2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小島瑶兵氏(以下、小島):はじめまして。才流(サイル)の小島と申します。みなさま参加いただいてありがとうございます。500名以上の方に見ていただけているということで、みなさまのお役に立てる時間にしたいなと思っています。
本日は「新規事業を成功させるPMFの教科書」というテーマでお話をさせていただきます。私の自己紹介を簡単にさせていただくと、2019年に株式会社才流という会社に転職をしまして、新規事業のプロジェクトやマーケティングをご支援するプロジェクトのコンサルティングなどをやらせていただいています。
前職は株式会社GENOVA(ジェノバ)という、今300名ぐらいの会社で、つい先月グロース市場に上場した会社ですが、私はその会社で新規事業の立ち上げを5つ経験して、お恥ずかしながら4つの事業を失敗させてしまい、1つだけ事業が大きくなって、2019年当時で年商10億円、今は年商30億円くらいの事業に育っています。
私自身たくさん失敗をしてきた経験があり、「100点」の事業開発のプロフェッショナルではないんですが、5つやって4つ失敗させて、1つは運よくうまくいったという経験も踏まえて、みなさまのヒントになるお話ができればと思っています。
才流という会社をご存じでない方もいらっしゃると思いますので、簡単にご紹介させていただくと、BtoBに完全に特化をして、マーケティングや営業、あるいは事業開発の領域でコンサルティングをしています。
NTTグループさんやJTBグループさん、そしてソフトバンクグループさんといった大きな会社さまの事業のお手伝いをさせていただくこともありますし、ベンチャー企業のご支援もさせていただきながら、これまで累計150社以上の会社さまをご支援しています。
本日は弊社のご支援の中で得た知見やノウハウを、可能な限り包み隠さず公開させていただきたいと思っています。
才流は、メソッドカンパニーというビジョンを掲げていまして、ノウハウやうまくいく方法、うまくいった事例などを社内で抱えるのではなく、みなさまにできるだけシェアをして、多くの会社さまに「こんなやり方があるよ」というのをお届けしたいという思いでやっていまして、本日も普通であれば隠したくなるような実践的なノウハウを、包み隠さずお話しできればと思います。
弊社がお出ししているメソッドを使って「うまくいきました」「すごく成果につながりました」というお声はたくさんいただいていますので、もちろんご支援させていただければ非常にありがたいところではありますが、少しでも我々のメソッドを持ち帰っていただいて、最短距離で成果創出につなげていただければと思っています。
また、弊社のメールマガジンでも最新のノウハウや事例を無料で公開していますので、本日のお話聞いて、少し役に立つなと思っていただけた方は、メールマガジンにもご登録いただければと思います。
少し前置きが長くなりましたが、本日はPMFという概念の全体像からその実践まで、お話しさせていただきます。
まずPMFについて、聞いたことがある方もいらっしゃれば、ちょっと耳馴染みがないという方もいらっしゃると思うので、基礎的なご理解を深めていただいたあと、概念やお勉強で終わらせるのではなく、実際の新規事業でどういった失敗や躓きがあるかや、失敗の原因、そしてどうすれば避けられるのかというお話を第2部でさせていただきます。
さらに踏み込んで、実際にPMFがうまくいっている会社さんの事例をお話させていただきながら、みなさまが明日から実行できる、PMF達成のためにやるべきことや、インタビューの実践方法までお話をさせていただければと思います。
このセミナーでは、章ごとにQ&Aの時間を設けていますが、できるだけ気軽にご質問いただきたいと思い、3つのスタンスをご紹介させていただきます。
1画面でセミナーを聞いていただいている方もいれば、お仕事をされながら、聞き流しされている方もいらっしゃると思います。なので、ちょっと気になったことがあった時は「すでに話した内容かな」と思っても、気軽に聞いていただければと思います。
