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家族へのギフト(全2記事)

仕事と子育ての両立を疑似体験できる 家族留学サービス「manma」の意義

2018年1月27日、結婚・出産・育児への不安を持つ人々の不安解消と、その背景にある社会課題の認知・解決をテーマにしたチャリティ・イベント「the GIFT」が開催されました。イベントは、「女性へのGIFT」「社会へのGIFT」「家族へのGIFT」の3セッションで構成。今回は「家族へのGIFT」と題して、現役大学院生で起業家の新居氏が立ち上げた体験プログラム「manma」について、サービスが生まれた背景や意義を語り合います。

子育て家庭への1日体験訪問「manma」とは

犬山紙子氏(以下、犬山):みなさん、よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

犬山:私は犬山紙子と申します。普段はイラストやコラムを書いております。

新居日南恵氏(以下、新居):初めまして、新居日南恵と申します。manmaという組織を4年ほど前に立ち上げまして、今は子育て家庭に若者が1日訪問に行く、“家族留学”という取り組みを中心に事業を行なっております。よろしくお願いします。

ハヤカワ五味氏(以下、ハヤカワ):ハヤカワ五味と申します。今はアパレルの会社を自分で経営しています。だいたい社員が5人くらいで、中には子供を産んでいる子もいるので、そういった中で女の子のキャリアや出産について考えています。よろしくお願いします。

(会場拍手)

犬山:さて今日はですね、結婚したあとや出産したあとに「先にこういうことを準備しておけばよかった!」ということがあったり。あと心構えだったり、そういったものについて話せればなぁと思っています。

新居さんがやっている家族留学について、ちょっとお話しを伺ってもいいですか?

新居:簡単にご紹介させていただくと、大学生や社会人1年目~3年目くらいの「これから結婚したいなぁ」とか「子供を産みたいなぁ」と思っている人たちが、10歳とか20歳上の実際に子育てしながら働いているママさんのご家庭に1日体験訪問に行くというプログラムになります。

例えば、将来働きながら子育てもしたいけれども、本当に両立できるのかなぁという不安を持っている子たちが、実際にそういうご家庭に行くことで、等身大のご家族が両立しているヒントを見ることができたり。

実際に乗り越えて楽しそうにしている姿を見て、希望をもらえたり。そういうマッチングをmanmaで行なっているという感じです。

仕事と子育ての両立を疑似体験できる 

犬山:本当に仕事と子育ての両立を不安に思っている人ってめちゃくちゃいるし、私も今までめちゃくちゃ不安に思っていたので。先に体験できるってすごくいいなと思うんだけど。家族留学、五味ちゃんは体験したんですよね?

ハヤカワ:そうですね。私は去年の頭ごろに、突然スタッフの子の出産報告がありまして。私自身、結婚経験も出産経験もなかったので、なにか手伝ってあげたいけどなにをしたらいいかわからない。

社長としてどういうフォローをしたらいいかわからないというところで。めちゃくちゃクリティカルな前例もないということで、実際に私も体験してみようと家族留学に伺ったんです。

私が伺ったのは働かれている方と、もう1人は女性なんですけど社長をやりながら子育てをされている方という2家庭。やっぱり、実際に行かないとわからないことってこんなにあるんだっていうのが正直なところでした。

犬山:え~。

ハヤカワ:なんとなく、仕事と子供の対応というかやり取りって割り切ってできるんじゃないかと思っていたんです。だけど、実際は家事をしながらも子供は話しかけてくるとか。仕事をしながらも、遊びたいと廊下を走り回ってるみたいな。こんなに動くっけ!? と思って。

楽しかった一方で、いい意味でも悪い意味でも、自分の想像と違うところがありましたね。

犬山:こうやって先に情報がもらえるというのがすごく大事ですよね。それは私も子供を産む前にすごくやってたことで、情報がないとジャッジできないんですよね。自分がそうなったときにどう対処しようかとか。そういうことを考えたら、実際に体験するのはめちゃくちゃいいなと。

今、五味ちゃんが社長さんのお家って言ってたんですけれども、自分の働き方に近い人のお家に行くこともできるんですか?

ハヤカワ:選べるというか、いろんな家庭がありますよね?

新居:登録してくださっているご家庭は本当に多岐に渡っていて、霞が関の官僚の方も登録していて。

犬山・ハヤカワ:官僚!

新居:集合場所は霞が関駅集合で、駅に集合して保育園にお迎えに行くところから一緒に行きましょうって。

休日じゃなくて平日に受け入れてくださることもあるので、仕事が終わって霞が関駅で集合して保育園にお迎えに行って、お家に帰ってご飯作ってみたいなことをやっていたり。あとはディズニーのダンサーやってた人もいますし。

犬山:ディズニーのダンサー!

新居:テレビ・新聞の記者の方もいらっしゃいますし、専業主婦の方もいらっしゃいますし。フリーランスでライターやってますみたいな人もいます。

犬山:あ、フリーランス?

