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株式会社ホープ・時津孝康氏(全1記事)

20年間「居場所がない」と思い続けてきたベンチャー社長が、海外で得たターニングポイント

アマテラス代表・藤岡清高氏が、社会的課題を解決する志高い起業家へインタビューをする「起業家対談」。今回は、株式会社ホープ・時津孝康氏のインタビューを紹介します。※このログはアマテラスの起業家対談を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

1日もサボらずに続けた少年野球が成功体験に

藤岡清高氏(以下、藤岡):子供のころの時津さんについてお話しいただけますか?

時津孝康氏(以下、時津):特徴的なのは、野球を約4年間やっていたのですが、1日もサボらずに続けていました。私は根が真面目でして、サボるという選択肢が自分の人生のなかでありませんでした。

小学校5、6年のときに強く記憶に残っている出来事があります。1日も練習を休まない私とは対照的に、弟はしょっちゅう練習をサボっていたのですが、大会で弟がレギュラーに選ばれて、私が選ばれなかったのです。悔しくて悲しくていたたまれない気持ちになりました。

引退したとき、母に「あなたは1日も野球をサボったりしなかった。それは本当に偉いことだよ」と褒められたことを覚えています。それがすごく嬉しく、「俺は下手だし器用じゃないけど、こうやって努力を重ねていけば誰かが見てくれる」と思えるようになり、1つの成功体験となりました。

中高でも水泳やテニスをやりましたが、基本的にサボったことがありません。勉強でもスポーツでも、なにをやらせてもうまい人はいると思いますが、私はそのようなタイプではないため、人よりも頑張らないといけないと自分に言い聞かせて生きています。

藤岡:小さいころから努力家だったわけですね。

時津:そうですね。地味だったと思いますが、努力家でした。

中学校1年生からは水泳を始めました。

覚えているエピソードがありまして。私の地元では2月に寒中水泳が恒例行事としてあり、真冬のプールを25メートル泳ぎました。先輩たちは来ず、結局1年生だけでやることになったのですが、「逃げたら負けだ」と思って意地で行きました。

「俺の居場所はここじゃない」と思って生きてきた

時津:ただ、中学校時代の私は周囲に流されるところがありました。

中学校3年生のとき、私たちのグループ20名くらいで問題を起こしたことがあります。学校に全員の親が呼び出されましたが、「なんでこんなことで呼ばれないといけないの?」と私の親以外全員が怒っていました。

しかし、そのなかで私の父は、「今回の件に関しては、親である私どもが全責任を負うべきだと思う。息子たちがやったことに対する補償はすべて私がやりたいと思う。本当にご迷惑をお掛けしました」と最初に謝っていました。

それを見たときに「俺、こんなことしていたら変な人生になる」と思い、その翌日から、グループと少し距離を置きました。そのために私は孤立しました。しかし、「このままではダメになる」という思いがあったので、最後までそのグループには戻りませんでした。「環境を変える」ということを中学生のときに学びました

藤岡:その事件がたまたま引き金になっただけで、もともとそのように思う要因があったのではないでしょうか?

時津:実はもともとありました。小学生のときに仲のいい男の子がいて、その子も同じ中学校に行くものだと思っていたら、私立の中学校に行きました。そこに行くことはかなり珍しいことでした。それが羨ましく、親にお願いをして塾に入ったのですが、その日が中学受験の最終日だったのです(笑)。

田舎者過ぎて世の流れをまったく理解していませんでした。その友達と同じような環境で育ったにも関わらず、彼は私立中学校に行き、私は公立中学校に行ったという事実がすごく嫌でした。そのこともあり、「今の中学校は自分の居場所ではない」と思っていたところがありました。

小さいときから目標設定を常にして、そこに追いつく、もしくはそこをライバル視していました。小学校のときはその友達をモデルケースとして立てていたわけです。モデルケースと自分とギャップを埋めることは幼少のころからやっていました。

1人でいるのが心地よかった大学時代

藤岡:高校時代はいかがでしたか?

時津:私立の高校に入ろうと思い受験をしたのですが、失敗しました。なんとか入ることができたのは工業高校でした。ユニークな学校で、工業高校でも特進学科があり、私は特進で受かりました。

特進学科だったためクラスは違いましたが、中学で距離を置いた友達と同じ高校に通うことになってしまいました。正直、学校に通うのが辛かったですが、20人くらいしかいない特進クラスの狭いなかで3年間通いました。

部活動もまったくしていませんでした。帰宅部みたいに「学校に行って帰る」のくり返しでした。あまりいい思い出はないです。同じ教室の女の子に2回告白して、振られたこともありました(笑)。高校では全然モテなかったので、あまりキラキラした高校生活ではありませんでした。

大学時代に留学するまで「自分の居場所はここじゃない」「俺の人生はこんなはずじゃない」とずっと思って生きてきました。

藤岡:大学生活はどんなものでしたか?

