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第1部 パネルディスカッション(全2記事)

世界が注目するMade in Japanが続々誕生 ITベンチャートップが語る、未来を変えるプロダクト

2018年5月24日、MIJS(Made In Japan Software & Service)コンソーシアム主催による、「スタートアップのトップに聞く ”世界で勝っていくための作戦” meet ALIVE (MIJS Business Network Committee) #1」が開催されました。meet ALIVEとは、世界をより楽しく、より豊かに変えようとする企業やイノベーターたちが語らうMeet upコミュニティ。日本マイクロソフト株式会社のエバンジェリストの西脇氏が司会を務め、パネリストには株式会社tsumug、ユカイ工学株式会社、ライフイズテック株式会社のCEOが登壇しました。本セッションでは、それぞれの創業時のエピソードやプロダクトについて紹介します。

マイクロソフト社のエバンジェリストを務める西脇氏

司会者:さっそく第一回目のパネルディスカッションを始めさせていただければと思います。モデレーターの西脇さんです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

西脇資哲氏(以下、西脇):ありがとうございます。さて、たった1時間しかないトークセッションをこちらで繰り広げさせていただきます。MIJSには、私も大変お世話になっております。メイド・イン・ジャパン・ソフトウェアコンソーシアム、ということですからね。

正直、Mirosoftというアメリカ最大のソフトウェア会社の社員の私が、メイド・イン・ジャパンを名乗っているイベントでお話をしていいのかと思いますけど、せっかく司会をやってくれというご用命をいただきましたから、ここから1時間お預かりして、みなさんの目の前でいろいろなことをお話ししたいと思います。

ただし、私の話をお届けしても、あまりいい話をお届けできるとはちょっと思えないです。私は起業したことはありますし、会社も2つくらい潰したこともありますし(笑)。もちろんいまだに残っている会社もありますけど。もっともっと、今のITや世界というキーワードで成功なさってる方をお招きをしながら進めたいと思っています。

さて、私はマイクロソフトで役員をやらせていただいていまして、何よりエヴァンジェリストというお仕事をやらせていただいております。ですから、今日はエヴァンジェリストという立場でみなさんとともに(過ご)したいと思います。

MIJSさんにも、エヴァンジェリストという立場でたいへんお世話になっております。セミナーにおうかがいしたり、いろいろな研修会でささやかなアドバイスをさせていただいています。ただ、(私が)ベンチャーとして関わりがあるのかというと、最近はダブルワークとかセカンドワーク、あるいはサードワークとかトリプルワーク、マルチワークと言いますよね。

ラジオ番組からスタートアップファンドまで多岐にわたる活躍

西脇:(私が)マイクロソフトのお仕事以外に何をやっているかというと、本を書いていたり、プレゼンの研修やコンサルなどを行っています。このパネルディスカッションのMCの仕事はけっこういただいています。今週だけでも3回目で、来週は2ついただいてるわけなんですけれども。いろんなお仕事をやらせていただいてます。

その縁がいろいろ重なって、最近はどんなことが増えてるかというと、モノノフの方ごめんなさいね、ももいろクローバーZではございませんけど。3年目になるんですけど、乃木坂46さんと一緒にラジオでレギュラー番組を持っているんです。

(スライドを指して)そうすると、その番組のシーンでこういうの(乃木坂46のメンバーと向かい合ってラジオ収録)があるんです。もう癒しの瞬間ですよ。

(会場笑)

これがないと1週間終わらないくらいです。毎週(ラジオ収録を)やっていますが、乃木坂さんはメンバーが多いので、こういう空間を共有することができるわけです。あんまり写真を撮って共有しないでくださいね(笑)。

ただ、ベンチャーのことも忘れていません。私自身は昔、3社ぐらい会社を立ち上げて、今1社が名古屋に上場して残っています。最近、ほかに何をやってるかと言うと、みなさんご存知のように、ドローンのスタートアップファンドをやっています。

誰とやってるか(というと)、今スタートアップで起業なさってる、このあとのパネリストの方も知っていると思うんですけど、コロプラの創業者の千葉(功太郎)さん。そしてもうひと方が、千葉さんのお隣にいる、このピンク色のシャツのおじさん。この方もすごく有名です。お父様が政治経済評論家の大前研一さんなんです。

それと千葉さん、ほかにいろいろな会員の方なども含めて、やっぱり「ドローンでビジネスを成功させたい」「俺は起業をやりたい」という方がけっこういらっしゃるんです。そうすると必ず、お金が必要なんです。このあと登壇される方も、どうやってその資金を調達したか。やっぱり気になるんですね。だから、お金を調達したい方々のためにドローンファンドと立ち上げて、ビジネスを応援しているんです。