新居:いろんな人がいっぱいいます。

家事・育児の考え方が違うと夫婦仲もうまくいかない 

犬山:自分の出産後の働き方に似た感じの方を見られるというのはめちゃくちゃでかいです。

新居:そうですね。希望がなければ、地域的に近い人たちでマッチングすることもできますし、細かい希望があれば、例えば自分がIT系の会社に入るのでIT系のママさんのところに会いに行きたいという希望がある子はそういう企業で探したり。そういうこともできます。

犬山:準備として実際に家族留学をしておくのもいいですし、私は本を読んだり直接人に話を聞きに行ったりしていたんですけれども。私はそこで、夫との関係性がめっちゃ大事だなって実感しました。

ハヤカワ:それこそ犬山さんの著書でもいろんな方と話されていて、旦那さんといろんな関係がある方がいっぱいいらっしゃったじゃないですか。そこらへんってなにか得たものはあるんですか?

犬山:あります、あります。私が話を聞いた本にまとまってる方々はそんなに旦那さんの愚痴を持ってない方が多かったんですけれど。実は編集者の方とかと話していると、本当に男性に申し訳ないんですけど、すごい勢いでみんな旦那が嫌いっていう話をするんですよ(笑)。

本当に旦那がずっとちゃんと好きっていう人と、子供を産んでから夫が嫌いになったっていう人の話をたくさん聞いていると、やっぱり育児にどれだけ参加しているのか? 家事をきっちりと分担できているのか? 

専業主婦なのか共働きなのかでぜんぜんウェイトは変わってくるんですけど、やっぱり子供を産んだあとに自分1人で全部やらなきゃならないとなると、自分がいっぱいいっぱいのところを見捨てる人(に夫はなってしまう)。

そういう人って嫌いになって当たり前だよねっていうのは。困ってる人を助けないって、どれだけ大好きだった夫も、それはやっぱり嫌いになっちゃうなというのは話を聞いていて思いました。

駒崎さんとかお話してましたけど、最初からお手伝いじゃなくて「僕も親だから一緒に子供を見る」「一緒に育てて行く」という人とは、全部が全部ではないですけれども、良好な関係が保てているなと感じました。

これはぜひ、妊娠とか出産とかそれ以前、彼氏彼女の段階もしくは結婚した段階で「もし将来子供を持つとしたら?」とか家事育児については先に話して、お互いどういうかたちがフェアかを話しておくと、夫を嫌いになるのを防げたんじゃないかと。私が嫌いだったわけじゃなくてね(笑)!

ハヤカワ:それこそよく聞く話ですけど、旦那さんとしては「俺は家事やってるじゃん」と思っていても実際はそれがすごく一部だったとか、やってあげてる感が空回りしちゃっているようなすれ違いって、もしかしたら前々から擦り合わせていたら解決できたかもしれないですもんね。

「察して!」よりも話し合いのルールを持つ 

犬山:お互い「察して!」って思ってるところがあるんですよ。

ハヤカワ:カップルとかでもありますもんね。「なんでやってくれないの!?」みたいな。

犬山:そうそう。「こっちはこれだけやってるのに」っていうのを口に出さないで。

ハヤカワ:そうですね。会社だろうがプライベートだろうがあることですよね。

犬山:あると思います。女性も「私これだけやってるのに察してよ」って言わない。男性も「僕は見てないところでちょこちょこやってるよ。察してね」っていうのが、お互いそうだと本当に言葉で言わないとわからないもんだなというのもすごく感じます。

先日『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』っていう本がバカ売れして。

新居:あ、そうなんですか(笑)。

犬山:はい、出てるんですよ。私もそれ読んだんですけど、そこにめちゃくちゃ具体的に良い方法というのが。

新居:へ~気になる。一体なにが書いてあるんですか?

犬山:犯罪者を説得する方に話を聞きに行ったりしてるんですよ。どういう話し合いの仕方をすると相手が聞く耳を持つのかみたいな。立てこもりしてる人って、基本警察の言うことを聞かないけど、そういう人に聞く耳を持たせる方法とかがぎっしり詰まってるんですよ。

ハヤカワ:話し合いのときにどういうルールを持つかって、意外に会社だろうが結婚した関係だろうが、けっこう大事なのかなと思うんですよ。犬山さんが生活されているなかで、うまくいくためのコツみたいなものってありますか?

犬山:やっぱりさっき言った通り、「これをやって欲しい」って、口に出して言う。それも命令口調とかじゃなくて「これをやってくれると助かります」だったり。男性側もお互いに言わなくてもわかるだろうというのをまずなくすことが1番大切なのかな。

あとそれは本に書いてあったことなんですけれど、話し方として「なんであなたこんなこともしてくれないの?」じゃなくて、主語を自分にする。「私はこういうことをしてくれると嬉しい」みたいな。そういうのも書いてありましたね。

ハヤカワ:本当に私も最近、「なんでしてくれないの?」っていう言い方から「私はこうしてほしい」って言えるようなったときに、大人になったなって思いました。

犬山:(笑)。

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