2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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河上純二氏(以下、河上):いや、そんなね、今でもだからこの飲食業界に熱いし。高岳さん、年齢51歳なんだよ。
高岳史典氏(以下、高岳):うん、51歳。
河上:なのにね、もうぜんぜん熱さが落ちないからさ、そこに対して御意なわけよ。何なの、そのモチベーションって?
高岳:熱さは落ちないけど、体力は落ちてるよ。
(一同笑)
毎週記憶を失うこの状況をどうしたらいいんだろう。こっちなのかな。
河上:そう?
磯村尚美氏(以下、磯村):それって飲みすぎじゃなくて?
高岳:えっ?
磯村:飲みすぎじゃなくて?
高岳:そう、飲みすぎなんですよ。
磯村:そうですよね。記憶なくなるって(笑)。
及川真一朗氏(以下、及川):(笑)。
高岳:僕ね、ずっと年を召していって……。
磯村:年を召して(笑)。
高岳:年を召して、「お酒弱くなったな」って自分で思ってたら、周りからすると「いやいや、お酒の量が尋常じゃなくなってるから。強い弱いにかかわらず、飲みすぎでしょ」っていう話で。なので、はい、ちょっと今日もね、飲まないようにしようと。
河上:でも、フォローするわけじゃないけれど、とても大事な話をさ、夜やってるじゃん。
高岳:やってるやってる。
河上:やってるじゃん。だから、一概にただ飲み場をうろちょろしているわけではないのに、けど、一番すごいのは体力の勝負で、夜中の2時とかでもまだ稼働できているところが同世代、まぁちょっと俺のほうが下だけど、としては信じられない活力なのよ。そのわりには朝も早いんだよ。
高岳:朝は早い。
河上:俺がわりかし、ほら最近夜早いから朝早いわけよ。俺が朝7時ぐらいとかにメッセを送っても、けっこうわりかし15分ぐらいでレスポンス返ってくるわけ。だから、そのへんの活力が信じられない。聞くと、「前の日落ちてました」って写真が上がってるわけよ。
及川:はいはい(笑)。
河上:ビジネス著名人の写真の流れの中でさ、「落ちてます」って本当に落ちてる写真が上がってるんだよ。
及川:なのにもかかわず数時間後に。
河上:でも朝稼働してるんだよ。だから、そこがこの人たちの、すごいし、やっぱ、見習うべきなのか見習わないべきなのかはわかんないんだけど、ぜんぜん負けてないというのはそこなんだよね。
高岳:たぶんあと2年ぐらいで死ぬね(笑)。
(一同笑)
磯村:困る。
高岳:もうね、命を燃やしてる感じが。燃やし尽くしてる感じがするもん(笑)。
河上:ある?
高岳:うん、あるある。
河上:本当?
高岳:あるある。燃えてるなぁと。燃えるよ。
河上:そのへんの経営者の本音聞くと、高岳さん聞いたことないんだけど、毎日ヘトヘト? 夜、家帰ってさ、例えば飲んでるとか飲んでないとかもあるけど、けっこう。
高岳:体力的にはヘトヘト。精神的にはぜんぜん大丈夫。
河上:あっ、精神的には大丈夫?
高岳:大丈夫。
河上:逆じゃないの? あっ、逆ではないんだ。体力的にヘトヘトなのか。
高岳:体力的にヘトヘトなの。体力的にヘトヘトなのを精神力で保たそうとすると、身体がスイッチオフして僕は落ちるわけですよ。「ダメだ」って、「もう無理だ」って言って(笑)。
河上:すごい。俺、だからこの間ね、実は高岳さんの1週間のスケジュールを聞いたんだよ。今、飲食店のオーナーとしての顔も持ってるし、それからこのテック企業の顔も持っていて。そしたらね、昼間は全部テック企業で、夜、飲食業のオーナーになって、週末、事務処理するんだって。洗濯物を片付けるんだって。
及川:おお。
河上:それってさ、もう本当「大変すぎない?」って思っちゃう。心配しちゃうのよ、同世代として(笑)。
高岳:それは本当。
河上:だよね。でも、ぜんぜんいつ会ってもパワフルだし元気じゃない? その秘訣って何なの? なにかストレス発散なのか、運動?
高岳:ストレスは、だってもう好きなことしかやってないから。45歳になってULTRA CHOPと飲食店始めた時から、もう俺は自分の好きなことしかしないと決めたので。その前の会社で社長やってる時はもう超いやだったから。
河上:(笑)。
高岳:あのね、ヘンケルって会社だけど。
河上:言っちゃってるし!(笑)。じゃあ、ちょっと過去を遡ってみようか。高岳さん。聞きたいでしょ?