他にもいろいろやっています。先日も堀江(貴文氏)さんにもファウンダーになっていただいて、ドローンレースチームを立ち上げまして、海外に日本人を派遣するというビジネスをやっています。年間数千万円で済みますから、そんなにお金がかからないんですね。

シェアリングエコノミーを加速させるtsumugの牧田氏

西脇:さあ、(ここからは)私の話じゃなくて、今日のパネラーの方をご紹介したいと思います。まずは3名様、揃って前にあがっていただきたいと思います。ではお願いします、みなさん拍手でお迎えください。

(会場拍手)

並び順はお好きなように、仲のよいように並んでいただけますか。ありがとうございます。今日は、みなさんもご存知の会社さん、それから起業家、スタートアップ、しかも大変有名な方をお招きしています。

実は私もお会いすることを大変楽しみにしておりました。みなさん、自由にしゃべってください。今日はよろしくお願いします。先に資料をいくつか準備いただいておりますので、まずはお三方の会社、ご自身のお話、事業の話をご紹介させていただきます。では、レディーファーストでいきたいと思っておりますので、牧田さん、お願いいたします。

牧田恵里氏(以下、牧田):はじめまして、株式会社tsumugの牧田と申します。

西脇:ツムグ、ですね。

牧田:はい、「つむぐ」と読みます。私自身は、起業経験が今2社目で、2.5社目みたいな感じで……、いや0.5+0.5+1社でトータル2社みたいな感じかも。

西脇:けっこうあやふやなところですね。

牧田:親の会社を一緒にやっていたりしていました。そこは20億で倒産したんです。

西脇:聞きました? 20億で倒産ですよ。

牧田:はい。今回の(イベント名は)、「世界で勝てるスタートアップ」というタイトルでしたっけ。

西脇:私もタイトルを忘れました。

牧田:そんなタイトルに合うような、たいそうな経験をしてるわけじゃないんですけれど、スタートアップをやったり、あとは孫泰蔵さんのところのベンチャーキャピタルでスタートアップの支援側をやったりしていました。

IoTのロックシステムは日常のどんな場面で活躍するか

牧田:今は、tsumugという会社でハードウェアベンチャーをやっています。(スライドを指して)これは今年の1月のCES(Consumer Electronics Show/コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)という、ラスベガスで開催している世界最大規模の家電フェアです。

今年はそこにメンバー15人ぐらいで参加しまして、(これは)そのときの写真です。今はメンバーがだいたい20人ぐらいいます。でも、このうちの半分ぐらいは違うプロジェクトも兼任しているメンバーです。

西脇:へえ。これはCES 2018の写真ですか。

牧田:はい、そうです。何をやっている会社かというと、このメンバーで、コネクティッド・ロック「TiNK(ティンク)」という鍵のデバイスをつくっています。TiNKという、今ご覧いただいている2つのデバイスがあります。室内に付けるものと室外に付けるもののセットで、単体でLTE通信する電子錠です。

実際にちょっと使い方をこのあと……ムービーがあるのかな、見ていただけると思います。

あるあるな日常の光景ですね。

西脇:あるあるですか、これ(笑)。

(会場笑)

別れるというか、あるあるで。

牧田:はい、LINEで(彼女に)浮気がバレて、その場で(共有していた)鍵を削除される。

(会場笑)

西脇:続きがあるんですね。

牧田:そうですね。こんな感じの、日常でIoTデバイスを使うイメージを持っていただきやすい(ものになっています)。

西脇:まだCMに続きがあるんですね。

牧田:そうですそうです。今、いいフリをしていただき、ありがとうございます。日常でIoTデバイスを使うイメージを持たれてる方もまだ少ないかもしれないですけど、こんな感じで、日常で使うイメージのストーリーが10個ぐらいYouTubeにあがっていますので、興味を持たれた方はぜひ検索してください。

西脇:YouTubeで何と検索すればいいですか。tsumugと検索すればいいですか。

牧田:えっとですね、tinklock.comといううちのサイトがあるんですけど、そこからも行けますし、TiNKで検索していただくと出てきたかも。ちょっと私もYouTubeで検索してないので(笑)。

(会場笑)

サイトから行っていただけると見やすいかと思います。今日はよろしくお願いします。

西脇:はい、よろしくお願いします。

(会場拍手)

