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株式会社スペースマーケット 代表取締役 重松大輔氏(全5記事)

NTTから2年連続で内定をもらった男が語った、30歳から始めるスタートアップ

FMラジオ番組「大人のミライ」でパーソナリティや、IT企業の顧問・アドバイザーを務める河上純二氏をモデレーターに、スタートアップ・ベンチャー企業のCEOを招き、その人柄や創立秘話などについて話を聞くYouTubeのトークライブチャンネル「『JJの部屋』by COLABO」。第6回となる今回のゲストは、空いたスペースをレンタルできるプラットフォーム・スペースマーケット代表取締役の重松大輔氏。本記事では、大企業のNTTに入ったあと、30歳でスタートアップに移ったエピソードを中心にお送りします。

ライティング設備の整ったスペースは意外とない

重松大輔氏(以下、重松):こういうスペースをちゃんと所有すれば、自分が使ってないときに借りたい人なんて、たぶん山ほどいると思うんですよね。

河上純二氏(以下、河上):そうだよね。さっきも話したけど、そこで『朝まで生テレビ!』的なのやろうよ。

重松:やりたいですね。

河上:夕方までにするかもしれない。週末の昼から夕方まで。

及川真一朗氏(以下、及川):昼から夕方まで(笑)。

重松:夕方まで生テレビ!(笑)。

河上:田原総一郎の立ち位置でやりたい。

重松:CMも入れて。

及川:いいですね(笑)。

重松:CMもね、いけるかもしれない。

河上:そうだね。

重松:でも、このスタジオのパッケージ、すごいなと思う。

河上:本当に欲しそう(笑)。本当に自分でやりそうだね。

重松:僕も仕事柄いろんなスペース見てますから。

及川:そうですよね。確かに。

重松:ここはよくできてる。配信ができる。ユーチューバーとか動画撮影系とかすごく多いんですよ。

及川:あ~、やっぱり。

重松:撮影が多いので。こういうライティングがしっかりしてるスペースって意外と……たぶんプロがやってるからですね。

河上:そうですね。だから若く見えるでしょ?

重松:見える見える。

磯村尚美氏(以下、磯村):(笑)。

重松:なんか若いですよね。年齢不詳ですよ。テディベア(笑)。

短期間で急成長を目指すエグジットモデルを想定

河上:スペースマーケットに戻るけどさ。今何人くらいになったの?

重松:今55人くらいですね。

河上:増えたね~。このあとはどういう……まあ、言える範囲で。言えないこともあると思うけど。どんな展開を予定してたりするの?

重松:今シリーズCのラウンドで、この前もリリースしましたけど、資金調達して事業会社から株主に入って、東京建物さんとかに入ってもらったりして。こうやって資金調達してるので、基本的にはエグジットモデルというか。IPOとかエグジットとか、そういう選択肢になっていくのかなっていう感じですかね。中小企業で終わるというよりはスケールを出して、短期間で急成長するっていう。

河上:ある意味では順調だったように見えるけどさ。

重松:いやいや、大変ですよ。

河上:思ってないでしょ(笑)。

重松:いやいや、必死だったんでね。

河上:本当~?

重松:気づいたらここまで来たっていう。

河上:あ、そう。なにかエピソードある? これしんどかったね~みたいな。この3、4年の間に。

重松:う~ん。基本ポジティブなのであんまり……。まあでも辛かったのは、シリーズ……今3回目まで資金調達してて。2回目の資金調達のときがけっこう。1回目はわりと勢いでいけるんですよ。でも2回目は、シリーズBとかなるとわりとトラクションというか、数字がある程度求められるようになるので。

なかなかこの手のビジネスってそんなに急拡大しないんですよ。着実に成長していくみたいな。いきなり400パーセントとかなかなかならなくて。着実に伸びるんだけど。とはいえ1000万が前月比120パーセントでも1200万とかですよね。けっこう歩みがのろいんですよ。そのときはけっこう資金調達に苦労して、辛かったですね。

河上:なるほどね~。

重松:もう資金ショートしちゃう! みたいな。あれはしびれます。

河上:すべり出しが絶好調だったように俺は見えたから。

重松:あれは勢い。

河上:話聞いてさ、立ち上がって。そしたら賞を総なめにいったじゃない? 