及川:聞きたい聞きたい。
河上:なんせこの人は、ちょっと俺が代理でまず1回話すけどね、この人の経歴はコンテンツになるからね。この人はまず興銀でさ。
及川:興銀?
河上:興銀。銀行。京大から興銀に入社して。この姿、ここだけでまずエリート中のエリートっぽいじゃない?
及川:ですよね。
高岳:エリート中のエリート?
河上:そしたらさ、お札数えられるように前に辞めちゃうんだよ。
及川:えっ?
高岳:正確に数えられる。こうやって数える。コンビニの店員……。
河上:上手に数えられない。
及川:(笑)。
高岳:店員さんみたいには数えられる。こういう数え方とかこうやって広げるとかはできない。
河上:できない?
高岳:できない。
河上:できないうちに辞めちゃうんだよ。辞めちゃって、そのあといろんなマーケティング会社。もう言っちゃってもいいの? 大丈夫?
高岳:いいよ。P&Gでしょ? ぜんぜん。
河上:P&Gでマーケティングやったり、それから、順番はわからなくなっちゃう、コンサルティングファームかな、次? その前かな?
高岳:そのあとは、ええと、いや、いくつかやった。フィリップモリスという会社と。
河上:あ、フィリップモリスもいたんですか。マーケで?
高岳:そう。
磯村:だから、西田さんとつながってるんじゃ。
河上:それで、そうか。
高岳:誰?
磯村:西田さん。
高岳:西田さん? ああ、あれでしょ。猛獣でしょ?
磯村:そう、猛獣。つながって。
高岳:いや、猛獣おじさん、その時いなかったけど。
河上:いなかった?
高岳:僕がいた時はいなかったけど。タバコは吸わないんだけど、いっときその時だけ。バージニア・スリム・ワンっていうね。
及川:おお。
河上:ちょっと待って。これいい機会だからちゃんと棚上げしよう。興銀からのフィリップモリス? あっ、違う違う……。
高岳:興銀からのP&G。
河上:それからフィリップモリス?
高岳:フィリップモリス。
河上:次は?
高岳:ジョンソン。
河上:ジョンソン・エンド・ジョンソンなの?
及川:すごいっすね。
高岳:違う違う。ジョンソンとジョンソン・エンド・ジョンソンって違って、ジョンソン・エンド・ジョンソンってコンタクトレンズで、僕がいたジョンソンはカビキラーとかスキンガードとか固めるテンプルとか。
河上:外資系の消費財?
高岳:うん。
河上:そういうことか。
及川:すごい。
河上:それもマーケ?
高岳:うん。僕の担当はスキンガードと固めるテンプル。虫は嫌いだし料理はしないけど、スキンガードと固めるテンプル。
及川:(笑)。
河上:それは初めて聞いた。
高岳:いじめかと思っちゃった。
河上:じゃあ、まさに外資系を転々としてくるわけね。
高岳:そうそう。
河上:OKOK。そのあとは?
高岳:ぴらとしてベルギーのチョコレート会社。
河上:また? そんな変わってるの?
高岳:でもね、それはB2Bよ。
河上:B2B。
高岳:ベルギーのチョコレートの原料を日本に持ってきて、日本のショコラティエに売るというすごい仕事。
河上:それもマーケティング?
高岳:うん、マーケット。
河上:ずっとマーケか。
高岳:このマーケティングよくわからなかったけどね。みんなマーケティング行っても「マーケティングって何?」感じだったもん。パティシエに言っても何にもわからない。「お前、何しに来たんだ?」ぐらいの。楽しい、楽しい経験です。はい。今につながるね。
河上:で、そのあとは?
高岳:そのあとはあのコンサルティング会社。
河上:そこでコンサル。OKOK。ここで話が俺が理解できているところに戻ってくるわけね。コンサルティング行って、そのあとは?
