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第1部(全2記事)

スタートアップのCxOは「謎職種」 U25経営陣らが語ったリアル

大手IT企業からスタートアップへとキャリアを進めた3人の経営メンバーとDMM片桐孝憲氏によるトークセッション「DMM.com片桐社長とU-25経営陣が語る『今スタートアップに行く理由』」が開催されました。前半部のパートでは、松田涼花氏をモデレーターに、Lovegraph吉村創一朗氏、Graffity大野将希氏、Flamingo牟田吉昌氏らが登壇。それぞれの会社のプロジェクトの内容を紹介しました。(写真提供:ラブグラフ)

CPOは「会社のコンパス」としての役割

松田涼花氏(以下、松田):それでは、3人に軽くお話を聞いたんですけど、このセッションではそれぞれの会社の内容について、私から質問していけたらと思います。最初は吉村くん、いいでしょうか。吉村くんは、最近CPOになられていたんですね。

吉村創一朗氏(以下、吉村):そうですね、今年の3月に。

松田:「CPO」ってあんまり聞かないんですけど、「P」ってなんですか?

吉村:ProductのPです。

松田:どういう仕事をしているんでしょうか。

吉村:よく親しみがあるのはCEO、この2人みたいなCOO、ビジネスの責任を持つ仕事ですね。デザインの責任を持つ「CDO」という役職もあります。僕のPはProductなので、製品に責任を持っています。ちょっと難しいですが、「プロダクトマネージャーの延長線」と考えていただくのがいいかなと思っています。

エンジニアにはエンジニアのトップの方が組織にいて、デザイナーにもデザイナーのトップがいます。そういう人たちと一緒に、社長や経営陣合わせて、「みんながどこに向かいたいのか」をしっかりと言語化して、エンジニアやデザイナーを巻き込んでプロダクトを開発していって、KPIに責任を持っていく。そのわかりやすい例で言うと「会社のコンパス」や「羅針盤」という例え方をよくさせてもらっていますが、そういった役割を担っています。

一方で現場レイヤーとしては、自分でコードを書いたり、ワイヤーを引いて仕様書を書いたりもしますし、すごく泥臭いといいますか、なんでも屋さんですね。

うちはオプションで台紙やフォトブックを付けられるんですけど、そういったものの発送作業を自分でやる、というところも(笑)。

松田:へぇー(笑)。

吉村:本当にもう上から下まで幅広いことをしながら、そのプロダクトの戦略に則ってモノを作っていく、というところにコミットするという感じですね。

人々の生活をどうしたら変えていけるか

松田:もともと前職では同じようにプロダクトに責任を持って、プロダクトマネージャーのようにプロダクトを進めていったり、ワイヤーもちょっと書いたりしていました。そこからさらに領域が広がって、それらすべて、発送作業からデザインからなにから責任を持ってやっている、ということなんですかね。

吉村:前職のLINEみたいなサービスだと、日本だけではなくて全世界で2億1,500万人くらいMAU(Monthly Active Users)がいると思うんですけど、そのレイヤーのプロダクトを作っているとお客さんの顔があまり見えないんです。

どういう人が使ってくれていて、このサービスを提供したことによって「どういうふうに人々の生活が変わった」「影響があった」といったことに、どう自分がOne of themになれたのかは、すごく意識はしづらいかなと思っています。

ただそういう意味で言うと、しっかりと追うべき数字はありましたし、そこに求められる、例えば会社の中での評価も含めた中での、基本的な考え方は今と変わっていません。

LINEの場合は、コンシューマ向けのこれだけ大きいプロダクトの中で「より人々の生活をどうしたら変えていけるか」にコミットしていました。ベンチャーに行っても僕らには夢があって、そういうところ目掛けて走っていくので。それに対して戦い方は違うにせよ、思っていることなりやっていることは、近しいところもあるかなと思います。

松田:でも確かに、ユーザーの顔が見えるのはすごく羨ましいなと私も思っています。とくにラブグラフさんは、温度感の高い「うれしい」「ハッピー」というところが見えやすいのかなと思います。

