2024.10.10
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司会:ヤフー株式会社 副社長兼最高執行責任者 川邊健太郎さんにお越しいただきました。
川邊:ヤフーの副社長の川邊です。爆速で経営をやっとります。
司会:今回お決まりの質問なんですけども、このInfinity Ventures Summitに今まで何度もご登場されてると思うんですけれども、参加される意味とかメリットとか、そういうものはどういう風に考えておられますでしょうか。
川邊:僕は最初2005年だったと思うんですけど、この前身のNILSっていうの、洞爺湖でありましたよね確か。それに出て、長らくご無沙汰をしていて、去年ヤフーの副社長になって久しぶりに登壇させていただいたんですね。規模も本当にまるで昔とは違い、たくさんの人と、人の質の高さと、格段に変わられていてビックリしました。
去年ヤフーも経営体制が代わって、一年目で僕自身もかなり時間がなかったということで、パッともう講演だけピンポイントに出て帰ってしまうっていうのはやっていたんですけれども。特に去年の京都に出て、その後ちょっと色んな人とゴニャゴニャ話したら、結構色んないい商談とか最近のお互いの状況とか確認するのに「あ、なんかテンポ良く聞けていいな」という風に思ったんで、今回は丸々2日ずっといるという感じです。
ですから色んな経営者の話をね、パネルディスカッションを聞くのも十分参考になりますけども、それ以外の時間で「よ! どうよ!」「あの件どうなってる?」っていうのを確認しあうのにはこれほど効率的といっては大変恐縮なんですけども、いい会合はないんじゃないかなという風に思ってますね。
司会:川邊さん、元々「電脳隊」の活動とかで、結構ご自身も異業種だったり、あるいはネット業界の人たちを繋げたり、あるいは1つの世界でみんなで頑張ろうぜっていう活動もしてこられたと思うんですけど。やっぱりじゃぁ仕事においては、そういう交流っていうのもすごい大事なんじゃないかと。
川邊:いやぁそれはもう、めちゃくちゃほとんど人が全てですよね。特に「ストロングタイ」と「ウィークタイ」っていう有名な理論がありますけど、社内の取締同士の場合は「ストロングタイ」ですよね。強い関係。「ウィークタイ」と言って、自分とは異なる文化とか所属にいる人たちと薄く広くいかに繋がっていられるかっていうのが、実はその人のポテンシャルになるので、そういうものを作るには、こういうのは非常にいい場なんじゃないんでしょうかね。
司会:ありがとうございます。では、2つ目の質問なんですけれども、主催のInfinity Venture Partnersの小林さんはじめ皆さんと関わりがあるかと思うんですけども、率直なところどういう印象をお持ちでしょうか。
川邊:関わりがあんまりないんですよね、これ以外で。だからそういう意味で言うと一つは、ベンチャーとかとはすごく密接にやられてるのかもしれないですけど、ヤフーぐらい大きくなっちゃうと、実はあんまり関わりが持ててないんじゃないかなと思ってるんで、そこはベンチャーを色々紹介して頂くとか、そういうのも含めて、もっと強化したらいいんじゃないかなっていうのと。
もう一個はまぁこういうインタビューなのであえて、あえてですよ? あえて厳しいことを言うとすれば、やや不透明なものが多いと言われてますよね、呼ばれる人の不透明さとか、あるいは呼ばれなくなった人の不透明さだとか。僕自身別に何でもいいんですけど、それは。それでなんかやや「IVSなんてさー」みたいに言う人が結構増えちゃってるような気もしますけどね。それなんか、変えたほうがいいんじゃないでしょうかね。
司会:なるほど。ありがとうございます。3つ目の質問なんですけれども、この映像を見ておられる方、中心は若手経営者の方とか、これから起業したいなと思っておられる学生さんとか、本当にこれからの時代の人々が多いと思うんですけれども。川邊さん今まで色んなネットベンチャーを自らもしてこられましたし、見てこられたと思うんですけど、こういう事が大事なんじゃないかとか、こういう事を念頭においてこれから会社を経営していくといいんじゃないかっていうアドバイスをして頂ければなと思いますけれども。
川邊:まぁIVSという文脈で話すならば、やっぱ色んな人と交流して繋がって、特にネットベンチャーであるならば、その人がやっているサービスとか製品は必ずWebで見れますから、見てみるっていうのが大事なんじゃないかな? なんか見てみて、色んな触発を受けるかもしれないし、実際に業務提携も生まれるかもしれないという所で言うと、もうとにかくそれを大事にしていこうという事。