高岳:コンサル行って、そのときにJAL(日本航空)さんとそれからライブドアを担当していて。両方2006年に大変だったので。
河上:そうだね。
高岳:で、ライブドアにそのまま入っちゃって。入っちゃってって変なんだけど、入っちゃってというのは嫌だから入っちゃってじゃなくて、本当はライブドアを解体しに行ったにもかかわらず、ライブドアが好きになって解体するのは嫌だって言って、大騒動になって結局ライブドアに入るという。
河上:それで。ハゲタカが向こう側に変わっていくのは珍しいパターンだと思う。
及川:タイミング、そのタイミングなんですか。僕もっと前だと思いました。
河上:そのタイミングなんだよ。
高岳:2006年に。
及川:そうなんですか。
高岳:ホリエモンというのが僕の飲み友達で、今週の日曜日にいきなり名古屋にハマグリを食いに行こうと言うから、「無理だって。そんないきなり名古屋にハマグリって、そんな君の多動力に僕はついていけないよ」みたいな。
(一同笑)
ホリエモン、僕その時は友達じゃなかったんですけど、事件が起きて、彼がいなくなったあとのライブドアに僕が入って。
ライブドアってものはね、株価がめちゃくちゃその時に、もう上場廃止になっちゃうから、要は上場廃止になると株を売り買いできなくので、みんなもう投げ売り状態。めちゃくちゃ下がったところにハゲタカファンドが全部買い占めたわけ。
なぜそういうことをするかというと、買い占めたあとは、ライブドアが自分のものになったら、そこにはもう宝の山のように、例えばセシールがあったり弥生があったりライブドアファイナンスがあって、いろんな会社があってそれ売るだけでぜんぜん元が取れちゃう。でも、一般の人はそんなのわからないから買い占めてどんどん売っていって。
僕らがコンサルティング会社、僕はライブドアの本体のライブドアのポータルサイトを解体する……査定する担当。これを査定して「これぐらいで売ったらいいんじゃないのか」って。
及川:へえ。
高岳:が担当で。
河上:なるほどね。
高岳:入っていって会ったのが出澤さんという今のLINEの社長が。彼いわく、「本当にいろんな人がいなくなったから、やりたくなかったのに社長になりました」みたいな。
そこで2人で会っていろいろ話して、いけるだろうと。もっといいことが起こるだろうと思ったので、それで取締役会でハゲタカファンドが「おう、いくらぐらいで売れるって言うんだ? どうやったら売れるんだ?」という時に、「いや、再生しましょう」って言ったら(笑)。
河上:すごいね。
高岳:そしたら、僕その場でクビになりました。本当うそじゃないです。この場でクビになった。出ていけって言われてクビになりました。アリックス、僕のコンサルティング会社、全員クビになりました。「はい、出て。バイバイ」って言って(笑)。
及川:そんな。
高岳:そこから3ヶ月ぐらい離れて。そしたら、ほかの僕らをクビにしたハゲタカファンドの株をもう1個のファンドが買っちゃったんですね。買って、要は再生したほうが価値が上がると賭けた人がいる。だから、こっちから買って、僕らを戻して、「お前ら、ああ言った以上はなんとかなるんだろうな」と。それで僕はどっぷり入ることになりました。というのが流れです。
河上:すごく濃厚だよね。ここのところ。
高岳:濃厚濃厚。
及川:でも、やっぱり再生できると思ったから行ったわけですよね。
高岳:思いました、思いました。もちろん確信はないんだけど、でも、いけるだろうという。そのメンツを見えてもそうだったし、技術的なものを見てもちょっと突き抜けていたので、だから。現実的にそのあとそういうことも起こっていくし。そのチームが今LINEという会社に入って活躍しているわけなので、そういう意味では良かったんじゃないかなと。あの時バラバラにされちゃったらね、もう今なにもなかったと思うので。
及川:いや、そうですよね。
河上:それ、でも、けっこう高岳さんの役割って大きくなかったですか?
高岳:振り返ればね。振り返れば。でもね、もう昔の話してもさ、もう……最近はさ、こういう話で取材とかしてもらうんだけどさ、それ昔の話でさ、「ビスポ!」とULTRA CHOPの話を聞いてほしいんだよ。
河上:まぁ、そうだよね。
及川:確かに(笑)。
高岳:そうなんだよ。P&Gの人もみんな昔のP&Gの話ばっかりするじゃん。P&Gマフィアの人たち。
河上:そうね。
高岳:本当だよ。でも、昔のこと言っても……。
河上:売れるコンテンツが歴史上に多すぎるから、やっぱりここだけ切り取れないんだよ。一応番組的に。過去を切り取らないとさ。
高岳:いい、いい。昔話はいくらしてもいいんだけど、まだ過去の栄光にすがる歳じゃないからね。今を生きてるから。
河上:まぁね。だって、ぜんぜんすがってないじゃん。
高岳:まったくすがってない。聞かれないかぎりは言わない(笑)。
河上:まったくぜんぜん引きずられないじゃん。なぜラムチョップレストランのオーナーになるのかって、いや、もうぜんぜん掴みどころがないんですよ。だって、それがもともと興銀だというのもわからないでしょ? わけがわからないんだよ。
高岳:だって、パーティでどんなにかわいいおねえちゃんに会っても、「僕はラムチョップ屋です」って、それでお終いだから。「ラム食べたい!」って言われてお終い。「あっ、これでいいんだ」と思って(笑)。「あっ、俺、これいいわ。これで正解なんだ」って。ここでP&Gとか言っちゃったらわけわからないなと思って。だからラムチョップ。「おいしいよ」って言って。
河上:おいしいよ(笑)。ちょっと脱線しそうだから1回戻すよ。いま歴史を振り返ってるから。まだあるから。ライブドアのあと、それでヘンケル?