重松:ピッチは得意だったので。

河上:おいおい、ちょっと取りすぎでしょみたいなさ感じでさ。バシバシバシ! っていったから。あらららら、あっという間にスタートアップの雄みたいになっちゃってさ。

重松:そういう錯覚をしてたんですよ。実際はやっぱりそんなに簡単には立ち上がらないので。

河上:実際の数字面というか、実数の部分というのは時間がかかったよねと。

重松:ようやくかたちというか、世の中が付いてきたじゃないですけど。

NTTに愛された男

河上:ぶっちゃけのところ、どれくらいのタイミングで「あ、これは軌道に乗ってきたね」って感じ始めたの?

重松:そこでいくと、シリーズCあたりですかね。ちょうど2年前くらい。

河上:2年前くらい。そっか。

重松:ようやく「あ、間違ってないな」っていう。あとはほかの海外のプレーヤーとか同業他社とかを見ても、基本的に伸びるマーケット……伸びるというか、生活スタイルが変わるっていうことなので。

河上:でもさ、シリーズCのところで出てくる東京建物さんとかさ、まさに業界の大御所さんにお声がけをいただいて、まさにこれからの規模感のスケールの話で。パートナーの方としても理想的な流れに乗っていってるなっていう相手だと思うのよね。

重松:そうですね。安田財閥というか(笑)。もともと120年とかそういう歴史のある会社で。やっぱりこの手の新しいビジネスは大手が入ってきてマーケットがちゃんとできるところがあるので、そこをご理解いただいて組んでいただいたっていうのは、やっぱりね。当然ほかの大手にもずっと営業してるんですけど、やっぱり時間がかかるので(笑)。

河上:そういう大御所を落としていくロビー活動ノウハウというかね、信用ノウハウってさ、やっぱりNTTの政治活動が一番効いてるのかな(笑)。営業活動が。

重松:いや~、NTTのとき……一番最初、就職氷河期で2000年にNTT東日本に入社したんですけど。最近『NTTを辞めました』っていうブログがいくつかバズってて。

重松:ありそう(笑)。

重松:研究所の人が書いてるブログが何個かあってバズってるんですけど。内容を見たらあんまり10年前と変わってないなって。

河上:え、今も?(笑)。

重松:ぜんぜん変わってないと思ったんですけど。すごく大好きな会社なんですけど。ちなみに私2000年入社なんですけど、もう1年前も実は内定をもらってて。留年しちゃったんですよ。遊びすぎちゃって。

河上:同じNTTで内定もらってて、またNTTで取ったの?

重松:そうそう。留年しちゃって、単位足りなくなっちゃって。

及川:(笑)。

河上:どれだけ愛されてるの。NTTに。

重松:3月27日に留年がわかって謝りに行ったら「また来年がんばってください」って言われて。その1ヶ月後くらいにまた内定をもらって。まあそれも紆余曲折あって、普通の人は3回4回で面接終わるんだけど、僕は5回やって。人より多くて。3度目はねぇぞっていう。

及川:(笑)。

河上:2年連続でNTTから内定もらってる人いないよ?(笑)。

重松:なかなかいないですよね。それで同期が2人いて、けっこうみんな仲良いんですよ。いまだに両方の飲み会に呼んでもらって。よくわかんなくなります。

大企業の意思決定ロジックを肌で学べたのは大きい

磯村:じゃあ学生時代は遊んでたんですか?

重松:学生時代はADをやってて。NHKの『ためしてガッテン』という番組のADをやってまして。それがすごく楽しくて。

河上:へ~! それは初耳だわ。

磯村:学校へ行かずに?

重松:そうそう。いろんな番組のロケを手伝って。たまに自分も出たりしながら。

河上:NTTには結局何年いたの?

重松:NTTは5年半くらいいましたね。

河上:今の仕事の中で生きてるなと思うことってあるの?