お金には色がある

西脇:2013年から泰蔵さんのところで、いろいろ勉強なさったり、ご一緒にお仕事をなさっていたわけで。そこでいろんなことを学んでの起業ということですよね。

牧田:そうですね。「お金には色がある」ということを学ばせていただいたかなと。

西脇:「お金には色がある」。詳しく聞きたいですね。何色と何色と何色が(というのを)、ちょっと教えてください。

牧田:全部に色があるんだと思います。

西脇:お札一枚一枚に色がついてるという。

牧田:はい、そうです。

西脇:そして、色の間違ったものを手にしちゃいけないと。

牧田:色が間違ったら手を出しちゃいけないというよりも、色があることが理解できれば大丈夫だと思います。

西脇:本当ですか。けっこう重い意味があるんですね。

牧田:いや、だいたいベンチャーキャピタルさんやCVC(Corporate Venture Capital)さんも、どういうポイントを支援したいかとか、どういう方向にお金を使われたいかということを知ることができると、お互いにとっていいかなと思います。

西脇:いろんな使途、用途のお金があって、それをちゃんと見極めなさいということですよね。

牧田:そうですね。それが近しいところとパートナーシップを組めると、結果的にプロジェクト自体も楽しくできるかなという感じがします。

一家に一台のロボットの普及を目指す、ユカイ工学の青木氏

西脇:ちょっと先輩と呼ばれる方々に聞きたいと思っております。続いては、青木さんにお話をしていただきたいと思います。

青木俊介氏(以下、青木):ユカイ工学の代表をしております、青木と申します。今日持ってきている、こういった変わったかわいらしいロボットをたくさん製品化して販売したり、いろいろな企業さんのロボット開発をお手伝いしている会社です。2025年までに、一家に一台のロボットを普及させることを目指して、今20人ぐらいでやっています。

ロボコン出身者でNHKのロボコンで優勝した経験があるとか、全国大会に行ったとか、そういったメンバーが集まってやっているので、けっこうワイワイやってるような感じですね。

西脇:今、従業員は何名ですか。

青木:今は18人ぐらいですね。私はもともとは学生時代にチームラボという会社にいました。(スライドを指して)これはソフトウェアの開発をやっている会社で、今はインタラクティブな、デジタルアート作品を展示したりしてるんですけども、そこの創業メンバーとして、CTOを7年ほどやっていました。

その後、「ロボットが作りたい」と思って会社を辞めたんですけど、急にロボットでマネタイズするのはなかなか難しかったので、友人がやっていたpixivという会社にジョインしました。

西脇:pixiv、有名ですよね。

青木:はい。そちらでもCTOを3年間やっていました。平日に友人の会社を手伝いながら、週末に後輩の学生を集めてロボットを作るところからスタートして、7年前に(ユカイ工学として)独立しました。

どんなロボットを作っているかといいますと、まず最初に、(スライドを指して)上にあるのがBOCCOというロボットです。家に置いておくかわいらしいロボットで、特徴としては、センサーに幾つか種類があります。ドアの(開閉の)センサーとか、部屋の温度がわかるとか、人感センサーとか、あと鍵の開け閉めがわかるとか。そういったIoTの機能があります。

例えば、お父さん・お母さんが共働きで、子どもが鍵っ子になっていたら、子どもが帰ってきた時間がわかったり、一人暮らしのおじいちゃん・おばあちゃんのお家に置いておくと、生活を見守ることができたりします。あとは、ロボットを通してコミュニケーションができたりします。

海外でも注目される、猫型しっぽクッションロボットQoobo

青木:(スライドを指して)先月リリースしたのが東京ガスさんです。ハウスメーカーさんと実証実験をやっていたり、徐々に広がってきているなというイラストです。

下にあるのが、今日お持ちしているQooboという製品なんですけど、こちらは昨年の10月に発表しまして、かなり世界的にも話題になりました。Kickstarterというクラウドファンディングのサービスで資金を集めて、今年10月ぐらいに本格的に販売する予定です。

今もWebサイトで12,000円で予約を受け付けておりますので、ぜひWebサイトをチェックしていただけると、ちょっとお得にQooboをいち早く手に入れることができます。こちらは撫で方に応じてしっぽの向きが変わります。

