2024.10.10
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泉友詞氏(以下、泉):それでは、第2幕のトークセッションを始めたいと思います。事前に5つのテーマを出しております。本日お越しいただいているみなさんにアンケートを取りまして、圧倒的にこれを聞きたいという声があったのが(スライドを指して)一番上の「SportsTechの今後と課題」です。
2番目に高かったのが、4つ目の「今後の事業拡大ストーリー」。「どうやって大きくなっていくの?」「どうやってマネタイズしていくの?」という質問が多かったので、まずこの2つを中心に進めたいと思います。
まず、「SportsTechの今後と課題」について、もうちょっとマクロな視点でも問題ないので、まずは福田さんからなにかあれば。
福田浩士氏(以下、福田):僕らのようなビジネスは新しいスポーツを作る側で、そのために新しい技術とか新しいデバイスを使っているんですが、今、僕らの中で非常にインパクトが大きいものがスマートフォンです。
スマートフォンの性能がどんどん上がっていって、できることが増えていっている。それはARでもVRでも同じですが、次のスマートフォンのデバイスはなにかということもかなり大きいと思っています。
HoloLensとかGoogle Glassのようなウェアラブルが来るかどうかが、新しいスポーツ競技やスポーツの体験の作り方にも影響してくる。そういった、誰もが持っているプラットフォームが今後どう変わっていくのかが1つです。
福田:もう1つ気になっているのが、ロボットといいますか、モビリティです。
泉:モビリティ?
福田:乗り物が今後どう変わっていくかや、新しい乗り物を使ったスポーツを作りたいなと思っています。
さらにその先にいくと、宇宙でスポーツをやってみたい。重力なんてしょうもないものに縛られていては人間はおかしくなっちゃう。「無重力でスポーツをやろう!」「無重力でできるスポーツを作りたい」と思っています。
そのへんが技術の進化によって変わってくると思っています。
泉:ありがとうございます。FrontierTechだと、昨年ぐらいからispaceさんとかも100億近くシリーズAで調達したみたいなところもあって。もちろんスポーツにどう関わるかは、だいぶ先になるかもしれませんが、ゆくゆくはそういう世界も現実的になるんじゃないかと考えています。
そういう観点でいうと、今はウェアラブルなども急成長していますが、スポーツとIoTというような関連で、峯岸さんのところはどうですか?
峯岸孝次氏(以下、峯岸):基本的には、我々は既存の技術に乗っかっている部分が非常に大きいんですが、IoTという文脈でいうと、ビッグデータ連携とかAI化はもう避けて通れないとは思っています。
データはクラウドベースで蓄積されるので、その音声データ、我々でいうとコミュニケーションをとったデータをどれだけAIとして活用できるか。ドキュメント化してそれを解析するのか、はたまたボイスピッキングにつなげていくのか。
そういった方向に向かっていかないと、スポーツという文脈だけで大きく爆発するのはハードルが高いと思っています。
泉:とくに最近はスポーツに対して、国自体が「成長産業にしていかなければ」という流れがあると思うんですが、小泉さんのところでは、今後どんな取り組みでマネタイズしかけていこうというのはありますか?
小泉真也氏(以下、小泉):僕らはまだけっこう紙のリプレイスなので、お2人がおっしゃったようなIoTとかよりもっと手前の話なんです。医療とスポーツが技術で一番遅れている中で、医療では電子カルテが出てきましたが、スポーツはまだまだ紙だと思っていて。
なので、スマートフォンのお話もありましたが、もっともっと普及していくとそこの認識が広がっていく、変わっていくということがまず1つです。
2つ目に、日本国内での話だと、実は法が変わることが一番チャンスでもあるんです。例えば、ついこの前、本田圭佑がスポーツベッティングに出資しましたよね。
でも日本の法律では、競馬・競艇・競輪でこそ十何兆円が動いていますが、それ以外にベッティングできるところがないんです。でも、そこが1個変わるだけで、スポーツ自体も見に来る人が増えて一気に盛り上がりますし、それをデータで追いたいという人も増える。
だから、日本の法がどう変わっていくかは、このSportsTechというところで、アリーナビジネスなんてとくにそうですが、一番大きいところだと思っています。
泉:なるほど。リアルの場所でいうと、最近では例えばDeNAさんが、ベイスターズを膝下において、横浜に対してかなりリアルに入り込みながらうまく運営していると思いますが。
僕も体育学部の出身なので、そういう会社が日本全国に広がって、SportsTechが明るい未来になっていけばいいなと思っています。
泉:ただ、スポーツを取り巻く環境で法律はやっぱり重たくて、なかなか改善できない部分がある。民間がボトムアップしていくことも必須ではありますが、実際に法律以外のところでもっともっと注目されなければいけない。こういうイベントもそうだと思いますが。
その中で取り組んでいこうとしたときに、大手が絡みやすい、もしくは協業しやすいような観点でいうと、Xenomaさんとかもそうなのかもしれないですが、けっこう絡みやすい、入りやすいという気はして、そこから打破していくという手もあると思っているんですが、そのあたりどう見ていらっしゃいますか?
