2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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今野:次にいきますね。周りのサポートで、みなさん親御さんとは近いんですか?
前本:私は妻の実家が比較的近くて、車だと10分かからないぐらいの距離にいてくれているので、何かあった時は頼れる環境にあります。子どもが生まれるにあたって、ちょっとそれを見越して引っ越してきました。
今野:そうなんですね。産後は来ていただいたんですか?
前本:そうですね。助けていただきながら。
今野:土日は?
前本:土日はそこまで頻繁にでもないのが正直なところですかね。まあ2週に1回とかになってます。
今野:頼り方、むずいですよね。私は秋田県出身なので、親が秋田にいるんです。まあ「来れるよ」って言うんだけれども、とはいえ私には葛藤があって。やっぱり親は一世代上だから、世代間として価値観が違うじゃないですか。
うち、家族仲はけっこう良いほうだと思ってるんですけど、1個1個世代間の価値観を否定していくのって、ちょっと心苦しくって。実家に帰ってどっぷり見てもらうとかはあるんだけれども、東京だとシッターさん頼みになってますね。
(ベビーシッターさんは)すごく融通がきくので、「こんなふうにお願いします」って価値観を率直に言えるところがいいなって思ってます。小倉さんはどんな感じですか?
小倉:私は実家が秋田で、夫は関西なので、東京で2人で子育てするのが基本です。でも、本当月末とか経理がバタバタってなったり、契約書をちゃんとやんなきゃいけないようなコーポレートが忙しくなってくるタイミングだったり、会食が増えそうな時期とかは、片方の親にそれぞれ来てもらって、1週間ぐらい同居してもらっています。
今野:ありがとうございます。質問が来ていて、「信頼できるシッターさんはどうやって見つけてますか?」。
前本:確かに気になります。
今野:うちで言うと、生後2ヶ月からお願いしてるんですね。3ヶ月から保育園に行ってたんだけれども、人見知りが始まる前に何人か試してみることを、早ければ早いほどしたほうがいいかなって思いますね。
私は2ヶ月の段階で3人見つけて、その3人が未だにやってくださってる感じです。
どうやって知ったかというと、家事代行をもともとお願いしてた会社が、ベビーシッターもやってて。そこの運営母体をそもそも信用してたから選んでいます。
(個人マッチング形式の)「キッズライン」さんとかも使ったりはしたんだけれども、運営母体があって、そこにシッターさんがいる形態だと、どなたかは来てくれるし、連絡の窓口が1個になるからすごく楽なんですよね。
たぶん個人でも、どなたかいればいいのかもしれないですけれども、運営母体があって何人かいるところを1個パイプとして持っておくと、めっちゃ心強いと思います。本当に何があるかわからないので。
あとは、友達にうちのシッターさんを紹介したりします。お互いに安心みたいで、シッターさんとしても初めて行くところは緊張するし、私の友達的にも「まあ珠優ちゃんのところだったら」っていう感じで、信用して使えているみたいです。
今野:次のテーマに行きますね。「人生計画立てた?」ということで、そのとおりにいくわけではないんだけれども、なんとなく「何歳の時にこうなって」という計画は立ててました?
前本:私は正直まったく立ててませんでした。仕事においてもそうですし。
仕事においてもっていうのは、代表の門奈とともに起業した形だったんですけど、そのタイミングでぜったい起業したかったわけでもなくて。門奈の熱意に負けて、一緒にやるかと始めた流れもあったので、計画どおりではなかったです。
プライベートにおいても、そこまで綿密に「何歳で子どもが欲しいね」みたいな考え方をしてたわけでもなかった。けっこうたまたまの連続でここまできてます。
今野:小倉さんはどうなんですか?
小倉:私の場合人生計画は、そのとおりにいかずとも、デッドラインは決めていました。タイムスケジュールを書いて、この日までには結婚・プロポーズをして、この日までには結婚式をして、ってのをもともとやっていたタイプなので。
この時までには子どもが欲しい。そのために検査をして、「私がちょっと妊娠しづらい体質なんだ」と。じゃあ、体外受精するかという感じで、前倒し前倒しで計画して、ようやく自分の目標とするところに着地した感じです。一応ざっくりは立てていましたね。
今野:女性のほうが立てますよね。私もたぶん小倉さんほどしっかりじゃないんだけれども、逆に「30歳までは仕事しよう」という感じだったんです。私実は、正直子どもと一緒にいたら、マミートラックじゃないですけど、仕事に戻ってこれなくなっちゃうような気がしてて。子どもが可愛いから。
そうなった時に、「社会的にこれしてやるんだ」という自分の使命を見つけてないと、たぶんブレるなって思ったから、30歳まで、まずは使命をキャリアとして見つけよう。その後、子どもを生んで、また社会に戻る居場所を見つけよう、みたいなテーマが私の中にありました。
女性の友達と話すんですけど、女性ってけっこう年齢で区切るんですよね。「30歳までに」とか。男性の経営者としゃべってると「2030年までに」って言ったりするんだけど、それってけっこうおもしろいところだなって思いました(笑)。
小倉:質問が来てるんだけれど、「みなさん住まいはお近くなんですか? それはたまたま? 公園で起業相談とかできるのめっちゃいいですね」って(笑)。
前本:小倉さんと珠優さんは近いんですか?