西脇:ちょっとやってみてください。

青木:はい、ゆっくり撫でるとしっぽがこう、震えるだけなんですけど、ワシャワシャすると、どんどん……。

西脇:活発になる。

青木:はい。ちょっと興奮してる。ペットが飼えないアパートに住んでるとか、一人暮らしで犬の散歩にいけない人たちにもすごくいいですし、猫アレルギーの方とか、高齢者の施設に住んでいるような方も、ペットを飼うことができないので、これを持っていくと非常に喜ばれます。そういうようなプロダクトです。

西脇:あと1枚大丈夫ですか。

青木:あと1枚は映像があります。

(ムービーが流れる)

西脇:ああ、これはロボットじゃないですよね、人が出てきてますね。

青木:これは、開発メンバーが自分で持っているロボットや親戚の犬を写して集めた映像です。

西脇:ああ、出てきました、これ(Qoobo)が。

青木:こちらは、10月に幕張でやっている「CEATEC」というイベントです。先ほどのCESの日本版みたいな、国内だと一番大きいエレクトロニクスのショーなんですけれども、そちらで発表しました。そうしたら、けっこう海外のメディアの方もいらっしゃってるので、海外メディアでいくつか(記事を)書いていただくことができて、かなり世界的にバズりました。

西脇:もう自然に(しっぽが)動いてますね。

青木:はい、放っておいてもたまに揺れます。

西脇:これ充電はどうするんですか。生き物の充電ってなんか言いづらいですけど、ぶっちゃけどうするんですか。

青木:はい、生き物なのでUSB ですね。

(会場笑)

西脇:どこかに挿すわけですね。それはどこに引っ張るんですか。

青木:それはですね、おしりのあたりに(あります)。

西脇:そうですか、まあこれくらいにしておかないとね(笑)。どれくらい電池が持つものなんですか。

青木:一応、8時間持つ設計になっております。

西脇:出荷台数は今何体くらいあるんですか。

青木:まだ内緒なんですけれども、Kickstarter では1,000台ぐらいの予約をいただいております。

西脇:はい、じゃあよろしくお願いします。

(会場拍手)

21世紀の教育変革を目指すライフイズテックの水野氏

西脇:せっかくですから、そのかわいいのは膝の上に置いてあげてください。さて、みなさんツイートしてますか。そして最後、3人目の方ですね。水野さんにお話をしていただきたいと思っています、よろしくお願いします。

(会場拍手)

水野雄介氏(以下、水野):ライフイズテックの水野と申します。会社自体は8年前につくりまして、僕らは中高生向けのプログラミングの教育をやっております。もともと僕は物理の教師をやっていました。

非常勤ですが、開成高校と早稲田高校で教えていて、教育というものを21世紀型に変革したいという思いがすごくあってですね。自分が欲しいと思う教育をかたちにして提供していくほうが教育を変えるには早い、という思いで、会社を8年前に立ち上げました。

(スライドを指して)ちょっと細かくてごめんなさい。今年ですと、延べ28,000人ぐらいの中高生が来てくれていて、一応、世界2位の規模でやっています。

いろんな自治体さんと(一緒に)やったり、例えばiPhoneのアプリをつくったり、Unityというゲームだったり、あとは音楽をつくるコース、デザインするコースやIoTのコースもあります。

それでいろんな企業さんとコラボレーションをしています。今まで約10億円くらいの資金調達をさせていただいて。本田圭佑さんが出資してくださった、日本で初めての企業ということで、ちょっとバズったりもしました。

ディズニーとの提携で誕生した『テクノロジア魔法学校』

水野:ずっとオフラインで(やってきた)というか、キャンプは基本大学をお借りしていました。例えば東京大学で100人とか、これぐらいの大きさの規模のところに中高生が100人、200人集まってキャンプをやるんですけど、やっぱり経済格差や地域格差の問題がどうしてもあるので、オンラインでやって、それを解決したいところです。

ただ、オンラインで教育をする上で、今一番大きな課題は継続率の問題です。みなさん、「E-ラーニングはなかなか続かないね」と(感じておられると)思うんですけど、これはハーバードの研究でも、5パーセントしか続かないという問題があるんです。

なので、これをどうにかしないといけない。僕らは「ラーニングエクスペリエンス」という言葉を使っているんですが、UX みたいなものが良くならないと、継続率はやっぱり20パーセント、30パーセントに上がっていかない。

そこで、どんなにオンラインでコンテンツを提供していっても駄目だろう、というところで、今年の4月にディズニーさんと一緒にプログラミングの教材をつくってリリースしました。

https://youtu.be/Iir_6pujWZo?t=18s

今回はPerfumeさんに主題歌をお願いして、いろんなディズニー作品をプログラミングで解決する『テクノロジア魔法学校』(という教材をつくりました)。アキト君という主人公がいるんですけれど、(彼が)ミッキーと魔法学校で出会います。ラプンツェルの問題だったり、(ディズニーの世界を楽しむなかで)いろいろな問題が起こります。4月21日にスタートしました。