高岳:ヘンケルヘンケル。
河上:ヘンケルになるんだ。
高岳:そうそう。ライブドアがNHNグループに買収されて、最後そのファンドが売った先が。要はライブドアの価値が上がるほうに賭けたファンドは、最後はやっぱり売らなきゃいけないから。ラッキーなことにNHNのNAVERグループという、これもね、今のLINE……。
河上:韓国最大ポータルね。
高岳:今のLINEのチームがそこでできあがるわけだけど、すごくいいチームで。僕もその時にはいて、最後このLINEのプロトタイプができあがるぐらいまで僕はいて。
河上:そこまではいたんですか。
高岳:いたいた。すんげえつながっちゃうなと思いながら。最初のプロトタイプって電話番号ベースですごいつながっていたので。そこからどんどん拡大していくんだけど、僕は拡大する前にもう辞めるという意思を言っていて。ライブドアがうまくいくことが良かったので、それはある程度完了したので。
それでなにかしたいなというよりは、外資系の社長をやらないかとヘッドハンティングが来て。俺もうこの5年間いっぱい働いたから、外資系の社長になって、いい給料をもらって、かわいい秘書がついて、すてきな部屋に入って、車ももらってみたいな、こういうちょっと楽したい(笑)。
河上:人間だから。
高岳:ちょっと楽したくなっちゃって移ったわけですよ。そうするとね、そういう邪な心を持っているとよくないことが起こるわけです。
及川:そうですか(笑)。
高岳:本当に本当に。
河上:でも、そこでまた強烈な人たちと出会うわけでしょ。ヘンケル系列だと。
高岳:ええ、足立光っていう今のマクドナルトを出てNianticというところでね。最近マクドナルドの話ばっかしかしないから、Nianticの話をちゃんとするようにしてくださいって思うんですけど、その方に誘われて行って、ヘンケルというか、シュワルツコフというものの日本の代表になって。
なるんですけど、残念ながらドイツが本社なので、日本の社長といっても結局、例えは悪いけど、日本のソニーのマニラ支店長みたいなかたち。だから言うことをなんでも聞けって言われる。
河上:まぁ、そうだよね。
高岳:うん。僕らは自分たちなりにビジネスがうまくいってるし、なんか変な指示をしてくるから、本社の業績が悪いからリストラしろとか。だけど、こっち業績いいのになんでそんなことしなきゃいけないんだ? いろいろあったんですけど、結局僕は後半の1年間はドイツの本社には1回も行かなかったので。
河上:なんだその無法者みたいな話(笑)。
高岳:例え話で言うと、江戸幕府が参勤交代で大名に来いと言っているのに、来ない大名。「まったく来ない大名がいるんだけど、これどうなっているんだ?」と。
河上:本当に来ないんだ(笑)。
及川:(笑)。
河上:わかりやすいよ。その話、すごいわかりやすい。
高岳:その間いろいろな言い訳を考えたんだけど、さすがにこのままいくとたくさん親戚が死んでしまうと。会社にもうバレてて、こいつ来ないんだということで、結局もう最終的にはクビですよね。もう僕も辞めるって言って、クビ、「お前なんかいらんわ」ということで辞めることになると。
ちなみにジャパンの組織はすばらしかった。本当に。
河上:メンバーが?
高岳:ジャパンのメンバーは今も仲良いですし、そういうので。ただ、振り返ってフェアな話をすると、会社としてはね、当然、支社長に「早く来いや」とか「君のところで調整しろや」というのは正しいので、会社の論理としては別に合っていたので、正当化するわけではなくて、僕自体がそれを嫌いだったというだけであって、こっちが正しかったと言うつもりはまったくなくて。だから、もう自分でやろうと。これ同じところに行ったら、また同じことが起こるから。結局、社長と言われて入っても、こういうことが起こるから。
河上:グローバルのヘッドクオーターとブランチの話だからね。
高岳:そうそう。だからだから。いきなり日本の会社の社長なんかなれないし、なろうと思えば自分でやるしかないから、それで始めたんですよ。
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