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ゲーム産業の今後(全2記事)

スマホゲームを「文化」に グリー・DeNA両社が見据える、ゲーム業界の未来

ディー・エヌ・エー小林賢治氏とグリー青柳直樹氏による対談。各社の事業戦略について意見を交換しつつ、ゲーム業界全体の行方について語り合った。(IVS 2013 Fallより)

良いゲームプロデューサーは、「コア」がわかるかどうか

小林:プロデューサーの能力として求められるのは、一番コアというか。これがつまんないとこのゲームは絶対クソゲーっていうのが、どこかにあるんですよね。ものによってはアートかもしれないし、ものによってはゲーム設計そのものかもしれないし、怪盗ロワイヤルみたいに、ものによっては演出面かもしれないし、それはゲームによるんですけど。

これはどこに力を入れるべきであるというのをプロデューサーがわかっていないプロジェクトは、うまくいかないんですよ。路頭に迷うんですよ。わかってるうえで、そいつがピンときているかきていないかを僕は重視していて、プロデューサー本人もピンときていないものは、誰もピンとこないからやめたほうがいいよという感じですね。

青柳:そういう人って、60人もいるんですか?

小林:抜擢すると、出る場合があって。アイデア自体は、もっと多いですね。数百のレベルですね。その中で「これは」っていうのを、僕を含めてコアメンバーで選んだんですけど、そのときに「こいつはあまり経験ないけど、このゲームを語るときの熱っぽさは尋常ならざるものを感じるな」というときは、それはじゃあ君に託す、と。メタゲームデザインっていう、裏のゲームシステムのサイクルを作るのは僕がサポートする、と。

そこは経験がいるので、課金どう設計するとか、インターネットに上げるためにはここはどういうふうに入れ込むとか。その辺はサポートするんだけれども、根幹のこれはどういうふうにしたいというのは、それは君の頭の中にあるのがよくわかったから、もう君に任すと。という感じで、二人三脚でやらしてもらってるみたいな感じですね。

ヤフーに負けずに「爆速」でいく

司会:1年で区切るのがいいのかどうかわからないですけど、来年(2014年)こういうことに取り組んでいくというあたりの話を、お願いできればと思います。

青柳:2013年は、会社としてもいろいろ厳しい判断とかもしなければいけなかったですし、大きな変更もあったかなと思っていて。僕自身として個人的にも厳しい1年だったなというふうに思っています。一方で、僕はグリーのいいところが出ているなというふうに思っているのは、これと決めてからのやりきっていくスピード感みたいなところが出てきたなと思っていて、2014年に向けてはいい仕込みができつつある。

もしくはいい仕込みに向けての議論が始まったなという感覚が、経営レベルにいて思っているところです。それを1個1個言語化していきながら、何か面白いことできるかもみたいなものを、2014年前半にかけてやれば乗ってくるし、そうじゃないと、ちょっと潜るかもしれないんですけれども。それはそれで、そうなんないように頑張りたいなとは思って。

最近はヤフーさんの本を、三木谷さんが書かれた本を読んでいて、「爆速」の由来がグリーだっていうのが書かれていて。グリーが、その当時なんですけれども、「すごい速いよね」「爆速だよね」みたいなことを宮坂さん(社長)と川邊さん(副社長)で話していて、そこから「爆速」というのをとられたそうで。

おお、「爆速」って俺らだったのかと最近理解しまして。やっぱりその「爆速」をですね、僕らがヤフーさんから取り戻したいなと思いまして。グリーのいろいろな良さの要素だったなと思って、それが今もう1回温めてかたちになりつつあるので、ぜひ2014年は、スピード感を持って、結果にこだわっていきたいなと思っています。

スマホゲームという発明を「文化」にしたい

小林:2013年は、確かにディー・エヌ・エーも、結果としては厳しい面もあったかなと思うんですけども、それに対して、これまで以上にない速度と雰囲気で仕込みをやれているなと感じていて。あとは、結果が出たら、というのを社員もみんな待っていると思うので、とにかく結果を出す1年にしたいなというのが、2014年ですね。