あとはなんでしょうか、これ見て「がんばろう!」って思うんだったら、とにかくネットをやることだと思いますよ。リアルな色んな事もあるとは思うんですけども、まだまだネットは日本でも十分これから伸びていくと思いますし、世界的に見てもまだネット化されてない領域、あるいはこれからネット化されていく国、まだまだポテンシャルがあるので、本当に新大陸が生まれたばっかりの、アメリカ大陸が発見された時のような、そういう喜びがまだ残っている業界だと思うので、ネットにフォーカスしてやっていくのが、一番成功の近道なんじゃないかなっていう気はしますね。
司会:実際このIVSのLaunch Padとかに出ておられたDECOPICさんとか、そういったベンチャーとの連携も最近すごく加速されているような印象があると思うんですけれど、元々は今まではあまりそういう考え方とか動きはなかった。
川邊:そうですね。やっぱりヤフーの場合「ヤフー◯◯」っていうサービスを100個ぐらい持ってて、多くのものは自分達で作って来たんで、サービスなんてのは自分達で作れるし、作るのは当たり前だっていう固定観念が最後の方ありましたよね、この数年。
だけどやっぱりフォーカスを利かした、ヤフーじゃやらないような面白いサービスが出て来たり、あるいは場が変わってますよね、スマートデバイスとか。ですから、我々では思いつかない、できないっていうものもいっぱい出てきて、それがやがてはメジャーになっていくっていうのを、見守ってもちろん体感してますから、そういったものはむしろ今後貪欲にヤフーとしては是非一緒にやらしてもらいたいなという風に思ってますね。
司会:その一方でヤフオクの名前を変えたりとか、そういう自社ですごく強いサービスをやっぱもう一つ二つとか、どんどん産み出して行きたいという思いもお持ちだと思うんですけども。それぐらいの柱になるような強いコンテンツの何かテーマとか、何らかのアイディアっていうのは今お持ちなんでしょうか。
川邊:そうですね。当然ヤフーとして強いサービスを自分達で作るも良し、GoogleのYouTubeだってね、今やYouTubeが買収された会社って思い出す人も少なくなってきてるぐらい根幹ですけど、ベンチャーに投資したりとか、そういうの作ってもどっちでもいいと思ってますけど。ヤフージャパンの場合、ジャパンっていうぐらいですから、日本のコンテンツとか日本のサービスに、ローカルのサービスにこだわってやっていきたいなという風に一つは考えてますね。
もう一つはやっぱり「ビッグデータ」という絡みで言うと、決済とかそういったところ、あるいは広告の技術。こういった所もやはり今後も力を入れて行きたいなという風には思ってますね。
司会:なるほど。最後の質問なんですけれども、「爆速」とTシャツも着ておられますけれども。
川邊:はい!
司会:色んなある種のルールを変えることで爆速を実現するっていう事だと思うんですけど、川邊さんが今のポジションに就かれてから、実際に社内で実践されて効果があった取り組みとか、ルール変更っていうのはどういうものがありますか?
川邊:そうですね。「ルールをなくす」っていう事をずっとやってきたんですね。過剰にあったルールをなくして、原則で判断して、個々人ができるようにするという事はやってきたつもりです。ですから、なんか新しいものを作ったというよりかは、あるものを全部壊したっていうのがこの一年で。
でもやっぱり壊れきってないですよね。「そうは言っても、またルール作るんじゃないの?」とか「前のルールでやんなきゃだめじゃないの?」みたいな感じで、やっぱ5000人も人がいれば、結構上の方と下の方で熱が伝わってくる時差がありますから。
今は「本当にやってもいいんだよ」と「むしろワイルドにやることが評価されるんだよ」「いっぱい失敗した人の方が出世するんだよ」という事をずっとメッセージし続けてる感じですね。だからそれが一番効果的なんじゃないでしょうかね。ルールを壊して言い続ける。
司会:その時にバランスとして難しいのが、仕事が忙しくなればなるほど、仕事にアウトプットは増えるんだけれども、遊びの要素というか社外での発見が、次の仕事のフィードバックに生きるはずが、どうしても「土曜日も仕事」「家の行き帰りは仕事のこと考えちゃってる」みたいになると、またこれ新しい企画とか浮かんで来なくなったりすると思うので、意図的にその辺でバランスを考えておられるような事とかはありますか?