重松:大企業の意思決定ロジックじゃないですけど。そういうのはすごく理解できたなっていう感じがしますよね。

河上:50人になって、これからもっともっと人数も増えていくわけじゃない。スケールも出てくるわけで。あの当時「なんなんだ、この承認決済システム!」みたいな話があったと思うけど。どんどんそれにはちょっと寄って行かざるを得ないところって出てくると思うんだけどさ。やっぱりそれはいい面、悪い面含めてこれからすごく参考になったこともあったんじゃない?

重松:そうそう。どうしても大きい会社だといろんな人の理解を得なきゃいけないので、自分たちの上司だけじゃなくて、周りの各部署からも稟議取ったりとか。でも突き返されたりとか。

河上:ハンコ20個くらい押される場合もありそうですね。NTTの場合。

重松:当時もう電子決済で。そこはやっぱり早かったですね。電子決済なんだけど、でもそれを結局紙で印刷しなきゃいけないみたいなのが謎にあったり(笑)。

河上:結局ね(笑)。

異動が多く成果を出すまでの期間が短い環境では、新規事業は難しい

重松:あと、大企業はしょうがないんですけど、異動が多いじゃないですか。2年単位で異動するとか

河上:そうだよね。

重松:そうするとなかなか新しいビジネスとかやりにくいじゃないですか。2年で成果を出せみたいな。やっぱり新しいビジネスが生まれにくくて、組織で昇っていくみたいなほうが楽しくなる。ゼネラリストみたいな人がわりと評価されるみたいな。

河上:結局俺も人数多いところにいたとき、NTTほどじゃないけど。地方巡業とか、そういうのがシステムのなかで必ずやらないといけないこととしてあったじゃない? ジョブローテーションもそうだけどさ。

正直個人的には「なんのこっちゃ」って思っちゃう部分もあるんだけど、まあ組織全体を見る経営管理職になるためには、当然地方のこととかも知らなきゃいけないしっていう話なんだと思うけどさ。

重松:家族がいて単身赴任とかってけっこうね。

河上:そうね。

重松:あれって……けっこう大企業の友達とか見てると本当に単身赴任してて、子どもが生まれたばっかでみたいな。

及川:確かに。

重松:また戻ってきても、また単身赴任行ってみたいな。ほとんど一緒にいないみたいな。普通にいますからね。

河上:本当だよね。岐阜から戻ってきたと思ったら、もういきなり青森ですって。「え!?」みたいなさ。

重松:あれちょっとよくわかんないなっていうか。そういう大企業のあれを見てきたのは、まだ5年なので染まり切る前だった……けっこう染まってたかもしれないけど。染まり切る前だったので。そういったのを改善していきたいみたいな。

30歳からのスタートアップ

河上:NTTを離れたあとはすぐにIT業界……って言っていいよね?

重松:そうですね。そこはすごくよかったですね。30歳くらいのギリギリのタイミングで、なかなかああいうわりと堅い会社からスタートアップって行かないんですけど。しかも30歳くらいのタイミングでは行かないんですけど。

河上純二氏(以下、河上):フォトクリも俺が知ったころにはすごく大きな会社っていうかさ、100人単位みたいな規模のところからしか知らないんだけど。最初加わったときって?

重松大輔氏(以下、重松):最初は十数人くらいでした。

河上:だったんでしょ? 

重松:あれはよかったですね。

河上:だから何万人かわからないけど、何十万人か……のところから十何人になったから(笑)。その気持ちってけっこう勇気いったと思うんだけどね。

重松:いや、むしろもっと早く行けばよかったなとは後々思いましたけどね。僕自身はやっぱり新しいことをどんどんやりたいタイプだったので。そもそも向いてなかったみたいな(笑)。新規事業を作る会社じゃないじゃないですか。なかなか。

河上:すごいよ。やっぱり。あれだよ。重松ちゃんの人気だね。動画のコメントがすごいピッチで来てるよ。

重松:え、そうなんですか。

及川真一朗氏(以下、及川):JJさん、ちょっとコメントを。

河上:26人くらいかな。

及川:さすが。

磯村尚美氏(以下、磯村):そんなに?

すげ:へ~、すげぇ。

河上:すごいね。人気だね。やっぱりね。

重松:本当だ。

河上:「弊社会議室も登録させてもらっています」と。

重松:嬉しいわ。

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