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けん玉や学生スポーツがなぜ人気? スタートアップCEOが語る、スポーツビジネスの新潮流

2018年2月28日、インキュベーション施設「Plug and Play shibuya」にて、スポーツ×テクノロジーをテーマにTechベンチャー6社の経営陣がトークイベントを開催。成長産業の一つとして注目されているスポーツビジネスの発展に向けて、Sports Techスタートアップが目指す世界を語ります。本パートでは、株式会社電玉の大谷氏と、株式会社ookamiの尾形氏が登壇し、それぞれのビジョンについて紹介しました。

現代のけん玉はストリートパフォーマンスに近い

泉友詞氏(以下、泉):はい。同じIoTの文脈で、大谷さん、お願いします。今まであんまり、電玉さんのようなプロダクトは、表に出てくることはなかったんですけれども。はい、なんとけん玉ですね。見られたことがあるかもしれません。後ろでもちょっとデモをやっていますけども、かなりけん玉に特化したIoTというところで、これをスポーツに活かしながらやっていくというスタンスで、新たにエンジニアも含めて募集をしているというところですね。

準備は大丈夫でしょうか? はい。それでは大谷さん、よろしくお願いいたします。

大谷宜央氏(以下、大谷):みなさん、こんにちは。電玉の大谷です。よろしくお願いします。

まず、みなさん日本人なのでけん玉をご存知だと思いますが。広島の廿日市市発祥で、日本初のおもちゃと言われていますが、ルーツは実はフランスのビルボケというおもちゃだったりします。今、実はこのけん玉が世界ではすごいことになっておりまして。

こんな感じの、ストリートパフォーマンスに近い遊びになっているんですね。こういうクールでオシャレなけん玉として、アメリカでは遊ばれていて。去年だとルーマニアとか、カナダとか、あとはイスラエルとか、台湾とか、いろんなところでかなりかっこいいけん玉として盛り上がってきてます。

けん玉の人口も、実はグローバルでものすごく膨れ上がってきていて。だいたい今1,000万人いると言われています。キーワードの検索とかも、日本語ベースだと5万ぐらい「けん玉」と調べて出てくるんですけど、ローマ字で「KENDAMA」と入れると36万に一気に膨れ上がってくると。それだけ海外では遊ばれているおもちゃになってきています。

我々は、この世界で広がっているけん玉をさらにおもしろく進化させようと。それが「電玉」です。

世界中のプレイヤーと対戦ができるけん玉「電玉」

「電玉ってどういうものなの?」と簡単に言うと、世界中のプレイヤーと対戦できちゃうけん玉ですね。中にセンサーが入っていて、アプリと連動することでどっちがすごい技をやったかとか、あるいは、けん玉は難しいので、トレーニングでどう練習すれば上手くなるのかとか、そういうノウハウのアプリもあったり。

今日現場で展示している電玉は初期のもので形が大きいんですけど、今作っているグローバル版は、本当に「THE KENDAMA」という、かなりいいものになっているので、次のグローバルモデルを期待していただければと思います。

それで、今回はスポーツの会なのでスポーツ向けのお話をしたいと思いますが、ザッとビジネスモデル的なところをですね。まずIoTなので、モノを売ってお金をもらいます。

あとは、やっぱりIoTならではのところですね。モノ以外にアプリとつながるので、例えばユーザー課金以外の手段として、けん玉って技がもう数千とかあるんですよ。そういった動画や解説動画とかにつなげて、ちょっとした広告収入につなげたりとか、ユーザー課金以外の収益モデルとかもいろいろと検討しています。

あとは、これは対戦のゲーム画面ですけど、技を決めると相手のところにブロックが積まれていって競い合うみたいな。こういうので「なかなか勝てない」、「同じレベルの人とか勝てないね」っていう時に、ちょっと手助けをしてくれるようなアイテムを買ってもらったりとか、そういうアプリならではのマネタイズとかも考えています。

あと、eSportsですね。我々はスポーツの中でも、eSportを攻めようと思っています。日本だとなかなか賞金の出るようなものが少なかったりしますが、最近はいわゆる投げ銭などの仕組みもあるので、そういった規制をかいくぐって、プレイヤーにちゃんとお金をもたらすような仕組みもできるんじゃないかなと思っています。