吉村:それは一番の原動力になっています。Slackのチャンネルでお申し込みいただいたときに、お申し込みのフォームの自由記述欄で「なんでもいいから書いてください」というのがありますよね。

実は、この前ちょうど弊社のメディアの記事になったところで、お父さまと60歳の還暦を迎えたお母さまがいらっしゃって、結婚したときに結婚式を挙げられなかったそうなんです。2人の息子と娘が、「お母さんが60歳になったから、ラブグラフと一緒にウエディングドレスをプレゼントして、結婚式を挙げてほしい」っていうことをSlackのチャンネルで見た瞬間に「うぅっ……」(と感涙する)みたいな。

(会場笑)

「なんて良いものを作ってるんだ……!」みたいな。自画自賛になってしまって申し訳ないんですけど(笑)。

松田:(笑)。

吉村:そういう自分が手掛けたものが小さくてもいいから世の中に幸せのインパクトを作れているっていうのは本当に良くて。そのSlackのチャンネルも、ぜひみなさんに入っていただきたいと思うんですけど(笑)。

松田:(笑)。なるほどね。

吉村:そういうところをぜひ、コンテンツにしていいきたいと思います。そういうところです。

これからどういうプロダクトを作っていくか

松田:はい。最後に聞きたいんですけど、私が最初にラブグラフを知ったときは「カップルのサイト」というイメージでしたが、最近は七五三などのファミリー的なものも多いですね。これからどういうプロダクトを作っていくのかを聞きたいなと思います。

吉村:ラブグラフって今言ってくれたとおり「カップル向けのサービス」というイメージがすごく強かったんですが、提供している商品は単一商品なので会社経営的な意味で言うと、もっとアップセル・クロスセルを取りにいけるところとして、家族のマーケットを見ていくというのもあります。

CRM的な観点で言っても、リピーターというかカップルだと使って撮ってくれたけれど、例えば別れてしまった、といったリスクも簡単に想像できると思うんです。

松田:心配。

吉村:家族でお子さんが生まれて、そこから七五三もそうなんですけど、お宮参り、お食い初めやハーフバースデーなどのいろいろな機会で使っていただきたいです。つまり、より僕らが提供したい価値をコアに刺していきながら、自分たちの日常の中から非日常性みたいなのを見つけて、それを幸せに変えていけるところですね。

「カップルで狙っていた」というのは、正直、会社側の都合というかマーケティング上そうしていたんですが、言ってしまえばリクルートさんみたいな「ゆりかごから墓場まで」みたいな。

松田:(笑)。

吉村:そういうところを僕らは取っていくべきでもあるし、そうやってサービスを大きくしていくことが会社の成長につながる、という判断をしました。

松田:そうですよね、ユーザーさんが待っていたサービスだなと思います。

吉村:でもファミリーさんのウケ、すごく良いですし、数字は伸びています。

松田:なるほど。ありがとうございます。

吉村:はい、ありがとうございます。

経営業務からプロダクト開発まで

松田:次、大野さんのお話聞かせてください。ARのサービスについては、私は日本でめっちゃ少ないと思っているんですけど、ライバルは海外ですか?

大野将希氏(以下、大野):そうですね。グローバルでみています。AR自体「ARでコミュニケーションする」「ARを使ってなにかをする」というのもまだ新しい概念ではあって、いろんな競合がいると言えどそれぞれ切り口を変えたサービスが出てきている、というのも背景としてはありますね。

松田:私が知っている限りだと、SnapchatのARエフェクトくらいかな、と思うんですけど。

大野:確かに。例えば、今回のY Combinatorのデモデイ発表だと、比較的近いサービスがでてきています。まさしくおっしゃられたような、SnapchatのようにARの顔フィルターや、3Dアバターを生成するといったサービスは出てきています。

松田:そうですよね。どんどんARが流行ってきている感じですね。そういうのがある中で、どういう思いでやられているのかを改めて聞いてもいいですか。

大野:グラフィティという会社自体が「10億人の生活を変える」に基づいていて、将来的に「新しいコミュニケーション」というかたちで、10億人に根付いていけるようなところを狙っていきたいな、という思いでやっています。

松田:なるほど。どういう仕事をやられているんですか?