これは、1年間100時間くらい学べるコンテンツで、月1万円くらいです。だいたい12万8,000円というかたちでちょっと高いので、経済格差は(解消)できないですけど、とりあえず地域格差(を解消したいと考えて)、プログラミングを学びたい子がどんな場所にいても、いつでも学べる状態をつくろうというところで、今取り組んでいます。今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

継続的なビジネスが超大物のオファーを呼んだ

西脇:はい、よろしくお願いします。さて、お三方を招きしましたが、みなさんツイートをしてますか。今ご紹介いただいたなかでもずいぶん貴重な意見とか、この人がキーマンだという話もあったんですよ。そういうのもぜひ取り上げていただいて、みなさん自身も呟くことで学びとして残していただきたいなと思っています。

さて、事前に準備してある資料はここまでなんですね。ここからはお三方を交えて(パネルディスカッションをして)いきたいと思いますので、ぜひみなさんいろいろ活発にお話をしてください。先ほどの順番の逆で参りたいんですけど、さっきのディズニーに出てきたアキトくんはオリジナルキャラですか。

水野:アキトくんは、オリジナルのキャラをつくりました。

西脇:どちらの会社が提案したキャラなんですか。

水野:僕らが今回脚本(の担当)で、(アニメーション監督の)中村亮介さんという方と、キャラクターは細居美恵子さんという方に頼みました。お二人は、例えば『Fate/Grand Order』のオープニングとかもぜんぶ作られているような方々で、アニメ界で有名な方々でいらっしゃいます。その方たちに脚本とイラストをお願いし、細居さんにキャラクターデザインをしていただきました。

西脇:なるほど、それで素晴らしいスタッフとキャラクターができて、かつ、ディズニーというブランドがあって、さらに音楽がPerfume。

良い製品は良い人脈を開拓する

西脇:お客さんがいて、自分たちのサービスの中から次のサービスの人脈が見つかるという感じなんですね。

水野:やっぱりありますね。結局、大事なのは口コミだったりすると思うので。これは自分たちのところのお客様もそうですし、その方の友人(の口コミ)だったり。とくに教育というサービスなので、当然、価格以上の価値を提供しなきゃいけない。それは僕らとしてもすごく大きいので、そこから口コミで広がるというのがすごく多いですね。

西脇:(牧田さん、)ちょっとメルチャリの話をしていただけますか。私は実物を見たことがありますし、(メルチャリを)跨いだこともあるんですけど、みなさんはまだ知らないと思うんですよ。

牧田:今、福岡で、メルカリさんがやっているメルチャリという自転車のシェアリングサービスをやってるんですけど、そこの鍵をうちも共同開発させていただいています。

西脇:メルチャリに乗ったことある人います? 跨いだことある人。

(会場挙手)

行ったほうがいいですよ。中国でみんな自転車を跨いで自転車のシェアリング云々と言ってますけど、日本でどうなってるか。あれを跨いでいくと、けっこう雰囲気がわかりますよ。そこのロックを(共同開発)なさってるんですよね。

牧田:そうですね。

企業同士で協力して新しいものをつくる

西脇:それはどういうご縁でメルカリさんとつながっていったんですか。

牧田:メルカリさんは今うちの株主でもあります。一番最初はなんだったかな。

西脇:メルカリをいっぱい使ってたとか。

牧田:いや、そんな使ってないです。

西脇:そんなに使ってない。

牧田:それこそ、DMMさんのオフィスのオープニングパーティで、メルカリの濱田さんに「今、こんなデバイスを作っているんです」という話をしたんです。

西脇:(自社のサービスを)紹介しに行ったら。

牧田:雑談の中で、「最近、何やってるの?」とか。私の大学の後輩なんですよ。

西脇:あ、そうなんですか。

牧田:そうなんですよ。ずっと先輩だと思っていたら。

西脇:逆に後輩だったからやりやすかったという。

牧田:いや、別にそんなことないんですけど、この界隈は(東京)理科大の人が少ないんですよ。

西脇:(同じ大学出身の人を)見つけると、それだけで盛り上がります。

牧田:そうですね。それで「話聞かせて」みたいな、シェアリングと鍵はすごく相性がいいので。

西脇:まあ冷静に考えると、メルカリさんは別にどこの鍵を選んでもいいわけですよね、そんななかで、「tsumugさんがやってらっしゃる鍵がいいんじゃないか」「牧田さんの考え方がいいんじゃないか」と判断したんですよね。その最大のポイントは何ですか?