時津:大学受験でも希望していた大学へ挑戦しましたが、落ちてしまいました。

2つの大学を受験していたのですが、自衛隊に10年ほどいた父から「受験大学両方とも落ちたら、自衛隊に行け」と言われていました。父から本気で言われて、自衛隊か、もう1つの大学かという、2つの選択肢しかありませんでした。結果、第一希望ではありませんでしたが、なんとか大学に合格することができました。

しかし、大学では1人暮らしを始めて、1年生のときに取った単位が15単位、2年生のときに取った単位が4単位でした。

全然大学に行かず、ずっと遊んでいました。アルバイトをしたり、合コンをしたり、映画を観たりしていました。私は映画が好きだったので、携帯の電源を3日ほど切り、借りたビデオ20本くらいを部屋で3日間見続けたりしていましたね。1人でいるのが心地良かったです。

話は変わりますが、高校時代に2回告白した女の子が同じ大学だったのですが、3回目の告白をしたら、「もういい加減にしてください」と言われました(笑)。

1年間の留学が、人生のターニングポイントに

時津:大学時代、はじめの2年間は単位や試験を気にせず自由に生きていましたが、2年で19単位しか取っていなかったため大学を辞めることも考えました。自分の居場所はここでもないとずっと思っていました。

どうしたらいいのか悩んでいたときに、当時流行っていたアーティストが海外に行っていたことが脳裏を過ぎり、私も海外に行こうと思いました。その前にニューヨークを2週間ほど旅行していたこともその一因です。

親に「1年間だけ留学をさせてほしい」となんとかお願いをして、1年間、行かせてもらいました。

おそらく1年間留学に行ったことが私の人生のターニングポイントだと思います。その瞬間、自分の人生のスイッチが押されて変わりました。留学で学んだことは、「自分は井のなかの蛙で、世界は広い」ということです。

藤岡:留学は語学学校からですか?

時津:ペンシルバニア州の語学学校でした。その学校では「私たちはハーバードに行きたい」「MITに行きたい」とか思っている学生が世界中から来ていて、「この人たちすごい」と思いました。目標設定を高くしないと、人生はつまらなくなることをその1年間で学びました。

もう1つ学んだことは、ずっと「この環境は自分には合わない」と思って20年間生きてきて、初めて必死に勉強する人たちの環境に放り込まれたときに、そこに適応する自分がいたことです。周りが勉強しているから「負けたくない」と思い、そこに自分がアジャストしようとしていました。

そのような環境に行かないと自分は居心地が悪く、この環境をずっと求めていたことに気付きました。それが私のなかでは、人生にとって大きな発見でした。そこで知り合った人たちは友達かもしれないと感じました。

藤岡:3年次に復学したのですか?

時津:はい、復学しました。帰国後は自分がなんでもできる人間だと思っていて、営業のバイトがしたいと思い、営業のバイトを始めて月々50万円くらい稼ぎました。自分に自信があったため、社長に「フルコミットでやらせてくれ」とお願いをし、売っただけ給料を貰っていました。

仕事先からバスで移動していたら授業に間に合わず、タクシーで大学に行ったことも。当時は第2課長という役職に就き、社長以外のメンバーは私が大学生だと知りませんでした。

藤岡:時津さんはプロフェッショナルな環境に置かれると燃えるタイプなのでしょうね。

時津:そうですね、すごくいい経験でした。当時の社長を見ながら、「やはりチームを作らないと大変になる」といったことも気付きました。

話は変わりますが、2002年に結婚しました。私が22歳のとき、学生結婚をしました。

妻は私の5歳上で、27歳でした。妻は、結婚を考える年齢だったため、「私と結婚するか、別れるか」の2択を迫られ、私は結婚を選びました。当時の私の本業は学生でしたので、私の親には結婚を反対されましたが、妻の親が私の面倒をみてくれることになり、結婚をさせてもらいました。

藤岡:営業の仕事しながらですか?

時津:彼女も私も働いていました。私に関しては、大学に通いながら営業の仕事をし、さらにファイナンシャルプランナーを取るためにダブルスクールもしていました。大学も真面目に通いました。「両親のために卒業をしないといけない」という使命感から頑張りました。3〜4年次には、単位をほぼ上限まで取得しました。

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