ショーパフォーマンスとゲームが結びつく

あとは、ヘルスケア的なところですね。運動すればもちろん健康になるんですけど、楽しく運動しないと続かないんですよね。電玉だと、どういうデータがどう動いた結果、脳の情報にどういういい影響が出たとか、そのへんの情報まで一貫して(分かります)。実証実験などを通せば取れてくるので、今後は楽しんで健康寿命を伸ばす仕掛けなどもしていこうと思っています。

ざっととeSportsですね。今回、eSportsのところで、エレクトロニック・スポーツなので、今、実状としてeSportsってゲームの大会になっていますけど、定義としてはスポーツ競技に電子を足したのがeSportsなんで。我々のものはさらにパフォーマンスと、ショーパフォーマンスとゲームが結びついて、実際のフィジカルなものとゲーム双方が融合するのが、本当の意味でのeSportsになるんじゃないかなと思います。今年は大会をやります。

あとは……最後に採用のところだけ(笑)。Webアプリのデザイナーを募集していまして、あとは今後オウンドメディア、けん玉関係のメディアをやるので、興味のある人はぜひお声かけいただければと思います。よろしくお願いします。以上、電玉でした。

(会場拍手)

:大谷さんありがとうございます。いやー、おもしろかったですね。電玉に関しても、けっこういろいろ機能……一昨年ぐらいでしたっけ? TechCrunchとかに出て注目を浴びている1社でもありますので、ぜひ後ろでデモをやっていただければなと思います。

新しいスポーツメディアの開発

:ラストですね。トリを飾るのがookamiの太陽くんですね。僕は一緒にフットサルをしたりするメンバーの1人でもあるんですけれども。もともとソフトバンクでトップセールスだった彼が、「NIKEを超える会社をつくるぜ!」と言って立ち上げたのがこのookamiです。ですよね?

尾形太陽氏(以下、尾形):はい、そうです。

:ぜひ、よろしくお願いします。

尾形:よろしくお願いします。ookamiの尾形と申します。僕は学生から起業したので、プロフィールはあんまりないんですけども。

僕、麻雀がぜんぜん得意じゃないんですけども、去年小泉さん(小泉真也氏)と麻雀をやりまして。すごい負けて、なんか僕、ぜんぜん年下なんですけど、取るものだけ取っていったという感じで。それ以来、小泉さんとは麻雀をやってないんですけど。またもっとフェアな、近いぐらいの人たちと麻雀をやりたいなと思いました。……というプロフィールでして(笑)。

今、4期目のookamiという会社を経営しているんですけども。1つのプレイヤーというスポーツメディア、新しいスポーツメディアを開発しています。

これは簡単な動画のデモなんですけども。最近、スマートフォンの中でスポーツのライブ映像を配信するサービスが出てきているんですけども、我々は小さい画面で2時間の映像をずっと見てくださいっていう体験ではなくてですね。

「今、盛り上がっていますよ」とか、「金メダルを取りそうですよ」とか、スポーツって見逃せない瞬間があると思うんですけど、仕事の合間とか電車の移動中とか、そういう見逃せない瞬間を教えてあげることをコンセプトとしています。

プレイヤーの特徴として、その人がなにに興味があるのかを判別するようになっています。野球が好きな人には野球の情報を教えてあげるとか、錦織が好きな人には錦織の試合が盛り上がった瞬間を、スマートフォン中心に教えてあげるというところを、コンセプトに持っているサービスです。

見逃してしまうような瞬間をユーザーに伝える

特徴が3つあります。1つがその瞬間を教えてあげるというところですね。「ワールドカップへの進出が決まりそうですよ」とか、「錦織がフルセットまで、すごく盛り上がっていますよ」みたいな、今までのテレビとかスタジアムだとずっと張りついていないと見逃してしまったような瞬間を、まず教えてあげます。