私もふだんウェビナーで、何か聞きたいことがあるシーンがありますが、すでに話していたら恥ずかしいなとか、申し訳ないなと思って聞けないことがありますが、そういうことは気にせず、何度でもお話しますので気軽に聞いていただければと思います。
また、基礎的な内容や初歩的な質問が恥ずかしくてしにくいケースもあるかと思いますが、口にされないだけで多くの方が悩んでいるところだったりもしますので、簡単な、初歩的な質問でも問題ありませんので、たくさんご質問ください。
最後に、本日お話する内容はできるだけ明日の業務から実践で使っていただけるかたちで、お持ち帰りいただきたいと思っています。今ご担当されている事業でこういう悩みがあって「どうすればいいですか?」みたいな、具体的な質問も大歓迎です。ふだんの業務に活かせる疑問なども、ご質問いただければと思います。
まずは「PMFとは」というテーマからお話しさせていただきます。PMFという言葉は「プロダクトマーケットフィット」という言葉の略語です。プロダクトは、いわゆるモノやツールだけでなく、私たちのようなコンサルティングサービスや、業務代行のサービスなども含めて、サービス全体を「商品」「プロダクト」と表現しています。
そのプロダクトと、売り先であるマーケットの2つがきちんと適合している状態を「プロダクトマーケットフィット」と呼びます。
PMF、プロダクトマーケットフィットがなぜ重要なのか。売っているものと売る市場が適合していないと、ものすごく大変なんですね。必死にがんばるけれども売れないとか、もし売れたとしてもお客さまが満足されていなくて、クレームにつながってしまうとか、解約につながってしまう。
一方でプロダクトマーケットフィットができていれば、顧客獲得に関しても苦労することがなく、逆に、人出が少なくて(プロダクト提供が)追いつかないという状況に変わっていきます。
私は今、才流という会社で新規事業に特化したコンサルティングをしていますが、「新規事業をリリースしたはいいけども売れないんです」というお悩みを抱えていらっしゃる会社さんがすごく多いんです。
(スライドは)某大手IT企業の新規事業責任者の方がおっしゃっていたことですが、新規事業をリリースして200件の商談の獲得されたんですが、受注率は1パーセント以下で、ほとんど失注してしまったと。明らかにサービスの機能が競合に負けている状態で、「コンペになったら全敗しているんです」とおっしゃっていました。
このリリースしたけれども売れないという新規事業を抱えていらっしゃる責任者の方や担当者の方がやりがちな問題として、売れないのであれば営業やマーケティング活動、いわゆる宣伝活動をがんばろうとされるケースがすごく多いんですが、売り物とマーケットがフィットしていない状態で、どれだけ営業や宣伝をがんばってもものすごくしんどいです。
がんばっても売れず、先ほどお見せしたように、200件商談しても受注率1パーセント以下みたいな状態になります。営業強化やマーケティング、いわゆる広告宣伝はものすごく重要ですが、その前にプロダクトとマーケットがフィットしているかを考えてみませんかというのが、本日の主眼です。
「PMFをしている・していないはどうやって見分けるの?」というご質問を事前にいただいています。
スライドの項目に該当する製品やサービスは、PMFしていない可能性が非常に高いと思われます。
本日の講演を聞いていただいて、まずはPMFのところから考えていただくといいかなと思います。
例えば、新規事業の営業に携わっている方であれば、通常以上に、商談から受注までの期間が長かったり、商談をされても手ごたえを感じなかったり、受注は伸びるけれども解約されてしまうようなサービスの場合は、PMFしていない可能性が高いと思います。
マーケティング領域を担当されている方であれば、広告宣伝費をガンガン投下してリードは増えるけれども受注につながらないや、1社の獲得コストが高すぎる状態はPMFしていない可能性が高いと思います。
一方で、先ほどお見せした項目を逆転させると、PMFしている傾向も見えてきます。
商談にすごく手ごたえがあったり、受注された会社さんがほとんど解約されないとか、マーケティングでリードからの受注率すごく高いという状態は、PMFしている可能性がすごく高いので、営業強化や広告宣伝費の強化がすごく重要になります。