牧田:最大のポイントは何でしょうね。うちは今、シャープさんやさくらインターネットさんが株主なんですけど、基本的にうちの事業とシナジーがある会社さんにステークホルダーになっていただいているということがあって。ただ単純にお金を入れていただくだけというよりは、そこの会社さんと一緒になにかつくりたいな、という思いがあります。

うちは会社がtsumugという名前なんですけど、着物の「紬」という漢字をロゴにしています。そもそも1社でできることや一人でできることはすごく少ないので、いろいろなパートナー企業さんとなにか一緒にできたり、チームメンバーも含めてなんですけど、(関係を)紡いでいくことで新しい価値をつくりだそうというのが企業コンセプトだったりするので、そういうつながりは持とうとしています。

西脇:そして大事にしていこうと。それで、お互いにメリットのある関係であれば、お互いに投資し合うという感じですよね。

牧田:そうですね。

資金繰りの難しいロボット事業をどう立ち上げたのか?

西脇:そういう意味では、ロボットをつくるにはものすごくお金がかかるじゃないですか。ソフトウェアとはまた違いますよね。もちろんソフトウェアもかかりますけど、ロボットは部品調達して工場で組み立てて在庫を積んで、輸送してアフターサポートをしなきゃいけないですよね。

青木:そうですね。

西脇:どうやっているのか教えてください。

青木:最初は、ロボットづくりというのは私もウィークエンドプロジェクトで始めたんです。

西脇:週末の楽しみとして。

青木:楽しみというか、「ロボットをつくりたい」「ロボットで起業したい」という思いがすごくあったので、後輩の学生を集めて、いろんなところの補助金に応募して、もらったお金を使いながらやっていました。

西脇:具体的に言うと、どういう補助金ですか?

青木:僕がいただいたのは、IPAという情報推進機構(が実施している)、あの「未踏プロジェクト」の予算です。

西脇:「未踏(プロジェクト)」で(補助金を)もらってる人、ロボットの(事業をやっている)人が多いですよね。

青木:最近増えてきましたよね。

牧田:「未踏」にいらっしゃる方は、けっこうロボット好きが多い。

西脇:あ、そういうことか。最近だと思います。

牧田:やってる人は多いですよね。

青木:途中で、大阪大学の石黒先生という方(が未踏プロジェクトに関わられるようになって)。

西脇:アンドロイドさん。

青木:2009年だったかな、その方が(未踏プロジェクトの)PMになっていったんですね。たぶん、そのときから急激にロボットのテーマが増えたと思います。

西脇:ああ、そこから最初の資金を使って。

青木:そうですね。私のチームは石黒先生の教え子第1号です。

ギリギリのアイデアが良い方向へ進むこともある

西脇:だけど、その後も資金を調達し続けないと、やっぱりロボットはつくれないですよね。

青木:そうですね。なので、最初は「未踏」でつくったものを映像にしてSNS に出したりしました。最初につくったのは「目玉おやじロボット」といって、腕に目玉をつけるという、完全に(ゲゲゲの)鬼太郎をインスパイアしたロボットをつくったんです。

西脇:(著作権的に)大丈夫なものだったんですね。

青木:大丈夫です。それを国の補助金でつくったんです。

(会場笑)

西脇:ギリギリの線じゃないですか。

青木:そうしたら、水木プロダクションとコラボすることができました。

西脇:へえ、悪い方向には進まなかったんですね。

青木:そうですね。それで、実際に鳥取県の水木しげる記念館でアトラクションとして何ヶ月か運用していただきました。

西脇:このロボットを。

青木:そうですね。来場者につけていただいて、今でいうポケモンGOみたいな感じですね。(目玉おやじ)ロボットがこう、「妖怪がいるぞ!」という動きをしたところをスマホで撮ると、妖怪が(画面に出現する)。

西脇:これ、しゃべるんですか?

青木:しゃべりはしないです。動きで(知らせてくれます)。

西脇:そして、それで一つ跳ねていきますよね。水木さんとご一緒することができて。

青木:そうですね。それでちょっとずつ話題になったり、一応いくばくかのお金もいただいたりして。そして、ある程度実績ができてくるとまた別のお話をいただいたり、というかたちで少しずつ(会社を)大きくしてきました。

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