その先に感じることがあるんですけど、先ほどもゲーム業界の投資が少し下がっているよねみたいなところがあったんですけれども、僕はこの産業自体はポテンシャルがもっとあると思っていて。もっと多くのクリエイターに来てもらって、もっと多くのコンテンツが出て、結果的にいろんなユーザーが、世界中、何十億人が使っていますっていうのが、あたりまえになってほしいなと思っていて。

そういうのが続いて、ようやく文化だという話ができる。まだ勃興しつつあるイチ産業みたいな感じなんですけれども。これが人々の生活に根差した、テレビがそうだったと思うんですけど、エンタメの1ジャンルとして形成されていくきっかけとして、いろんな遊びを作っていって、それが当たってユーザーが広がってっていうのを、ディー・エヌ・エーが一角を担えたらなと思っています。

司会:そういう戦略の中で、海外展開はその文脈上に乗ってくるんですか?

小林:もちろんです。

オリンピックイヤーは、"ちょうどいい"目標

司会:最後の質問なんですけども、これを見ている方は経営者だけじゃなくて、将来起業したいなとか、あるいは営業マンの方とかいろいろだと思うんですけれども。特にゲーム業界とか、モバイル業界とかで起業を目指すかたに向けて、一言アドバイスをお願いしたいと思います。

小林:スマートデバイスでの新しいスキマ時間でのエンターテインメントというのは、日本が生み出したすばらしい1ジャンルだと思っていて。いろんな国の方々と付き合ってきましたけど、日本はすごく先進的な知見もノウハウも、スキルも、世界に誇れるレベルで持っているなというのを強く感じています。

これは直接ゲームを作るというかたちで関わるのもよし、あるいはそれをサポートする何らかのかたちでもよし。ただチャンスは日本から起こるという可能性はやっぱり高いと思っていて、僕は日本人が誇りをもって、世界に問いかけていく、投げかけていくものだと思っています。新たな成功者が出てくることを期待しています。

青柳:主に、これから起業されたいと思っている方、学生さんも含めた方々について僕が一緒に考えてみたいなと思っているのは、2020年に東京にオリンピックがくるということが決まって、これはひとつ大きなイベントだなと。日本の戦後の復興も、オリンピックがシンボルにありましたし。

その中で、東京オリンピックっていうのが、国民というか日本にいる人たちみんなの共通の目標で、そこまでに世の中を変えよう、と。2020年にいろんな人が東京に来たときに、使うサービスが全然違うものになっていて、それが世の中を変えていくといいなあと最近思っています。

僕、グリーに入ってそろそろ8年ぐらいになるんですけど、7年前とか、僕も全然業界の経験もないし、グリーに入ってきた人でしかなかったですけど。7年たってこうやって、IVSにも呼んでいただいて話をしている。そのぐらいの変化が、みなさんにもこの7年ぐらいで起こり得ます。今、これを聞いてくださっている方が、IVSで登壇しているっていうのが7年で起こり得るし、逆に7年で起きないことは、10年たっても20年たってもみなさんの身に起きないので。

その7年後、東京オリンピックぐらいだと、いい意味で近すぎもせず、あらゆる人に同じようにチャンスがあるんで。そのぐらいのときに、こうなってたらいいな、そのためには明日どういうアクションをとったらいいかな、と。最近は数年ソーシャルゲームで盛り上がりましたけど、2コ、3コぐらい、同じぐらいの波がこれから7年の期間だとあるので、その中だったら俺は何をやるかな、7年だったらこのぐらいうまく変わってもおかしくないよな、みたいな感じで発想して。

明日からアクションをとってもらうと面白いんじゃないかなと思っていますので、ぜひ、2020年、オリンピックのときに俺何してるかな、私何してるかなというのを考えて、一緒にそういったところを作っていけたらなと思っています。ありがとうございます。

司会:ありがとうございます。今回のセッションは、ゲーム産業の今後ということで、グリー株式会社から青柳様、株式会社ディー・エヌ・エーから小林様にご登壇いただきました。

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