我々の特徴として、ライブの映像は扱っていないです。ユーザーのコミュニケーション、「本田がんばれ!」とか、「錦織がんばれ!」みたいな、ライブのユーザーのコミュニケーションと、あとリアルタイムのデータ、コミュニケーションとデータをどう見せるのかというところで、コンテンツをつくっています。(これが2つ目の特徴です)。

3つ目の特徴として、そのユーザーがなにに興味があるのか、そのユーザーがどうサービスを使っているかによって判別をしてあげる、学習をしてくれるというところが特徴としてあります。瞬間を教えてあげて、その瞬間を共有できるようなコミュニティをつくっています。

我々は今までアプリとWebが中心にあったんですけども、今は新しい施策として、データを使った瞬間の感動体験みたいなものを街中にも展開していこうというところで(取り組んでいます)。

これはデータをアプリやWebの面だけでなくて、街中に増えてきたビジョンにもスポーツのコンテンツを配信していこうと、エンターテインメント都市渋谷をつくっていこうと、東急電鉄さんと協業で進めていったりしています。

課題意識としては、スタジアムとテレビというこれまでの中心だった観戦手法を新しくしていきたい、新しいエンターテインメントをつくっていきたいというところを、モバイルインターネットで目指しています。

マイナーなコンテンツに熱量の高いユーザーが集まってきている

とくにこの1年、ユーザー数もガガガッと成長軌道に乗っておりまして。メディアの特徴としては、若い人たちが中心、10代、20代が中心に使っているところと、あとはプロ野球とかJリーグみたいなところ、メジャースポーツみたいなところではなくて、マイナースポーツ、アマチュアスポーツでユーザーにリーチできているところに特徴があります。

これは1つの、ものすごくマイナーな事例なんですけども。ハンドボールの高校選抜という、「誰が見るんだよ」みたいに思われてしまうかもしれない大会なんですけども、このマイナーなコンテンツに熱量の高いユーザーが集まってきていまして。

だいたいこういう学生の大会って、平日の勤務時間中に行われるんですけども、現地に行けない親がいたりとか、OBが全国に散らばっていたりして、そういう人たちが仕事の合間にこっそり息子の試合を追いかけるような体験ができあがってきています。

我々が今注目しているのが、この学生スポーツです。アメリカはご存知のとおり、ものすごく大きいんですけども。アメリカのトレンドとして今あるのが、大学スポーツじゃなくて、高校生以下のユーススポーツといわれてるところが伸びて、市場として大きくなってきているというところに特徴があります。

その他のところも、デジタルメディアとか、ベッティングとか、ファンタジースポーツみたいなところで、スポーツの新しい見方が再定義されてきているなというところを感じています。

今年、日本も大学スポーツ転換期じゃないかなと。今までも何度か転換期はあったんですけども、日本版NCAAという、アメリカにある大学スポーツを統括している組織みたいなものが、今年創設されるというような動きがありまして。

大学スポーツを「観るスポーツ」として確立させる

まあ、国が動こうとしてきていて、アシックスさんだったり、メーカー側の方々も動こうと。スポンサーだったり、メーカー側としてサポートしようとしているんで、我々はメディアとして、「大学スポーツを観るのはプレイヤーだよね」と、学生スポーツにプレイヤーが集まってきているような状況を、この1~2年でつくっていきたいと思っています。

課題はいろいろあるなとは思っているんですけども、1つは大学スポーツを観るスポーツとして確立させるというところと、やっぱり、そこに優秀な人材を集めていかないといけないなと思っています。

我々もベンチャーとして、今、大学生のインターン等もたくさん来ているんですけども、ベンチャーとして、本当にスポーツビジネスに挑戦できるようなチームをつくっていきたいなと思っております。

僕が好きな会社でNIKEという会社があるんですけども、NIKEも最初はベンチャーでした。新しいスポーツビジネスのモデルをつくった会社だと尊敬しているんですけども、本当にNIKEやESPNだったり、世界を引っ張って、スポーツビジネスを引っ張っているような会社になりたいなと思い、日々挑戦をしています。

スポーツビジネスは、本当に小さい会社1社だけではなかなか新しくするのは難しいなと思っていますので、ぜひここにいらっしゃるようなみなさんと挑戦ができればと思っています。ありがとうございました。

(会場拍手)

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