小倉:もともと珠優さんとは近かったんですよ。子どもが生まれたタイミングで引っ越して、それでもご一緒に遊ばせていただいて、ありがたいです。
今野:小倉さんとは地元が一緒で。
小倉:そうそう、地元が秋田県で一緒。同世代で東京で会ったんですけどね。
今野:なので、家族ぐるみで付き合いやすい。
小倉:ゴールデンウィークに珠優さんの実家に遊びに行かせてもらったりとか(笑)。
前本:すてきですね。
今野:もう1個いただいてる質問が、すごくいいですね。これ後で触れたいところなんですけど、「夫婦のルール」について。私が語れる部分じゃないので、後でここを深掘りさせていただきますね。
では次に「妊娠中はどうした?」。どうしてました? 妊娠中なので、主に小倉さんなんだけど。
小倉:妊娠中かあ。でも、ちょうどコロナ禍だったのでオンラインで仕事してました。私としては、社会と繋がる感覚として、一生働き続けたくて。なので、ずっと仕事ができる環境であってよかったな、起業してよかったな、って思うところです。
今野:自分が事業主だから、良い意味で悪くないって感じですか?
小倉:そうそう! ライフステージが変わるなかで、自分のできることとやりたいことがどうしても不一致になって、そのギャップで苦しむことが想像できていたので、早めにその人生計画を立てていた。そういう背景がもともとあったので、ありがたいことに「起業」は良かったなと思います。
今野:うんうん。私も幸いつわりがかなり少ないタイプだったので、これは本当に運ゲーだと思うんですけど......。とはいえ、気持ち悪い時はあって、ちょっと気を外に外にっていうような動機として、仕事があることは助かってましたね。
私も取締役だったので、いわゆる事業主として制約がなかった。これが1個、自分にとってフィットしてた環境だったのかなって思っています。
今野:質問をもらってるのですが、いいですか? 小倉さんに「もし今あらためて起業と妊娠・出産のタイミングを決め直せるとしたら、どんなスケジュールにします?」
小倉:起業も出産も、早ければ早いほうがよかったって個人的には思います。起業は辛いけど楽しいし、周りの経営者の方々の話を聞くと、早く起業して早く成功・失敗しとけばって思うので。
今野:確かにね。あと、今私33歳になったんですけど、周りがどんどん身体の不調を表に出してきたりしています。そういった意味で、失敗とかはあるかもしれないけど、起業にしても、キャリアにしても、妊娠・出産にしても、「前倒しでも良いかもね」って、20代の方に相談されたらよく答えてます。
小倉:そうですね。人生のタイムラインも、例えば大きな体の不調がわかったから前倒ししようって思えたりとか。健康っていつまでもあるもんじゃないなって思いますよね。
今野:当たり前に思っちゃってたから。
小倉:「自分は違う」って思えてたことが怖いですね。
今野:それは「ラッキーだったから」ね。ちょっと質問をたくさんいただいていて......。
小倉:どんどんいきましょうね(笑)。
今野:事業主としてやってる中で、会社員とは違って自分が動かなきゃ売上が立たないし、営業も必要になってくるじゃないですか。そのあたりのプレッシャーは感じなかったですか?
前本:これは次のスライドベースにお話しさせていただくとやりやすい気がしました。
今野:了解です。これは前本さんのやつになぞらえていきますか。「約22億円調達の後の育休、ぶっちゃけどう?」っていうのを教えてください(笑)。
前本:葛藤はありました。調達の直後って、プレッシャーがすさまじいタイミングです。新しい投資家のみなさんも入ってきて、このタイミングでグロース・停滞させるわけにはいかないという前提が出てくる。そこで事業統括してる自分が抜けていいのか?という葛藤は、前提としてはありました。
とはいえ、「大丈夫かな」と思った理由は3つあります。1点目は、「いつ抜けても結局大変なのでは?」という振り返りをしていて。あまり変わらないんじゃないかな?と思ったんです。
それまでの創業からの2年間を振り返ったりして、どのタイミングで2ヶ月抜けようと、大変さはそんなに変わらない。だったらすぐ取ったほうが一番良さそうだなと。
あとは、投資家のみなさまに全力で応援していただいたのが大きかったと思っています。反対される方が1人もいらっしゃらなかったんです。むしろ「取りなよ」っていうスタンスでみなさん話してくださった。もう(育休が)取りやすい環境になってきてるなってすごく思いました。
もう1つは、社会的な課題として取りたいなと思ったんです。日本の男性の育休取得率ってまだ13.9パーセントしかないんですよ。まだ取る方がマイノリティの状況になっています。
我々の会社は「世界一楽しいショッピング体験をつくる」というビジョンで走っていて、そこを目指してる自分たちも楽しく働かなきゃいけないと、本気で思ってるんです。そう思ってる自分たちが経営陣として、家庭を半分犠牲にする、トレードオフにするのって、あまりイケてないんじゃないかなって思っていて。それで「取ろう」と決めました。
前本:COOの自分が取ると、今後メンバーも取りやすくなると思っていたので、「取る」という意思決定をしました。
今野:背中を見せてもらえると、本当に安心しますよね。
前本:見せなきゃいけない立場だよなって思ってますね。ここで私が「取らない」という意思決定をすると、そういう空気感も醸成されちゃうなと思ったりもしたので。
今野:2ヶ月ですよね。
前本:丸々2ヶ月です。
今野:次のスライドでもあるんですけど、「2ヶ月何してたの?」。本当にミーティングとかはノータッチ?