とはいえ、新規事業を成功させるのはすごく難しい活動だなと、私自身感じています。私個人の経験でも5回やって1回しか成功しておらず、成功率20パーセントなので、すごく難しいなと感じています。
スライドは、アビームコンサルティングさんが、お出ししている調査結果です。最終的に黒字化している新規事業は、全体の7パーセントしかないというデータが出ていまして、10個新規事業をやったら9個は失敗するというのが現実的なところかなと感じています。
なので、「自社の新規事業はほとんど失敗しているんです」とおっしゃる方も非常に多いんですが、日本全国、おそらく世界中を見ても新規事業はそもそも難しいので、気落ちせず、とはいえ少しでも成功確率を高めるためにはどうしたらいいかと考えていただけるといいのではないかと思います。
では、9割の新規事業失敗してしまう要因は何か。営業が弱いとかマーケティングに問題があるということではなく、PMFを達成できていないことが原因で、失敗している事業が多いという調査結果も出ています。
今お見せしているスライドは、スタートアップの撤退要因を調べた調査結果です。
一番多い理由は「市場が存在しなかった」という理由です。一方で、営業が弱かったから失敗したとか、マーケティングのノウハウがなかったから失敗したというのはすごく少ないんです。
逆に言うと、プロダクトとマーケットがフィットしちゃえば、次はもう営業やマーケティングの勝負だということになります。
PMFを達成する道のりですが、スライドの「フィットジャーニー」にある6つのフェーズに沿って進めていただくのが良いと弊社では考えています。
フェーズ1の「顧客の課題が存在するか」から始まって、フェーズ2「その課題を解決できる解決策は何か」。フェーズ3「実際にプロダクト、あるいはサービスで実現できるか」。その次にフェーズ4として「PMF」があります。
多くの会社さまが陥ってしまう失敗の1つが、このフェーズ1から3を飛ばして、いきなりプロモーションの強化をしてしまうことです。プロモーションはフェーズ4まで行った状態で強化するのが、理想的な事業開発の進め方になります。
ご質問をいただいているので、簡単に回答させていただきます。「PMFでは、ターゲット市場の見直しと製品の改良の2つの方向がありますが、今の打ち手はどちらかを見分ける方法は何でしょうか?」。
製品とマーケットのどちらを変えるほうが良いかというお話は後半に出てきますが、見分け方はすごく難しいと思います。ただ、現実問題としてプロダクトを変えるほうが、マーケットを変えるより大変なケースが多いので、まずは「今の売り物をどうにか売れないか」から考えていただき、それが難しければ、プロダクトを変えるという順番が良いのではないかと思います。
2つ目のご質問です。「PMFしていない製品の傾向ですが、1つでも該当していると、PMFしていない。複数該当していてもPMFしているなどの指針はあるのでしょうか」。
先ほどお見せしたのは、PMFしている・していないの傾向ですが、3つ以上該当したらとか、4つ以上該当したらという話ではなく、基本的にどれか引っ掛かったら疑ったほうがいいと思います。
最後にもう1つ、すごく大事なご質問をいただいているので回答させていただきます。「PMFとは要はマーケティングのように思うのですが、PMFとマーケティングの違いは何でしょうか」。
先ほど私がマーケティングとしてお話ししたのが、ちょっと良くなかったかなと思いますが、BtoBの領域の一部で使われているマーケティングという言葉はリード獲得を指すケースがあって、より広い意味でのマーケティングは、おっしゃるとおり「このプロダクトをどうする?」とか、「マーケットをどうする?」というお話になります。
狭い意味でのリード獲得のマーケティングではなくて、広い意味でのマーケティングを考えていきましょうというところがPMFと思っていただいて、概ね間違いないと思います。ありがとうございます。
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