと気づいたことがありました。

自然の社会は、何もかもがとても循環しているのに、人間社会はごみがある。循環してないんです。しかもそのごみは、燃やされたり埋め立てられたりしている。この不自然な「ごみ」という概念をなくしたい。そういった思いで立ち上げたのが「pool」です。

世界では、資源を使ってリサイクルするサーキュラーエコノミーへの動きが活発化しています。それゆえ、プラスチックなどの資源に対する規制がどんどん強まっているんです。

こういった社会背景をもとに、メーカー各社はリサイクル材料の活用にコミットしています。しかし、まだまだ使えてないんです。これは日本のメーカーでも同じことが起きています。

メーカーが求めることは4つあります。リサイクル材料の品質がいいこと、コストが安くて、調達量を見通せて、トレーサビリティが取れている。

これを実現するには、同じ品質のごみを集める必要があるんですね。ただ、こういったきれいなプラスチックは、すごく使いやすいのに燃やされています。なぜかと言うと、資源を分別すればするほど1拠点からの物量が減ってしまうので、回収コストが高くついて回収できないんです。

資源循環プラットフォーム「pool」

これを変えるために、データ連携によって回収インフラを構築します。分断されたサプライチェーンを、データによって循環型サプライチェーンにデザインし直す。それを実現するのが、サーキュラリティデザインツール「pool」です。

僕たちはまずは、ニーズが高い廃プラスチックから着手しています。東京都と共同でプロジェクトを立ち上げ、高島屋さんのような大きな商業施設から出てくる廃プラスチックを、花王さん、凸版さんのようなメーカーに循環をデザインしています。

具体的に見てみましょう。まず、ごみを出す企業は資源を分別した後、その情報をpoolに登録。登録はスマホなどで簡単にできます。

次に、ごみを回収する企業。登録されたデータはマップで可視化されています。例えば、東京都で回収したいプラスチックがどこに・どれだけあるのかを見える化することで、資源の回収効率が飛躍的に上がり、データを活用して同じ品質のごみの回収が可能になります。

次に、リサイクルする工場。集められた資源はリサイクル工場に行き、リサイクルされます。そのリサイクル素材もpoolに登録します。

最後にメーカー。資源を調達する際に、その資源がどこから出てきて、誰が回収して、中間処理・リサイクルしたのか。トレーサビリティ情報にアクセスができます。つまり、ニーズを満たした資源調達が可能になるんです。

世界のリサイクルプラスチック市場規模は右肩上がり

このプラットフォームはデータを獲得することがとても重要です。データを獲得するために、まずは資源の排出量が多く、データ管理ニーズが明確な大型の商業施設をターゲットに導入を進めています。

サービス開始から大手百貨店の参加率が6割を超え、大手流通、ディベロッパー、アパレルブランドなども続々参加を進めています。

ごみを出す企業が参加するメリットは3つあります。リサイクル率の向上、CO2排出量の削減、そして処理コストの削減です。実際に、CO2は77パーセント、処理コストは50パーセント削減できたケースもあるんです。

日本国内のターゲット市場規模は、TAMで17兆円、SAMで9.2兆円と、とても大きなマーケットがあります。加えて、世界のリサイクルプラスチック市場規模は右肩上がりにどんどん進んでいまして、不可逆的な流れが来ているんです。

ビジネスモデルです。poolはTwo-Sided Platformで、ごみを出す企業からアカウント利用料、そしてごみを調達する企業からはアカウント利用料にプラスして、資源の取引手数料をいただきます。

例えば、日本国内の廃プラスチックが850万トンあるうち、25パーセントがリサイクルされていると言われています。そのうち、今、ターゲットにしているのはたった1パーセントの商業施設からのきれいなプラスチック。これだけでも36億円の売上が立つ見込みがあるので、とても大きなポテンシャルです。

次世代にツケを回す「いびつな構造」に終止符を打つ

今後のプランです。8月から、自動車メーカーがpoolを活用してリサイクル材料の調達を開始します。本当に大きな一歩です。まずはきれいなプラスチック(回収)を東京から始めていますが、汚いプラや生ごみなど、その他の資源物に拡大しつつ、全国、北米、アジアへも市場展開。こうすることで、資源の取扱手数料を増やしていきます。

そして今はすでに、2030年に義務化されると言われている、ジェット航空燃料のSAF(Sustainable Aviation Fuel)になるための廃油の回収をスタートしています。

循環する資源が増えれば増えるほど、CO2の削減量は増えます。poolで削減できたCO2は、カーボンクレジットへ転換するためにブロックチェーンの実装を行っていき、新たな収益モデルを作ります。

燃やせばCO2が発生し、埋めれば何百年、何千年とそこに残り続ける。僕たちは次の世代にツケを回しているんです。このいびつな構造を終わらせるためには、自然界に存在しない「ごみ」という概念をなくす。終わりを始まりに変えるpoolでした。ありがとうございました。

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