川邊:意図的ではなくて、やっぱり仕事を平日は朝から晩までやっちゃってて辛いので、土日は意図的じゃなく本当に「遊びたーい」と思って、僕の場合は釣りとハンティングが大好きなんですけど、もうそればっかりやってるし。
今だとあれなんじゃないんですか? これだけスマホで色んなアプリがダウンロード出来るんで、色んなアプリで遊んだらいいんじゃないんでしょうかね? パズドラやんないとダメだと思いますし、なんかそういうのやったらいいと思いますね。僕の場合、本がすごく好きなんで、移動の時とかはいつもずっと全然違う分野の本とか読んだりしてますけど、そんなのオススメじゃないんでしょうかね。
司会:結構Twitterにもいつも「これ読みました」「これ読みました」って、すごく色んな分野を読んでおられますよね。ああいうのもやっぱり視野を広げるというか、気づきを大事にしようという事の現れなんですかね。
川邊:まぁだからすごい意図的にやってるわけじゃなくて、知的好奇心が旺盛なのかもしれないですよね。だけど読んでて楽しいので、色んな物を読んでみようという事で。どっちかっていうとあれですよね、ネットの事なんていうのは活字になってるのを読んでも遅いですから、それは。
どっちかっていうと、まさにIVSに来て「俺こういう事考えてるんだよ」って小声で言うような事が真の情報ですから。そういう自分の分野の所は、そうやって集めなきゃだめでしょうね。それ以外の活字になってる所で十分驚きや発見があるので、なんかそうやってメリハリをつけていくと楽しいんじゃないでしょうかね。
司会:川邊さん、本当にIVSに登壇されてる時もすごく理性的というか理知的に話されて、聞いている方としては非常に理解しやすかったり、わかりやすいお話をされるなっていう印象がいつもありますね。
川邊:ありがとうございます。とにかく短く話す、それに尽きる。今も質問して、質問の回答が6,7人いると30分ぐらいかかってるわけですよ、みんな話すの大好きだから。GREEの山岸なんて回答に5分とかかかっちゃったり。なるべく短く話す。
司会:なるほど。ありがとうございます。最後の質問の延長線上ですが、仕事を離れて今個人的に、ビジネス領域で川邊さんが興味あるジャンルとか分野とか。
川邊:3Dプリンタ! 今日もfabのやってましたけど、いや~おもしろいですね。あれ完全にWebと同じ構造だと思います。要するにメディアっていうのは昔、希少価値が高くて、メディア作れなかったわけですよね。それがWeb、HTMLとブラウザが出てきた事によって、誰もがメディアを作れるようになった結果、世界中の人がいっぱいメディア作っちゃった。そういう夢が叶ったと思うんですよね。メディアを作った。
製造業ってのは今まで出来なかったわけですよね、設備にお金がかかるから。そういう夢が叶わなかった、個人は。だけど3Dプリンターが出て来ると、もうまったくWebと同じ構造で、データはCADデータで世界中の人とやり取りできるわけですから、変なもんがいっぱい出てくるんじゃないでしょうかね。色んな変な製造物が。あれは本当に第2のWebなんじゃないかなぁと思ってますけど。ドキドキ。今日も話聞いて、ワクワクしてました。だって臓器も作れるんですよ! 肝臓作ってるんですよ、3Dプリンターで。
司会:ピストルも作れるっていう。
川邊:そうそうそう、ピストルも作れると。作りたいなぁと思いますけど(笑)。
司会:ありがとうございました。今日はお忙しい中来ていただきました。
川邊:ヤフーを是非使ってくださーい。
三木谷浩史
楽天株式会社 代表取締役会長兼社長
伊佐山元
DCM共同経営者
佐藤光紀
株式会社セプテーニ・ホールディングス 代表取締役社長
古川健介
株式会社nanapi 代表取締役
吉田浩一郎
株式会社クラウドワークス 代表取締役社長
小林賢治
株式会社ディー・エヌ・エー 取締役 Chief Game Strategy Officer
岩瀬大輔
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役副社長
川崎裕一
株式会社ミクシィ 執行役員 クロスファンクション室長
川邊健太郎
ヤフー株式会社 副社長
日高裕介
株式会社サイバーエージェント 取締役副社長
朝倉祐介
株式会社ミクシィ 執行役員 経営企画室長
松本龍祐
株式会社コミュニティファクトリー 代表取締役
林信行
ITジャーナリスト
森川亮
LINE株式会社 代表取締役社長
熊谷正寿
GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長
玉川憲
アマゾンデータサービスジャパン株式会社 技術統括本部本部長
舛田淳
LINE株式会社 執行役員
荻野泰弘
株式会社ミクシィ 取締役執行役員 経営推進本部長
藤田晋
株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長
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