大野:ポジションとしてはCOOで、経営戦略を考えることからプロダクト作りまで行っています。会社に必要な業務を幅広く行っていますが、直近やっているのでいうと2つあります。1つは、プロダクト開発。今のGraffityっていうプロダクトをグロースという側面から、ユーザー数を伸ばすためにはどこを改善すればいいのかを考えています。例えば、ユーザーヒアリングしたりですよね。

松田:すごい。ヒアリングしているんですか?

大野:していますね。一昨日だと大学のキャンパスに行って、ユーザーと面向かって「こんな反応するんだ」みたいなのをキャッチアップしていました。

吉村:Facebookで友達を探していましたよ。青学の近くにいる人、誰かいませんか、って。

大野:(笑)。ヒアリング対象になってくれる青学生をひたすらFacebookで探すのをやっていましたね。

松田:すごい。吉村くんもそうですけど、本当に何から何まで、やられているんですね。

大野:そうですね。もう1つは経営という面で組織を作ることや、会社としてどういう方向に進んで行くべきかを考えたりしています。

松田:なるほど、プロダクトプラス組織作りというか。

大野:はい。

松田:なるほど、ありがとうございます。

フラミンゴは多種多様な言語に対応

松田:では次、牟田さんお願いします。私、フラミンゴ、すごく使ってまして。

牟田吉昌氏(以下、牟田):ありがとうございます。

松田:ありがとうございます。私、韓国語で使っていて、ほかにもイタリア語、アラビア語を受けている人がいます。

牟田:マジですか(笑)。

松田:今って、どういう先生がどれくらいいるんでしょうか。

牟田:先ほどちょっと説明したんですけど、うちは今41ヶ国語の対応をしています。

松田:すごい。

牟田:そのうちやっぱり英語圏が多くて、アメリカの方などです。あとは中国ですね。そのあたりが多いんですが、本当に多種多様・十人十色という感じです。英語以外で学ぶ人が多いのは多いのは、中国と韓国などですね。

松田:えー、中国語やりたい。

牟田:ぜひぜひ。中国語だけ学べるわけじゃないんですよ。例えば中国の北京大学卒業後に日本に来て外資企業でものすごい働きながら、「週末ヒマだから教えるよ」みたいな人もいるので。中国語やっていて、気付いたらアナリティクスも勉強できるかもしれない。

(会場笑)

松田:それ、あとで先生教えてもらえます?(笑)。

牟田:もちろん、あとでフラミンゴID送ります。

(会場笑)

松田:なるほど。牟田さんはその中でどんな仕事されているんですか?

牟田:僕も肩書きはCOOなんですけど、うちはまだまだ小さいスタートアップなので。社長と2人で、今後の中長期戦略をどうしていくべきなのか、みたいなところから実務まで幅広くやっています。実務でいくとCOOは「なんでもやる」みたいな感じですけど……。

松田:そうですよね、謎職種。

牟田:そう、謎職種なので(笑)。僕の場合、今のところ定義として近いのはCMOですよね。講師と生徒両方、弊社はCtoCをやっていまして、そのマーケティングをまず僕が責任持って担当しています。そのあとにオペレーション、カスタマーサクセスや採用、組織改善といったところも責任者として推進しています。

それとはみ出るところで、「これはみんながんばらないといけないですね」みたいなところにサクッと手を回すことはやっていますね。

松田:すごーい。みなさんすごく活躍されていて、もっとお話を聞きたいんですけど……なんと時間がないということで(笑)。みなさんのキャリアの話は2部でお話されるということなので、そこに回して、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

牟田:ありがとうございます。

(会場拍手)

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