網盛一郎氏(以下、網盛):難しいですね。大手ですか?
泉:はい。
網盛:さっきの話のように、法制度でマーケットを大きくすることはベースだと思いますが、それ以外では、例えば今の日本だと東京オリンピックですよね。そういったときにその機会をどう最大化するかという点では……。
例えば、よくAIが人間の仕事を奪うという話がありますが、スポーツはやっぱり人間がやらないとおもしろくない。ロボットとロボットが戦っているのも、おもしろくはありますが、それははたしてスポーツかという議論になる。
仮にスポーツは人間がやるものと定義して、スポーツというものの裾野を広げていくことができれば、要するに時間が余ってくるわけです。そうすると、場所にとらわれず、機会にとらわれず、もしかしたら空間そのものの制限にもとらわれずやれるようになるかもしれない。
今は、eスポーツの競技性がどんどん高まって、どんどんスポーツに近づいてますし。あとはインターネットで対戦したときのタイムラグをどこまで抑えるかとか。NTTさんが、Perfumeの3人がニューヨークと東京とロンドンで同時に踊るというプロジェクトをやっていますが、あれも実は近いところがあります。
網盛:今のスポーツが成長するということももちろんありますが、あえてそこを外して、大手さんがそういう機会とかマーケットを考えるとすると、そういったかたちでインターネットをうまく使って、空間の制約を取っ払ってもスポーツ性が残るというところはけっこう大事だと思います。
例えば、我田引水ですが、僕ら最初はe-skinでゲームを作ったんです。それを展示会で1日展示したんですが、へとへとに疲れたんですね。
普通のゲームなら椅子に座ってるだけでできますが、e-skinだと身体を動かさないといけないので疲れるんです。「これはゲームじゃない」と思って、フィットネスっぽいアプリに変えたという背景がある。
身体を使ってゲームをするということ自体はたぶんWiiがはしりだと思うんですが、福田さんはもう実現されているわけですが、そのへんはスポーツの将来を変えうるに十分なポテンシャルを持っていると思います。
泉:なるほど。そういった部分はなんとしてでもでかくしていかなきゃいけない。マーケットサイズはそこそこ大きいので、そこをスタートアップテクノロジーの領域で取っていければ一番いいと思うんですが。
とくに大谷さんのところは特殊ですよね。「けん玉」という切り口で見たこの景色って、どういうふうに見えてますか。
大谷宜央氏(以下、大谷):まぁ、特殊ですね。でも、今はものがインターネットにつながってIoTって言われてますが、スポーツも同じような広がりは出てくると思っています。
ようやくいろんなセンサーが発達して、身体やものの動きから情報が取れてきた。それらを組み合わせてデータを取ってどう可視化させてあげるかによって、スポーツの発展の仕方もどんどん変わってくると思います。
今までなかった、まさに福田さんの言ってるような、テクノロジーに紐づいたもっとおもしろくて興味が持てるようなコンテンツになるかもしれないです。
大谷:ニッチに発展していくスペースはまだまだ無限大にあると思っていて、我々もそのなかの1つの選択をした。
けん玉はかなりニッチな領域ですが、実はグローバルにやってる人も多いし、市場としても魅力的な数がある。まずそこからけん玉の技がちゃんと解析できて、今までけん玉でできなかった遊ばせ方を作って、それで発達していけたら、1つ新しいスポーツのあり方として展開できると思っています。
泉:けん玉自体、日本のカルチャーでありつつグローバルで人気があるというわかりやすいモデルですが、おっしゃるとおり、グローバルの観点でいうと、ユーザーも非常に多いですし、マニアの人も多いですよね。
そういったところも含めて、今後事業拡大にフォーカスしたときに、まずやるべきことはどういうふうになると思いますか?
大谷:さっきと矛盾したことを言いますが、けん玉って発達しているようで、テクノロジーとかメディアとかに関してはまだまだなんです。逆に言えばかなりブルーオーシャンで、「けん玉 初心者」で検索してひっかかるところに、見たいようなコンテンツがない。
なので、まずはオウンドメディアを確立して、けん玉界隈の人たちがまずこれを見るというものを作り上げる。そこにたどり着いた人が電玉につながって、新しい遊び方を知るというように、まずその知ってもらうところを広げたいです。
あと1点は、DARTSLIVEみたいな広げ方ですね。ダーツも同じようにハードダーツだったものがソフトになって、今は飲み屋とかにも置いてあってみんなに遊ばれて認知されていますが、それと同じような発展の仕方をさせたいと思っています。
海外だと、飲んで、けん玉やって、盛り上がってという文化があるんですが、日本だと伝統的なカチャンカチャンみたいな印象があるので、そこをまず変えたいです。
そういうコンセプトを訴える。例えばダーツバーとかにDARTSLIVEみたいに電玉の筐体を置いて、遊んでもらいます。それを若者が見て「けん玉って実はクールじゃん!」って思ってもらえる文化をまずは訴求する。
オウンドメディアでけん玉に興味を持った人たちがそういう文化を知って、電玉に広がりを感じてもらう。それでユーザーが増えてくれば、プロ化したり、メディアも呼んでさらに膨れていくという感じで。
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