前本:ミーティングはノータッチでした。もう完全に任せていました。正直、Slackは見れちゃうんですけど、私がいなくても意思決定ができる体制が作れた。育休に入ってみて思ったんですけど、「いなくても回る」というのが率直な感想でした(笑)。
育休中どうしてたのかでいくと、最初の1ヶ月は「育児ってこんなに大変なんだ」って率直に思いました。本当に3時間ごとに泣いて起きちゃうんだと感じながら、働いてる時よりハードだったなって思います。最初の1ヶ月は本当にドタバタしてたというのが率直な感想ですね。
育児の大変さを本気でわかったのと、逆に「育休を取ってなかったら、これどうなっちゃってたんだろう?」っていうのが想像がつかないぐらいの感じだったので、そこは大変でしたね。
2ヶ月目ぐらいからはリズムもできてきていたので、合間合間で仕事のことも考えながらではありましたが、現場はもう完璧にノータッチで回ってましたね。
今野:2ヶ月後、どういう戻り方をしたんですか?
前本:ここが育休を取ってよかったことでもあったんですけど、私が持ってた仕事がゼロになった状態で戻れたので、経営的に「中長期、何考えなきゃいけないんだっけ?」っていうところにフルで入れたんです。
いわゆる足元の運用どうしようとか、オペレーション回りどうしようみたいなところはもう任せられてる状態が、この2ヶ月私がいなくなったことで出来上がっていたので。
何も仕事を持ってない状態で経営にフォーカスして戻ることができたので、「本当に事業を伸ばすためにやらなければいけないことはなんだろう?」と考える時間が作れました。
今野:前本さんが持ってる仕事を、誰か現場のメンバーが持ってるわけですよね? 自動的に権限委任が進んだんですね。
前本:その権限委譲が進んだのが、一番大きいなと思っています。先ほどのご質問の「起業と出産のタイミング」の話でいくと、私はたまたまなんですけど、タイミング良かったです。
理由としては、シリーズBに入ったタイミングではあったので、メンバーも正社員ベースで20名弱ぐらいいたタイミング。各ポジションに人がいて、任せられる人がすでに存在はしていた。そこでその方たちにしっかりと権限委譲しきることができたので、タイミングとしても良かったと思っています。
今野:なるほど。質問がきています。前本さんがシリーズBのタイミングだったじゃないですか。一方で、小倉さんは初めての資金調達のタイミングにぜんぶ来たわけじゃないですか。盆と正月と資金調達みたいな(笑)。
一方で、出産の時はパートナーの方が育休を取られたということで、この辺りのお話をちょっと聞きたいんですが。
小倉:そうですね。パートナーの育休は「当然やる」という、夫の決定でした。育休を取らないと、その後自分(夫自身)が子育てにオンボーディングできないだろうと。それが当然じゃんって価値観だったみたいです。
今野:補足すると、子どもが生まれた時、小倉さんはすごい仕事忙しかったよね。
小倉:そうです。
今野:たぶん小倉さんは何らか仕事をしなきゃいけなくって、パートナーの方が家に入られたかたちですよね。
小倉:確かにそうですね。でも、お互いの「こうしたい」がたまたま一致した感じでしたね。相手は「育休を取って子どもを育てたい」、私は「仕事をこのまま継続したい。スタートアップにしないと会社が死ぬ」みたいな状況だったので。
会社を死なせたくない。会社の存続年数を考えたら、いつかはもしかするとそうなるかもしれないし、成功するかもしれない。わかんないけど、でも、そこに対して賭けなきゃいけないのは経営者で、「それを私がやらずにどうする」っていうイメージだったので。
ただ、子どもを産むのは女性の私しかできなくて(笑)。夫にそれをやらせるわけにはいかなかったので、産むけど仕事はしたいというので、役割分担がたまたまできた感じでしたね。
今野:なるほど。
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